小説『愛されたくて愛されたくない』
作者:水士()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

私は喧嘩をすると歯止めが出来なかった。
だからあまり沙耶やけんたには見せたくなかった。
人から言われた事がある。
私が人を殴る姿は心が無い人形みたいだと・・・・
相手が私の顔を殴った瞬間。
私は泣きながら殴り返した。
相手は何度も殴ったが私には聞かない。
人形なんだから・・・・
だから相手ばかりが疲れてくる。
私はその瞬間に相手を殴り蹴り続けた。
しまった。
やっぱり止まらない・・・・
だれか止めて。
涙を流しながら私はひたすら身動きをしなくなった相手たちを蹴り続けた。
不意に後ろから衝撃を感じた。
その瞬間に私は倒れこんだ。
あぁ意識が遠のいてく。
沙耶は大丈夫だったのだろうか?
でも私が殴っていたので全員だから大丈夫だろう。
私は意識を離した。
倒れこんだ知花の後ろにいたのはけんただった。
知花から忠告を言われていた沙耶はけんたを呼んだのだ。
「まったく無茶をする・・・・」
そうけんたが言うと沙耶が近寄ってきてしきりに知花の名前を呼んでいた。
「大丈夫だよ。ちょっと気を失っただけだから。とりあえず沙耶は車を店の前まで乗ってきてくれる?」
「分かった!」
沙耶はそう言うと駐車場の方に走っていった。
けんたは知花を抱き上げて言った。
「本当におまえは昔の俺にそっくりだよ。俺達が幸せになる時なんて来るのかな・・・・」
けんたは知花を見ながら悲しそうに言った。

-36-
Copyright ©水士 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える