小説『とある剣帝の無限倉庫』
作者:マタドガス()

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〜第9話 すれ違う決意〜


 わたくしこと上条 当麻は非常に低いテンションで補習を終えて帰宅している。
なぜかというとだな、勿論補習の疲れもあるが、さっき帰り道を歩いていると、ばったりと御坂に出くわしちまったからだ。まあアイツとの仲は龍哉のおかげもあって友達……かな? レベルぐらいにはなっている、しかしアイツの…なんつうか、プライドが高いっつうか、気が強いっつうか、そんな性格のせいでアイツといるとかなりの精神力を消費する。

この前もアイツが「アンタに何度も突っ掛かっちゃったからそのお礼がしたいんだけど…」とか言うからまあ御坂もちゃんと反省してるんだな&#12316;とか思いながらついてったら色々と不幸な目に余った……。 お礼つっても、ただセブンズミストとかゆうデパートに行って買い物に付き合わされただけ、おまけになんかグラビドン事件? だかが起こって風紀委員で避難活動をしていた白井とたまたま買い物に来ていた初春が危なくなるわ(ちゃんとその後当麻が二人を助けました。)で色々と不幸だった。
それとさっき御坂と会った時だってやたらツンツンしてるから俺が腹いせにからかってやろうと、

「あらあら〜もしかするともしかしてェ〜、御坂さんってやっぱりツンデ「だ〜か〜らーー、ありえないって言ってんだああああああァァッ!!」のわああああああアアァッ!!
ふ、不幸だああああああああ!!」


 そんで上条さんは現在鬼ごっこという名の殺し合い(一方的だが)からなんとか逃げ切り今に至るという訳だ。……それにしても、なんで御坂はあそこまでビリビリしてたんだか……。

 なぜ御坂が上条につっかかるかは女心を知らない当麻はもちろん、当の本人もそれを知る術はなかった…。


 ……てか、俺…何か忘れていないか?


上条当麻は何か大切な事を忘れてないかと思考を張り巡らす。………とにかく張り巡らすのだ。


あたりは少しずつ明るさを無くしている。この時間帯の学園都市は朝程ではないが、混む。やはり人口の八割が学生の学園都市だ。中、高、大問わず帰宅する学生が目立つのだ。

上条当麻はその中でさらに目立つように走りだす。


「……て、ビリビリのせいで龍哉とインデックスの事をすっかり忘れてたーーーー!」


上条はさらにスピードをあげる。確かに龍哉の事は大丈夫だとは思うが、それでも龍哉は上条の親友だ。やはり心配なものは心配なのである。

上条当麻はいつもの自分の部屋がある学生寮に向かって足を進めた。






学生寮はいつも通りの形をしていた。気絶している黒い修道服を着た男と、氷で構築された翼を生やした竜のような姿の少年、そしてその二人の間の巨大な氷柱と学生寮中に張り巡らされた刻印が刻んである紙。これら全てを除いたらの話だが。

約230万人もの学園都市の生徒の内、突如現れ彗星の如く学園都市の中でもたった7人しかいなかったLEVEL5になった少年、神凪龍哉はそこにいた。


「フゥ。なんとか片付いた………っけど、問題はまだ片付いてないよな…」


そう、まだ問題点は残っている。まずはステイルのルーンの回収。これはルーンと言っても、シャープか何かで普通の紙に書かれた印のようなものなので、水にでもつけて印を消せば大丈夫であろう。そして凍りついた魔女狩りの王の塊。こちらは氷の中にいたイノケンティウス自体はステイルが倒れ、彼の魔力が途絶えた為既に消えている。後はそろそろ帰ってくるであろうツンツン頭の親友にでも異能の氷の消してもらえばいい。それより1番の問題はというと…


(この燃えて壊れたドアとか床や天井の損害賠償………アレ? いくらっ? いくらLEVEL5って言っても限界があるんだけど? いや、統括理事会にでも頼めば金増やしてくれるよね? うん)

 ※勿論増えません。

そんな事を考えていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「おい龍哉! 一体どうゆう状況ですか!? ---アレ?ってかインデックスは?」


龍哉の親友でありLEVEL0である上条当麻だ。その体からは大量の汗が出ており、どうやら全力ダッシュで走ってきたようであった。


「おっ当麻! そろそろ帰ってくる頃だと思ったわ」


「んな呑気に話してる場合かよ!? お前その馬鹿でかい氷はなに!? というかその背中から生えている二次元な翼はなんでせう!?」


上条がそう焦り声をあげるのも無理はない。いくら異能力がはびこる学園都市に住んでいる当麻でさえ、氷翼の生やした人間など見たことも聞いた事もない。 龍哉はそんな異常とは掛け離れたいつもの気の抜けた表情で話す。


「あ、悪い悪い。すっかり武器をしまうの忘れてたわ」

 
そう言いながら龍哉は両手に持っている座標攻撃と大紅蓮氷倫丸を『仕舞う』。 そして龍哉は予定通り上条に凍りを壊すように頼む。

「・・・なんか腑に落ちないしよくわからないが、とにかくこの異能で出来た氷を壊せばいいんだな?」


「ああ、頼む」


そして上条は氷に右手で触れると、一瞬で蒸発するように溶けてしまった。この後龍哉がイマジンブレードの存在を思い出すのはまた別の話である。


「いやーホントに助かった! さすが俺の親友!! 後はルーンの処理と魔術師の回収………って、あ?」


龍哉が慌てて周りを見渡すが、魔術師の姿などどこにもおらず、


(………マジかよ……逃げられたか?)


「?どうしたそんなに慌てて。ってか、一体何があったんだ?」


 当麻がその疑問をこぼすのも無理はない、龍哉と当麻が現在いる学生寮の階は、まるで戦場の跡地、までもはいかないが、手摺りは曲がり、所々が焼け焦げていて、その光景が激しい戦闘だったということを物語っている。
 そして龍哉の口から返ってきた言葉は予想通りの、最悪の事実だった。

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