小説『真剣で私に恋しなさい!〜転生させられしもの〜』
作者:レイフォン()

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燕との稽古とデート





燕と約束した日。朝、8時に俺は寮を出て、燕の家へと向かう。
といっても、燕にメールで教えられた場所は俺が知っている場所であったため、すぐに着いた。

「あ、来たね。おはよう信也」

「おう、おはよう燕。早いな」

「あははは、洗濯物とかはすぐに終わらせたからね」

「久信さんは?」

「おとんは寝ているよ。夜遅くまで発明してたみたいで、朝食と昼食は用意しておいたから」

「用意周到だな」

燕って、家事できるなら寮に来てほしいかも。寮で普通に料理できるのは俺とまゆっち、ゲンだしな。
京が作ると激辛料理になるから、皆で京には料理させないって禁止令がかかっているから。

「んじゃ、うちへ行こうぜ。昨日のうちに連絡入れてあるから」

「そうだね♪」

「行っていくが…俺の稽古は厳しいぜ?」

「え"…?」

「これでも一応、次期当主だからな。門下生達には一度、俺の稽古させたら…全員、稽古終わった瞬間疲労で倒れたから」

「……マジで?」

「大マジ…まぁ安心してくれ。さすがにそこまではしないから」

「よ、よかった…」

…ちょっと残念だけどな…なんて言えないよな。でも、そのおかげで親父の稽古に浸かれるのはいなくなったからよ

しとするかって当時は思ってたしな。

「とにかく行こう」

「そだねん」

俺と燕はうちの道場へ。





燕の家から数十分後、道場についた。

「じゃあ、そっちに更衣室あるから着替えて着てくれ」

「わかったよん」

燕は持ってきていた体操服の入った袋を持って更衣室へ。

俺は道着に着替える。

数分後、燕が着替えてでてくる。

「よし、柔軟体操してからだな」

「だね。まずは体を温めないと」

そういい、俺と燕は軽く柔軟体操する。





柔軟体操を終え、俺と燕は稽古を始めている。

さすが燕って名を持つだけある。早い、そして、鋭い攻撃をしてくるな。

でも、

「甘いぞ」

ドスン

「うわっと!うわー強烈!(百代ちゃんと同じぐらいの威力だよこれ)」

「そら、次々行くぞ」

シュシュシュシュシュン!

ストレートを連打。

燕はそのストレートを何とか防ぐ。

「ほいっと!」

ストレートが終わり、その隙に燕は強烈な蹴りを繰り出す。

「軽い!」

俺はその蹴りを強烈な蹴りで迎え撃つ。

「うわ!」

道場の端っこまで吹き飛ぶ燕。

「情熱的だね信也!」

「どこら辺が情熱的か分からんが?」

「攻撃が強烈な所が!だよ」

「そう言う事か」

「そう言う事だよん♪ハァッー!!!」

燕が俺に突っ込んでくる。

「こい!」

何度も何度も拳と蹴りを打ち合い、最後には

「うわっと!」

燕が吹き飛ぶ。

「やっぱり、燕はパワー系よりもスピード系…それに戦う前に戦略を考えるタイプだな」

「あっははは…百代ちゃんや信也よりも力はないよん」

「でも、普段腰につけている装備品」

ピクッ

「あれは何か特別な時に使うんだろ?何となく燕が何でこっちに来たのか、分かっているぞ俺」

「…そっか」

「ああ。まぁ俺は気にしないけどな。俺がモモ先輩と戦えないから先輩は敗北をしらん。だから、俺は止めないし、

止めるつもりもない」

「でも、百代ちゃんとは友達…仲間なんでしょ?」

「仲間でも今のモモ先輩は溜まりに溜まった欲求不満がいつ爆発するか分からない…爆弾だ。早急に手を打つ必要があるからな」

「厳しいね信也は」

「武道家として……いずれ道場を継ぐものとしての判断だ」

前の寮の女子風呂の時も古くなっていたのもあるけど、モモ先輩の力が有り余っているからというのも原因の一つだ

から。俺とモモ先輩が本気で戦えば周りが大変になるから結局戦う事はなかったし、仕方ないと言えば仕方ない。

「さ〜て、もう一本行くぜ!」

「いつでもいいよん!」

まぁ、今は燕との稽古だな。









それから数時間後、稽古を終え、うちで昼飯を食べた俺と燕は海底トンネルまで来ている。

「――さて、大扇島にはここの海底トンネルから行くんだ」

「海底トンネルって響き素敵よね」

「確かに素敵には聞こえるが…実際はロマンチックでもなんでもないんだよ」

「??」

不思議がる燕。

「まあ、見ればわかる」

そういい、俺は燕を海底トンネルへ案内する。


[ここは歩行者専用の通路です。自転車は降りて通行してください]


薄暗いトンネルではアナウンスが入っており、それが延々と続いている。

「おお…なんじゃココは確かにロマンチックじゃないね」

「噂では幽霊が出るって聞いたぜ?」

[残り500mです]

歩く度に、出口までの距離がアナウンスで流れる。

「というか幽霊よりも変質者が出そうね。がお―って」

「まぁ、もし変質者が燕を襲ったら返り討ちにするがな」

「あらやだ、かっこいい」

頬を赤くする燕。

「でも、まぁ実際は人通りも多いし、治安はいいぜ?
変質者っていう意味では多馬大橋の方が多いしな」

[残り300mです]

そんな話をしている間にトンネルを抜いて外に出た。






「さて、大扇島に到着だな。まずは…
正面に見えるのが英雄達や義経達が住む九鬼財閥、極東本部だ」

「おわ―っ。でっかいね…凄い凄い
松永納豆に投資してくれるよう交渉しに行きたいナ」

「その前に門前払いされるぜ?」

松永納豆はここでも食べられていると言おうとすると、

「あ、誰か来た」

「何だって?」

燕の声を聞き、そっちの方を見ると、

「なんだ。怪しい奴発見で血祭り確定と思ったら…」

「義経達と同じ学校の方々ではないですか」

メイドだった。

「ども」

「さっさと去れってんだ。タマ切り落としてアゴの下にくっつけんぞ」

…ほぉ?俺にそう言うのか。

「面白いな。やれるもんならやってみろメイド」

ゴゴゴゴゴゴゴ!

俺は殺気を解放するとメイド1は冷や汗をかく。

「じょ、冗談だって…(汗)」

「あ、これ試供品です。よかったらどうぞ、パスタにいれても美味しい松永納豆」

「既に使っています」

俺がメイド1と話している中、燕め、松永納豆を投資するかのようにしているな。

「わっ、ありがとうございます」

「ナットー?NATOなら知っているが」

「ステイシー、九鬼家でも使われている食品を知らないのは雇い主が寛大でも問題です」

「ハイハイ。まーたお説教か」

「ちなみに寛大と問題をかけたんです難題でしたか?」

「…ツマンネ」

ステイシーと言うメイドがそう言うと、

「うっ…精進します」

メイド2はガックリとしていたが成長したようであった。




「まったく、目を離すした隙に納豆を…何かあったらどうするんだ?」

「訓練されたメイドって感じだったね〜」

「まぁ、燕なら勝てるさ」

「そうかな?」

「そうだよ」

ってか、燕が負けるはずないけどな。俺もいたし。





「んでここが大扇島が誇る潮風デッキだ」

暑いぐらいの気温の時に、強い潮風が心地いいんだよな。

「ん〜〜。いい所だね。人もいるけどまばらって感じで。
夜はカップルのメッカって感じだね?」

「まぁ、見える夜景が工場ってのがなんかというか…」

「うん。それは目のやり場に困りそう」

いい所なのに夜景が工場という何ともミスマッチなのが残念だ。

「こっから先には何があるの?」

「わんわん広場っていう犬を遊ばせる所と釣りエリア、バーベキュー場に緑道があるぜ」

「おお、いいねぇ。どこか行ってみよう!」

「そうだな。じゃあ…緑道に行こうか」

そう言って燕の手を引いて連れていく。







――――緑道。

「緑があるし、そこを歩こうぜ」

「うん、そうだね!
ここ春は桜とか満開なんだろうね」

「らしいな。来年は一緒に花見したいな」

「うん、いいねぇそれ!」

話していると、

「ふっ」

「おっとぉ!」

シャシャ!

互いに周りに手を振る。

「互いに」

「蚊を2匹消したね」

互いの周りにいた蚊を風圧で倒した。







――――大扇島・かわかみの浜

大扇島でも目玉スポットの1つ、砂浜に来た。

「ここは潮干狩りが楽しめたり、子供がはしゃいだりとか、他の砂浜と違う点が1つそれは…」

「おっ、飛行機飛んだー!そっか島を挟んだ隣はもう羽田空港なんだ」

「そっ。他の砂浜では味わえない迫力があるんだよ」

燕が喜んでいるのを見て、ここに来てよかったと思う。飛行機が好きとは知らなかったけどな。

「もし遊泳禁止でなければ、色々遊べるんだけどな」

「だね。でも、浜辺でも遊べるものはあるよん」

「砂のお城…だろ?」

「正解!」

俺と燕は完全にやる気になり、本格的な城を作ってしまっている。

「これでもまだまだだよな」

「うん、多聞城(たもんじょう)は発展途上だよ〜」

ぺったぺったと手早く且正確に砂を塗り足していく。

「天守閣をしっかり作らないと話にならないわ」

「ああ。城を作るんだ…天守閣がないと話にならねえな。俺も物作りの血が騒ぐぜ」

カチャカチャ!!

写メの音がし、そちらを見ると周囲に親子連れがおり、砂の城をとっていた。

「好きでっすかわかみ恋のまち〜♪」

「川神市民の歌か。もう覚えたんだな」

「朝も早よかたゴミ収集車が歌流してるから覚えたよ」

「昔から聞いている俺が言うのも何だが…洗脳効果高いだろあの歌」

喋りながら、俺と燕は手を休めず、シャキシャキ手を動かす。

ふと、一組の子供達が俺達の前にやってきた。

「うわー。お城だお城だー!砂のお城だー!」

「ふふ、ほんと、川神の子供は元気でいいねぇ」

「ふふ、そうだな。元気すぎる気もするけど」

俺と燕は子供たちを見て微笑む。

「よーしこの城に攻め込めー!お前いけー!」

「はい!」

「…元気すぎない?」

「言ったとおりだろ?」

若干、呆れている燕。

「何でか知らないが、川神に住む女の子は強気な子が多いという…なんとも不思議な土地なんだよ。昔から住んでいるけど…」

「川神学園見てたら、まぁだいたい分かるけどね。でも、信也は強いからいいんじゃないかな?」

話をしていると男の子がキックを砂の城にかましてきた。

「どうりゃあロケットドリルキック!」

シュ!

「コラコラ城の破壊はさせないぞー」

突っ込んできた子供の足を燕が掴む。

「ウワァ!!助けてくれ!!」

「私の子分を離せー!たーっ!」

女の子は燕に水鉄砲を発射させる。

バシャ!

「わっぷ。みぎゃあーやられたー」

避けられるはずだが、あえて受ける燕。

「よし今のうちにてったいする!」

「わっ、まってよう」

走る女の子に男の子は後を追って去っていった。

「……あれを見ていると大和とモモ先輩の舎弟関係は昔から変わってないなって俺、思うな」

「大和君と百代ちゃんって昔からあんなんだったんだね…ある意味驚きだよ」

俺はハンカチを出して濡れた燕の顔を優しくぬぐっていく。

「ありがと」

さて、城作りの続きと行ったのであった。






…そして、あっという間に日が暮れた。

「じゃあ城の完成をメールで撮影して、と」

「せっかくここまで作ったのを波が崩すのはもったいないな…」

多聞城(たもんじょう)を本格的に作り、ここに一つの芸術品ができたのだが…これが時間が経って波によって崩されると思うと少し哀しいぜ。永遠に残っていればいいのにな。

「まぁいいじゃないの。だからこそ美しいの。よし撮影完了。これ納豆小町ブログにアップしよ」

そのまま、俺達は大扇島を後にした。








俺達は駅前に戻ってきた。

「今日は楽しかったよ信也!稽古も!」

「それは何よりだな。それより、日焼けとか大丈夫か?」

「大丈夫だよ。海の方へ行くのは分かってたからちゃんと対策してあるし、そういう信也だって日焼けしてないじゃない」

俺もの場合は気で防御してたしな。

「じゃあ、また一緒にこうやって遊ぼうね!」

「ああ。今度、行くならどこかも決めておくさ」

「うん、じゃあまたね――――!!!」

俺と燕は別れ、家に帰って行った。






しかし、俺は忘れていたのだ。

「一体誰とどこに行っていたんだ!」

シュン!

「うわっ!?京!やめろ!」

「ウェーイ!」

バシュン!

「うおぉ!?ユキ!?」

「ハァー!」

ガキィィィィン!

「クリスもか!?」

「せやぁ!」

シュン、ガキィィィン!

「まゆっちまで!?」

寮に帰ってきた俺を出迎えたのは4人の手荒い、危ない歓迎だった。

「私の勘が言っている!信也が泥棒猫とデートに行ったと!」

…何でわかるし!?

「恋する乙女に不可能はない!」

「いやいや!ありえんだろう!?」

「気にしない!」

「気にするわ!…うわっと!」

『天罰!』




「うぎゃああああああああああああ!」

寮内に俺の悲鳴が響き渡ったのであった。






なお、この悲鳴を聞いた大和や翔一はというと


『ガクガクブルブル!ガクガクブルブル!』

自分の部屋で布団にもぐって震えていたのであった。

-39-
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真剣で私に恋しなさい! Original Sound Track ~真剣演舞~
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