小説『愛されたくて愛されたくない』
作者:水士()

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私は感情を押し殺しながら桜井さんと朝食を食べた。
桜井さんが不思議そうに聞いてきた。
「なんだか苦しそうだね?もしかして朝から俺なんかした?」
桜井さんは聞いてきたが、私は戸惑いながら聞いた。
どうせ桜井さんの事なんかなんとも思ってないから良いだろう。
「あの、さっき桜井さんが寝言で言ってたんですが沙耶って・・・・」
「あぁ聞いちゃったんだ?あのね俺さ女の子とエッチな事するのは好きなんだけど、沙耶の事はね。昔から好きなんだ」
いや・・・・
なんだか嫌だった。
だけど私はその時の嫌な感情がなんだか分からなくて馬鹿な事を言った。
「そうだったんですか。なら沙耶とは仲が良いから今度紹介しましょうか?桜井さんには色々お世話になりましたし・・・・」
桜井さんは嬉しそうに聞いてきた。
「本当に?良いの?でも俺知花ちゃんも好きだよ?体が」
言わないで・・・・
でも嬉しかった。
体でも桜井さんに抱いて欲しいそう思った。
今までの私ならこんな感情無かった。
私は感情を押し殺せず桜井さんに抱きついていた。
「俺は沙耶が好きだよ?それでも良いの?また傷つくかもよ?」
私は桜井さんに抱きつきながら頭を横に振った。
誰とも関わらない・・・・
私の中の掟を破り私は傷つくことを選んだ・・・・
桜井さんが寝室に私を連れて行った私はそのまま桜井さんに抱かれた。
今まで何度も男達と体を重ねたが桜井さんとの行為はなんだか安心した。
だけど明日には沙耶を桜井さんに紹介しなければと思うと涙が止まらなかった。
ずっとこの人といれれば良いのに。
そんな事を思いながら桜井さんに身を任せた。
「どうか強くなって・・・・」
小さい声で桜井さんが言った気がした。

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