小説『デジモンアドベンチャーPARALLEL〜天下分け目の超決戦〜』
作者:setuna()

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超決戦 第九話
〜森〜
子供達はタケルの回復を待つのと同時にモースモンとの戦いで消耗した自分達の体力回復に勤しんだ。
タケルが回復し、子供達とデジモン達の体力も全快したので次のエリアに向かった。
〜荒野〜
子供達はメシアカのメンバーがいるらしい、荒野を歩いた。
しばらく登り続けると体力がない光子郎達が座り込む。
ミミ「待って…少し休憩…」
大輔「後もう少しだけ頑張って下さい。あそこに建物があるのが見えましたから、そこで休みましょう」
ミミ「うう…分かったわよう…」
疲れた足を引きずりながら足を動かす子供達。
少し歩くと、そこにはゴシック式の石造りの大聖堂があった。
賢「これは…大聖堂?」
同時に歌声が子供達に聞こえてきた。
?[♪夜空に光った。星の光で花開く。木漏れ日に現る。森の雫達は歌う。この歌は約束だよ。切り離れぬ、永久の声♪ララララララ、ララララララ。永久の闘いをね♪]
歌を聴いた子供達は辺りを見回す。
空「何なの…この歌…?」
大輔「女の声…?」
ガブモン[綺麗な歌声だ…]
また歌が聞こえてきた。
?[♪透き通る様に綺麗な宝。声をかけてくれし、慈愛の心。果てしなき空は、永遠の想い。問い掛けてくれた、束の間の出会い。♪]
京「凄く上手いわ…」
伊織「京さん。そんなこと言ってる場合では…」
ミミ「私より上手いかも…」
ミミが悔しそうに言う。
すると別の歌が響いてきた。
?[♪信じて騙されて、悲しい夢にあった。分かっていた筈なの。胸では刻まれている。でも心が張り裂けそうよ。あんな思いだけは嫌。あーーーー、あーーーー!!♪]
その歌はまるで恋にうんざりな気持ちで歌われていた。
丈「信じて騙されて…か…」
光子郎「悲しい歌詞ですね」
更に別の歌が聞こえてきた。
?[♪生きるこの世界は、摩訶不思議。挫けても負けではない。辺りを見てご覧。誰も側に誰かがいる、君にも必ずね。私の未来、それは誰が決めるの?心のままに進んでは駄目なの?神が命を見守ってくれる。神の加護に感謝しよう。♪]
ミミ「綺麗な歌…」
パルモン[本当!!]
大輔「一体この歌は誰が歌ってるんだ?」
ブイモン[ここはメシアカに支配されているエリアなのに…]
タケル「もしかして歌ってるのはメシアカのメンバーじゃないかな?」
ヤマト「さあ、どうだろうな?」
太一「とにかく歌のする方に行ってみようぜ」
アグモン[うん!!]
太一が大聖堂に入り、他の子供達も大聖堂に入る。
〜大聖堂〜
子供達が大聖堂に入ると大広間があり、エントランスには沢山のオルゴールが飾られている。
大輔「何だこれ?」
ヒカリ「オルゴール?」
空「どうしてこんな所にオルゴールなんてあるのかしら?」
ミミ「ねえ!!開けてみましょうよ!!」
賢「罠の可能性もありますよ」
太一「でもここに沢山あるってことは何かあるかもしれないぜ?」
タケル「開けてみよう。何かあっても皆で対処すればいいんだから」
治「そうだな、皆で一斉に開けよう」
子供達がそれぞれオルゴールを開けると別々の音楽が鳴り始めた。
それは外で聴いた歌だった。
伊織「これは…!?」
京「あの歌と同じだわ!!」
オルゴールの音を聴いた時、また別の歌が聞こえた。
?[♪今宵は朝から歴史の幕開け。新たな時代の夜明けなのさ。奇跡を感じる物語。天使が恋をした。人間の王子にね。神秘なる夢が叶ったよ。奇跡を感じる物語。廃れること無き伝説よ。皆一緒に喜ぼう!!♪]
よく見るオルゴールの前に題名が書かれている。
最初の歌は大地の歌。
2番目の歌は心の真実。
3番目の歌は失恋のジレンマ。
4番目の歌は一致団結。
読み終えると、歌が聞こえてきた。
光子郎「また別の歌が!!」
ジュン「一体誰なのよ!?」
歌が聞こえてきたのと同時に開けていないオルゴールの1つが自然に開き、歌の音楽を奏でていた。
題名は…境を超えた奇跡。
大輔「境を超えた奇跡…?」
?[♪今宵は朝から歴史の幕開け〜〜♪]
オルゴールをよく見ると、境を超えた奇跡の看板の横にNEWの文字。
ブイモン[何だあれ?]
ブイモンが首を傾げると歌詞が聞こえてきた。
?[♪勇気の呻き!希望の苦痛!誠実の絶望!純真の無念!自由の代償!友情の崩壊!知識の悪用!光の傲慢!優しさの偽善!愛情の悲鳴が子守唄!地獄に響け!我がララバイ!聞こえる恨み晴らし、空を鮮血に染める!それがララバイ!]
大輔「!?」
ピコデビモン[不吉な歌を歌いやがって!!]
次の瞬間、子供達の背後にオルゴールが現れ、開き、鳴り始めた。
境を超えた奇跡の横の看板の横のNEWの文字が消え、新たに現れたオルゴールに曲名が出た。
題名は疑いのララバイ!
大輔「疑いのララバイ…?」
ブイモン[何なんだよこれ…?]
大輔とブイモンが疑問符を浮かべながら呟くとパイプオルガンが鳴り始める。
京「な、何!?」
?[♪ああああ。らららら。ららららららら。あああ。あああああ。らららららららららら。♪]
パイプオルガンの奏でる音楽と共に歌声が響いた。
まるでオペラのよう…。
大輔「一体何なんだよ…?」
ミミ「まるでオペラのよう…」
大聖堂の真上にあるステンドグラスに紋章が浮かび上がった。
太陽と扉と月と海と星が浮き出ていた。
ヒカリ「ステンドグラスが!?」
伊織「一体あれは…!?」
大聖堂の大ホールの扉が開いた。
大ホールには、ステージで後ろを向きながら歌を歌っている者がいた。
インディアンのような服装で、網代笠を被り、動物の骨と強靭な紐で出来た弓矢とクロンデジゾイド製の細剣を身につけている。
?[♪ああああ。らららら。]
京「誰!?」
京が警戒し、威嚇するように叫んだ。
?[ようこそ。デジタルオペラ劇場へ。お客様には感謝します。]
ヤマト「デジタルオペラ劇場…?」
?[この建物の名前です。元々この建物は見た通り大聖堂でしたが、閉鎖されていたので私達が中だけ改築し、このような立派な舞台になりました。どうです。素敵でしょう?]
大輔「確かに良いステージだけどな…」
ホークモン[あなたは何故このような場所に?]
ホークモンが疑問に思ったことを口にする。
?[何故?理由なんて簡単。歌こそ私の命。音こそ私の盾。それを最大限になるのがこの建物と周りよ。見たでしょ?この建物を中心に半径数十kmに十字架圏が描かれているのが?]
大輔「十字架圏…あれか…?」
?[理由を更に言うと、私の心の気持ちを歌で表現し、歌が出来た時、その歌はオルゴールとなってこの建物のエントランスに飾られるの。凄いでしょう?]
パタモン[だからあの時にオルゴールが現れたんだ…]
?[ところであなた方はこの建物に何か御用ですか?]
大輔「俺達はこのエリアを支配しているメシアカのメンバーを探しているんだ」
?[はて?知りませんね。そのような話は。]
光子郎「このデジタルマップに記されているから間違いないと思います。」
光子郎がノートパソコンを開きながら言う。
?[それより皆さん。この紋章の上に書かれている線と点と記号が何を意味してるか分かりますか?金髪の髪をしている背の高いあなた。]
ヤマトは質問された。
紋章の上を見ると、5本の横線と小さい黒丸とト音記号みたいなのが書かれていた。
ヤマト「これは…?」
?[何か分かったのですか?]
ヤマト「いや…分からん…くそ…」
?[じゃあ、頭の賢そうな君。これが何を意味してるか分かりますか?]
次に賢を指名した。
賢「ト音記号に似てるけど…まるで楽譜の…」
?[その通り。楽譜よ。でも、太古の楽譜だけどね。でも私は見つけたのよ。]
ピコデビモン[太古の楽譜だと?]
?[この紋章に書かれている楽譜を現代の楽譜に直すことが出来た。そしてこの楽譜からは“月夜の唄”と言うメロディを見つけ出せた。だが、これだけでは駄目だった。何故なら2つ目のメロディが紋章にあったからだ。私はそれも見つけた。それは君達も知ってるんだよ。第2のメロディが何かを]
太一「俺達も?」
?[聞いたよね?これよ。]
デジモンは息を整えて、歌った。
?[♪夜空に、光った。星の光で花開く。木漏れ日に、現る。森の雫達が歌う。]
ヒカリ「この歌…」
テイルモン[確か、大地の歌だったかしら?]
?[その通り。これが第2のメロディ。これで(あるもの)が手にはいると思った。だがこれでも駄目だった。なぜなら手に入れるための鍵は2つではなく、3つあるからだ。それが何かが分からないのだ。最近まではな。]
ワームモン[最近までは…?]
?[手がかりを発見したんだ。予言からね。“選ばれし子供達により、第3の歌の真実分かる。”と言う言葉を。ここまで言えば分かるよね?私の言いたいことが]
ヤマト「俺達がこの謎を解く鍵だっていうのか?」
?[何勘違いしてるの?私自ら手がかりを見つけるのよ。あなた達から、力ずくでね]
パルモン[ええ!?]
ブイモン[お前…まさか!?]
?[調べてみたらいかが?そのパソコンで。]
光子郎「ガーディアモン…聖霊型…究極体!?」
ブイモン[お前、もしかしてメシアカの!?]
ガーディアモン[その通り、私はメシアカのメンバーよ。改めて、私のステージにようこそ。聞こえた歌声は全て私。あなた達をおびき寄せるための餌。でもここは狭い。外でやりましょうか。]
自分の腰にあるクロンデジゾイド製の細剣を構えて振り、強風を起こした。
大輔「っ!!ブイモン進化を…」
ガーディアモン[外に吹き飛べ!!]
強風で子供達は大聖堂から吹き飛ばされ、ガーディアンモンも外に出てきた。
大輔「くそ…皆、進化だ!!」
全員【おう!!】
全員がパートナーを究極体、完全体に進化させ、身構える。

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デジモンアドベンチャー
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