転入生の話題とラジオ番組LOVE川神
学園に着き、クラスへ行き先生がやってきて朝のHRが厳粛な空気の中、行われていた。
「さて、次に面白いニュースを諸君に伝えよう。今週金曜日。このクラスに転校してくる生徒がいる。
川神の姉妹都市、ドイツのリューベックからな」
先生が発表すると、途端にクラス中がざわめき出す。
「静粛にっ!」
容赦無く床に鞭が叩き付けられた。
「質問は挙手して行うように。何かあるか?」
「女子ですか?美人ですか?胸とかありますか?」
「男子ですか?イケメンとか、お金持ちですか?」
ウメ先生の言葉に対して、ガクトと小笠原が露骨な欲望を見せつける。
そんな風にクラス内が盛り上がっている中、委員長がクラスを代表して声をあげた。
「小島先生、どちらなのでしょうか?」
すると先生は、微笑を含んだ表情で、
「ひ・み・つ。……なんてな」
先生がそんな態度を見せると、クラスは再びざわめく。
「では金曜を楽しみにな。HRは終わりとする」
休み時間。
クラスの皆は転入生の話題で騒いでいる。
京、ワン子、ユキ、ゲンさんに立て続けに意見を求めた大和が、今度は俺に尋ねる。
「信也はどう思う」
「俺か?俺は……そうだな、美人な女の子だと思うよ」
『むっ』ピキッ×3
何だ?今凄い視線を感じたが……
俺は視線を感じる方を見ると、
「………(じー)」
「………(じー)」
「………(じー)」
京、ワン子、ユキの三人が俺を睨んでいた。
「………(汗)」
俺が嫌な汗を流していると、
「……性別不明の転入生か。面白くなりそうだな。……!?いいこと思い付いた!」
「「?」」
キャップが急に声をあげると、俺と大和は顔を見合わせて小首を傾げる。
「大和、信也、ちょっと耳貸せ」
二人がその言葉に従って歩み寄ると、キャップは密談した。
彼の提案を聞くと、大和はニヤリと微笑し、俺は顎に手を当てて、一瞬考え込む。
「……この話、一枚噛ませる相手は他にいるか?」
「いや、俺達三人だけって今決めた」
俺が尋ねると、キャップは即断した。
すると俺は小さく頷き、
「分かった。俺も一枚噛ませてもらう」
そう言って微笑した。
午前中の授業が終わり、昼休みに入るとスピーカーから音楽が流れ出した。
「ハァイエブリバディ、春と言えば恋だよねでも浮かれて妙な病気にかかるのだけは、勘弁な。今週もラジオ番組LOVEかわかみがはじまるよー」
「パーソナリティーは俺ハゲこと2年の井上準と……」
「人生、喧嘩上等諸行無常。3年の川神百代だ」
「今日も百代さんに相談のメールが沢山来てますよ準さん、百代さんこんにちは、はいこんにちわー」
「よ。というか、前置きはいいから本文読めハゲ」
「好きな子ができました。どう接すれば良いですか」
「私が味見してやるからその娘を紹介してみろ」
「ちなみに本気で言ってますから注意して下さいね」
「はい、次。‘モモ先輩好きです付き合ってください”!」
「おー。メールで言わず正面から来るんだ」
「次。百代さんはどんな映画好きなんですか」
「ひたすらにアクション映画だ」
「俺はなんでこのラジオ人気あるのか分かりません」
「ハゲ、お前は好きな映画何なの?」
「可愛い児童達が活躍する映画かな。なごむ」
「ちょっと危ない意見だなハゲ」
「危なくない!そもそも可愛い者を見守るという行為は父性のそれと同等であり決してやましいものなぞ1ミクロンもないと命を賭けて言い切れる」
「だいたいなぁロリコンなんて言葉が流行したからいけないんだ。俺はただ、小さい女の子とお風呂に入りたいだけだ、それだけの純粋な粉雪の心なんだ」
「暴走すんなハゲ! (バキッ)」
「……あ、気絶させてしまったな。まいい。曲流すぞ」
何ともまあ、ぐだぐだなラジオだった。
………準、お前は何て不運な奴なんだ。
ちなみに、キャップは小笠原に放課後、デートに誘われていた。が、精神年齢が子供であるキャップにはそのお誘いがデートだとは思っていないだろうな。ってか、絶対失敗するよな。キャップは人の話を聞かないし……小笠原、哀れだぜ。
信也が思っていることとは裏腹に千花は翔一をゲットしようとしているのだった。