小説『愛されたくて愛されたくない』
作者:水士()

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カラン
どうやら沙耶より先に着いたらしい。
店のどこにも沙耶の姿が無かった。
とりあえず喫煙席に案内をしてもらい沙耶を待った。
カラン
沙耶が私を見つけると嬉しそうに近寄ってきた。
「知花ちゃん!今日は早かったんだね!」
「うん」
「ごめんね?待った?」
「ううん。待ってないよ」
私は沙耶に言った。
「そっかぁそれなら良かったんだ!それよりもどうしてこの間お店を休んだの?」
私は正直に話した。母が来たこと、それによって声が出なくなった事。
全部話し終えて沙耶の顔を見ると泣いていた。
「そんなのひどすぎるよぉ。でも桜井さんがいて良かったね」
「うん」
私は内心始めての反応だったから驚いていた。
なんせ私の話を聞いて泣いた人間は初めてだったからだ。
やっぱり沙耶は好きだな・・・・
こんな女の子初めてだ・・・・
やっぱり桜井さんには沙耶だなと思いつつ沙耶に今度桜井さんと会えるならいつになるか聞いた。
「うーん昼間なら開いてるよ」
「そっかなら今度時間を合わせてもらうね」
「うん。分かった。それよりも本当に桜井さんと付き合うことになっても良いの?」
私は沙耶に聞かれた時戸惑ったが沙耶に言った。
「全然大丈夫だよ。沙耶の事が好きだし桜井さんの事も好きだから。友達として・・・・」
「そっかぁなら良かったんだ」
沙耶は安心したようにお茶を飲みだした。
私たちはそれから沙耶がしゃべり続けて時間が過ぎていった。
「あっ!もうこんな時間だ。もうかえろっか」
「うん」
私は店を出て家に帰った。

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