小説『とある剣帝の無限倉庫』
作者:マタドガス()

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〜第7話 始まり〜



今日は夏休みの初日。龍哉は特に予定もないので夏休みの宿題を3分の1ほど終わらせ、今は新たな武器の設計をしていた。



「……よし! 設計完了!」



龍哉が新たに設計した武器の名は座標攻撃ポイント アタッカー。
見た目は緑色で全長1m程のメイスで、能力は一定の座標を演算により定め、メイスを振る事によってその座標に打撃ダメージを与えるという例えるなら、ローマ正教のアニェーゼ部隊の隊長、アニェーゼ=サンクティスが使う蓮の杖ロータスワンドを簡単に使える用にした武器だ。ちなみに攻撃できる最大距離は92mが限界である。 そして龍哉は、特に特徴もない、生活に必要最低限の家具が置いてあるだけの部屋で、ソファーに寝ながら今までの出来事をおさらいする事にした。

龍哉がこの世界に転生してもう3週間もたつ。そして色々な事があった。当麻と親友になり、美琴に付け回され、風力使いに突然襲われ、そして何より大切な仲間が出来た。美琴や黒子、飾利、涙子、そして当麻……あ、青ピや土御門もか。本当に様々な事がこの3週間の内に起こった。どの出来事も前にいた世界では一生体験出来なかった事だ。

……前にいた世界か……。

龍哉は思い出す。前の世界の事を。自分を大切にしてくれた父と母、掛け替えのない友達。だが龍哉はこれ以上考えるのをやめた。


(昔の事を考えたってしょうがないよな。俺には今を生きる人生がある。だから俺は、この二度目の人生を死にものぐるいで生きてやる。誰ひとり欠けることがないように。これからも昨日のような平和な日々が続くように)

そう心に誓うと同時に龍哉は立ち上がった。


「……とは言うものの、かなり暇だな」


龍哉は取りあえず当麻の部屋に行く事にした。どうせ当麻も暇してるだろうと適当に予想をしながら自分の部屋を出て、当麻の部屋のドアの前まで来て、インターホンを押さずに当麻の部屋へ突入する……その時だった。


突然部屋の中から当麻の叫び声が聞こえた。「なんだ? またケータイでも踏み壊したのか?」


相変わらず不幸な奴だぜと思いながら龍哉は当麻の部屋の中に入る。すると当麻はリビングには居なかった。周りをキョロキョロしながら龍哉は当麻を捜す。すると案外あっさりと当麻を発見した。当麻はベランダにいて、当麻の前には布団が落ちていた。どうやらベランダの手すりに布団を干そうとしていたようだ。龍哉は当麻に近づいて話し掛ける。


「おい当麻。大声なんか出して一体どうしたんだ?」


だが当麻は返事をしない。どうやらかなり驚いており、龍哉には気づいていないようだ。


「おーい当麻あ。だから一体なんな………!」


この時龍哉は気づいた。目の前のベランダに、布団ではなく、白い服を着た女の子がぶら下がっている事に。

そして数秒の沈黙がながれ…


「はぁ!?」


龍哉は確認を取る為にその少女をじっくりと眺める。


その少女は、なんか鉄棒の上でぐったりバテてるみたいに、腰の辺りにベランダの手すりを押し付け、体を折り曲げて両手両足をだらりと真下に下げている。

歳は十四、十五くらいで龍哉より一つ二つ年下という感じだ。


そして銀髪で一般の修道服が『漆黒』であるのに対し、少女のそれは『純白』たった。さらに頭には帽子ではなく、一枚布のフード。

……間違いない。この少女は禁書目録インデックスだ。


そしてインデックスは、だらりと下がっていた頭を上げて


「オ、ーーーーーーーーー」

女の子の、可愛らしいけどちょっと乾いた唇がゆっくりと動いた。


「おなかへった」


なんだかんだで俺達はインデックスを当麻の部屋に招き入れた。そして俺はお腹が減っているというインデックスに大好物の味噌おでん納豆入りパフェと、一番大好きな飲み物、苺おでんジュースを大量に俺の部屋から持って来て、インデックスに食わせていた。


ちなみに俺達は正座の状態で、テーブル越しに2対1で座っている。


「すごいよこれ! スゴク美味しいよ!」


インデックスからスゴク嬉しい感想が飛んでくる。やばい! めちゃくちゃ嬉しいんですけど!?


「だろ! その味噌と納豆とアイスのハーモニーが絶妙だよなぁ。あとそれをおでんの味が引き立てる。これぞまさに三色のドリーム・ハーモニ「……龍哉」……ごめんなさい」


思わず話しを逸らしてしまった。でもしょうがないだろ! 初めてこの味の素晴らしさをわかってくれる人に出会ったのだから!

さすがに話しが逸れてしまったので俺は一応インデックスに確認をとる。


「……お前、インデックスだな」


するとインデックスは突然ビクッと体が震えだし、俺をじっくりと見ている。……マズイな。警戒させちまったか。


「……そうだけど、君はなんで私の名前を知ってるのかな?……もしかして…私の中にある10万3000冊の魔道書を狙ってるの?」


ヤバイ。完全に警戒しちまってるな。今はとにかく誤解をとく事が先決だな。

俺は優しい口調でインデックスに話し掛ける。


「安心してくれ。俺は別に君の中にある魔道書なんかに興味はない。それに第一、能力者は魔術を使えないしな」


「……そっか。そうだよね」

インデックスから震えがみるみる収まっていく。どうやら誤解は解けたらしい。
そして俺はインデックスの頭を撫でながら言う。


「安心しろ。俺達はお前の敵じゃない。むしろ味方だ。だから安心していいんだぞ?」

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