小説『真剣で私に恋しなさい!〜転生させられしもの〜』
作者:レイフォン()

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信也、武士娘たちに襲われるのこと




クリスとの決闘の後、梅先生からの説明でクリスが島津寮へ住むことが告げられる。島津寮に殆どのメンバーが暮らす風間ファミリーは、クリスの面倒を見ることになった。


そして放課後……


「ちょっといいだろうか?」


キャップと大和の2人と雑談していた所へ、クリスがやってきた。


「どうしたんだ?」


「部屋が隣という事もあって、椎名殿に寮へ案内してもらおうと思ったのだが、部活があるからと断られてしまった」


残念そうに言うクリス。俺と大和は同時に思った。


「「(……京、逃げやがったな)」」


「そりゃごめん。アイツ根暗だけどいいやつだから」


すかさずフォローを入れるキャップ。流石だ。が、根暗は余計だぞ。


「でも、俺これからバイトだからな……ってな訳で、軍師大和」


「俺よりも信也が……「悪いな。俺、今日予約していた小説を本屋にとりにいかないといけないんだ。てなわけで大和!お前に任せる!」……任された」


俺は大和にクリスの案内を頼み、教室を出て本屋に向かった。








本屋で予約した小説を受け取り、一旦島津寮へと戻った俺は私服に着替えて小説を読んでいた。


それから時が経ち、


「おっと、もうこんな時間か。そろそろ基地にいかないとな」


小説にしおりを挟み、島津寮を出て基地へと向かった。






基地前に着くと丁度、バイトを終えたキャップと鉢合わせし、一緒に5階の階段を上りきった俺とキャップはドアを開け中に入る。


「ウィ―ス!!」


「おーす、みんな来てるがっ!!」


と2人であいさつしながら入る、するとワン子の頭突きが俺の腹に入る、そして受け止めきれず倒れ込む。


「待ってたわよ晩ご飯!!」


「シンヤ〜」


「ぐふっ……ワン子……飯はあっちだ。ユキ俺死んじゃうからその腕を緩めて」


さらにユキも俺に抱きついているが如何せん力が入り過ぎていて苦しい。


「信也の言う通り俺が袋持ってて正解だな……」


「俺という……犠牲が出たがな……」


「おい信也遅いぞ。何してたんだよ」


「ガクトテメェ死ね」


ガクトのその一言で復活。ガクトの顔面に紅蓮掌(弱)をくらわした。


「あらら、ガクト大丈夫だよな?ま、いいか!ほれ!今日の晩飯だぜ!」


そう言いながらキャップは晩御飯の入った袋をテーブルに置いた。


「わお。今日はお寿司ね」


そう、今日の晩御飯は寿司である。


「ああ、今日は多くの余りもんが出たからな、大量大量だ」


「あら、ざるパックまである」


「これぐらいあれば、十分じゃねえか」


「岳人、私達がいるんだぞ」


「そうよ。私たち、がっつしいくから」


そして、いい加減モロもこっちに戻した。


「おい、モロ。お前は箸使う派だろ?」


「それで、ビデオアクセラレーターをつけて十八万で、ってキャップと信也来てたんだ。」


よしこれで、


「それじゃ、いただきます」


「よく、食うやっちゃな」


「当たり前よ、よく食べて、よく寝て、よく修行よ」


うんうん。よい心がけだなホントに。


「はい、ショーユ」


「おう、サンキュウ」


「はい、タバスコ」


「うお!?」


タバスコを俺の皿に入れようとしたのに気づき、すぐに皿を咄嗟に尚且つ溢さずに躱す。


「いるでしょ?」


「いやいや無いから!寿司にタバスコは無いから。京の皿危ないくらい真っ赤だぞ」


「普通だよ」


「京の普通を俺に押し付けんなよ」


「は〜いマシュマロ〜」


俺が京と話していると今度はユキが俺の皿にマシュマロを入れようとしたが、それもすぐに皿を咄嗟に尚且つ溢さずに躱す。


「ユキ!寿司にマシュマロを入れようとするな!食えなくなるだろうが」


「は〜い」


「そんじゃ、いただきまーす」


キャップの号令と共にみんなが一斉に箸(一部、手)をのばす。


「次はどこでバイトすっかなぁ」


「もぐもぐ。金曜バイトは食べ物系にしなさいよね」


「分かってるよ。よー食うやっちゃな」


「しっかしここもずいぶん荷物多くなったな」


その後はみんなでワイワイと騒がしい夕食を楽しむ。


「みんなで色々持ち込んだから・・・」


「ここ見つけてから随分月日がたったもんね」


「原っぱよりこっちの方がいいよなぁ」


「俺様は原っぱ好きだったがな。まさに俺様の空間」


「何もあそこまで土地開発しなくてもいいのにねぇ」


「懐かしい。信也は人気者の私に一目惚れだった」


「おい京、勝手に過去を捏造するな」


「京は小さい頃病原菌扱いだったろ」


「そうだね。ガクトには随分と言われたね」


「あの時は俺様も若かったからな……」


その後、昔のことを言う京がどんどん暗くなっていくのを感じた俺は京を後ろから抱きしめた。


「えっ……あ、うう///」


驚く京は俺が抱きしめていると分かると顔を赤くした。


そのまましばらく抱きしめていることにした。







京が元に戻るのを確認した俺は離れて自分の席に座る。


すると、モモ先輩が話し始めた。


「さっきも言ったが、今日はバイト代が入ったぞ、お前ら」


そうモモ先輩が言うと、ファミリーの面子全員が注目する。


すると彼女は、自分のバイト代をおもむろにテーブルに置いた。


「そろそろ月も変わるし、取り立てどきだと思ってた」


京が言うと、他の面子もテーブルに群がる。


「ほら、うら若き身体にムチ打って稼いだ金だ。さっさと私に貸した分持って行け金の亡者共」


開き直ったモモ先輩が言うと、一切の躊躇なくキャップが手を伸ばした。


「遠慮無く。今日も月内に払い終えたなぁ」


「じゃあ私も、七千円だったね」


「僕も回収。お金をきっちり返すのはいいけど……」


「まず借りんようにしないとな先輩。うし回収完了」


「アタシは三千円だから……誰か千円札持ってる?」


「はい両替任せて。この時の為に崩してあるから」


「回収した。ハイこれお釣り。全額確かに月内に!」


「僕、500円だよ〜」


「そして最後は俺の1000円」


「………おい、残り140円しかないじゃないか」


「そうですねー」


「これじゃあ学食でソバだって食べられないぞ……大和〜、姉が困っているぞ。金銭面で助けてくれ」


「おわぁ、からんでこないでくれ!信也パスだ!」


「仕方ない……モモ先輩」


「何だ(キラキラ)」


きっとお金を貸してもらえるのだと思っているのだろう。が、甘い。


「またバイト頑張れ♪」


爽やかな笑顔で俺が言うと、流石のモモ先輩も一時的に引き下がった。






「じゃあ、今日の議題だ」


食事も終わり一段落つくと、キャップが口にする。


すると、最初に反応したのは京だ。


「明日どこで遊ぶか?」


「それも重要だが……転入生のクリスの話だよ」


それを聞くと京は、何となく予想がついたのか機嫌が悪くなる。


しかし、それが分かっていないワン子が、


「んー?クリがどうかしたの?」


「グループに入れようかって議題でてただろ?」


キャップがサラッと衝撃発言をすると、一瞬その場にいた全員が沈黙する。


「今聞いた!?」


沈黙を破ってモロが驚愕するが、


「俺はイイと思うんだけど?」


「梅先生に頼まれたからか?」


「なるほどな……中々面白そうな提案だ」


大和と俺は直ぐにキャップの意図を読み取り、そこまで驚く様子はない。


「というか、何故その考えに到達するわけさ?」


「だって梅先生にも頼まれたじゃん」


「面倒見ろとは言われたな。確かに」


「クラスメートとして仲良くするのは当然だけど。それと、金曜集会にまで案内するってことはレベルが違うよ」


「そんな事は分かってるさ、でもクリスは逸材だぜ。久しぶりの新メンバー加入。どうよ皆?」


「一人ずつ聞いてみなよキャップ」


「うーし。まず牢名主のモモ先輩からどーぞ」


「賛成だ。クリスは欲しい。色んな意味で」


「即答ですか!?」


「いじくれる。色んな意味で」


「俺様賛成。理由は簡単だ。可愛いし、骨もあるからだ」


「クリはいらん子だと思うわよ………まあでもいつでも勝負挑める相手が増えるのはいいわね。た
だ、あいつ自身こーいうの好きかしらね?」


「そこで浮かない顔してる、京」


「私は反対。他人は増やさなくていいよ。いらないそんなもの。この9人でいられるのが好きなの」


「ワン子、ジメったキノコを説得しろ」


ガクトの命令は反発するワン子だったが、モモ先輩の一声であっさり受託する。


「ったく、犬は群れの中で階級をつけるというが……」


「お前は最下位だろうな」


「ヘイ、ミスター京」


「ミスターは男でしょ(ギロッ)」


「うあぁぁ……にらまないでよぉぉ」


涙目で俺に抱きついて来るワン子を受け止める。


「説得フェイズにすら辿り着けなかった模様」


「よしよし、頑張ったなぁ」


ワン子を撫でて慰めるとだんだん涙目が解除される。


「壊滅的に使えん馬鹿だな、モロお前はどーよ?」


「んー。僕も京と同じで反対かな。今更新しいメンバーとか気を使っちゃうよ」


「よく言ったモロ。キノコゾーンに来なさい。二人で胞子を飛ばして、皆を洗脳しよう」


「大和、お前はどうよ」


「俺は……反対かな。あいつ自身がここに馴染むかねぇ」


「賛成3反対3様子見1か。こりゃ見事にバラけた」


「残りは実質一人だしな」


「だね」


「ん〜?」


「ユキは信也がいいと思った方についていくし、考えも同じようにするからな。信也、お前の意見で決まりだ」


「これは……私達には不利すぎる……」


京は俺がきっと賛成と言うと思っているのだろう。しかし、俺が出す答えは、


「俺は…………………様子見だ」


「えっ?」


自分の予想が外れた京は声を上げた。


「理由を言ってみてくれ」


「ああ。俺個人としてはクリスを仲間に入れたい。しかし、ここ…風間ファミリーに入れるのであれば話は別だ。あいつは純粋な奴だからな。まず、ここにクリスを連れてきたらきっと「ここは危険すぎる。すぐに立て壊した方がいい」何て言ったら皆不快な気持になるだろうし、大変なことになるだろう?だが、あいつは1人、異国の地にいるんだ。友達もまだ出来ていないだろうし寂しいだろう……だから賛成であり反対でもあるから様子見なんだよ」


「……信也の考えは分かった。つーことは賛成3に反対3、様子見3……見事に分かれたな。
こういう場合はキャップの俺がいる方が優先だが、……んー、じゃあまず声かけてみてお前等が不快だと思えば止めるよ」


と、取敢えずはグループ全体で様子見となった。






クリスのファミリー介入の話は終わり、次の話題は


「で、明日は何して遊ぼうかしら? ね? ね?」


ワン子の言葉を皮切りに明日の遊びの話になった。


「うーん、そうだな」


「いい天気らしいぜ。春爛漫だし河原で遊ばね?」


皆が次々と賛同していった。そして朝10時に河原に集合という事になった。


「具体的に何するのかな?」


「かくれんぼ」


「最後、モロが鬼になったら皆隠れないでそのまま帰宅するんだよな」


「小学生の時のアレは鬼畜すぎだよ!!トラウマ」


確かにそんな事もあったな。今はそんな事しないはずだが……。


「お互い、いじめられっ子はきつかったね」


「モロは俺様が庇護してからそうでもないぞ」


「つーかガクトが一番いじってくれたよね」


この2人は風間ファミリーができる前からの付き合いであり一緒に行動している事が多い。


「いじる……肉体的な意味で? ぽ///」


一緒にいる事が多いので、時たま誤解されることもある。


「違うよ! なんでそういうモノの見方するの」


「男子と男子が絡み会う……アリだから」


京はBLが好きらしいが俺にはよくわからない。


「?何々?何の話?」


「ユキは知らなくていい境地だから」


無垢な瞳で質問するユキが眩しい。


「アリなのかしら。お姉様はどう思う?」


「周囲にロクな異性がいないと同性に走るというし」


「それはモモ先輩のケースでしょうが!」


モモ先輩の言葉にモロがツッコミを入れるさすが風間ファミリーのツッコミ役、鋭いツッコミだ。


「レズではないぞ。男共誰か私をときめかせてみろ」


モモ先輩が俺達を見ながら半ば呆れた様に言う。


「僕には無理すぎてパス。ガクトどうぞ」


「俺様フられ続きで今はパス。キャップいけよ」


「えー、恋に生きるは切なすぎるぜ。大和いけよ」


「危険な気がするのでパスだ。信也いけよ」


たらい回しにされていき、最後は俺には回ってきた。


「俺か!?……んじゃモモ先輩壁に寄り掛かって」


「ん?なんでだ?」


「まぁときめかせる為のシチュエーションだよ」


「まぁやってやろう」


そう言うと壁に寄り掛かるモモ先輩。んじゃやりますか。モモ先輩の顔の横に右手をドンと突く。モモ先輩は驚いた表情だ。


「百代……」


低い声で男らしさをアピール。クイッと左手で顎を持ち上げ、顔を近づけ、不敵な笑みを浮かべる。


「俺のもんになれよ」


なんだかモモ先輩の顔が徐々に赤みが増していく。何故だろ?


「とっまぁこんな感じでときめかせてみました。どうモモ先輩?」


「あ、ああ。な、なかなかなだ」


なぜかまだ顔が赤い。


「せいや!」


「ぐはぁっ!!」


ゴスッと横腹にとてつもない衝撃が来る。


「なんか気に食わない」


振り返るとユキがそんな事を言いながら。若干ご機嫌斜め。理不尽だ!!その後ろを見ると、京とワン子まで不機嫌そうな顔だった。不機嫌な理由がわからず夜は過ぎて行き、今日は終わるはずだった。


しかし、



SIDE・第三者


明日の予定も決まって皆でのんびりしていると、


「あ、忘れてた」


京が何かを言うといきなり信也の後ろに回り、信也を拘束した。


「えっ?」


「そうだったわね」


「わ〜い」


ワン子とユキも立ち上がり、信也を拘束した。


「な、なんだ!?何だ!?」


「くっくっく……朝、クリスとあんなに仲よくするなんて……ククク」


「(ゾクッ!)」


京の瞳が獲物を狙う獣になっていた。


「連行」


「えっ!?ちょ!?」


信也は3人に屋上まで連行され……そして、





『ぎゃああああああああああ!!腕と足が曲がってはいけない方向にぃぃぃぃぃぃ!!!って京!ユキ!その……胸を当て……ぎゃあああああああああああああああ!!』



信也の悲鳴が基地内に響く。


『ガクガクブルブル』


「あははははは!!!」


大和達は顔を真っ青にし振え、百代は笑いながら飲み物を飲んでいた。





そして、今日も終わった。

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