小説『真剣で私に恋しなさい!〜転生させられしもの〜』
作者:レイフォン()

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プチパーティーとハプニング?





河原で野球をして、島津寮でクリスのファミリー介入の歓迎会をするため皆は一旦、家に戻ることになった。俺はワン子に修行に付き合ってくれと頼まれ、一緒にいた。ちなみに、モモ先輩は川神院の人たちと100組手をしている。


「…ふーっ。はぁはぁっ、ダッシュ50本終わり。はぁ……はぁ……あ〜、もう1セットやっとこ」


俺がワン子の修行風景を見ているとそこにゲンさんがやってきた。


「一子。お疲れ。ほらよドリンクの差し入れだ」


「おっゲンさん、俺には?」


「ほらよ、てめえにはお茶だ」


ゲンさんが俺にペットボトルのお茶を放ってよこす。


「だが勘違いするなよ。後でウダウダ文句言われんのがウゼェだけだからな」


ゲンさんは何だかんだ言いながら、かなり良い人だ。


「タッちゃん。いつもありがとうー」


「今日は他の馬鹿共はいないのか?」


「もうちょっと前までここで遊んでたよ。皆は帰ったけどあたしはトレーニングがあるし……ダッシュが終わったら信也に組手をしてもらうんだ」


「なるほどな。だから、八神がここにいるのか」


俺を見て納得するゲンさん。


その後、ワン子は孤児院時代の仲間の話をゲンさんとし、話し終えると、


「アタシもう1セットやるね!」


「ああ、俺はここで寝ながら見物してるさ」


ゲンさんは夜も仕事らしい。ゲンさんの親代わりをしている2-Sの宇佐美 巨人先生は宇佐美代行センターを経営していて、ゲンさんはそこで働いている。仕事は何でも屋の様な物らしい。時々、やばい仕事が入ると俺に偶に手伝ってくれと頼んでくる時もある。


「夜も仕事なんだ?」


「学校なんざやめて仕事に集中したいぜ」


「だめだよー。学生生活は1度しかないんだから」


ゲンさんの言葉をワン子が軽く注意する。確かに1度しかないのだから、できるだけ楽しんだ方が良いと思う。………俺の場合は2度目だが。


「オヤジと同じ事言いやがるのな」


ゲンさんはふっと笑うと草むらに横になった。


「ファイトー!!!」


走っているワン子の声が聞こえてくる。


「……変わったなぁ一子。昔は泣き虫だったのに」


「女ってのは男よりも成長するものだぜ」


「ふっ……確かにそうかもな。昔のあいつと比べるとえらい違いだ」


「ま、昔のワン子のことを知っている人間から見れば本当に変わったよ…ワン子は」


昔はあんなに泣き虫な奴が今では……


「せいやあああ!!!」


あんなに元気に声を上げているんだ。時は人を変える……いいもんだ。


「でも、一番ワン子が変わったきっかけか……」


「憧れの人や夢ができたから……か」


ゲンさんの隣に腰を下ろして、ワン子の走るのを眺める。


「女ってのは、たくましーいぜ。ったくよ」


「そーゆう、生き物だろ……女はよ」


俺とゲンさんはワン子を見ながら笑いあった。










河原でワン子と組み手を終え、ワン子は一旦、着替えに川神院に戻り、俺は肉を持ってきたモモ先輩と着替えてきたワン子と一緒に島津寮へと来ていた。


そして、


「お前等だと適当に焼くから俺と信也がやるしかねぇ。肉はこうやってな、多めに寄せ合って焼くのがいい。こうすっと、旨味のある肉汁がでても隣の肉に染み込むだろ?」


キャップが高説を垂れていると、ワン子が直ぐに割って入った。


「ごたくはいいわ。キャップはひたすら焼くのよ」


「うるせーな。焼けたよホラ食え。俺も食う」


「うんっ♪美味しいわね、流石はウチへの献上品」


「おお。これは本当に美味しいな……」


ワン子とクリスが焼肉を満喫している一方で、モモ先輩は一人芝居中の由紀江を抱き締めている。


「モモ先輩、そっちの肉を食ってどーする!」


ちらっと俺を見ながら京が言った。


俺は直ぐさまツッコミを返す。


「いや、それほど上手いこと言ってないから」


「しょんぼり……」


そんな風に京が落ち込んでいると、


「げ、元気を出すんだ」


クリス、京に第一次本格接触。


「「…………」」


両者、見詰め合う。


「辛いの好き?」


何と、意外にも先手をとったのは京。


それに対してクリスは無難に返す。


「そこそこは」


「イェー」


「い、イェー」


京と彼女を真似したクリスが、片腕でガッツポーズをとる。


それを確認すると京は、


「お近付きの印に……はい激辛タバスコ」


「これをどうしろと?」


「飲むの、ダイレクトで。辛党なら出来るでしょ?」


「正直すまなかった」


「辛党同志が見つからない……」


タバスコを返却されると、京は再び落ち込んだ。


すると、それまでのやり取りを見ていた俺は呆れた表情で声をかける。


「おいおい京、あんまりクリスを困らせるなよ」


「……迷惑をかけてるんじゃなくて、ちょっとしたコミュニケーションだよ」


言いながら、京が俺の皿に乗せられた肉にタバスコをかけていくが、俺は特に何の抵抗もなくそれを食していく。


それを見ると、クリスは口元を押さえて俺に尋ねる。


「うっ……それを食べて平気なのか?」


「まぁ、こういうのは慣れだから。京にはこういうことを何回もされてきたし、ユキに関してはマシュマロを入れてきたしな……」


適当に答えると、俺はタバスコだらけの肉を平気そうに頬張っていた。


ユキはいうと……


「ん〜甘くておいしい〜〜〜」


焼けた肉にマシュマロを入れて食べていた。


正直、京の方がまだマシなのだ。












やっと全ての肉との戦いを終えみんなと楽しい会話を楽しみ、歓迎会も終わって一段落すると


「ふふ。さーてでは風呂って来るか、なぁクリス」


「はい。随分と嬉しそうですね」


食事の片付けも終わり、モモ先輩お待ちかねのお風呂の時間がやってきた。


「うん。ほらアノ2人も嬉しそうだ」


「「お風呂、お風呂ー♪」」


ユキとワン子ははしゃぎながら2階へ上がって行った。


「な?ふふふ」


「それとは別の嬉しさにも見えますが……」


クリスが少し警戒している。まあ、確かに今のモモ先輩は露骨過ぎる。


「気のせいだ」


「そうですか。では気のせいなのですね」


クリスが納得してしまった。モモ先輩は尤もらしい事言いながら更にクリスを丸め込んでいく。そし
て、クリスが上に上がって行くとモモ先輩が俺に振り返った。


「ではな、信也。じーーーーっくり見てくるぞ」


「一々報告しなくていいですよ」


「わかってるさ、ところで……写メ1枚3万円でどうだ」


モモ先輩が俺にそっと耳打ちしてきた。


「ちょっ、聞いたまゆっち。皆で風呂とかスッゲェな」


「レベルが高すぎて、私の頭はクラクラです」


由紀江はまた馬のストラップと話している。何してんだろ?


「でもこれチャンスじゃね、いけんじゃねまゆっち」


「と、言いますと?」


「えへへ、えへへ、私も入る〜と言って風呂場乱入」


「無理無理無理無理!!!」


「さっきから何してんの?」


由紀江の耳元で囁いてみる。


「そ、そんな……私ごときが……そ、そそそそそ、そんな、お、お友達レベルの高いことを……って信也さん」


「やっ」


手を軽く挙げる、由紀江の目と俺の目が合う。そして、一時の静寂。


「あ、あうあうあう!!いっ、いえ、これはですね。あの、その……しっ、失礼します」


由紀江は顔を赤くしながら、慌てふためき、絶妙なバランスでこけることなく、2階へ上がって言った。







キャップはバイトに行き、俺と大和、それとクッキー2の3人でカードゲームをしていた。


「コール……ロイヤルストレートフラッシュ(←俺)」


「くっ……ストレート(←大和)」


「この私がツーペアだと…(←クッキー2)」


ポーカーをしていた。


そんな時だ。


ドガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!


『な、何だ!?』


いきなりの爆音に、ビックリした、そしていきなりドアが開いて


「大和、信也!大変、大変!女子風呂が爆発したわ!!」


なんとも、管理人さん呼んだ方がいいかな、それよりもモモ先輩は……まあ無事かな。しかし心配なので俺と大和は、そのまま女子風呂に向かった。







轟音とともに、二階に行って見ると、そこには一応、全員服は着ていたのだが、


「一体、なにがあったんだ、モモ先輩」


そう、なぜか女子の風呂場が無くなっていた。そしてそこに管理人である、麗子さんが来た。


「まったく、人が記憶を思い出すところで泣いているのに、ってこれはどうしたんだい?」


「記憶を戻す?」


「韓流ドラマだろ」


「それより何でこんなことに?」


俺はモモ先輩とクリスに聞いてみると、次のようになった。


モモ先輩がクリスの身体を見るために近づく→クリス、逃げる→モモ先輩追う→クリス必死に逃げる→んでドカーーン


………なんともまあ…何も言えないな。








その後の調査で管が錆びて腐ってる事がわかり、今回はモモ先輩のせいではないことがわかった。そして、女子浴室が直るまで、1階の風呂を女子も使うことになった。


が、


これを聞いた京が、


「男女混浴になるんだ…ハァハァ…信也の逞しい肉体…」


妄想状態に入ってしまった。


俺はそれを軽くスルーすることにした。








クリスは由紀江にこのことを教えに行っていた。


「…という事で女子も1階の風呂を使うことになった」


「分かりました。わざわざありがとうございます」


クリスに説明されると、由紀江は了解する。


するとクリスは、申し訳なさそうに視線を落とし、


「いきなり騒ぎを起こしてしまって、すまない」


「いえいえ、気になさらないで下さいっ!」


由紀江に諭されるが、クリスはまだ罪悪感を感じている様子でいた。


まあ、寮に入った次の日にこんなことが起こってしまえば仕方ないか…。











こんな出来事があったが、時は次の日の日曜日へ。

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