小説『真剣で私に恋しなさい!〜転生させられしもの〜』
作者:レイフォン()

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歓迎会







今日は待ちに待った義経・弁慶・与一の生誕の日でもある。それに加えて学年全体で3人の歓迎会と生誕祭を祝う日である。

俺も祝いをする側として準備を手伝い、清楚と一緒に3年生に指示を出し、準備に取り掛かっていった。
そして、放課後になったのだが、いくら待っても役者である3人が来ない。どうしたんだろうかとザワついているとクリスが皆にもう少し待ってくれと言い、その場を凌ぐ。そして、俺の携帯に義経からのメールが来る。
どうやら大和は弁慶に呼び出されたようだ。俺と大和は教室を抜け出して、義経と弁慶が待つ所へ。

「あ?いたいた。与一は屋上だね」

「うん…朝は歓迎会に出ると言ってくれたのに…」

「やはり殴ってでも連れていく方が…」

「仕方ない…ここは俺が拘束して連れてくるか…」

俺と弁慶が物騒な事を言っていると大和がダメだしする。

「だめだめ。今回は3人が主賓の歓迎会なんだからさ
1人でも機嫌悪そうだったらフンイキブチ壊しになる」

「ではどうする?」

「…俺が説得してみる!」

…大和。それはお前の古傷を開ける事になるぞ?いいのか?いいんだな…







数分後、疲れた表情をした大和が与一を連れて戻ってきた。与一は仲間を見つけたなどと言い、俺は大和を見た。
大和は「頼む…何も触れないでくれ」と沈んだ雰囲気だったので何も言わないことにした。
だが、俺には分かる。大和、お前…与一と話すためにニヒル化したんだな。お前、一度でも開けば後遺症が残るぞ?
まぁ面白いから言わないでいよう。






そして、始まるパーティー。

「今回は、義経達のためにありがとう
皆の心遣いが、何よりもプレゼントだ」

「川神水まで用意してもらって…嬉しいね」

「…よろしくな」

与一だけが手で顔を隠しながら言う。珍しく照れているようだ。

「ヘイヘーイ、与一、ちょっと照れがあるぞ」

準がチャチャを入れる。

アハハハハハ!

会場にいる生徒たちが笑いだす。

「くっ。う、うるせぇぞ…」

照れる与一もレアだが、楽しそうで何よりだ。

そして、義経達の歓迎会は無事に行われる。

義経と弁慶は大勢に囲まれ、与一は弓道部にスカウトされている。

俺と大和はと言うと…

「直江大和、八神信也、おかげでつつがなく進行しているぞ」

喜んでいる紋白にお礼を言われる。

「まだまだ。後片付けして現状復帰して報告するまでがイベントだと思ってる」

「ああ。ただやって終わるのがイベントじゃないからな」

「そのとおりよ。素晴らしい心がけだ。ありがとうな!」

眩しい笑顔を見た大和が少し顔が赤いのに気づく。

……大和、お前…ロリに目覚めたか。

そんな大和に紋白は名刺を渡している。そして、離れていった。

さて、俺は清楚や京極先輩にお礼を言わないとな。3年生達を連れて来てくれた事を。




「清楚。京極先輩」

2人を見つけ、声をかける。

「あ、信也。どうしたの?」

「八神か。どうかしたか」

「いえ、3年生達を全員連れて来てくれてありがとうございます」

お礼を言うと、

「気にすることはない。後輩の手助けをしたまでだ。私もこれはこれで楽しんでいる。他の皆も受験の前のいい、息抜きになるだろう」

微笑む京極先輩。

「そうだね。私は3年生だけで歓迎会してもらったけど、こうやって学年全体での歓迎会ってのもいいね」

清楚は清楚で楽しんでいるようでなによりだな。






――教師陣

「こういう事をポンとするあたり、皆自主性が高いのう」

「ドタバタしてる分、バイタリティありますからね」

「オジサンは信じてたよ。皆でうまくやれるって」

「宇佐美先生は面倒くさかっただけではないか、の」

「松永燕も来ましたし、凄い戦力ですねうちの学校ハ」

「フォフォ、もはや何が起こっても不思議ではないし、何が起きても対応できそうじゃのう」

ルーと鉄心はその後、こうも思った。

「(それに加えて、八神信也は…力を隠しているネ)」

「(あやつは、博和をも超える才能も武力もある…フォフォ、楽しくなってきたわい)」

…なお、この時、2人が思っていると信也は寒気に襲われたとか。








――風間ファミリー秘密基地――

『お疲れ様!!』

俺達は基地に来て、歓迎会の…パーティーの二次会をしている。まぁ義経達はいないが。

「いやぁ、今週は色々あったね!マジマジ!」

「日曜日は東西交流戦で西の人達と戦って…」

「月曜日に源義経達が現れて…」

「木曜日には燕が現れ…」

「ああ。戦えて楽しかった」

ピクッ

「ぬまぐるしかったわねぇ…釈迦堂さんが豚皿をおまけしてくれたわ」

「ワン子が餌付けされかかってる…」

「モモ先輩と戦えるなんて、凄い先輩ですよね」

「とにかく技が多彩で面白い。本人も面白いし」

…燕か。燕は何のためにこっちに来たんだか…ただ単に久信さんの仕事のためだけじゃないと思うし…まぁ余計な詮索はやめておこう。

「まゆっちは、今日のパーティーで友達できた?」

「はい!紋ちゃんと電話番号を交換できました!」

「おーやるじゃん!大物を釣り上げたな」

「普通の生徒と交換できてはいないんだね〜」

「はぅ〜ユキさん、それは言わないでください」

「心にグサっと刀が刺さったぜぃ」

「けど、これをバネにもっと戸も大を増やせればいいな」

「はい!頑張ります!」

アハハハと明るくなっていると、

「僕から皆に報告したい事があるんだけど」

「何だ?モロ、話してみ」

「うん…実は――」

モロが話してくれた。モロが演劇部に入ると。きっかけは前の依頼でした変装…というよりも女装がきっかけとのこと。

これを聞いた俺達は確かにあっているなと思い頷く。俺達はモロを応援した。

クッキーはクッキーで自分の後輩に会ってみたいと言うが、いつもの如く空気を読まないクリスがスイスイ号の事をいい、波乱の予感と言うと、

「なんだよその言い方、僕が揉め事を起こすって言ってるのかよ!!」

「そのキレやすさが問題だ!」

ブルブル震えているクッキーを

「どうどう」

「落ち着いて〜」

京とユキが落ち着かせる。

「フーッ。フーッ…まぁ京とユキが言うなら落ち着くよ…あやうく第4形態を披露する所だったね」

「第4形態…だと…第3までだと思ってたぜ」

それには同意だ。このロボから人型の第2形態、超小さい第3形態…今度は何なんだろうな?

キャップはみたいと言うが拒否するクッキー。それでもしつこくいうキャップに第2形態に変形し、秘密と言う。
さすがのキャップも第2形態のクッキーにはしつこく言えない様子。

ワン子はチキンを食べている。そんなワン子にウーロン茶を出す京。

すると何かを思い出したワン子が話をする。

「あーそういえば…アタシ今朝、多馬大橋で走り込みをしてたのよ!そしたら自転車に乗ったオジサンが後ろから来て、エッチしたいな、エッチしたいな、とかつぶやきながらアタシを追いかけてきたの!!」

「あの橋は本当に変態の出現率が高ぇな…」

ほんと、何であんなに高いのかが不思議だな。

「で、どーした?大丈夫だったか?」

「九鬼財閥の従者が出てきて、レッグラリアートでそのオジサンを川に叩き落してたわ」

「良かった良かった」

レッグラリアート…ねぇ?使う人っているんだな・

「んで、その時に従者の人が言ってたけど」


〜〜回想〜〜


『礼には及びません。今の人は粛正されて当然です』

『もちろん彼は川から引き上げますので、それもご心配なく』

『これからは、九鬼財閥が街の治安をより良くしていきます。これもミス・マープルの偉大なる計画、第一歩…』


〜〜回想終了〜〜


「だって!ミスマープルって何?」

「人名だろうけど…偉大なる計画ってなんだ?」

「武士道プランのことだろう?」

何かすっごくいやな予感がするのは俺だけか?…マープルねぇ…なーんか爺ちゃんの知り合いにそんな人がいたような…確か星のなんとかっていう異名みたいなのがあったきが…まぁいいか。

「それにしては何かひっかかるな」

「ふーっ。忘れなくて良かったわ!」

「ありがとなワン子。そして無事で良かった」

俺達はワン子の頭を撫で回した。

「偉大なる計画。葉桜清楚が正体を伏せている謎。松永燕のいきなりの出現。
なんだが、モヤモヤしている案件は全てつながっている気がしてならない」

大和がそういうと俺を含た皆が大和をニヤニヤと見ていた。

「やっぱりお前は、那須与一とお似合いだわ」

「なっ!?」

さっきの発言はかなり中二的だったからな。ガクトが言った事に頷く俺達。

「まだ病気が残っていたか、再発したか…」

「お、おおおお俺はあくまで可能性をだな…」

「あっはははは!動揺しているってことは自覚あるんだね〜」

グサッ!

「ぐはっ!」

「全てつながっている、とかその台詞を言いたいんでしょ」

「うっ!」

グササッ!

大和が胸を押さえる。

「や、大和…実はな…」

俺は録音機を取り出す。

「お前が与一を説得に行くって時に、お前の制服に盗聴器を忍ばせてもらった」

「ま、まさか…」

「くくく…そのとおり。お前が屋上で与一に言った中二の台詞が全てこの中に!」

「それをよこせ!」

「モモ先輩パース」

ヒョイ

「ほっほぉ?この中に今の弟が言った言葉が…」

「ね、姉さん!渡してくれ!」

「断る」

「こ、こうなったら力づくで!」

モモ先輩に飛びかかる大和だったが、

「ほい」

京にパスされる録音機。

「くっ、今度は京か!?」

今度は京に飛びつく大和。

パスされる。飛びつく。パスされる。



そのままパスゲームみたいになっていったのであったのさ。






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