小説『真剣で私に恋しなさい!〜転生させられしもの〜』
作者:レイフォン()

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手合わせ





翌日、早朝に目を覚ました俺は、庭で適度なトレーニングをした後、軽いランニングをして家で詠服に着替えて島津寮へ行くと、


「ほらマイスター。起きなよ」


クッキーの声がキャップの部屋から廊下に響く。


それに対し、クッキーの現マイスターキャップは、


「やだ!もう朝なんて騙されないぞう!」


子供のような愚図る声が聞こえた。


(……子供かよ……まあ、それがキャップのいいところでもあるか…)


俺は呆れた様子を見せるが、クッキーの方はまた違う反応だ。


「なんだよ、ちょっとは人の言うことを聞けよ、お前お仕置きするぞ!」


「何ぃ、お仕置きだと?」


「そうだよ、僕の言うことを聞かないお前が悪いんだ」


「ま、また電気系の攻撃か?」


「今度は竜巻系だ。運が悪いと大出血だぞ?」


「うぉ、分かった起きる、起きるってば!」


……島津寮の朝は、今日も騒がしかった。と言うよりも寮で竜巻系の技を使うなよな。









朝食をとると、俺は大和、キャップ、京、ユキ、モロ、岳人の6人と共に登校する。


「ふぁーぁ。そこの川辺で昼寝していかね?」


「それ昨日俺も思った」


キャップの欠伸混じりの言葉に、大和が呑気な反応を返す。


俺は慣れた様子で放置すると、キャップは周囲に視線を向ける。


「どこかに同志は…誰か、笛持ってきてる?」


キャップに尋ねられると、京、ユキ、大和、岳人、俺は同じ反応を返す。


「当然。ブリーダーには必需品」


「僕も持ってるよ〜」


「俺も持ってる」


「俺様も。面白いからなこれ」


「俺もだ」


するとキャップは、


「ワン子呼んでくれ」


「じゃあ吹くぜ」


大和の合図と同時に、俺達は全員で笛を吹き、笛の音が周囲に染み渡った。数秒後には、ドドドドドドドドドド!!と物凄い勢いで走って接近するその人物に気付いたモロが、声をあげる。


「さっそく来たよ」


遠くからワン子が駆け寄って来る。


「よんだー?ていうか、おはよー!」


「ようワン子。おはよう」


元気よく挨拶するワン子に、キャップが挨拶を返す。


それに対してワン子は、


「あら、変な意味で有名人じゃない」


「俺が?そうなの?」


ゲシッ!!


「昨日言い忘れてたけど、アンタのせいで牛乳少し無駄になったのよこの!」


牛乳の恨みなのかキャップのことを蹴るワン子。


「いきなり理不尽な理由で蹴るとかどんな教育?」


「川神院的教育は、肉体言語で語るのさ」


「そーいやそうだった。ともかく笛を吹くとすぐ来る習慣は偉いぞ、いい味出してる」


キャップにそう言われるとワン子はご立腹のようだ。


「なによ。アンタ達がそういう風にしたんでしょ」


皆が面白がってしつけたんだとよな〜


「ちゃんと来たんだから、サ、ね?」


何かに期待したような目で見上げられた。


「キャラメルやるよ」


大和がポケットからキャラメルを取り出す。


「それじゃ栄養足らないわよ!肉的なものを出しなさいよ。信也〜何か持ってる??」


何かを期待する眼差しで俺を見るワン子に俺は、


「ふっ、こうなることを予想していたからな……ほら、栄養を考えた俺特性サンドイッチだ。これでも食べて栄養つけろ」


俺は鞄からサンドイッチをワン子に差し出した。


「わ〜〜い!」もぐもぐ


幻に犬耳が見えるほどワン子が犬になっているのがわかる。


「くっ!さすが信也だ!犬の躾け方が分かっているな」


大和は鞄から犬の躾け方の本を取り出して言っている。


そうしている間にワン子は俺が渡したサンドイッチを食べ終えた。


食べ終わったワン子にキャップが、


「ワン子、肉をくれを英語で言ってみてくれ」


「……いんぐりっしゅ?」


ワン子には超難関な問題をキャップが言う。


「ぷ……プリーズ ミート イン マイ マウス フロム モーニング」


「お前馬鹿だよなぁ。恥ずかしいヤツだ」


岳人がいうと、


「あははっ!ガクトに言われたくないわね!」


と言った。続いて、


「馬鹿っぽいなぁ」


モロが


「実に馬鹿」


京が言う。


「……な、何だよぉ……イジメるために呼んだの?」


泣きが入り始めるワン子。


「あ〜よしよし(頭なでなで)」


泣きが入ったワン子の頭を撫で、


「大和、キャラメルを…」


「あ、ああ。キャラメル系を食え系で」


大和はワン子の口の中にキャラメルを詰め込んだ。


「むぐむぐ系。おおこれはこれで美味しい系」


元気になった。


「皆揃ってるな。どした道端で」


「いつものことだ」


モモ姉の問い掛けに、俺はいい加減な返しをする。


「……皆揃っちまったし登校するか」


モモ姉が来たことにより、キャップは昼寝を諦めて歩き出す。


「うん。サボって鬼小島に目をつけられる事ないよ」


「4月で担任としても張り切ってるだろうしな」


モロ、ガクトが同意すると、大和が号令をかけようとした。


「よし行くぞ」


すると、キャップが直ぐさま声をあげる。


「大和、号令はキャップたる俺の役目だ。さぁ行くぜ。狂乱麗舞、風間ファミリー出陣だ!ワン子、先陣を切れ!泣く子がいれば黙らせろ!」


その号令に俺達が沸き立ち、ワン子は、


「任せないさい!アンタらアタシに続けーっ!」


仲間が9人揃って河原を歩いて行く。傍から見れば幼馴染の集団だが、普通とは一味も……九味も違うのが俺達風間ファミリーだ。





橋に来るとそこには1人の男性が立っていた。


「こっち見てるね」


「男か。……武道やってる人間だな」


どうやら挑戦者みたいだ。


その男もモモ先輩……って俺か?!俺の方に向かって歩いてくる。


「君が八神信也君?」


「ああ、俺が八神信也だ」


「……私ではないのか…」


どうやら俺に対しての挑戦者らしい。しかし、何故俺なんだ?


「私は雲野十三。武の探究者だ。高名な川神院の鉄心先生にお相手を願おうとしたところ、貴方に勝てないと勝負を受けられないと」


「………あの爺、俺のことを勝手に使いやがって」」


俺が怒っていると、


「……フフッ……フフフフ、フハハハ!!!川神鉄心、噂だけの男だったのかい!」


「ああ?」


「そうだろう?こんなどこにでもいるような男子学生と試合しろなんて正気の沙汰とは……」


俺を探るように見る男は、


「………!?」


「(な、何だ!?この男の子は!?よく見ると全くスキがない。そして、一見筋肉が付いていないように見える腕、何より鍛え上げられた武道者ならではのこの雰囲気。端目から見ればただの男子学生だが……俺には理解できる、その理不尽なまでの強さを!)」


男は俺に頭を下げていってきた。


「これは失礼なことを!!!申し訳ない!!」


「貴方は武道家でありました。お手合わせを」


「……了解だ」


俺は手合わせを承諾した。


「時と場所は」


「今ここでだ。すぐ戦おう。服はこれでいい」


俺達を見ていてギャラリーが集まり始めたが、モモ先輩や大和達が散らしてくれた。


その間に俺と相手は河原へ移動した。


「キエー!!」


相手は怪鳥のような声を出して構えをする。


「すぅ……はぁ……」


俺は落ち着かせ、相手に聞いた。


「構えているけど……仕掛けていいか?」


「な!?あ、あぁ」


俺は相手に聞いてから仕掛けた。


「せいや!!」


ズドーーン!


「ぱぎゅら!」


相手からは稲妻が横に走ったように見えただろうな。


「勝負あり」


京がそういうと俺は気絶している相手に一礼をした。


「さっすが信也!かっこいいわ〜!!」


「うんうん!さっすが信也だね〜」


「信也…かっこいい……ポッ///」


「それでこそ、私や揚羽さん達を倒した奴だ」


モモ先輩は携帯で川神院に連絡してくれたみたいだ。


「さて、皆!学校行こうぜ」


その後、俺達は全員で学校へと行くのであった。

-8-
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