小説『デジモンアドベンチャーPARALLEL〜天下分け目の超決戦〜』
作者:setuna()

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超決戦 第七話
デューマモンの支配しているエリアである工業地帯を解放した子供達。
子供達が向かうのは、森のエリアにある洋館。
〜草原〜
大輔「あの森にメシアカのメンバーがいるんですか?」
光子郎「はい。ゲンナイさんから貰ったデジタルマップだと」
ヒカリ「森のエリアにいるメンバーのデジモンって何のデジモンだろうね?」
太一「森だし、昆虫型じゃねえか?」
ヤマト「多分そうだろうな」
ブゥゥーン…
ブイモン[ん?]
虫の羽音が聞こえ、子供達が後ろを向いた。
そこにはフライモンが子供達目掛けて突進してきた。
大輔「!?」
ヤマト「うわ…!?」
空「ヤマト!?」
タケル「兄さん!?」
フライモンに掴まれ、ヤマトは森の奥に消えた。
ミミ「ヤマトさんが!!」
太一「追いかけよう!!」
子供達がヤマトを追い掛けて、森の中に入る。
奥に入ると拓けた場所に入る。
そこには、寂れ果てた洋館があった。
丈「ヤマトは一体何処に連れていかれたんだ?」
京「もしかして食べられたりして…」
伊織「京さん!!」
最悪な想像をして顔を青くした京に伊織が声を荒げる。
大輔「…とにかく最悪の事態になる前に見つけないと」
大輔は頭を振ることで頭に浮かぶ最悪の想像を振り払う。
空「ヤマト…」
〜洋館〜
子供達は洋館に入り、広い所に出ると、ヤマトを探そうと別行動を取ろうとした時であった。
?「その必要は無いわよ」
ジュン「…っ、誰!?」
声がした方を見遣ると白いファーのついたコートを着て髪が黄色の目が水色の15歳位の女の子がいた。
京「女の子…?」
賢「気をつけて下さい。アルケニモンのように人間に擬態しているのかもしれません」
?「あら?随分と頭が回るのね。正解よ坊や、この姿は仮の姿。私はモースモン。メシアカのメンバーの1人よ。」
治「メシアカのメンバーだって!?」
モースモン「ええ、ところでデューマモンの連絡は全て私の所に必ず来るの…。だけど、少し前に連絡が途絶えた…あなた達、デューマモンはどうしたの?」
大輔「デューマモン?工業地帯のボスか?あいつなら俺達が倒した!!」
モースモン「成る程ね…あなた達。それで私達に勝ったと思うわけ?お生憎様、彼はまだ駆け出しでね。それと金髪の君。君の兄さんがどこにいるか知りたい?」
モースモンがタケルを見遣りながら言う。
タケル「兄さん!?兄さんを一体何処にやったんだ!?」
モースモン「見えないの?ほらあそこ。」
モースモンは斜め後ろ上を指差す。
そこを見ると、ヤマトは繭で巻かれて宙吊りにされていた。
モースモン「安心しなさい。危害は加えていないわ、今はね。さて、ねえ君。私と取引しない?」
タケル「取引…だって…?」
モースモン「君、こっちに来なさい。そうしたら兄さんを助けてあげる。約束しよう。さもなくば、君の兄さんはあの67mの高さから頭から石床に真っ逆さまだよ。はい。どうする?」
モースモンはタケルを手招きする。
ヤマト「タケル!!こんな奴の言うことなんか聞くな!!」
モースモン[少し黙っててくれる?]
モースモンがヤマトに向かって殺気を放った。
タケル「っ!待って!!行くよ!!」
タケルの言葉にモースモンが笑みを浮かべる。
モースモン「坊や、いいこと。君の血1滴だけで、私はより強い力を手に入る。その上、私は最初からあなたに目をつけてたの。あなたには私のコレクションになってもらうわ。スナイモン。そのガキを下ろせ。」
ヤマト「くっ…」
スナイモンによって下ろされるが首に刃を突き立てられる。
モースモン[さあ、来なさい?]
モースモンがタケルを手招きする。
タケル「分かった…」
ヤマト「タケル!!」
モースモン「やっぱり可愛いわ!!私のタイプ。」
タケル「約束だよ。兄さんを帰せ!!」
モースモン「もちろん。解放しろ。」
スナイモンの刃で繭は切られ、解放された。
しかし長時間逆さ吊りにされ頭に血が上って立ちくらみなどの症状があった。
空「ヤマト、大丈夫?」
ヤマト「ああ…けど…タケルが…」
パタモン[タケル!!]
モースモン「あんた達」
モースモンの声に反応し、グランクワガーモンが子供達を囲む。
モースモン「希望の紋章に選ばれし少年。ついに私のコレクションの1つになったわ。」
大輔「コレクション?タケルに何をする気なんだ!?」
モースモン「コレクションになってもらう前に、この子には依り代になってもらうわ。」
ヤマト「依り代だと!?」
モースモン「えぇ。フッ!!」
掌から出した毒針でタケルの腹部に刺した。
タケル「うっ!!」
毒針によって顔色が悪くなり口から少しだけ泡を吐き出し、崩れ落ちる。
ヤマト「タケル!!」
伊織「タケルさん!!」
パタモン[タケルーーー!!!!]
大輔「てめえ!!」
モースモンは手についたタケルの血を舐めた。
モースモン「この子の血を口にした私はこの瞬間、より力が強くなったわ。さて」
本来の蛾のデジモンの姿に戻った。
モースモン「これであなたもコレクションの仲間入りよ」
モースモンは崩れ落ちているタケルの体を回しながら繭でグルグル巻きし始める。
まるで蜘蛛が餌を糸巻きにするように。
賢「止めろ!!」
ピコデビモン[ピコデビモンワープ進化!ベルゼブモン!!]
ピコデビモンがワープ進化し、モースモンに狙いを定める。
モースモン[愚かな!!グランクワガーモン!!]
グランクワガーモンがベルゼブモンを足止めをする。
モースモン[安心しなさい。気絶してるだけだ。もっともすぐには起きないがな。さてこの子をコレクションルームに飾るか。]
大輔「させるか!!デジメンタルアッープ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!奇跡の輝き!マグナモン!!]
ブイモンはマグナモンにアーマー進化した。
マグナモンは周囲のグランクワガーモンに向かって技を放つ。
マグナモン[エクストリームジハード!!]
広範囲に渡って黄金の輝きが放たれた。
グランクワガーモンが一掃される。
モースモン[忌々しい!!スケルストーム!!]
毒燐粉の風でマグナモンの技を吹き飛ばした。
モースモン[グランクワガーモンは死んだが私はメシアカの1人。簡単には死なない。そんなにこの子が欲しいならくれてやる!!]
モースモンは石床にタケルを投げ飛ばした。
ベルゼブモン[危ねえ!!]
ベルゼブモンはベヒーモスを召喚し、即座に乗り込んでタケルを抱き留める。
太一達は即座にパートナーを進化させる。
太一「よくもやってくれたな!!」
京「あんた最低よ!!」
マグナモン[お前は殺すのも惜しくない奴だ…!!]
ベルゼブモン[調子に乗ってんじゃねえぞ害虫野郎!!]
ベルゼブモンの言葉にモースモンの動きが止まる。
モースモン[今何て言った?害虫野郎?]
ベルゼブモン[ああ、そうだ。てめえにお似合いだぜ?]
ベルゼブモンがモースモンを嘲笑いながら言う。
モースモン[ならこれを土産に持っていけ!!アシッドバレット!!]
モースモンの手の平から強酸の液を銃弾ように放った。
デジモン達は回避するが、当たった石床の1枚は溶け出した。
ウォーグレイモン[溶けた!?]
治「あれは強力な酸なのか!?」
モースモン[この技はその子の血で得た力。この液はどんな鋼も岩も溶かすの。掠ったりしたら、火傷なんかじゃすまないよ。]
大笑いするモースモン。
モースモン[どう?これでも害虫呼ばわりする?]
ベルゼブモン[フ…フハハハハ!!]
ベルゼブモンが大声で笑う。
モースモン[何が可笑しい]
ベルゼブモン[笑わずにはいられねえよ、これがタケルの血を飲んで得た力ならてめえ自身の力はてんで大したことねえってことだ。そうだろう?てめえ自身の力じゃあ精々毒燐分の風しか起こせねえ…てめえ自身の力じゃねえ癖に調子に乗ってんじゃねえ!!]
モースモン[私の力でない?どういう意味だ?]
ベルゼブモン[さっきも言った。それはただのタケルの血の力だ。てめえ自身の力じゃねえ]
ベルゼブモンが呆れ果てたように言う。
光子郎「それ以前にどう足掻いても蛾は害虫に分類されますがね」
モースモン[なら、毒燐粉を喰らいなさい!!もっとも威力が上がったがな。]
モースモンの毒燐粉の風は威力と毒の強さが増していた。
モースモン[どうせなら他の男の子達の血も頂こうか。そして一気に強くなるまでよ]
メタルガルルモン[そうはさせない!!ガルルトマホーク!!]
腹部のミサイルを地面にぶつけ、それによって生じた爆風で毒燐分を吹き飛ばす。
マグナモン[お前の好きにはさせない…ライトオーラバリア!!]
聖なる光のバリアを子供達とデジモン達に纏わせる。
モースモン[なら技比べと行こうか。アシッドバレット!!]
モースモンはバリアに酸弾を放ち続け、バリアに少しずつ罅が入る。
モースモン[いつまでそうする気?]
マグナモンは防御の光を攻撃に転じる。
マグナモン[エクストリームジハード!!]
閃光と共に酸弾もモースモンに向けて弾かれる。
モースモン[スケルストーム!!]
毒鱗粉の風で閃光と酸弾を吹き飛ばした。
モースモン[もらった!!]
繭を放ちマグナモンを捕まえる。
モースモン[私は蝶より遥かに美しい虫よ!!害虫呼ばわりは、年下でも許さん!!]
ガルダモン[シャドーウィング!!]
ガルダモンが繭に捕われたマグナモンに向けて火の鳥を模した炎を放ち、直撃させる。
炎を受けた繭は燃え、マグナモンは脱出する。
モースモン[やめろ!!火を使うな!!コレクションと卵が燃えたらどうするのよ!!]
ミミ「卵?」
モースモン[私の子供達よ!!この子達も私と同じモースモンになり人間界侵攻の軍団のメンバーでもあるのよ!!]
ベルゼブモン[安心しろ、流石にガキには罪はねえからな、良い育て屋を知ってるから安心して倒されろ]
ベルゼブモンは瞬時にモースモンの背後に回り、爪でモースモンの羽を切り裂いた。
モースモン[もう遅いわ。あれを見なさい!!]
モースモンが指差した先のドアを見ると大量のモースモンの子供達が大輔達に猛スピードで向かっている。
モースモン[子供達!!餌の時間よ!!]
太一「あんなにいるのかよ!!」
大輔「皆、時間を稼いでくれ。」
全員【おう!!】
マグナモンがブイモンに退化し、大輔の胸元に奇跡の紋章が浮かび上がる。
ブイモン[ブイモンワープ進化!インペリアルドラモン!!]
全員が時間を稼いでいるうちに、モードチェンジを発動する。
インペリアルドラモン・DM[インペリアルドラモンモードチェンジ!ファイターモード!!]
インペリアルドラモン・FMは胸部の竜顔にポジトロンレーザー砲を装着し、モースモンの群れに向けた。
モースモン[子供達!!そいつだけでも道連れだ!!]
モースモンの子供達が全員インペリアルドラモン・FMに突っ込んだ。
モースモンの群れに目掛けてポジトロンレーザー砲を向けたインペリアルドラモン・FMは子供達に向かって叫んだ。
インペリアルドラモン・FM[皆、離れていろ!!ギガデス!!]
モースモンの子供達の群れ目掛けてギガデスが放たれ、大爆発が起き、直撃を受けたモースモンの子供達の大半が消滅した。
それを見たモースモンは泣き叫んだ。
モースモン[私の子供達が!私がアンタを道連れだ!死ねえええーー!!]
モースモンは子供達と同じようにインペリアルドラモン・FMに突っ込んだ。
ドルゴラモン[そうはさせない!!ドルディーン!!]
ドルゴラモンが衝撃波を放ち、モースモンに直撃させた。
モースモン[あぁぁぁぁぁ!!!!]
モースモンは断末魔の悲鳴と共に散った。
インペリアルドラモン・FMは残ったモースモンに向けてポジトロンレーザー砲を向ける。
インペリアルドラモン・FM[連発だああああ!!ギガデス!!!!]
残ったモースモン達はギガデスに呑まれて消滅した。
モースモンと子供達が全滅した次の瞬間。
洋館が揺れ始めた。
モースモンが死んだため、洋館を押さえていた力が消え、洋館が崩れ始めた。
ヤマト「洋館が崩れるぞ!!」
タケルを背負いながらヤマトが叫んだ。
光子郎「脱出しましょう!!」
子供達と退化したデジモン達は洋館から脱出した。
子供達はモースモンが支配していたエリアの解放に成功した。

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