松永家に…いきます
今日は水上体育祭直後の日曜日。
期末が近いので俺は簡単に勉強している。
まぁ前世は一応大学生だったからな……今更高校の勉強は苦じゃない。
それに、来週は燕とデート?だしな。今のうちの勉強しておかないと。
「まぁ…こんなもんだな」
パタン
ノートと教科書を仕舞い、居間にでるとそこでは京がクッキーを拭いていた。
クリスは昨日の疲れもあるせいか…クマのぬいぐるみを抱えて机で寝ている。
ユキは手にマシュマロを持ちながら眠っている。
まゆっちはクリスの隣で松風を目の前において寝ている。
「信也も勉強が一段落ついたの?愛してるよ」
「友達で。勉強はまぁ、簡単に終わらしたよ」
新聞を見ていると、後ろからクッキーの笑い声がした。京の拭き方が上手いからだな。
「あ、信也。お茶を入れようか?」
「いいよ。京にゆっくりと綺麗に拭いてもらいな。俺は散歩に行ってくるから」
『行ってらっしゃ〜い』
2人に見送られて、俺は外に出る。
〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜〜♪
多摩川・堤防近くを歩いていると義経を見つけた。どうやら笛を吹いているようだ。
俺は目を閉じて笛の音を聞いている。
う〜ん、いい音色だ。心が癒されるな。あいつ、制服って事は今日も決闘してたのか。
そう思っていると
「しゃあっ!源義経だな!俺と戦え!」
……無粋な奴だな。目を開けると義経に詰め寄っている。
「あ…すまない。順番があるからそれを守ってくれ」
それを聞き怒った表情をする男。
「なにっ!だが俺はもう戦うと決めてるんだ。残念だけどお前は腹をくくるしかないんだ」
「そういうわけにはいかない」
「問答無用っお前の負けた姿をブログにアップしてやる」
そう言って男は義経に飛びかかるが…
「アホが」
俺はその場に落ちていた小石を拾ろい、投げる。
ドスン!
「うごぇ!?痛ってぇ!?」
小石は男の頭部に当たる。
さらに、
シュン!ドスン!
怯む男の服に矢が刺さり、木に縫いつける。
「えっ!?」
与一の狙撃か。
「与一ありがとうっ。怪我もさせてないし見事だぞ」
俺は義経に近寄る。
「あいつ…学校の屋上から狙撃したのか…さすがだな」
「あ、信也!もしかしてさっきの小石は…」
「俺だ」
「信也もありがとう!」
「どういたしまして」
――――学園屋上
「ま、一応主君は守らないと姐御がうるさいからな…夕方はいわゆる逢魔ヶ刻…危険な時間帯だ。一面赤の世界は、人の心を惑わせるからな」
俺はその後、義経と軽く話をし、散歩を再開する。
商店街を歩いているとモモ先輩と燕を発見した。
「2人して何してんだ?」
「なんだ信也か」
「モモちゃんに近所の裏情報知ってて面白んだ」
「そりゃあ、あれだけファンに美味しいものを奢ってもらってたら知っているだろうな」
「お、おい!」
「事実じゃん」
「お〜ま〜え〜は〜!」
シュン!
モモ先輩がストレートを繰り出してきた!
「ほっ!」
俺はそれを避けた!
「ちっ、簡単に避けるな!」
「だが断る!」
「ふふ…モモちゃんと信也、面白いね」
俺とモモ先輩のしている事を見ている燕は笑う。
「いつもの事だよな」
「ああ。弟は簡単に捕まるがこいつは捕まらなくてな…やりがいがある」
「俺としては面倒だがな」
「信也は何をしているの?」
「散歩だ。期末の勉強も一段落ついたから息抜きに」
「そっか。私も期末の勉強を終わらせて、それからモモちゃんに案内してもらってたんだ」
俺と燕が期末の話をしていると、
「フタリハイッタイナニヲハナシテイルンダイ?」
あ、期末って聞いてモモ先輩が壊れた。
「モモ先輩もいい加減、勉強したらどうだ?少しは変な知識だけじゃなくてちゃんとした知識をだな」
「あーあーあ!聞こえない!聞こえないぞ私には!」
……だめだこりゃ。
「こういうのは普段からコツコツやらないとな燕」
「そうだねん」
「モモ先輩もそう、すればいいのに」
「Zzz…Zzz」
あ、寝たふり。フフ…だったら…
俺は指を前髪のクロス部分に触れる。
「うわぁ、だからそこやめろよー」
拒否反応が起こる。
「フフ…そうだ。私の家すぐそこだし、ちょっとよってく?」
「おっ、いいのか。それは是非とも」
「俺もいいのか?」
「もちろんだよ」
俺とモモ先輩は燕の家に。
――松永家
「おぉ…ここが燕の部屋か。なんかいい匂いする」
「同じく。鼻が良い分余計に」
「流石の私もいきなり机はあらさないぞ、どや!?」
「それ、常識だぞ。他人の机をあらすのは駄目だろ」
モモ先輩と話していると燕が飲み物を持ってきてくれた。
「麦茶だよん。納豆は入って無いけど愛情はいれておいた」
そう言われ、俺とモモ先輩は美味しく頂いた。
その後、色々と話をしていると、
「ズビ、ズバァ!ズビ、ズバァ!!っと、へっへっへ、ひっく、燕ちゃん、帰ったで〜」
久信さんが帰ってきた…酔っぱらった状態で。
「やだ、おとん夕方から酔ってるの?」
「うーん。だってだって九鬼の人達に飲みに誘われてさ…そりゃ断るわけにもいかないでしょう、うぃーっく大事なスポンサー様だもんねーっ…ん?」
久信さんの目がモモ先輩に向く。
「こんばんは。お邪魔してます」
「ども、久信さん」
「あー。川神百代さんじゃないですかどうもどうも。娘がいつもお世話になってまーす…ふふ…」
…久信さんの目線が百代の胸にいっている。
「すっごいおっぱい大きいんだね、けしからんねこれ」
…そんな事を燕の目の前で…死んだねコレ。
「こらおとんっ!ボディ!」
ドスン!
「おふっ!ナイスフック!」
言わんこっちゃない。
「ごめんねぇおとん酒癖悪いから…」
「凄いな酒癖…俺の父さんよりも酷いな(いや、父さんの方が凄いか?酒飲んで酔ったら…普通に刀を俺に向けて振りかざしてたし…)」
「げほっ、ごほっ、わ、悪かった燕ちゃん」
燕は久信さんを引っ張りながら洗面所に…。
「ちょっと頭冷やすよ、ほら洗面器に水溜めてあるから」
「あぶっ、がぼぼぼぼぼ…!ごほっごほっ、ごほっ、ありがと目が覚めたよ」
「も―お客さんの前なんだから頼むよホント」
「反省してます。ようし、威厳あるとこ見せるぞ」
久信さんはそう言って玄関に一度戻る。
「威厳を見せるのは…もう遅いよなぁ…」
百代は呆れていた。
そうしている間に久信さんは戻ってきた。
「改めまして松永久信です。さっきは失礼しました。川神百代さんですね。信也君もこの間ぶり」
「どもです久信さん」
「川神百代さん、これからも燕ちゃんと仲良くしてね」
「こちらこそ。九鬼で働かれているんですか?」
あ、あのモモ先輩が…が敬語を使った…だと?
「うん、技術者としての僕の腕を買ってくれてね。色々と発明品を作っているんだ。おかげで借金も返せて生活には困らない」
「発明品…ねーちゃんによりモてるようなのあります?」
「そんなのあったら僕が使ってるからね」
「ま、これであとは名を揚げるだけだね」
「あ、そうだね。副業の納豆も定着してきたし…ここで敗者復活戦でまた株も面白そうなんだけど」
…そんな考えしてたら奥さん、いつまでも帰ってこないんじゃね?
「今度やったら娘も出て行くけど?」
「なんて言われたら勝負に出られないなぁ」
「な、なあ…そんなに大変だったのか?」
もも先輩が燕に聞いた。
「寝てたらおとんの悲痛な叫び声が聞こえてきてさ…トラウマ」
燕は少し暗い表情をする。
「だって1日で暴落したんだもん…怖い怖い
でもだからこそ、株みたいなのはうまくいった時は射幸心が満たされるんだ…」
「そんなものはいらないの!」
「てか、1日で暴落って…どんだけ株の才能ないのよ、久信さん。俺や大和…あー俺の幼馴染も暇つぶしにやった事あったけど、成功したぜ?」
「そういえば、お前等、小学生の頃、父親の名前でそんな事してたな」
グサッ
「うぐぅあ!わ、分かってる。僕は心を改めたよ。父である僕を信じて」
「ハイハイ」
ふふ、いつもの燕に戻ったな。
「…まぁ御覧の通り母親不在の家だからさ。家には常に空きスペース。いつでも遊びに来てよ」
「はい、ありがとうございます」
「信也君も暇になったらいつでも来てね。大歓迎だからさ」
「わかりました」
その後、俺とモモ先輩は燕や久信さんと話をして、家を出て、俺はモモ先輩と別れ、島津寮へと戻っていったのであった。