小説『真剣で私に恋しなさい!〜転生させられしもの〜』
作者:レイフォン()

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四天王とは





――第3者SIDE――


ある日の夜。

本屋の店長が川神学園の前を通りかかっていた。

「へへへ今日の釣りも、なかなか大量だぜ…俺のテクも捨てたもんじゃねぇな!
明日、バンダナと焼き魚でも食うか」

店長の肩からクーラーボックスが掛っており、クーラーボックスがいっぱいになるくらいの量の魚が入っている。

「あん?なんだ学園前にエラく高い車がとまってんな」

店長は学園前に止まっている車を見て歩くのをやめる。

「すみませんこれより先は立ち入り禁止です」

そこへ桐山が現れ、厳しい目で店長を見る。

「別に入る気もねぇわ、バッキャロー」

それを聞いて桐山は離れる。

「(まったく…川神は街自体が怪しげだが、
この学園はその中でもトップクラスに怪しいな)」
店長はそう思いながらも学園の前から去って行った。




そんな学園の屋上では3人の男が集まっていた。

「ん〜…紫陽花の匂いがするな…梅雨の季節だ」

「雨は降りそうかい?降ってもらわなきゃ困るが」

「くんくん…安心しろ。水不足にならん程度には降るな」

「便利な鼻だな、相変わらず」

「すまんのうナベわざわざ博多から来てもらって」

ここにいる男達は、

天神館館長、鍋島と総理大臣こと総理、川神院総代兼川神学園学長、川神鉄心だ。

鍋島と総理は鉄心の愛弟子である。

「川神院にある古酒を飲ませてもらえると聞けば、腕に覚えがあるものなら、地球の裏側からでも来るぜ。…潜在能力が引き出されて強くなるんだろ?」

「相当オヒレがついてるのぅ。まぁ飲んでみぃ」

そういって、グラスに酒を注ぐ鉄心。

「…ゴクっ…おお味わい深い…苦みがクセになりそうだ」

「ほれお前も。酒が目当てできたんじゃろ」

「あちがとさんよ。……ごくっ…ぷっはぁぁぁ〜くあ〜〜こいつはうめぇや。肴にエイヒレが欲しいわ」

2人は飲んだ酒の感想を言う。満足しているようだが、

「…ごくっ…うん。確かに極上の味はするが…ただの酒じゃねぇか。匂いもそれしか感じねぇ」

「ホホッ。さすがに見抜くかその通り。強くなったと勘違いするのは酒がまわって体が熱くなっただけじゃ」

「まぁ楽に強くなれるわけがねぇやな」

「師よ今更俺達弟子にそれを教えようというのか?」

「まさか。その酒やるから相談に乗ってほしいんじゃよ」

鉄心は先ほどまでよりも真剣な表情で本来の目的を言う。

「爺さんにも悩みなんてあったんだんなぁ」

「武道四天王、メンバーをモモ以外、一新せにゃならん
なんか心あたりないかのぅ」

鉄心がそう言ったのを聞き、総理は不思議がる。

「あれ?他の3人どうしたんだっけか」

「3人は引退を表明しとるんじゃ
九鬼揚羽は財閥を継ぎ、鉄乙女は教師に…
そして橘天衣(たかえ)は軍に入ってしもうたからのぉ〜」

「フム。四天王は次代を背負う者に与える若獅子の称号」

「空席にするってわけにもいかねぇわな」

「俺も昔はその1人だったな…懐かしいモンだ」

鍋島は昔を懐かしがるかのように空を見る。

「新しい3人の武道家を選出せねばいかんのじゃ」

「それは確かに悩み所だ。先代は、天衣以外の2人は特に強かったな」

「彼女達の代わりとなると、そうそうおらんじゃろ?
1人は剣聖黛十一段の娘でいいと思っとるが、調べたら天衣倒しとるし」

剣聖黛十一段と聞き、笑顔になる総理。

「異議無し。あいつの娘なら将来性も充分だろう」

「同じく。娘を見たがあれは伸びる匂いがしたな…うちの切り札である石田を倒した義経は?」

「義経は偉人じゃから同格には扱えぬのう…武士道プランについては九鬼家もうるさそうだからの」

「となると、そうだなもう1人適役がいるぜ。松永燕だ」

「ほう。ワシの思ってる事と一致したわい」

鍋島の言った2人の人物に反応する鉄心。

「俺は知らない名前だな。どんな娘と子だ?」

「…昔の言葉を借りて例えるなら
川神百代が雄武を以て傑出しているとしたら…
松永燕は軍法戦術に妙を得ているといえよう」

「ほーそんな人材がいるのか」

「あれで公式戦は無敗だからな」

鉄心は燕の事を聞き、

「儂も1人いてのぉ…四天王候補」

「ほぉ?黛以外にこっちには候補いるのか?」

鍋島は鉄心に聞く。

「うむ。じゃが、あやつはあまり目立つのが嫌いじゃしの」

「誰なんだぁ?」

「…八神信也」

鍋島は八神と聞いて反応する。

「おいおい、八神ってのはもしかして…」

「そうじゃ。今は亡き、八神博和の孫じゃ」

「! おいおい、八神博和って」

「そうじゃ。かつて、儂とヒュームのライバルじゃった奴じゃ」

鉄心から聞いた名に2人は驚く。

「あやつは……信也は博和を超えている」

『!?』

祖父を越えたと聞いた2人は先ほどよりも驚き、声が出ない。

「あの…剣帝・八神博和をか!?」

「おいおい、マジかよ!?」

「うむ……あやつが本気、もしくは強さの一部を見せればいいのじゃがのぉ…」


――第3者SIDE OUT――





その頃の信也はと言うと

「「はっくしゅん!…失礼(すまねぇ)」」

電話をしていた俺と燕は同じタイミングでクシャミをしていた。

「さて、燕、何か聞きたい事があるのか?」

「うん。信也さ、期末試験直前だけど、美術展にいかない?」

「美術展…あぁ、そういえば燕はそういうの好きだったな。いいぜ」

「って、即答!?勉強は大丈夫なの?」

「俺、基本、勉強しなくてもいいし」

「…それ、嫌味!?」

「くくく!」

電話越しにブゥブゥと言う燕が浮かんだ。

「で?その美術展はどこのだ?」

「恋する遊び島、百景島の近く。お隣の七浜市だね」

「なるほど。そこが終わったら百景島に行こうと?」

「うん。百景島に行ってみない?私言った事ないんだよね」

「わかった。案内しよう」

「じゃよろしくっ♪」

そう言って電話を切る。




電話を切った俺も、

「ふっ……またデートか。京達とは全然デートはしないからな…身の危険だし。こうやって女性とデートは別の意味でドキドキかもな」

デートが楽しみだな。

-42-
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