小説『愛されたくて愛されたくない』
作者:水士()

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「うーん。今の彼氏を自分好みに育てたのは私だし、けんたはエッチと包容力があるから悩んでいるのよね」
えっ!人を好きになるのにそれだけなの?
なんだか沙耶が羨ましくも憎らしくも感じた。
私は今まで人が好きになった事もなかったから、もっと深く考えてる事だと思っていた。
「ねぇどうしたら良いと思う?」
沙耶は聞いてきた。
私はとっさに答えた。
「そりゃ、好きな人は一人だけが良いと思うよ。早く決めたげないとずっと二番目の桜井さんも騙されている彼氏さんも可哀想だと思うけど・・・・」
さすがに沙耶の味方にはなれなかった。
「そうだよね。いつまでもこのままじゃ駄目なのかな?それなら私は幸せなのに・・・・」
私は沙耶が好きな筈なのに体からなんだかふつふつする感情がわきあがってくる。
「それじゃお互いに辛くなってくるよ。多分・・・・」
私は自分の事に言ってしまった。
私達が話しているとガラの悪そうな男達が話しかけてきた。
「ねえねえ。君達二人だけ?暇なら一緒にあそばへん?」
沙耶は私の後ろに隠れた。
桜井さんはまだ来そうにないな・・・・
「興味ない」
私は言った。
昔からこういう連中達には慣れていた。
所詮体だけが目当てなのだ。私も小さい頃はよく食費を稼ぐためにこういう連中に体を開いたから・・・・
だけど沙耶がいる限りそんな事なんかさせない。
「興味ないなんて今の時間にうろちょろしてるなんて相手でも探してるじゃないの?」
「探してなんか無い。失せろ。うじ虫」
私は相手に冷たく言った。
私を殴れ。
殴ったら殴り返せる。
私は母に殴られてはいたが、けっして弱いわけではなかった。
「なんっ!お前なめてんのかよ!
「沙耶・・・・もし私が止まらなかったらけんたを呼んできてお願い」
「えっ!」

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