小説『真剣で私に恋しなさい!〜転生させられしもの〜』
作者:レイフォン()

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進路と大和の独壇場





朝のHRで小島先生が話をしている。

「それでは伝達事項だ、今週に第一回進路希望調査……こら熊飼!HR中にハンバーガーを食べるな!!」

「す、すみません、お腹が空いてしまって……」

「とにかく今はガマンしろ」

「うぅ…お腹空いたぁぁぁ」

唸り始めるクマちゃん。まずいだろ。俺はキャップを見る。キャップもまずいなと言わんばかりの表情をする。

「各自、連休明けに希望進路を提出してもらう。5月にはそれをモトに個別に進路指導だ。どんな夢でも自由に書くがいい」

そして最後に

「それと、昨夜C塔の二階窓ガラスが何者かの手によって割られていた。我が校では珍しい事態だ。何か知っている事があれば言ってくれ。それでは伝達事項は以上だ。今週も切磋琢磨だ!」

そして先生は出て行った。

先生が出ていくと、

「もぐもぐ。いやぁ、手早く終わって良かった」

「いつ暴れるかと思ってだが、まぁセーフだな」

「ああ。前みたいに俺が止める羽目になるんじゃないかと思ったぜ」

クラスでは、小島先生の言っていた進路の事で話が上がっている。

「進路希望調査かー。うーん…悩むなー」

「俺は冒険家だな。出世に生きるはくたびれるってね」

なんともキャップらしいな。

「信也はどうなんだ、やっぱ家の道場を継ぐのか?」

「俺か?さぁな。親父は別に継がなくてもいいって言ってたし、それに…英雄からスカウトを受けた事があってな」

「へぇ!それは凄いじゃないか!信也はボディーガードに始まって、数々の事をやれるからな。九鬼英雄にとって欲しい人材何だろうな」

「あぁ。いきなり…『将来、九鬼で働く気はないか?』って1年の頃に言われて、名刺まで貰ったからな」

まぁ天下の九鬼財閥ならいいかな?って、思っているけど。

「俺様、梅先生の旦那って書くぜ」

「勇者がいるぞぉぉぉぉっ!!!」

「殺されるぜ、物理的にも精神的にも社会的も」

…ガクト。骨は拾ってやるぞ。

「俺様年上スキー。先生結婚適齢期。需要と供給」

「でもようまくいけば、あの美人好きにできんのか」

「確立が0なんで、妄想しか手はないんじゃない?」

「そーやって思ってるだけなら確立はゼロだ!
だがなァ…宝くじってのは買わなきゃ当たらねぇ」

「こう、ツンとした顔がヒーヒー言うワケか」

「だろう。興奮してくるじゃねぇか、ゴクリ…」

「先生、俺と夜の運動会をやりましょうとか!」

…これ以上、一緒にいると駄目な気がしてきた。

俺は委員長達の方を見る。

「進路希望調査ですかー。就職ですねー」

「アタシは、まぁ短大出て遊んで、25ぐらいでオトコ見つけてお嫁さんで幸せな家庭かな?」

などと答えたのが聞こえた。

すると委員長は、笑顔で歓声をあげる。

「女の子らしい、幸せな夢じゃないですかー」

「えへへ、ありがと」

「結婚する人に望むのは何ですか?」

「んーと、まずイケメン、そしてお金。
まとめるとイケメンで、モデル体型で筋肉もわりとあって、170cmは欲しいな。
アタシを愛してくれて、かつ束縛もしなくて年収は当然1000万円
んで家事も得意で、料理とかは全部作ってくれるの。育児もお任せ」

…それってつまり自分が楽したいだけじゃねぇか?それにそんなことを言うとスグルが、

「そんな男ぉ、いるわきゃあ、ねーーだろぉ!!!」

遅かった。小笠原の言った事に怒号をあげちゃったよ。

「わぁ、びっくりしたぁ」

驚く小笠原を余所に、スグルは同じ男として、近くにいた俺に問い掛ける。

「信也!お前もそう思うよな!!」

「…確かにそんな男はいないだろ」

現実でもそんな男いないだろ。結局は自分は楽をして生活して男にだけ仕事と家の事をさせるってことだろ。何というわがまま。

「いきなり何よオタ!
アンタが崇拝してるアニメキャラこそ現実にはいないよ。分かってるのかしら?」

「子宮から顔を出した瞬間から承知している!
だから俺は!モニターの中にいくかモニターの中から出てくるその瞬間を待っているんだよ!」

「ハァ?本格的に頭おかしーんじゃないの?」

「近寄るなスイーツ(笑)!性病がうつる!
みんな分かる筈だ。こういう女は存在してはいけないと!メランコリックな世界に還れ!」

「うわぁ、その発言も童貞くさいわねぇ。流石キモ男3人衆の1人。」

そんな両者の発言が、激烈にヒートアップしていくとクリスは、二人の間に割って入った。

「やめるんだ2人とも!
同じ寺子屋で学ぶ仲間同士。喧嘩は良くない」

クリスが割って入ったので争いは収まったが2人とも睨みあっていた。

「いやぁお見事。喧嘩おさまったね」

「直江大和。何故今の喧嘩、笑って見ていた?」

クリスが睨み付けながら言うと、クリスと大和の間にも険悪なムードが漂う。

パンパン

「はいはい。2人ともそこまで。クリスも折角スグルと小笠原の喧嘩を止めたんだ。今度は自分が2人と同じような事をするなんて本末転倒だぞ?」

「うぐっ、た、確かにそうか…」

2人も睨みあうが、視線を逸らす。

「大和達、喧嘩とかガキよねー。」

俺に続いてワン子が言うと、クリスは反論する。

「喧嘩ではない。意見のぶつけ合いだ」

大和もクリスも、中々馴染まない様子だった。まさに水と油の関係ともいえるな。






――昼休み―――

俺はキャップ・ガクト・モロの4人で一緒に食べている。すぐ隣の席にはワン子・京・小雪・クリスの4人の弁当を食べている。

「おい! 勝手にいなりを持って行くな!」

ん?俺はエビフライを口に入れていると隣からクリスの怒った声が聞こえてきて見てみると…どうやらワン子がクリスのいなりを勝手に食べたようだ。

「ちょ! 取りすぎでしょ!? どんなレートよ!?」

今度はワン子がクリスがいなりとはこれぐらいが釣り会うとか言いながらワン子の弁当からおかずをとる。

「辛ッ! 辛い辛い辛いッ!!!」

クリスの絶叫がいきなり上がった。…どうやら京の激辛弁当を食べたんだな。

「あ、甘すぎる!?なんだこれは!」

…おぉ、小雪の弁当…マシュマロ多!?

驚きながら俺達は4人のする事を笑いながら飯を食べたのであった。





――放課後――

今日の授業を終え、帰る準備をする俺達。そこへ

「ち、ちくしょう、ちくしょおぉぉ!」

ヨンパチが教室に悔しそうな表情で入ってきた。

「どうしたのサル?」

普段は気持ち悪いと嫌悪しながらも、こういうときはきちんと声を掛ける小笠原。ちなみに、この2人は小学校から一緒の幼馴染らしい。

「腹が立つ事が2つあった。1つはカワイイ女子のスカートが風でめくれたら中身がスパッツだった!」

物凄く力入れて言うヨンパチ。だが物凄くどうでもいい事だな。

「お前は今、泣いていい」

お前もかガクト。

「それから賭場で麻雀やってたら大負けした。しかも相手は2−Sの女」

…2-Sの女…もしかして不死川か?あの家柄の事を棚に上げている奴か。

賭場の事を聞いた大和がやる気になったのかヨンパチの案内の元、B棟4階の空き教室でやっている賭場へ来た。無論、面白そうだったから俺もついて行く。あとモロもな。

「あいつだ! あの女!」

そう言ってヨンパチが指差したのは場違いに着物を着た女生徒…やっぱり不死川か。

「フッ、狙い通り雑魚が雑魚を連れてきたのじゃ、完膚なきまでに劣等をシメてやるぞ」

不死川はどうやら格下だと決めつけている人間を嘲笑って優越感を感じたいと見る。けど…相手が大和だったのが運のつきだな。

大和は席に座り、麻雀を始める。

どんどん点差を広げていく不死川。特に焦った表情を見せない大和。

「やっぱり頭のいい奴にゃ麻雀では勝てないのか?」

「その通りじゃ。格差社会の現実を噛み締めるのじゃ」

ふ…なら不死川は裏社会の非道さを噛み締めて貰う事にしてもらうおうじゃないか…なぁ大和。

「ヨンパチ。後ろでソワソワされると気が散る」

大和は自分のする事に後ろにいるヨンパチが邪魔のため、賭場から出ていくように言う。

「もうすぐ結果出るからヨンパチは向こうで休んでなよ」

モロも大和の動きを察してボロが出る前にヨンパチを遠ざけた。

「さぁてサクッと勝つのじゃ! あはは!」

既に自分の勝ちを疑っていない不死川は、場の雰囲気が変わった事に全く気付く事なく山からツモった牌をそのまま河に捨てた。

さぁ、天狗になっている不死川を存分に驚かせてやれ大和!

「ロン」

「何じゃ? 今度は1500点ぐらいか? 劣等種」

「大三元」

「なっ!?」

大和の和了役に口を開けたまま固まる不死川。
親の役満直撃…と言う事はつまり48000点となる。不死川は一気に1位から最下位に転落した事になる。それに加えて0点以下になり、終局となったので順位がそのまま結果になった。

「ぐっ、まぐれじゃ! 調子に乗るでない!」

それでもまだ信じられないのか、不死川は諦め悪く食い下がる。

「いいからお金」

「負けたんだしさ、潔くお金だしなよ。低レベルクラスと言ってたやつらに負けた…不死川さん♪」

きっと俺と大和は鏡で見れば悪人顔何だろうな。

「くぅぅそ! 低レベルクラスのくせに! 覚えておくのじゃ! うわぁぁん!」

泣いて出て行ってしまのでした。てか、負けたぐらいで泣くって…ザマァw

「あれま。仕方ない。後片付けするか。ども、黙認ありがとうございます」

肩をすくめて立ち上がった大和は雀卓を囲んでいた3年生2人にお礼の言葉を掛けたのだった。



大和は財布が少し膨らんだぜとか言いながら笑っていた。

-20-
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