小説『愛されたくて愛されたくない』
作者:水士()

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次の日
私は昨日の事を思い出しながら雀荘に向かっていた。
なんで沙耶も桜井さんも私なんかかまうんだろう?
はぁ今までこんな事無かったのにな・・・・
私はため息をつきながら店の中に入った。
まだオープン前なので店の中には誰もいない。
早く着いちゃったな・・・・
まだオープンまで一時間あったので、シャッターだけ開けて昨日の残り物の洗い物使用と思い洗い場に立った。
カラン あれ?まだ従業員さんがくるような時間じゃないよね?もしかしてお客さんかな?
「すみません。まだオープンま・え・・・・」
私は全ての言葉を発する前に固まった。
何故なら店の入り口に母が立っていたからだ。
どうして? 母が・・・・
母は早歩きで私の所へ来るとすぐさま殴った。
よろめいた瞬間にお腹を蹴り上げた。
「かはっ!」
母は金切り声を上げながら言った。
「なに勝手に家出てるのよ!出るなら引越し場所くらい教えなさいよね!この疫病神!しかも仕事してるならなんでお金届けないのよ!」
母は力いっぱい私のお腹を蹴り上げた。
そして私のポケットの入っている財布を見つけて財布の中身を抜き取った。
「あら?結構稼いでるじゃない!なら早くお金位届けなさいよ!この馬鹿!とりあえずこれからはお金入ったらここに振り込みなさいよね!」
そう言って母は店から出て行った。
あぁ嵐が去ったな・・・・
さぁどうしようか・・・・
私は体のふしぶしが痛かったが起き上がり洗い物だけ片付けた。
本当に困った。
何故なら声が出ないからだ。
私は小さい頃に痛みと引き換えに声を無くすことが時々あった。
だからいつもならまたかと思うのだが今回は間が悪い。
もうすぐ従業員達が来るからだ。
私は考えた結果メモ用紙を用意し書いた。
「急に用事を思い出したので今日は帰ります 知花」
私は書いたメモ用紙をカウンターに置いて店を出た。
さぁ家に帰ろうか。
体が軋んだので薬局に寄ろうかと思ったが母にお金をすべて持って行かれたので行くことをやめた。

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