小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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五月一日(金)


今日も良い天気と良い風だ・・・・。昼食もユミと二人きりだろうし・・・・・と、思っていたが


「・・・・・何でお前らまでいるんだ」


「たまには屋上で食べるのもいいですね」


「ウェーイ♪」


「そう固い事を言いなさんな」


「此処も賑やかになってきたで候(最近、一誠さんと二人きりで食べる事が減ってきたなぁ・・・・・)」


「今度は逃がさないぞ?」


「・・・・・食べ辛い」


ガッチリと俺の腕を抱くように拘束して逃がさないようにする百代


「一誠、ましゅまろー」


「・・・・・いらん」


「あーん♪」


「・・・・・人の話を聞きなさい」


「それでもユキのマシュマロを食べる一誠さんは優しいですね」


「・・・・・ふん」


「おっ、照れた?あの一誠さんが照れた?」


「・・・・・お前の額に肉と刻んでやろうか?」


「すいませんでしたぁ!」


「あっはっはっー。それ、面白そー!」


「やめなさい!どこから出したマジックを俺の額に書こうとするんじゃありません!」


「ユキ、やるのなら後でしなさい。今は一誠さんと一緒に食べるほうが重要ですよ」


「うん、そうだねー♪」


「俺の額に書く事はもう決定!?」


「ハゲ、少しうるさいぞ。静かに食え」


「・・・・・何だろう。この中で俺が一番立場的に低いような感じは」


「頑張るで候」


・・・・・本当に賑やかになったな。・・・・・あの頃とあの時のように


「一誠さん」


「・・・・・ん?」


「ゴールデンウィークの事ですが・・・・・」


「・・・・・ああ、大丈夫なんだろう?」


「はい。何時に行けばよろしいで候か?」


「・・・・・悪い、明日から始めようと思っている。土日も空いているか?」


「問題ないで候」


「・・・・・じゃあ・・・・・って、何?」


「随分ユミと仲が良いんだな?土日含めてゴールデンウィークの期間に何処で何をするのかお姉さんに

教えて欲しいな?」


「・・・・・誰がお姉さんだ。俺の方が年上だぞ。・・・・仕事だ」


「一誠さん、仕事をなさるのですか?」


「・・・・・ああ」


「へぇ、一誠さんが仕事なんて初めて聞いたな。どんなことをするんだ?」


「・・・・・料理を作る仕事だ」


「料理?何処かの店でもバイトをするのか?」


「・・・・・違う。俺の店だ」


「なんと・・・・・、これは驚きですね。一体どんな店をお持ちで?」


「・・・・・『ファントム・イリュージョン』」


「「「―――っ!?」」」


「・・・・・その表情だと俺の店に来たことあるようだな」


「詳細が不明で明らかになっているのは料理長の名前は『F』というだけ・・・・・。

その正体が一誠さん・・・・・」


「値段も子供が払える金額もあり出される料理は全てこの世とは思えない食材ばかりで作られた料理。

一口食べれば絶対に忘れられないというほどの美味しさと感触。昔聞いた話だと開店して僅か二ヶ月で

世界中の大統領と総理大臣、有名人や俳優に女優が一般客として来るような程にもなった

店だとか・・・・・」


「その上、店員もありえない程の可愛さで人々を魅了し楽しませてくれる・・・・・」


「「「それが、『ファントム・イリュージョン』」」」


・・・・・何気に熱く語っているな


「ですが、最後に開いたのはもうかれこれ10年ぐらい前ですよね?」


「・・・・・ああ、丁度その時にお前達と出会ったな」


「もう、そんなに経つのかぁ・・・・・」


「時間って早いねぇー♪ねーねー、イッセー」


「・・・・・なんだ?」


「僕も一誠のお手伝いをしたいー」


「・・・・・はっ?」


「いいでしょー?」


「それはいいですね。私も一誠さんのお手伝いをしたいです」


「ゴールデンウィークは何時も通りに若とユキと三人でワイワイ楽しむかと思ったら・・・・・。まあ、

一誠さんの手伝いをするのも悪くないな。それに賄いも出してくれたら嬉しいね」


「・・・・・接客の経験が無いだろうに・・・・・。まあ、お前等なら色々な意味で・・・・・

大丈夫か。・・・・・給料も出すからしっかり働けよ」


三人は俺の言葉に頷いた。百代は羨ましそうにしていた


「・・・・・どうした?」


「いいなー。お前の店に私も働いて賄いをもらって給料が欲しいなー」


「どうしたで候?」


「うん、キャップ・・・・・ああ、風間って言うんだけどあいつの指示で連休空けていなきゃダメなんだよ」


「それは残念で候」


「あー・・・・・」


「それじゃあ料理も食べる事も出来ませんね」


「あの肉の料理の味は今でも忘れられないんだよなぁ・・・・・・」


「どんまーい」


「むぅー!」


「・・・・・怒るなよ」


ニコニコと笑うユキに怒る百代に嘆息する集合場所と時間を教えると同時に昼休みは終わった。その後、

放課後に成るまで俺は屋上でのんびりして放課後に成ると多馬川沿いに赴いた。あそこも昼寝に

最適な場所だからな・・・・・。


「・・・・・はあー」


此処もいいなぁー。草の感触を全身に味わいながら日の温かさを感じる。


「・・・・・誰もいないな」


六対十二枚の金色の翼を出して日に当てよう。念のために見えないように施して・・・・・と


「・・・・・」


ポカポカと翼が温かく成るのを感じてくると眠気が襲ってきた。・・・・・寝よう



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



『主、主』


ん・・・・・


『起きてください。既に夕方ですよ』


そうか・・・・・


『それと・・・・・もう一つ』


なんだ・・・・・?


『・・・・・主は今、知らない人間の女と抱き合って寝ております』


「・・・・・は?」


メリアの言葉に完全に眠気が覚醒した。目蓋を開くと視界は白で埋め尽くされていた。ほのかに温かくて

柔らかい弾力が俺の顔を包み込んでいて俺の背中に腕が回されている事も気づいた。

何故か俺も腕を回している・・・・・


「(・・・・・この状況は一体・・・・・)」


『主が寝てしばらくした後、人間の女が主の隣で寝始めたのです。更にしばらくして人間の女の寝相なのか、

主を抱きしめ主も抱きしめ返して今の状況です』


「(・・・・・この状況を見た奴はいるか?)」


『我等の方で主達の姿を消しましたので見られておりません。今でも姿を隠し続けております』


「(・・・・・真剣でありがとう!この状態を見られたら俺は今直ぐに死ぬ!自殺する!)」


『・・・・・取り敢えず、起きてください』


「(分かった)」


身体を知らない女の人と起こす。すると俺の背に回していた腕の片方が外れた。どうやら起きた

ようだな・・・・・。胸に埋もれた顔を何とか上に向けると青髪に緑の瞳を持った少女と視線があった


「や」


「・・・・・」


目をこすりながら挨拶された。


「キミが気持ちよさそうに寝てたからさ〜、私もつられて寝ちゃったよ、あはは。

・・・・・ここは昼寝に最適なんだね〜」


いきなり初対面で頭を撫でられた。・・・・・何故か嫌ではなかった・・・・・


「・・・・・まあ、確かに昼寝には最適な場所・・・・・って」


「ぐぅ・・・・・、ぐぅ・・・・・」


「・・・・・また寝てるし。というか、放して欲しいんだけど・・・・・」


再び俺を抱きしめて寝に入った。人を抱き枕にして寝るなんてあいつら以外始めてだぞ


「ごめんごめん。寝るの好きでさ。家族の次に好き」


「・・・・・起きたか、それじゃあ―――」


「ぐぅ・・・・・、ぐぅ・・・・・」


「・・・・・寝るんかい!?」


こ、こいつ・・・・・。俺を放す気ないのかよ!?


『どうしますか?』


「・・・・・しょうがない。負ぶさって、こいつの家族に届けよう」


身体を強引に回転して少女の膝の裏に手を差し込んで負ぶさる


「・・・・・直ぐに見つかると良いんだけどなぁ・・・・・」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――親不孝通り


「・・・・・結局夜となって此処に来てしまったか」


色んな所によって歩き回ったけど収穫は奇異な視線を向けられただけだった・・・・・!


「すぅ・・・・・、すぅ・・・・・」


「・・・・・この少女は気持ちよさそうに寝ているし・・・・・」


『まるでオーフィスのようですね』


「・・・・・ああ、そうだな」


あいつも俺と一緒に寝るとこんな感じだったな。今頃は・・・・・


『『メリアッ!』』


『トカゲが・・・・・』


『す、すいませんっ!』


二匹と一人?に怒られるメリア。そんなやりとりを聞いて俺は苦笑を浮かべる。


「あっ、いたいた。アミ姉!タツ姉を見つけたぞ!」


「ん?知らないボウヤに負ぶされているね」


突然、路地裏から出てきた少女が俺に指をさして言うと更に女性も出てきた。

どうやらこいつの家族のようだな。二人に近づき問う


「・・・・・こいつの家族?」


「ああ、そうだよ。って、寝ているし・・・・・。アミ姉、よろしく」


「ほら、辰。起きな」


「ぅぅん・・・・・」


この少女の家族が身体を揺さぶる。が、起きる気配はなかった


「・・・・・こりゃあダメだね」


「おいおい、どうするんだよ?タツ姉が起きないって事はしばらく起きないってことじゃんか」


「・・・・・どのぐらい起きないんだ?」


「数時間」


「・・・・・マジかよ」


「しょうがない。ボウヤ、悪いけど私達の家について来てもらうよ。妹に手を出さないとは思うけど

姉として心配だからね」


「・・・・・しょうがない。言う事を聞く」


「ふふ、話が早いボウヤは嫌いじゃないさ」


「でも、いいのかよ?こいつまで連れてさぁ・・・・・」


「しょうがないだろう?辰が起きないんだ。無理矢理起こすと面倒だからね」


「そりゃあ、そうだけど・・・・・」


「・・・・・一つ聞いていいか?」


「なんだい?」


「・・・・・一応、世話となる身だ。名前を教えてくれ。俺は兵藤一誠」


「・・・・・そうさね。私の名前は板垣亜巳」


「ウチは板垣天使。言っとくけどエンジェルっていうんじゃねえぞ!言ったらぶっ殺す!」


「で、ボウヤが負ぶさっているのが次女の板垣辰子だ・・・・・って、どうしたんだい。

急に溜め息吐いちゃって」


「・・・・・いや、板垣三姉妹ってお前等の事だったのかと思っただけだ」


「・・・・・私等の事を知っているようさね?」


「更に言えば板垣竜兵も知っている」


「っ!じゃあ、お前がリュウの不良仲間をエサにした男って言うのは・・・・・」


「・・・・・ああ、こいつでな」


俺の影から巨大な蛇が出てきた。二人は巨大な蛇を見て言葉を呑んだ


「因みにあの不良供は警察の檻の中にいる。こいつに食われた奴は警察の檻の中に

直接入れられるようにしてある」


「・・・・・デッケェ蛇だな・・・・・おい」


「・・・・・流石にコレに勝つ自信はないさね」


「・・・・・今回は手を出さない。世話になるからな」


影の中に戻しながら二人に告げた


「それにこいつの家族を傷つけたらこいつは怒るだろうしその気持ちは俺も良く分かる」


「ボウヤも家族がいるのかい・・・・・?」


「・・・・・いや、生き別れになってずっと会っていない」


「そうかい・・・・・」


「なんか、他人事とは思えないぜ・・・・・」


「・・・・・気にするな。それで、お前等の家は何処だ?」


「ああ、ついてきな」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



亜巳と天使の先導のもとに跡を追うと人気が無い場所にポツンと佇む小さな小屋だった。

天使が小屋のドアを開け放って入っていく


「師匠ー。タツ姉を見つけてきたぜぇー」


「・・・・・師匠?」


「私等に武術を教えている男さね。元川神院師範代だ」


「・・・・・へぇ、川神院の・・・・・」


破門された男ってことか。と思いながら亜美に続いて小屋の中に入る。案の定、竜兵がいた。

他にもう一人の男もいた。こいつがこいつらの師匠って事か


「あっ、テメエは!」


「・・・・・竜兵、数日ぶりだな」


「んだぁ?お前等、知り合いだったのかよ?」


「・・・・・竜兵の仲間をエサにした俺の名前は兵藤一誠」


「エサ?ああ、大蛇のエサにされたと竜兵に聞かされたけど・・・・・マジだったのか?」


「・・・・・この二人にも見せたけど・・・・・こいつがそうだ」


再び陰から大蛇を出した。


「おうおう、こりゃあ、すげぇな!はは、何ていう大蛇だよ!邪悪な気も半端ねえな!おい!」


「・・・・・お前がこいつらの師匠でいいんだな?」


「ああ、俺の名前は釈迦堂刑部っていうんだ。で、どうして辰を背負っているんだ?」


その問いに俺は今までの事話した。


「あー、そりゃあご苦労様だったな。そいつは寝ると中々起きないからな」


「・・・・・今日は此処で泊まる。お前等の事とこの場所の事は黙っている。それでいいな?」


「げっ!テメエ何かと寝ていられるかよ!タツ姉だけ置いてさっさと帰れりやがれ!」


「・・・・・じゃあ、こいつを引き剥がしてくれよ。そしたら俺は嬉々として帰るぞ」


「ぐっ、そ、それは・・・・・」


「・・・・・ん?」


「あー、そいつは無理矢理起こすと手がつけられないほど大暴れするんだよ」


「・・・・・なるほど。・・・・・しかし」


「あ?」


「・・・・・此処、環境が悪いだろう」


この小屋の中を見渡すと薄汚かった。


「そうか?俺は別に気にしてはいないぞ。寧ろ、俺達はこういう場所がお似合いなのさ」


「・・・・・一般人とは住む世界が違うからか?」


「まあな。まあ、気楽で良いぜ?何も縛られずに自由に生きられる」


「・・・・・食事はどうしているんだ?」


「裏の仕事で俺達は生計を立てている。金が無い時は多馬川の魚と食べられる野草を取って食べているぜ」


「・・・・・はあ」


「おいおい、露骨に溜め息を吐くんじゃねえよ」


「・・・・・立った今決めた」


「何をだよ?」


「・・・・・お前等、俺の家に住ませる」


「「「「・・・・・はっ?」」」」


「・・・・・だから、俺の家に住まわせるって言っているんだよ」


移動用の魔方陣を展開した。―――刹那、俺を含めた板垣兄弟姉妹と釈迦堂はこの小屋から姿を消した。

そして、俺達が姿を現わした時には俺の家の前だった。傍には巨大な桜が花びらを散らせ続けていた


「「「「・・・・・」」」」


「・・・・・おい、何ボーっとしているんだ。さっさと中に入れ」


「・・・・・はっ!此処何処だよ!?」


「・・・・・何処って俺の家だが?」


「いやいや、ちょっと待てよ!何で桜が咲いているんだよ!?しかもデカッ!」


「・・・・・咲いている場所もあるだろうが」


「この輝く金色の芝生は一体何だよ!?」


「・・・・・綺麗だろう?金色の絨毯みたいでさ」


「―――うわっ!下を覗くと真っ暗じゃん!?此処って本当に何処だよ!」


「・・・・・『天使達の聖域』つったら分かるか?」


「はっ?あの第二次世界大戦を止めた天使とアメリカ人達が住んでいた空に浮かんでいる

謎の大地の事か?―――それが、俺達がいるこの場所が天使達の聖域だって言うのか・・・・・?」


「・・・・・ああ、そして―――」


俺は大天使化となって釈迦堂達に見せる


「俺が第二次世界大戦を終戦に導いた天使だ」


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