小説『真剣で私に恋しなさい!〜転生させられしもの〜』
作者:レイフォン()

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トーナメント後





――第3者SIDE――

――武神・川神百代、敗北

この事実は即日、全世界へと報道された。

「――百代ちゃんが?そうか…どれだけの影響がでるか
為替相場をはじめとした世界の動き、要注意だな」

皆、このニュースを聴き、ある疑問を持った。

――武神に土をつけたのは誰なのかと――

そして、その答えとなる人物はTVやネットで放映されていた。
ヒーローインタビューで明確となったのである。

「どうもこんにちは。松永燕です」

全世界に、燕の姿がTVやネットで映る。

「川神百代と戦っての感想ですか…
はい、凄く強かった…というか正直、もう1度戦ったら勝てるか怪しいと思います」

これを見ている人達は、そりゃそうだろう。と思う。

「10に1つしか勝てない勝負だとしても…公式な場での決闘で勝てたのは大きいので、胸をはろうと思います…ハイ!」

皆はよく、武神に勝てたなと思っていると、

「勝因は、色々ありますけど…やはりこれですかね」

皆の疑問に燕はこれを出す。

「松永納豆!!うちで作っている納豆なんですけど
これを食べてるといざという時、粘りがでるんですよね…」

「体にいいのはもちろんなので、
これのおかげでベストコンディションでのぞめたというのも大きいです
これからも、精進を続けていこうと思います…以上、松永燕でした!」

カシャカシャ!

燕に対し、カメラのフラッシュ音が鳴り響く。
松永家と松永納豆の名前は、これ以上ない宣伝効果で各地に広まった。

そして、戦いの舞台となった七浜スタジアムから去ろうとする者達の感想は様々であった。



「川神百代は大丈夫なのか?
あ、気がついた後はピンピンしてる?そりゃ何よりだ
まっ!面白い試合だったぜバッキャロー!!」

百代と縁のある本屋の店長。



「俺は星龍。あの百代を倒せる人間がいるとは」

「なんだか少し寂しいですね…
彼女には常に最強でいて欲しかったと思う反面…
1度くらい負けておくのも良いかと思いますし」

百代の敗北に驚く他の武道家達。

「松永燕の作戦勝ちってところやろな。
ま、もとは西のモンが東に勝ったと考えれば、面白い結果やなぁ」

燕を称える西の武士…十勇士達。

様々な人に衝撃を与えた、タッグマッチは終了となった。





――川神院

百代は、川神院にそのまま搬送されていた。燕の高威力の奥義が直撃した百代であったが、持ち前のタフさで、既に意識は回復していた。

川神院の修行場には信也を抜いた風間ファミリーが揃っていた。

「お姉様…さぞショックだったでしょうに…」

「…モモ先輩…こういう時どうしてあげたらいいのかな」

「無事だったのは何よりだけどな」

「それにしても信也はどこに行ってしまったのだ?」

「そう言えばそうだね」

「どこに行ったんだろう?」

皆は信也の事を探しているが見当たらない。

ここにいる皆はどうやら信也が燕に利用されたと思っているようだ。

そして、

「…色々と情報を分析して…手の内を調べて…」

その中でただ一人、いつもとは違った雰囲気を放つ者がいた。

それは…

「まゆっち?」

由紀江だった。

「相手の感情をかき乱して、いつもと同じ力を発揮させないようにして…勝つ土台をきっちり作り上げてから、いざ決戦に挑む…勝利への一手一手…見事な計算だと思いました。
私は松永先輩のやり方も1つの方法だと思うんです」

そんな由紀江に、

「でもそれは…」

思ったことがあり、モロが何かを言いかけるが…由紀江が言う。

「はい。そのために信也さんとモモ先輩の心を利用したのは、友として許せないと思います。
……松永先輩…次は私がお相手させて頂きます」

由紀江はトーナメントで出した以上の闘気を発している。

「(凄い闘気だ…これがあのまゆっちか…)」

「(トーナメントで見せたあの動き…確かにまゆっちなら燕先輩と戦えるけど…)」

クリスと一子そう思っていると

「おおっ凄い闘気と思ったらまゆまゆか。びっくりした」

回復した百代が現れた。

「あっ、お姉様!」

いち早く百代に近づく一子。

百代は翔一達を見て、心配かけたなと言う。

そんな百代の姿を見た翔一達は次々と大丈夫なのかと聞くが、百代は大丈夫と言う。
そんな百代は翔一達に頼みごとを言う。

それは…

「燕のことな…怒らないでいいからな」

その事を聞き、翔一達は困惑したが、百代の話を聞いた。
燕が悩んでいた事を。

それを聞いて納得していなかった面々も百代が気にしていない事を知ると仕方ないと思い、あきらめた。

そんな微妙な空気の中で、

「…あーなんだ。パーッとメシでも食いに行くか?」

翔一が皆の事を思い、提案するが、

「ふふっ、そういうのは明日がいいな。
今日は反省会タイムだ。1人でいたい」

いつもなら賛成する百代の言葉を聞いた翔一も下がった。

そして、百代は外へ。





その後、川辺近くから百代の叫びが聞こえたとか、聞こえなかったとか。
その百代はランニングを始めたのであった。




それを多馬大橋にいた鉄心・釈迦堂・鍋島・ヒューム……そして、信也が見ていた。




――第3者SIDE OUT――




俺の目の前で、次期四天王の話をしている学長達。

話が終わったのか俺を見る。

「坊主。おめぇは百代といなくていいのか?」

釈迦堂さんが俺に言う。

「えぇ。今は1人でいる方がいいでしょうしね」

「そうかよ」

俺は釈迦堂さんからヒュームさんに目線を変える。

「ところでヒュームさん」

「何だ?」

「……実は頼みがあるんですよ」

「……何だ?頼みとは」

俺は息を吸い、言う。

「“俺と本気で戦って下さい”」

ビリ、ビリリリリ!

俺は全力ではないが、闘気を放つ。

「(ぬぅ!?こやつ、なんちゅう闘気を放つんじゃ!)」

「(すっげぇ。これは爺さん…いや、ヒュームの野郎以上の…)」

「(本当に川神も人材の宝庫だな)」

「…何故だ?」

「俺の爺さんとあんたはライバルで、結局決着をつける前にうちの爺さんが死んだって聞いた。
俺の憧れだった爺さんとライバルだった1人であるあんたと戦いたい…これは武道家として…純粋な気持ちだ」

そう、俺が言うと…

「ククク……アーハッハッハッハッハ!」

笑いだした。

「クククク!本当にあいつの孫だな。あいつと初めて戦った時もそんな事を言われたぞ。
……良いだろう」

「本当ですか!」

「ああ。ただし、お前と松永が旅行から帰ってきたらだ。俺達は今回の事で仕事もあるからな」

「わかりました。では……よろしくお願いします」

俺は学長達から離れ、燕の事が気になり、何となくではあるが…燕と初めて出会った学園の屋上へと向かった。





――川神学園・屋上

屋上に来てみると案の定、燕がいた。

「…あ、信也。どうしてここに?」

「燕の事が気になってな。家のためとはいえ、友達になったモモ先輩を倒したんだからな…気にならないわけにはいかないからな」

「…そっか」

燕は少し、暗かった。やっぱり、今でも自分のしたことは良かったのかと思っているのだろうな。

「モモ先輩もきっと燕が苦しんでいるのには気づいているよ。拳で語り合ったんだからな」

「……あっはは…モモちゃんならあり得そうだね」

モモ先輩の性格を思い出したのか暗かった表情が少しだけ元に戻った。

「とにかく…今日は休みなよ。それで改めて沖縄旅行の事を考えようぜ」

「……うん、そうしようか。私も今日は色々と疲れたしね」

そう言い、燕は屋上から消えていった。

「ん?」

グラウンドを走る燕が、一度立ち止まり、ポケットから携帯を取り出したのが見え、どうやらメールが来たようだな。…おぉ、燕の表情が完全に元に戻ったぞ。モモ先輩が心配するなとかのメールをしたんだな。

「ふぅ……さ〜って、ヒュームさんといつ戦う事になるかね。ま、まずは燕との旅行か…ファミリー以外と行くのは初めてだな。楽しみだぜ」

俺は夕日を見ながら…1人でそう言ったのであった。

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