小説『愛されたくて愛されたくない』
作者:水士()

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面接の日
私はお店に向かった。
家の近所に風俗ビルがあったので、多分そこだろうと思い向かった。
やはりあった・・・・
私はお店の前に立った。
なんだかお店みたいな感じじゃないなと思いながらドアを開けた。
ガチャ
「はいどちら様ですか?」
セミロングのスーツを着た男が立っていた。
声から聞いて昨日電話した時の男の人だろうと思った。
「昨日電話した坂口ですけど・・・・」
その男の人は柔らかい笑みを浮かべながら言った。
「あぁ坂口さんですね。店長の桜井です。じゃあ奥の部屋で話をしましょうか」
「分かりました」
中に入ると余計店という感じじゃなかった。
「じゃあ、何個か聞きたいことがあるので教えてくださいね。まず何歳ですか?」
私はどうしようと思った。
なんせ男達に聞いたら、風俗は18歳以上で無いと駄目らしいことを聞いたからだ。
私は嘘をついた。「19歳です」
「そうなんですか。じゃあ風俗の経験はありますか?」
「無いです」
「そうですか。そういえば寮希望みたいですが働いたら出勤は何日位できますか?」
「一応初めてなので、始めのうちは入れるだけ入りたいんですが」
「そうですか。寮に入るかわりに出勤を多めにして貰いたかったので良かったです。なら採用かどうかは上の人たちと話すので、後日連絡で宜しいですか?」
「分かりました」
「じゃあ、電話番号の方なんですが携帯電話は持ってないんですか?」
「はい、すみません」
「かまいませんよ。なら履歴書に書いてある電話番号に後日電話しますね」
「分かりました。失礼します」
私はそれだけ言って、お店から出た。
後日電話が掛かってきて、採用なので入る荷物だけまとめてお店に来てくれとの事だった。
私は家具なんて無かったので、カバンに服を二着だけ入れて用意した。
部屋の周りを見て15年間過ごした家を出た。
お店に着いたら、昨日の店長桜井がいた。
桜井はびっくりした顔で私に聞いてきた。
「やけに荷物少ないね。それだけ?」
「はい」
「なんだか色々買わないといけなさそうだね」
笑いながら桜井は言った。
私はそれから化粧品と服を与えられて部屋に案内された。
「これが私の部屋」
かなり広かった。
桜井が言った。
「そうだ出勤は明日からで良いからね。今日は色々あったから休みで友達と遊んでおいでよ」
それだけ言って桜井は去った。
友達・・・・そんなもの私はいない 私がつくらなかったからだ
その日一日は私は部屋でボーとしていた。














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