小説『愛されたくて愛されたくない』
作者:水士()

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次の日
沙耶から電話があった。
「あのね。相談したい事があるから、今日のお昼会えない?」
「いいよ。今日は夜からだから」
「よかったぁ。じゃあお昼に迎えに行くね」
そう言って電話を切った。
お昼からか急いで用意をしないといけないな。
お昼前に沙耶が迎えに来た。
沙耶が選びそうな可愛らしい喫茶店に入った。
「あのね。相談したい事なんだけどけんたの事なんだ。やっぱり彼氏さんをとろうかと思うんだ。だってけんたはなんでも持っているじゃない?お金も仕事の立場も。だけど沙耶の彼氏さんは沙耶がいないと悲しむんだ。それに沙耶がいなくなると弱くもなる人だから・・・・」
「そうなんだ」
終わりが近づいている。
沙耶にとってもけんたにとっても私にも・・・・
「だからね。近い内にけんたとの関係を断ろうと思うの。だってこのままじゃ沙耶は悲しいから。
二人とも幸せになんか絶対に出来ないから・・・・ならけんたにも新しい恋人が出来たほうが私もけんたも幸せになるはずでしょ?」
「確かにそうだね。でも沙耶はそれで良いの?」
「私だって悲しいよ?だけど幸せな時間は続かないでしょう?」
幸せな時間は続かない・・・・
そうだね。
私も抑えきれず言ってしまった。
取り返しのつかない事を・・・・
「なら良いよ。沙耶が良いなら」
私は前みたいに引き止めはしなかった。
「良いよね?私の決断は間違ってないはずだよね?」
沙耶は泣きそうに私に訴えてきた。
「大丈夫だよ。間違ってないはずだよ」
「もし皆がバラバラになっても知花ちゃん友達を止めないでね?」
「止めないよ」
そう言って外を見ると雨が降っていた。

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