小説『愛されたくて愛されたくない』
作者:水士()

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「はい、なんでしょう?」
「いや知花ちゃんの方こそ離したい事があったんじゃない?」
「いえ、先に桜井さんがどうぞ・・・・私は後でも良いので」
「いやなんも無いけど、今日沙耶といたのかなてっ思ったから」
「なんでですか?」
「沙耶の香水の匂いがしたから・・・・」
桜井さん沙耶の香水の匂い覚えてるんだ。
「はい会ってましたよ」
「そうなんだ。そういえば知花ちゃんが離したい事てっなんだい?」
私は沙耶が言っていた事伝えた。
桜井さんは悲しそうな表情をしながら言った。
「二番目でも良いよ。もしかしたら一番目になれるかもしれないんだよね?」
私はもしかして桜井さんに酷い事をしたのかな?
でも私もとても心の底が痛い・・・・
だけど沙耶が大事。
桜井さんが大事。
だから私は大丈夫。
最近の私はこの言葉を呪文のように心の底で唱えている・・・・
だけど今回は違った。
桜井さんが私を抱きしめた。
「本当にごめんね。君につらい事をさせて。だけど俺は沙耶の事も知花ちゃんの事も好きだから」
そう言って桜井さんと体を重ねた。
なんだか痛い・・・・
桜井さんに一時でも愛されているのにとっても痛いよ。
胸が・・・・
桜井さんも私を抱きながら泣いていた。
なぜあなたまでも泣いているの?
泣かないで・・・・
私は全然大丈夫だから。
沙耶と桜井さんには幸せに・・・・
私には無理だから。

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