納豆小町、松永燕!
今日も元気に学校っと。
俺達は今、クラスで朝のHRを受けていたんだが、俺はグラウンドに出てくる複数の気を感じ取る。
モモ先輩の気と昨日会った女子生徒の気も感じる。
これは一体?
そう思った俺はグラウンドに目を向けるとそこに映っていたのは…モモ先輩と戦う昨日の女子生徒の姿だった。
力強いモモ先輩と軽やかにまるでツバメのように動き、避けながら攻撃をする女子生徒。
これにはグラウンドに出ている生徒達も驚き声をあげている。
「とんでもないぞ、川神さん相手に一分以上もっている!」
「それどころか渡りあえてる! 稽古とはいえ凄いなぁ」
この声に他のクラスに気付き、窓から見ているのがここからでも見える。
最初は互角だったが、相手の戦闘パターン覚えたモモ先輩。これにより互角だった力の差が離れていっている。
「うわっと!」
相手を大きく弾いたな。
「いてて…うわ〜、防御した腕がしびれっぱなしだぁ…」
「いいぞいいぞ。燕ホラ、武器使え!」
モモ先輩は心底機嫌が良さそうに、その場でトントンとリズミカルに跳ねながら相手が武器を使うのを待っている。
「それじゃ、ま。リクエストにお応えして…このヌンチャクから、ブワーッといってみますか!」
うちのクラスもどうやら気付いたようで皆が窓から眺める。
「なんだあれ…姉さんとやりあってる人がいるぞ」
「そして勝負になっている。これは珍しい」
大和達も驚きた表情で窓から見ている。
「3-Fの転入生か。いい武器捌きだな」
小島先生も感心している。ヨンパチは相手の女子生徒を見て、写真を撮りに行こうとするとが、小島先生の鞭に捕まり、制裁される。が、それを喜んでいた。
「何をしているんだか…」
クリスはヨンパチの様子に呆れた後、相手の動きの感想を言う。
そして、小島先生がその相手の名を言う。
「彼女は西の武士娘松永燕だ。字は体を表すとはこの事だな」
松永燕…か。…本気じゃないけど動きからして四天王クラスだな。それも今までの四天王とは違い、相手の動きを観察・分析して、相手と戦うタイプと見る。…モモ先輩に対しても観察しているような動きにも見えるな。
「松永…聞いた事あるわ…転入してきたのね!」
「義経達といいこの人といい、レベル高いなぁ」
「っていうか、松永先輩薙刀まで使いはじめたわ!」
そうワン子が言うのでグラウンドに目を戻すと確かに使ってた。
「器用だな…あの分だと、レイピアも扱えそうだ」
俺も思わず戦いに魅入られてしまったな。
「力のモモ先輩と技の松永先輩ってところか」
「でも、あれなら多分ワン子や信也の方が薙刀の扱いうまいよね」
「専門職でないのに、あれだけ自由に動けるのはそれはそれで凄いけどね…」
「俺の流派は剣術だけじゃないからな」
さて、今まで語らなかったが、俺の流派について教えておこう。
うちの流派は基本は剣術だったが、戦いに応じて他の武器を使う事を想定していたが、今まで刀や剣以外を使う者がいなかった。だが、俺は刀や剣の他に、武器と呼べるものを使ってきた。んで、自分で刀や剣以外の武器の奥義とかを生み出した…ぶっしゃけ、テイルズとかの技だけど。
再び目を戦いに戻すと松永先輩はヌンチャクからはじまり、三節棍、太刀に鞭、ハンマーに薙刀、あげくに弓矢に槍にスラッシュアックスなどを使い始める。
だが、決定打に足りないな。十分に武器を扱えるのと俺のように十全に武器を扱えるとでは違うからな。
「さぁ次はどの武器でくるのかな!」
「ふーっ。そだねぇ…」
「ま。今日はここらへんが潮時かな」
松永先輩は持っていたレイピアの刃をおろした。
そして、
キーン・コーン・カーン・コーン
HRの終わりを告げるチャイムが鳴る。
2人はガッチリと握手をかわしている。それを見て、各教室から声援が飛ぶ。
そして、松永先輩は先生からマイクを借り、言う。
「皆さん、暖かい温かいご声援、ありがとうございますっ京都から来た、松永燕ですっ!これからよろしくっ!」
「何故私が、川神さん相手に粘れたかといいますと!!」
こんなときにも宣伝かよ…あはは、すげぇ商人魂だな。
松永先輩は腰の装備からカップ型の納豆を取り出した。
「バーン!秘訣はこれです松永納豆ッッッ!!!」
「もちろんこれを食べて強くなれるわけではありません。しかーし!ここぞという時に粘りが出ます
皆さんも、栄養満点の納豆を食べて、エンジョイ青春!試食したい人は、私が持っていまーーす!!
皆さんも一日一食、納豆、トウッ!!以上、松永燕でした!ご清聴感謝します!」
松永先輩のスピーチを終えると学校内から喝采が巻き起こった。
――燕 SIDE――
私はさっきから気になっている事を百代ちゃんに聞いた。
「ねぇ百代ちゃん」
「何だ燕」
「さっきから私達を見ている…あの子は誰かな?百代ちゃんの知り合い?」
目をその子に向ける。百代ちゃんも私につられて見る。
「あー信也な。あいつは私の友達だぞ」
「そうなんだ。何か強そうだね(ここからでも分かるよ。その身に抑えている力がね)」
「まー私はあいつと試合とかした事ないからどの程度強いか分からないんだよな。爺はあいつと私を戦わせたいと言ってたけど、万が一を考えて戦う舞台を選ばないと周りに被害があるって…戦わないでいるんだよ」
…そんなに強いんだねあの子。昨日会った時もそうだったけど…興味あるな〜。
「そうなんだ」
「ああ。だが、あいつは渡さないぞ」
「!へぇ〜どういう意味の?」
「あいつは私のもう一人の弟のような感じだからな。私には舎弟があるんだが、そいつとも付き合いが長いせいだな」
…なるほどね。
……ん?何か私に向かって言っている?
えーと…何々?…ブ・ン・セ・キ・ハ・デ・キ・タ・ノ・カ?……!?分析は出来たのか…ですって?
あの子、私が何で百代ちゃんと稽古したのかわかったのかな?
フフフ…余計に興味がわいてきたよん♪
「ん?どうしたんだ燕?」
「何でもないよん」
さて、どうやって彼に会おうかな♪
――燕 SIDE END――
ゾクッ!
何だ今の寒気は!?
俺はいきなり寒気に襲われた。何故!?……いや、考えるとなんかのフラグを立ててしまいそうな気がするからいいか。
うちのクラスでは松永先輩の事で盛り上がり、モロが納豆小町の松永燕と言うのを思い出し、ポスターの画像を見せてくれた。
それを見て俺はつい、可愛いな…と言ってしまうと。
「私の方が可愛いよ!」
「僕の方が胸大きいよん〜」
などと、京とユキが左右から俺に抱きつく。くっ、これぐらい言った事でも反応するのかこの2人は?!
離れてくれというと、離れてくれた。よかった。
――お昼休み――
昨日と同じように屋上で飯を食べて寝っ転がっていると、
「やや、また会ったね」
「どうも松永先輩」
「嬉しいねぇ知っててもらえて」
朝、モモ先輩と戦っていた松永先輩が笑顔で俺を見ている。
おそらく先輩が俺の所に来たのは…
「俺は気にしていませんよ。先輩が何をしに川神に来たかのかを」
「…どうして私が百代ちゃんと戦っている時に百代ちゃんの動きを分析していると思ったの?」
「動きがそんな感じだったからだ。モモ先輩は技とかを使ってパワーで攻めていた。が、先輩の場合は色々な武器を使ってモモ先輩がどんな対応をしてくるのかの確認をしていたんじゃないかと。
いくら複数の武器を使えるからってあんな風には戦わないだろうと」
俺が説明をすると黙る松永先輩。
「凄いね…たったそれだけで…」
「俺も色んな武器を使うから。何となく違和感を感じたんだ」
「…ねぇ。もし、私が百代ちゃんを倒しにここに来たっていったらどうする?」
…そうだな…俺だったら…
「別に何も。モモ先輩にも言わないよ」
「…それはまた何で?百代ちゃんとは友達なんでしょ?」
「俺、前に学長にモモ先輩と戦ってくれと頼まれているのは知っていますか?」
「うん。百代ちゃんにきいたよ」
「戦うにしても俺の技もモモ先輩の技も周りに被害がある技が多いので、どうしても戦う場所が限られる。で、一方で、モモ先輩は自分と渡り合える相手がいない事でどんどんストレスが溜まっていき、瞬間回復という技を身に付けたせいで、戦い方が雑なんですよ。これは危ない考えだと思っています」
「そうなんだ…」
「ええ。しかもヒュームって言う執事がモモ先輩を倒してもおそらくモモ先輩は仕方ないか…などと思う。ですが、同年代に一度でも負ければ、その負けをバネに今以上に強くなろうとするでしょう」
「だから、私の事を話す気はない…ってことかな?」
「そう言う事です」
説明し終わると、
ギュ!
「って!?松永先輩!?」
先輩が俺に抱きついてきた。
「も〜こんないい子が百代ちゃんの弟何て…羨ましいよ!」
「弟?(それ、大和なんだけど…一体何を言ったんだモモ先輩)」
「このハグはお姉さんを感動させてくれたお礼♪」
……お礼か。いや、確かに男としては嬉しいが…でも、俺って良く考えたらモモ先輩や京、ユキ以外の女性にこうや
って抱きつかれた事ないな。
「フフ…名前は信也って聞いたけど…」
「はい。俺は八神信也って言いますが?」
「……えっ?八神?」
「…?はい、八神ですけど?」
何で俺の苗字を聞いて固まるんだ?
「…信也君のお父さんの名前は何?」
「?八神、零斗ですけど」
ピキッ…ポッ
…えっ!?何で顔を赤くする?
「えっと…信也君のお父さんから久信っていう人の名前聞いた事ない?」
「久信……ああ!父さんの学生時代の友人って聞いた事ありますけど?
そういえば、その久信さんの娘さんとお前を許嫁の関係にしているからって言っていたような言っていないような?」
……ちょーと待てよ?どうして松永先輩が父さんの事を聞く?そして、久信って人の事を……ま、まさか…
「1つお聞きしたい。もしかして…久信ってひとは…」
「…う、うちのおとんだよ」
ピキッ
「真剣と書いてマジですか?」
「マジよマジ…大マジ」
「マジか…」orz
まさか、松永先輩って俺の許嫁!?
「……先輩。今日、学校の後、時間あります?」
「んーどうだろ。引越しの整理もあるし…少しなら」
「だったら、先輩のお父さんも呼んで下さい。先輩との許嫁と言う件について…父さん達と少し、OHANASHIしないといけないので…フフフフフ…」
「わ、わかったよん。なら」
先輩が携帯を出す。
「赤外線ですか」
俺も携帯を出し、赤外線送信する。
「行く時に連絡するよん」
「お願いします」
そう言って先輩は屋上から消えていった。
さぁ、父さん?話を聞かせて貰おうじゃないか。ククククク…
信也がそう思っている事、信也の父である零斗は寒気に襲われていた。