小説『真剣で私に恋しなさい!〜転生させられしもの〜』
作者:レイフォン()

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若獅子タッグトーナメント




風鈴市から数日後。今日は期末考査の結果は出る日である。
成績優秀者は、掲示板にはりだされる。

「1位葵冬馬…2位九鬼英雄…3位武蔵坊弁慶…か
さすがに言ったことはやり通すね」

「6位源義経…9位那須与一…か、流石だなぁ」

「3人ともきっちり10位以内に入ってくるとはね」

「まぁマルさんは4位だけどな!」

「京も21位じゃない。ユキも21位だし」

「クク…信也は20位。ぴったりと寄り添うの」

「偶然だよ〜」

廊下には俺達がいて、掲示板を見ていた。…にしても、この2人は本当に狙ったかのように俺と順位近いな…恐ろしい。

「さて、ついでに3年生のも見に行かないか?」

「いいな。俺、いくぞ」

俺と大和は3年生の廊下へと向かう。



―――3年生の廊下

「げっ…2位・京極彦一 3位・松永燕…」

「あははは!燕は3位で清楚は5位か。入ったばっかりなのに流石だな2人とも」

俺が驚いていると

「ふっふっふっ…どう信也?」

俺の背後から燕が現れる。

「燕。凄いな」

「信也だって20位じゃない。ぴったり20位って狙ったの?」

「…いやいや〜偶然だよ(何となく20位くらいでいいと思って手を抜いたけどな)」

と、思う俺である。俺は携帯の時間を見る。

「おっと。大和、燕、そろそろ…全校朝礼だし、グラウンドに行こう」

「おっー!」

「だな」

俺は2人と共にグラウンドへ。




――グラウンド

今日は水曜日なので定例の全校朝礼。

だが、いつもの朝礼と違う光景が広がっている。

カシャカシャ!

グラウンドに各テレビ局や取材が来ていた。何故だろうか?

生徒達はソワソワしている。そこへ学長が出てきた。

「さーて楽しい夏休みは目前じゃのう皆。生水には気をつけて昆虫採集や河原遊びをするんじゃぞ」

…いつの時代の話をしているんだ学長は。他の生徒達が呆れてみているぞ。

「さぁここからが本番。テレビよくとっておくんじゃぞ」

学長がそういい、テレビ局の人間に目配りをする。

「さて夏といえば祭じゃが…今年はデカイのがあるぞい
川神院の恒例行事として8月に川神武道会を開催しているのは、知っての通りじゃ」

学長がそう言うと、川神に住んでいる殆どの生徒達が頷く。

「今年も普通にコレ普通にやろうとしたんじゃ、が!
せっかく義経達も現れた事じゃし今年は特別!規模をでかくしてやってみようと思うんじゃ」

ザワ…ザワ…ザワ…

周囲がザワつきはじめたな。

「なるほど…TVはその発表会ってわけでありんすね」

「派手なのは嫌いじゃないわ!でも予算ってどこから出るのかしら」

「気になるわね。大きなイベントをしたから経費がなくなり学校の施設や行事の規模が縮小なんてのは、勘弁してほしいよねぇ」

「案ずるなお前達。スポンサーは九鬼財閥だ」

…なるほど。九鬼がスポンサーなら問題ない。けど、なーんか…裏がありそうだな。まぁ気にしないでおこう。

「おお…それを聞いて安心しました、さすが紋様!」

「ではどんな武道大会になるかというとじゃなっ!
みんなー!気になるか――い、ん、ごほっゴホゴホッげほっ、げほげほっ」

はしゃき過ぎで咽る学長。…年を考えないと。

「は、はしゃぎすぎですヨ!ダイジョウブデスカ総代」

背中を叩かれ、咳を止める学長。ルー先生も呆れてみている。

「ごほんっ気を取り直して…ワシはこの大会の事を…若獅子タッグトーナメントと名付ける事にした」

…若獅子…だって?それって確か、四天王の称号の別名のはずだったよな?…そうか。乙女さんに揚羽さん、橘天衣さんは引退するからか。…これって、燕がこっちに来たのにも関係しているんじゃね?多分だけど。
あ、ちなみに何で俺が乙女さんと揚羽さんと知り合いなのかと言うと…2人とは戦ったこともあって交流があるからさ!

「若獅子…」

「タッグトーナメント…」

「シングル系じゃなくてペア系で戦えって事か?」

「ただ武を競い合うだけではない…こんな時代だからこそ、大会のテーマを“絆”にしたくてのう、
ペアという縛りをつけたのじゃ…自分が信じたペアと勝ち進んで欲しいぞい」

「日時は8月2日、場所は七浜スタジアムで行われまス」

…8月2日か…今から約10日か。

「8月2日か…結構早いんだな。犬、知ってたか?」

「普通の武道会にはしないって事だけは聞いてたわ」

「スタジアムか…隣町でやるんだね」

ワン子・クリス・京がそう言う話をしている。

「では詳しいルールについてスポンサーの九鬼財閥から説明がありまス」

ルー師範代がそう言うと、横からヒュームさんとクラウディオさんが出てきた。

「それでは私達が説明を引き継ぎます」

「はじめに大会の参加資格についてご説明します。
日本全国、世界各地から参加者をひろく募集しておりますが…参加資格は25歳以下の男女とさせて頂きます」

「若く才気溢れる武道家の発掘は九鬼としても望む所。
いずれはその力を九鬼のために役立てて貰いたい…そういう理由で私達はスポンサーになりました」

「大会に若獅子の名がついているのは以上の理由です」

「刀剣類は峰打ちかレプリカならば使用を許可します」

「銃火器は専用の弾を支給致しますのでお使い下さい」

「さて、ここからが実際の試合のルールです」

「2名の選手は、互いにリングの上に登って頂き…」

「2対2で戦い合い」

「どちらか片方でもKOすれば勝ちとなります」

「なおリングアウトも10カウントで負けです」

「補足するが、テーマが絆とはこういう事じゃ。きっちりと相方を補佐せねば勝ち上がれぬぞい」

2人の説明に補足を入れる学長。

「このルールを活用すればいわゆる大物食いも可能になると思います」

「なにせ、どんなに片方が強くても、相方が負ければ終わりなのですから」

2人の説明をザワついていた殆どの生徒が熱心にルールを聞いているな。まぁそれだけ聞く価値があるという事だな。
それにこの土地は武士の血を受け継ぐものが多いしな…出る気満々じゃねえか。
まぁ俺もその1人だが。

「さて、ではこのトーナメントを勝ち抜ける者に与えられる権利は何か…それはまず1つ…絶大な名声…そして」

「スポンサーの九鬼から様々な贈り物があります」

「若者に大金は毒でしょうから…現物支給となります」

「支給される現物はWEBに一覧をアップしておきます」

「きっと満足される事でしょう…そしておまけに」

「九鬼財閥での重役待遇確約証文もおつけしましょう」

「また、大会を優勝した者達には武神・川神百代と決闘する権利を与えちゃうヨ!」

それを聞いてざわっとどよめく生徒達。俺はでるとしたらだれと出ようかな…たまにはファミリー以外の人と組むのもいいかもな。

「ふっふっふ…まぁそういうことだな。
誰が勝ち抜いてくるか分からんが楽しませてくれよ!」

「もちろん、当日はテレビで中継されます」

ヒュームさんの言ったことにテレビ局のアナ…雪広アナが答える。

「はーい!私達が担当しまーす」

「戦闘に参加しない人達も見るだけで面白いと思います。
是非スタジアムに足を運んでください」

「観客の安全は九鬼家と川神院が保障します」

「審判もマスタークラスの凄腕が行います。選手達は存分に暴れてください」

「なお、ペアですが先程の規約を満たしていれば、組み方は自由にどうぞ」

「男女であろうと女性同士であろうと当日は平等に扱いますので悪しからず」

「参加者は多いだろうから午前は予選、午後は決勝…そんなスケジュールで行くと思うヨ、よろしくネ!」

「―――はい、テレビの前の皆様お聞きになりましたか?」

この説明も既に、テレビで全国、全世界に流れている。
これは荒れるぞ…日本も…世界も…。






―――天神館


「若獅子タッグトーナメント…か」

「これは…名誉挽回のチャンスではないか」

「まさしく!こんなに早く好機が来るとは」

「島の旦那は出場資格チェックで弾かれそうだ」

「それがしは皆と同じ歳だと何度言えば分かる!」

「…がいけんがそんなんだからじゃないの?」

「言えているな」






―――松永家


「家名をあげる大チャンス、キタ―――!!!
タッグマッチとは予想外だけど…(頼むよ、燕ちゃん!燕ちゃんなら大丈夫だよね!)
こうしちゃいられないや…平蜘蛛の調整をしよっと」

「…これに信也君も手伝ってくれたらいいけどね〜無理かな…」





―――九鬼財閥ビル

「あー、もうTVを消しな鯉」

「かしこまりました」

「嘆かわしいねぇ…お子様の我が儘にも困ったものさ」

「義経達の実力を見せるには丁度いいと思いますが?」

「それはどうだろうねぇ…ま、成り行きを見守るまでだ」

「何かあれば何なりとご命令を下さいマープル。私は貴方の忠実なる僕なのですから…」





―――川神商店街

「今の見てたかよアミ姉」

「バッチリさね。ふっ…タッグトーナメントか」

「ヒャッハーこいつは稼ぐチャンスだぜー!」




―――中国、深山の幽谷 梁山泊

「うはっ、面白い大会をやるんだな」

「出たいけど、私達はまだ川神に行くときじゃないよ。まぁこの間は別の依頼だったけど」

「今は、出撃に備えて腕を磨いておこう」







信也の思った通り、若獅子タッグトーナメント開催の衝撃は、世界を駆け巡っていった。

―――開催日である8月2日まであと約10日。

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