小説『ソードアート・オンライン〜『猛獣使い』の少年〜』
作者:クロコト()

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SIDEカイト

「それでは・・・・・行きます!!」

アスナが掛け声と同時に扉を開き、皆がボス部屋の中に入った。


『アハハハハ!!』

部屋の真ん中に大体2mほどのピエロがいた。

「カイト君!先制攻撃!!」

「了解!!セラ!!【水の波動】!!」

「はい!!」

セラの手から直径約3mの水の塊が出た。

その数、実に50。

『アハハハハ!!』

だが、やはりすばしっこい。いとも簡単に避けてしまった。

「ええい!ちょこまかと!ファラオ!!」

『はい、何でしょう?』

「【呪いの言霊】からの【呪縛】!!」

『了解です!!』

ファラオの口から理解不能な言葉が紡がれたとたん、ボスの動きが止まった。

しかもやつの体には鎖が巻き付いている。これで爆弾も使えないはず!!

「みんな!一斉にかかれ!!」

『オォォォォォォ!!』

俺の声の後、皆が倒れているボスに向かって剣技(ソードスキル)を発動し、袋たたきにした。

ファラオの麻痺は約5分で効果が切れる。

大体3分がたったときにボスの体力が半分を切り、

『キャッハー!!』

ズドオォォォン!!

突然ボスの手の周りが爆発した

当然周りにいたプレイヤーは避けられずに直撃してしまった。

「なんだ!?・・・・・・あっ!!」

三分経ったら鎖がなくなる!ってことは・・・・・・・

『キャハハハハ!!!!』

ボスの手の周りが爆発しまくっている。

つまり、スキル解禁で触れたものが爆発してるのだ。

「あっ・・・・・・」

「――っ!!サチ!!止まるな!!」

ボスの爆風が逃げ遅れたサチに迫る。

あの爆発を食ってしまえば今のサチではひとたまりも無い。

「クラン!!」

「アオォォォォン!!」

俺はクランに乗り、急いでサチの元へ向かった。

「ナーガ!【毒液】!!」

「キシャアァァァ!!」

ナーガの口から見たことの無い色の液体が飛び出した。

黄色でも紫でも無いそれは赤――否、(あか)だった。

『アアアアアアアアア!!?』

その紅の毒液はボスに当たった瞬間ボスの目を()()()()

「そんなことも出来たのかよ!?・・・・・・まぁいい!目が無ければ見えない!!」

俺はサチを助け、再び皆で一斉攻撃を仕掛けた。

次々とスイッチを繰り返し、最後の一段が赤くなった。

「これでラスト!!」

アスナの一撃がボスの心臓部分に深く刺さる。

『ギャアァァァァァァ!!!』

パリーン

アスナの攻撃でボスの体力が0になり、ポリゴンの欠片となった。

『ワアァァァァァァ!!!』

皆が歓喜の声を上げている。

「お疲れ様。相変わらず強いな、アスナは」

「・・・・・・君に言われると嫌味にしか聞こえないよ?」

毒を吐きながらも彼女の頬はほんのりと桜色に染まっている。

どうやら嬉しいようだ。

「さっさと次の門をアクティベートしにいこうぜ」

「そ、そうだね・・・・・いこっか」

俺たちはさっさと次の街に向かい、転移門をアクティベートしに行った。



SIDE OUT


SIDEアスナ


カイト君と二人きり・・・・・・・・

意識しただけで顔が赤くなるのが分かる。

でも最近・・・・・・・・・

カイト君が妙によそよそしいというか・・・・・壁を作られている気がする。

もしかして・・・・・・・・嫌われちゃった?

もしそうだったら私・・・・・・・・・・立ち直れない・・・・・

「アスナ?どうかしたのか?・・・・・・・・泣いてる?」

「っ!?き、気のせいじゃないかな・・・・?」

嫌われたのかと思って涙が溜まっていたらしい。

最近やたらと涙もろくなってる気がする。気をつけなきゃ・・・・・・

「そうか?ならいいんだが・・・・・・」

「う、うん・・・・・・・・ねぇカイト君・・・・・」

「ん?なに?」

私は意を決してカイト君に聞いてみることにした。

「最近・・・・・・・・私を避けてるでしょ?・・・・・なんでなの・・・・・?」

「え・・・・・・・・そんな風に感じた?」

「うん・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・俺は・・・・・・・怖いんだ」

ポツリ・・・・とカイト君が呟きだした。

「俺はアスナの気持ちになんとなくだけど見当がついてるんだ・・・・・・・」

「ふぇっ!?ホ、ホントに・・・・・・?」

「ああ。」

うぅ〜・・・・・・・すっごい恥ずかしい・・・・・

「けど・・・・・・・・俺はお前の気持ちには応えられない・・・・・」

「え・・・・・・・・・・なんで・・・・・・・・」

いやだ・・・・いやだいやだいやだ!

告白しても無いのに振られるのなんて嫌だ!!

「俺は人を好きになるのも人から好かれるのも怖いんだ・・・・」

「ど、どういうことなの・・・・・・・・・?」

もう涙で前が見えない。けれど最後まで聞きたい。なぜかそう思っていた

「俺は・・・・・向こうじゃ引きこもりだったんだよ」

「え・・・・・?」

信じられなかった。いつものカイト君はとても明るくて、みんなの人気者という感じだったから。

「俺は『神童』や『神の子』とか呼ばれるほどに何でも出来たんだ。けど、何でも出来すぎた」

「ど、どういうことなの?」

「言葉通りさ。頭が良くて、スポーツも出来て、オマケに見た目もいい。完璧超人だったんだよ」

確かに、カイト君はすごくかっこいいけど・・・・・

「まぁ、まとめるとだな・・・・・・・・目立ちすぎたんだ。明らかにおかしい頭脳をもっていたからな」

「・・・・・・・・・・・どのくらいなの・・・・・・?」

「えっと・・・・・・・姉ちゃんと遊びで測定したIQテストで270をだした」

「なっ・・・・・・・!」

270ってどういうこと!?

「俺は見たもの聞いたものは基本的に忘れないし、並のコンピュータより計算が速いんだ」

「・・・・・・・・・・だから苛められたの・・・・・・・・?」

「そうだよ。小学校のときに先生が離れ、中学に上がって友達までいなくなった。だから、学校がつまんなくなっていくのを止めた」

でも・・・・とカイト君の言葉は続いた。

「寂しかったんだよ。遊びたい盛りだったしな・・・・だからSAOに手を出したんだ」

まさかこんな事になるとは思わなかったけどなと笑うカイト君。

そのあと表情を改めて

「俺といると君まで不幸になる。そんなのは駄目だ。君には幸せになってほしい。
・・・・・俺が初めて好きになった人だから・・・・・・」

え・・・・・・・?今なんて・・・・・・

「も、もう一回言って?」

「マジかよ・・・・あ〜『俺が初めて好きになった人だから』だよ。・・・・・・・はっずかしいなぁ・・・・・・」

「ほ、ホントなの!?それって嘘じゃないよね!?」

「あぁ・・・・・・・・ほんとだよ・・・・・・」

そうだったんだ・・・・・・でもだったら・・・・・・

「・・・・・・そんなのわかんないよ・・・・・」

「え?」

「私がカイト君と一緒に居たいから一緒に居るの!不幸になるとかそんなんじゃなくて一緒に居たいの!!」

私は今までの悲しみが嘘みたいに消え、ありえないほどの怒りがこみ上げてきた。

「あ、アスナ?」

「私は君が!カイト君が好きなの!君がどんなに頭が良かろうがどんなことをしていようが関係ない の!!!」

「じゃあ・・・・・・人殺しでもか・・・?」

ココでそう来るのは予想外だったが人殺しの事は想定内だった。

「そうだよ!君の頭の良さなら自殺する人も出てくると思う!自分が今まで何ヶ月もかけてやっていたことを一瞬で終わらせるんだから!でもそれは君のせいじゃないの!君は一人で抱え込みすぎだよ!!」

「俺に頼る人なんていなかったんだ「今は私がいる!!」っ!!」

「私だけじゃない!キリト君だって他のみんなだっている!今の君には友達が、頼れる人が沢山いるんだよ!?」

この言葉の後にカイト君の目から一筋の涙がこぼれた。

「・・・・・・・・・・・そうだよな・・・・ごめんな、アスナ・・・・・そんな簡単なことに気付けなかったなんて・・・・・・・」

ぽた・・・・・・・ぽた・・・・・・・と涙がこぼれていく

そんなカイト君を私は優しく抱きしめた。

「君は一人じゃないんだよ?だから・・・・・そんな寂しいことを言わないで・・・?」

「・・・・・あぁ・・・・・ごめん・・・・・・・・・・・・・・なぁ、アスナ・・・・・・」

「なに?」

私は抱きしめた彼を離して顔を見た。

「俺と・・・・・・結婚してくれるか?」

「―――っ!・・・・・はい・・・・・・!」

私の思いはこの日、ついに報われた。




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あとがき

どうもクロコトです。

ついにアスナとカイトが結ばれました!

お付き合いをすっ飛ばしての結婚ですが、SAOの中なら問題ないでしょ?という感じになってます。

今回の件をキッカケにでカイトの中のトラウマが少しずつ薄れていきます。


そして、カイトのIQの設定がぶっ飛んでいます。

これはギネスに載っているものより上です。

ですが、これに勝っている設定の姉の工学技術って一体・・・・・?

まぁ気にしない気にしない・・・

さて・・・・・・次回の話をどうしようか・・・・・・・・

アスナをかなり強くしようかな・・・・・

まぁ書いてみないと分からないので、次回をお楽しみに!!




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