小説『ソードアート・オンライン〜『猛獣使い』の少年〜』
作者:クロコト()

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SIDEカイト


ガキイィィン!!

「くっ!」

俺たちが戦い始めてから約5分。

クーフーリンのHPバーは三段あるうちの一つが無くなり、二段目が黄色くなっている。

俺のHPバーは黄色。さっきまでは赤だった。

つまり、言うまでも無く俺が押されている。


「どうした、ボウズ!!さっきまでの威勢はどこに行ったぁ!?」

ブンッ!!

ガキイィィン!!

「お前が思いのほか強くてな!どっかに行っちまったよ!!」

ズバッ!

俺の攻撃が当たり、クーフーリンの二段目のHPバーを一気にレッドゾーンにする。

「くっ!!」

「まだまだぁ!!」

俺はここぞとばかりに6連撃剣技(ソードスキル)『テンペストクラッシュ』を発動。

「ぐあぁっ!!」

クーフーリンの体がよろけた。

「チャンスだ!!セラ!【流水槍】!!」

「分かったよ!!それっ!!」


ズパアァァァァァン!!


セラの手から約200本の水の槍が亜音速で飛び出した。

「ま・・・・・・・・けるかぁぁあぁ!!!」

「なっ!?」

やつはあろうことか亜音速の槍を己の槍だけで捌きだした。

時には避け、時には弾く。

ついに最後の一本が弾かれてしまった。

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・この程度で死ぬぐらいなら英雄だなんて呼ばれてねぇんだよ・・・・・・!」

だが、やはり全部捌ききることは出来なかったらしく、両足に大きな穴が開いている。

「・・・・・・・・・・・・・これで終わりだ」

俺の槍がクーフーリンの心臓を貫いた。

「くっ・・・・・・ははっ・・・・・強かったぜ?ボウズ」

体が透けていき始めているのにクーフーリンは実に穏やかに笑っている。

「そりゃどうも・・・・・こんなデスゲームじゃなかったら俺の力だけでやりたかったよ」

同じ槍使いとして、この人は本当に尊敬できると思う。

「そうか・・・・・・うれしいねぇ・・・・・・」

そういうとクーフーリンは手に持っていた槍を俺に渡してきた。

「そいつをやるよ・・・・・・・・俺のお気に入りだからな・・・・・・・大事にしろよ?」

それだけ言ってクーフーリンはポリゴンになって散った。

「・・・・・・・・・・・・・大事に使わせていただくよ・・・・」

英雄クーフーリンの持っていた槍――ゲイボルグ――

俺がこの槍を扱うにふさわしいとは思えないが、せっかく受け取ったものだから・・・・・

「ありがとな・・・・・・・」

俺は空を仰ぎ、今はもういない英雄に向かって感謝の言葉を言った。



SIDE OUT












SIDEカレン


「・・・・・・・・すごい・・・・・・・」

まさか主を倒してしまうなんて・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・あ!」

主が前に言っていたことを思い出して急いでカイトのところに行った

「カイト。ココには主が書いたルーンの刻印があるの。急がないとココが崩れちゃう」

そういってる間にもどんどん崩れ始めている。

「・・・・・・・・・・そうだな・・・・・・・急ごう・・・・」

「道案内するね?」

私はカイトを連れて、出口へと向かった。













「カイト・・・・・・・」

「ん?なに??」

これだけは言っておかなきゃ・・・・・・

「ありがとう」

そういって私は頭を下げる。

「?・・・・・・あぁ・・・・・あの人のこと?」

「うん。助けてくれてありがとう」

感謝しても仕切れない。だって命を助けられたんだから・・・・

「気にしなくていいのに・・・・・・」

「そういうわけには行かないよ・・・・・・私に出来ることなら何でもやるよ?」

カイトのためならどんなことだってやってあげる・・・・・・

「ん〜・・・・・特に無いな・・・・・・」

「ヘ・・・・・・・・・?」

絶対なんか言われると思ってたんだけど・・・・・・

「・・・・・・・お前に出来ることってなにがある?」

「私に・・・・・?」

私に出来ること・・・・・・

「モンスターの分析とかは得意だよ?モンスターのデータとかが頭に入ってるから・・・・・・」

このゲームが始まってから、私の頭に突然モンスターのデータが流れ込んできた。

第九十層以上のボスモンスター以外のデータなら全部入っている。

それがモンスターなら、ドロップする物も、弱点も、体力やどんな技を使うかも全部分かる。

「ほんとか!?」

「ひゃっ!」

カイトが目を輝かせながら私の手をつかんだ。

「なら・・・・・俺と一緒に来ないか?」

「―――っ!!・・・・・・うん!!」

カイトの役に立てるなら・・・・・・ドコにだって行くよ!!


こうして、私はカイトの使い魔となった。



SIDE OUT

















SIDEキリト


「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・・POP率異常すぎるだろ・・・・・・」

「確かに・・・・・・」

「これは辛いよな・・・・・・」

ケイタとテツオが息を切らしながら同意してきた。

「カイトはこんなとこでよく生き延びられたね・・・・・・・」

「全くだ・・・・・」

カイトのことだからきっと俺たちよりレベルが低いときに入ったんだろうな・・・・・・

「でも・・・・・・本当に効率がいいね・・・・・・お金もたまるし・・・・・」

ササマルが言う。

「そうだな・・・・・・」

NPCショップの商品はありえないほど安いし、レアアイテムもかなりでやすい仕様になっている。

「この四時間の狩りで大体9万コルの黒字。今までの狩りが嘘みたいだな!!」

ダガー使いのタッカーが目を輝かせながら言う。

「・・・・・・・・だけどその分危険だぞ?」

「うぐっ・・・・・・そうだよなぁ・・・・・」

カイトは一体幾ら稼いでいるんだろうな・・・・・

そのとき・・・・

「みんなーーーーーーーーー!!生きてるかーーーーー!?」

聞き覚えのある声が空からした。

上を見てみると

『うわぁぁぁぁぁ!?』

でっかいドラゴンがいた。

俺もこんなのを見るのは初めてだったりする。

「ローズ!着地しろ!」

「ガウッ!!」


ドシーン・・・・・


「よっと!みんな!無事か!?」

そのドラゴンの頭から声の主であるカイトが降りてきた。

「・・・・・・・・・・こいつもテイムしたのか・・・・・・・・?」

「あぁ。第一層攻略のときにはもうテイムしてたぞ?」

「へ〜・・・・・・すごいな・・・・・」

ふと周りを見てみると一人見覚えの無い子が増えていた。

「その娘は・・・・・?」

「あ、私はカレンって言います。一応、サキュバスです」

サキュバス・・・・・・?全然そうは見えないが・・・・・

「サキュバスらしくないのは仕様だそうだ」

俺の心中を察したのかカイトが答えてくれた。

「で、俺が居ない間にレベルはどれくらい上がったんだ?」

「あ〜・・・・・・・・・平均レベルが37になったぞ」

詳しく言うと

サチが35

ケイタが38

テツオが40

タッガーが37

ササマルが36

平均として約37 だ。

ちなみに俺は48。俺もパーティーを組んでるのにこの効率は異常だ。

「へ〜・・・・・・・・とりあえずそろそろ戻ろう。きっと攻略会議がそろそろ始まる」

「そうだな。みんな・・・・・・最前線に来てみるか?」

平均レベルが37。一番低いサチでも35もあるのだ。きっといけるだろう。

「え・・・・・・・でも・・・・・・・・・」

サチが不安そうに声を漏らす。

「大丈夫だよ。俺が真面目にやれば24層のボスなんてすぐに倒せるから。」

「今まで真面目にやってないのがばれたぞ?それ」

「真面目にやろうとしたら周りが邪魔なんだよ」

使い魔全員の一斉攻撃なんかに巻き込まれたら最後、断末魔もあげられずに死んでしまう。

「それなら一人でボス攻略できるんじゃないか?」

「団長に止められてるんだよ・・・・」

まぁ、そうだろうな。

「で、どうする?俺たちと一緒に来るか?」

「みんなとは言わないが気のいいやつもいるぞ?」

「・・・・・・・・・行くよ。そのために強くなったんだから」

「ケイタは行くと・・・・みんなは?」

『・・・・・・・・・・・行くよ!』

「よし!じゃあ戻ろう!!」


俺たちはローズに乗って使い魔の森から出た。



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あとがき

どうもクロコトです

『月夜の黒猫団』が一気に攻略組の仲間入りです!

そして、クー・フーリンのゲイボルグをカイトがゲットです!

おそらく最後までこの槍で攻略するでしょう。今まで手に入れた槍たちで充分に強いので。

では、次回は24層攻略です。

お楽しみに〜


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