日常?
さて、いつもの如く、学校へ登校中の俺達。
モロとガクトはきわどい漫画を歩きながら読み、周りに俺達しかいない事をいいことに内容を言っている。
すると、京が言う。
「あれでモてたいと言っているガクトは図々しいね」
「…それには同意だ。あいつも普通にして、興奮しなければそこそこモてそうなのに」
「ほんと…残念だよね」
根はいい奴なんだから、大事な場面で興奮して、血迷った目をしなければいいのにな。
クリスは眠そうに歩き、欠伸をかいている。どうやら夜遅くまで大和丸のDVDを見ていたからのようだ。
多馬大橋に入ると、
「リンリンリリン♪ふぁいっとー」
「いっっっっぱぁぁぁーつー!」
何やら華やかな人達が現れた。
「先輩方オ――ス!!」
ワン子が体育系の挨拶をする、
「おはよう、朝から納豆食べてるおかげで私は元気」
「朝一販促だ」
「おはようございます一子様」
「ワッ。アタシ貴方に自己紹介したっけ?」
「川神学園生徒のデータは全てインプットされています」
スイスイ号の言葉を聞いてワン子は驚く。俺も驚いている全てって…流石九鬼財閥。
「おおう、さすが九鬼製自転車…ひと味違うのね」
「女子生徒を乗せるとむやみにサドルを上下に動かしたくなります」
「おいおい…(どうして九鬼が作るAIは変なのが多いんだ?)」
「ん、何か言った?」
しかも、清楚には聞こえてないみたいだし。
「いえなんでもありません」
「先輩達仲いいですね」
「うん。図書室でお友達になったのよ」
「今は私が清楚を見つけてひらりと飛び乗ったのサ」
燕の話を聞いた大和が燕に言う。
「松永先輩と違って葉桜先輩は文学少女なんだから、派手なアクションは勘弁してあげてくださいよ」
「問題ありません。私がついています」
スイスイ号を見る燕の目の色が変わる。
「この自転車凄いね。オークションでいくらになるだろ」
「恐縮です松永様。ですが出品はしないように」
「まずは自転車が喋る事に驚いて欲しいものですが」
「うちのおとん技術者だから。少しは慣れてるの」
…そういえば、前にそんな事を久信さん自身が言ってたっけ。
「褒められているねスイスイ号」
「女性に褒められると照れますね」
「ん、この自転車…スイスイ号っていうんだ」
「うんっ。なんかね、サラッとその名前が出てきたの」
「(…)」
…燕の清楚の正体が気になるのか。
「どうしたの燕ちゃん…おっ?」
清楚の視線が漫画を読むモロとガクトに。
「ねぇねぇ君達は何の本を読んでいるのかな」
「えっ!?あっ、す…すみません漫画です」
声をかけられたモロとガクト、モロは漫画を閉じた。
「じゅ、純文学じゃなくてごめんなさい見捨てないで!」
次第に壊れていくガクトに
「テンパって言動が怪しいぞ落ち着けガクト」
大和が冷静に指摘する。
「私は漫画好きだよ。どれどれちょっと読ませてくれる」
モロの手から漫画を取り、ページをめくる清楚。
「へぇ〜女の子が皆、可愛いねーいいねー」
…清楚はこういった本は平気なんだな。
「ねぇ信也。清楚が誰のクローンか見当つけてる?」
清楚を見ている俺に燕が声をかけてきた。
「…名前の読み方…頭のヒナゲシ…そして、自転車のスイスイ号と言う名前…1人だけだったら心当たりあるが…信じたくないな」
「……そっか。私も何となく清楚の正体が―――だって信じたくないかも」
「…今は憶測だし、今は忘れよう」
「そうだね」
俺と燕が話をしていると、
「信也君。燕先輩。おはようーっ」
「お二人ともおはようございます!」
「燕、八神、おはようで候。いい天気で候」
「おはー!」
「おはよう!」
歩いていく生徒達に挨拶をされる。
「燕も人気だな」
「信也だって皆に挨拶されているじゃん」
「まぁそうだけどな」
…転入してきてまだ一週間たってないからな燕は。凄い人気だぞ。
そして、俺達は人間学の授業を受け、昼休み、クマちゃんが携帯コンロでカニと野菜、それに何故か持っていた肉を入れて煮ている。
「水の中にちょろっと川神水をいれるのがポイントさ」
食通のクマちゃんは食べ物にはこだわる。
教室でする鍋ってのも新鮮だな。
食べていると義経や弁慶、それに不死川などが来て、貴族が認めるほどクマちゃんの鍋は美味かったと言う事であっ
た。
そんな中、
「ハーイ、エブリバディ。校内放送の時間だぞ!
もし、生まれ変わるなら土地神様になって毎年9歳の生娘を生贄に求めたいと思います井上準です」
準とモモ先輩の放送が始まった。
「ハーイ川神百代です。人に迷惑かける土地神ってただの邪神だと思います、川神百代です」
「いやぁ妖怪なんだから人から恐れられてないと」
「そんなのはどうでもいい。
ハゲお前女の子は愛でるものと言って、生贄とかついに本性を現したな」
「俺が引き取って幸せに暮らすんです!で、大きくなったら村に返す!完璧なシステムです!」
……普通ならそこは返さないけどな。
「…ハゲは放っといて今日は皆に紹介したい商品がある
それは…これだ!関西よりの刺客、松永納豆!川神院でも松永納豆に切り替えるぐらいお勧め!」
…モモ先輩、燕の事を気にいったようだな。よかったよかった。
そして、その日は京と一緒に弓道部に出て、射て終わったのであった。