小説『真剣で私に恋しなさい!〜転生させられしもの〜』
作者:レイフォン()

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問題児の集まりのクラス・・・その名は2−F







多馬大橋から川神学園前まで来た俺達。


モモ先輩は早弁しながら自分のクラスに向かい、俺達も自分のクラスへと向かった。


「八神君、おはよう!」


「おお八神!おはようじゃん!」


「おっはよう!!」


廊下ですれ違う生徒達に挨拶される俺。俺はこれでも色々な部活を手伝ったりしている。その関係で一度でも手伝った部活の部員たちに挨拶される。


「おお、おはよう」


簡単に挨拶を交わしていく。


「信也ってホント顔が利くよね」


「ああ、この学園でモモ先輩の次に人気があるもんな」


「……女子に笑顔で話す信也に嫉妬(メラメラ!!)」


「メラメラ〜〜〜」


……み、京?ユ、ユキ??その黒い嫉妬のオーラが…


「あわわわ!!み、京とユキが怖いわ!!」


京とユキの黒いオーラにワン子が怯えてしまっている。大和達や廊下にいる生徒達も若干怖がっている。


「後で一緒に部活に行ってやるからそのオーラを消せ京。ユキは今度マシュマロをいっぱい買ってやるから…な?」


「ホント?(ウルウル)」


「いいの??(ウルウル)」


俺が部活に一緒に言ってやると言ったら京から黒いオーラが消えたのはいいが……熱い視線がいつも以上に……それにユキはユキで俺を京と同じように熱い視線で見てくる。


「ああ、本当だ」


「うん(フフフ……やったぁ!)」


「わぁ〜〜い!」


……今、京が内心でガッツボーズを取った気がした。


とまあ、こんな会話をしていると俺達のクラスに入って行った。


ワン子が先に入っていき大きな声でクラスのみんなに挨拶をした。それに続き大和達もクラスに入って行った。俺もそれに続きクラスに入る。


「あ!八神君、おはよう」


「おう、小笠原おはよう」


俺に挨拶をしてきたのは小笠原 千花。当クラスのアイドル的な存在で人気が高いのだが、その理由の一つとして、ワンコや京も人気に関してはクラス内で上位に位置する。無論、それにはワン子・京・ユキも入っているが、ワン子は誰とでも分け隔てなく付き合い、京は俺達仲間以外とは話をしようともしないし、ユキも京と同じではあるが、S組にいる葵冬馬と井上準……冬馬と準とは仲がいい。
俺もこの二人とは仲がいい。ユキと同じ日に知り合って友達になった。まあ、そのことは後に語ろう。


俺は小笠原と軽く話をして自分の席に座ると、


「八神ちゃん。おはようございます」


「委員長もおはよう」


この背の低いのは甘粕 真与。この問題児の集まったF組のクラス委員長だ。ある一部の趣味の男たちに好まれている。委員長は小さな体を精一杯使って出来の悪い俺達に世話を焼いてくれている優しいこのクラス随一の良識人である。


「あ、八神君おはよう」


「おお、クマちゃんおはよう。朝から食っているな」


この巨漢は熊谷 満。このクラス一の巨漢で、大抵は何かを食べている大食漢で美味しいもの関しては誰よりも詳しい食の情報通だ。皆とどこかに食べに行く時はいつもクマちゃん経由で情報をもらってから行く。そんなクマちゃんは、一定時間何も食べさせないでいると無差別に暴れ回る上に余程の実力者じゃないとその暴走を止められない。ワン子が少し前に止めようとしたがそのパワーで吹き飛ばされたがある。


俺はクラスを見まわす。モロと話している眼鏡をかけているのは大串 スグル。このクラス屈指のオタクと言える。スグルはモロと気が合い、よくネットサーフィンの話をしている。が、夜中までゲームをしているため授業はよく寝ている。


大和の方を見ると、


「ゲンさんもたまには一緒に学校行こうぜー?」


後の席に座るゲンさんに話し掛けていた。


するとゲンさんは、いつもの無愛想な顔で、


「コミュニケーションに俺を入れる必要はねぇ」


「こういうのはクセだから」


「はっ、マメなヤローだ」


大和と話しているのは源 忠勝。俺や大和、キャップにはゲンさんと呼ばれ、ワン子にはタッちゃんと呼ばれている。ワン子と同じ孤児院の出身で今はS組の宇佐美先生が義父となっている。キャップや大和か、俺に風間ファミリーに誘われているが断っているが、ツンツンしていてもしっかり話とかを聞いてくれる所謂『ツンデレ』属性の男子生徒だ。


俺がクラスを見まわしていると、委員長がみんなに言った。


「みなさ〜ん!!先生がそろそろ来ますから席についてくださ〜い!!」


その一言でクラスは慌しくなる。


「まずい、ちょっとそれ僕の漫画!隠して隠して!」


委員長の呼び掛けに直ぐさまモロが反応すると、それに続いて他の生徒も動き出す。


「ワン子、トレーニング器具机にでっぱなし」


「おっと危ない。ナイスアドバイスよ」


大和とワン子の様に、急いで私物を片付ける者もいれば、


「ちょっと、そこのオタク寝てるんだけど」


「スグル、起きんと。鬼小島が来る時間だぞ」


「ウォやべ……夜更かしがたたっちまってな」


小笠原やガクトのように寝ている友人を起こす者もいる。


廊下からツカツカと厳めしい音が聞こえてくる。


「!皆さん!先生が!!」


委員長の合図と同時に、皆が背筋をピシッと正した。


「朝のHRをはじめる」


2―Fの担任である小島 梅子が呼び掛けると、委員長こと真与が直ぐさま号令をかける。


「起立!礼!」


皆が元気良く挨拶する。


「おはよう!着席して良し!出欠を確認する。各自速やかに返事をするように。」


梅先生は教師としては常軌を逸している。百歩譲って持ち歩いている鞭については許せるとしても、それで実際に生徒を叩くところが、先生の凄いところだ。


当たり前ながら、この先生の前で私語をするような命知らずはいない。


出欠を取られると、クラスメイト達はテンポ良く声をあげた。


「ではこれで出欠確認を終了とする」


その直後、


「はぁっ……はぁっ……はぁ、福本育郎います!」


この最後の一人が飛び込んできたバカは福本育郎。写真屋の息子で腕は確かだが、その腕の披露されるのは女子生徒の盗撮だけである。通称、ヨンパチである。


(うわ。今来るとか…アホすぎるんですけど)


(南無阿弥陀仏)


「う、ウメ先生。セーフでしょうか?」


遅刻してきた生徒、ヨンパチが尋ねると、梅先生はピシッと鞭をしならせる。


「げ!?」


「つまりお前は遅刻と言うことだ、福本育郎」


「す、すみませんでした!!」


「理由があれば聞こう」


話の流れで、ヨンパチは梅先生に尋ねられる。


するとヨンパチは焦りながら、


「い、いえ、あの、朝起きたらすごい時間で」


「寝坊というわけだ。情状酌量の余地はないな。教育的指導!!」


バチンっ!!


梅先生の鞭が、ヨンパチに振り下ろされる。


「ギャア!!!痛ぇ!?」


悲鳴をあげるヨンパチを、梅先生は容赦なく叱責を浴びせた。


「痛くなくては覚えん!お前達もよく覚えておくがいい。集団生活を乱すものには、本来これぐらいの罰が妥当なのだ」


他の生徒にも言い聞かせると、彼女は再びヨンパチへと向き直る。


「痛いか福本!痛いのか!?」


「い、痛いです、痛いっ……痛いっ、ハァハァ」


苦痛に耐えるヨンパチの表情には、何故か快楽の色が見えた。


「俗物にならんために、この痛み…その身に刻め!」


しばらくの間、教室中に梅先生の鞭の音が響き続けていた。









十二分に鞭を振り終えると、梅先生はヨンパチを睨み付ける。


「よし、今日はこれぐらいで許してやる」


「……うぐぐぐぐ」


呻き続けるヨンパチに対して、梅先生は言い放つ。


「次に理由なく遅れた場合は、そこに展示されている武具でお前を責め立てる」


「き、気をつけます!」


ヨンパチの反省の態度を見ると、梅先生は他の生徒へと向き直る。


「よし!それでは今週の伝達事項だ。水曜日に朝礼、木曜日に人間力測定。川神一子、復唱しろ」


「はい!水曜日に朝礼、木曜日に人間力測定!!」


ワン子が元気良く復唱する。


それを確認すると、梅先生は小さく頷き、


「よろしい。では朝のHRはこれまで!」


背筋はビシリと立てて、梅先生は教室を後にした。

-5-
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