〜第8話 剣帝vs炎の魔術師〜
俺がインデックスをしばらく慰めてから数分ぐらいたち、インデックスがようやく泣き終えて、今は落ち着いている。本当にインデックスは苦しんでたんだな・・・。それも誰も味方のいない孤独の中でよ・・。
そして、その間に俺は魔術師をおびき出すための作戦を思いついた。なに、作戦と言っても簡単な事だ。……だけど、インデックスが危険になるが……。
俺は一応魔術組織についてインデックスに聞いてみる。
「なあインデックス。奴らは今もお前の事を監視してるのか?」
するとインデックスは少しも戸惑う事もなく、俺の質問に答えてくれた。
「そうだよ。彼らは魔術で常にわたしをマークしてるんだよ。だから彼らが何処にいるかなんてわたしにもわからないよ……」
俺は嬉しかった。ようやく俺はインデックスに完全に認められたんだと思った。
逸れよりも今は魔術師の事を考えるほうが先だと龍哉は考えた。
そして龍哉は思考を止めてインデックスにさっき思いついた作戦の事を話す。
「なあインデックス。奴らをおびき出す作戦を思いついた。乗ってくれるか?」
そして俺は作戦の内容をインデックスに説明する………
俺はインデックスに作戦について説明した。正直に危険性についても話したが、インデックスはすぐにこの作戦に承諾してくれた。 ……正直自分でこの作戦を考えておきながら、俺は凄く申し訳ない気持ちになった。
だけど、だからこそこの作戦を成功させなくてはならないと龍哉は実感した。
そして龍哉は現在学生寮から出て、すぐ隣の寮にいる。ちなみに今日は夏休みの初日である為、ここら辺には他の生徒はいない。
龍哉はその隣の寮から自分達の寮を監視していた。これは先程龍哉が言った『作戦』の為である。
龍哉が提案した作戦とは、
1、龍哉が部屋から出る。これにより、インデックスを魔術で常に監視している魔術師達にとってはインデックスを捕らえる絶好のチャンスとなる。
2、魔術師達が怪しい動きを見せるか、魔術師の姿が見えたらそこへ駆け付ける。
3魔術師をぶっ倒して拷問する。
こんなふうになんとも単純な作戦だ。なので、インデックスは当麻の部屋で囮となってもらっている。正直言って提案した俺が言うのもアレだが、危険な作戦だと思う、でも、インデックスを奴らに渡しはしないさ。ここで私たら当麻もインデックスも俺は『裏切った』ことになる。それだけは絶対にしねえ。
こうして龍哉は魔術師を待ち続けた……。
現在の時刻は6時。もう空は真っ赤に染まり、夕日が沈もうとしている。
そして龍哉は中々魔術師が姿を現さない為、すこしイライラしていた。
(……全然来ねぇじゃねえか! 魔術師! こんなにも絶好なチャンスなんだからさっさと姿を現せよ!)
もう龍哉は我慢の限界だった。もう今日は来ないんじゃないかとも思っていたが、とうとう止まっいた時間が動いた。
インデックスがいる学生寮の入口付近にどう見ても明らかに怪しい服装をした男が現れたのだ。
そして龍哉にも異変が起きる。
(お、とうとう現れやがったな魔術師。)
龍哉は意識を集中させて魔術師を洞察する。
(ここからじゃ遠くてよく見えねぇけど、何か黒い修道服みたいなのを着てるな。あとは赤髪だな)
今の龍哉にわかる事はそれぐらいであった。 だが、いくら人通りが少ないからといって魔術師と断定するには情報が少ないし、もしかしたら龍哉達の寮の管理人のおねいさんの知り合いかもしれない。
……ここだけの話、管理人のおねいさんは当麻の理想的な女性である。・・どうでもいいな。
すると魔術師? らしき男は寮の階段を上り始めた。
(……いよいよか。)
龍哉は心の準備をする。 すると魔術師らしき男は階段を上るのをやめ、寮の廊下に出た。しかもその階はインデックスの階よりも一階下である。
(なんだ、やっぱり違……。)
龍哉が思わず安心したその時であった。
あの魔術師らしき男は突然壁に紙らしき物を張り出したのだ。それも大量に。男は壁に手際よく紙の貼っている。おそらくプロだ。 ともかくその行動は明らかに『異常』である。 龍哉は舌打ちをして、階段を降りていく。エレベーターなんかに乗っている場合ではない。
(クソ! やっぱり魔術師か!)
魔術師は壁に貼っていた紙……もとい、ルーンの刻印が刻まれたカードを貼り終え、今インデックスがいる階まで登ってきた所であった。そして、確実に一歩一歩インデックスがいる部屋に足の運んでいる。そのあしどりはとても落ち着いている。
「……この部屋か」
そして魔術師はインデックスの部屋に到着した。
魔術師は浮かない顔をしながら
「……まあ、仕方ないよね」
そして魔術師がインデックスの部屋を爆破しようとした時、
「まてよ」
少年は現れた。
「 ふう。ギリギリセーフだったか」
龍哉は内心ほっとしていた。しかしその心情も一瞬で切り替わる。 目の前には一人の魔術師がいる。近くにいるので外見もはっきりと龍哉にはわかった。
しかし、その男の外見は魔術師と呼ぶにはどうも疑わしいものが龍哉にはあった。
何せその男の身長は二メートルぐらいあり、服や髪の色はさっき見たとおりの漆黒の修道服と赤髪で、勿論甘ったるい香水の匂いが龍哉の鼻に入り混んでいる。
さらに左右10本の指には銀の指輪がメリケンのようにギラリと並び、耳には毒々しいピアス、ポケットから携帯電話のストラップが覗き、口の端では煙草が揺れて、極めつけには右目のまぶたの下にバーコードの形をしたタトゥーが刻み込んであり、修道服を着てい鳴ければ、彼の事を不良やチンピラと呼ぶしかない。
そして龍哉よりも幼い顔つきををした魔術師が話し掛ける。
「おっと、戻ってきたのかい。もしかして忘れ物でもしたのかな? だったらご愁傷様。ここは運が悪かったと思って、・・・・死ね」