小説『愛されたくて愛されたくない』
作者:水士()

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二人は私を凝視していた。
桜井さんが言った。
「笑った。多分心の底から・・・・」
沙耶もうなづいた。
そんなに変な顔をしていたのかな?
沙耶が嬉しそうに私に近づいて言った。
「最近知花ちゃん変わった。色んな表情をするようになったね!」
「沙耶と桜井さんのおかげだよ」
私は内心照れながら言った。
「あっ!桜井さん今度は知花ちゃんが照れた!」
「うそ!本当だ。そっちの方が可愛いよ」
顔に出てる?
あれ?うまく隠せなくなってる?
沙耶が近くのデンモクと呼ばれる者をテレビ画面に向かって何かするとマイクを手にとって言った。
「じゃあお先に歌うね!」
沙耶が歌いだした。
桜井さんが近づいてきて言った。
「今日は知花ちゃん本当に有難う。でもこれからも知花ちゃんの部屋に行くけど良いよね?」
そんな聞き方をしたら断れない・・・・
わざとしてるな・・・・
「良いですよ」
「良かった。じゃあ俺達も歌うか!」
そう言って私達は朝まで歌い続けた。
お店を出て先に私を部屋まで送って沙耶と桜井さんと別れた。
多分二人はこれから・・・・
沙耶は今日は仕事は休みだ。
それに桜井さんも夜からだ。
それを考えるとなんだか悲しくなった。
だけど体だけは多分望めば桜井さんは私を抱いてくれるだろう。
それだけで大丈夫。
でも体からあふれ出る私を愛してと言う感情がこみ上げてくる。
私はいつまで我慢できるのだろう?

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