小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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四月三十日(木)


「・・・・・おい」


「何で候?」


「・・・・・お前が俺と一緒に昼飯を食う事には関してはもう諦めた。―――だが、

どうして川神百代までもがいるんだ」


「つれない事を言うなよぉー。昨日あれだけ激しく(闘って)私を責めて気絶させたのにさ」


「昨日?激しく責める?」


「・・・・・」


「ああ、昨日、こいつは私の部屋(家)に侵入してあろうことか妹と私をおそ―――」


ドゴンッ!


「っ〜〜〜!?」


「・・・・・川神百代。口は災いのもと・・・・・と聞いた事が無かったようだな?

誤解を招くようなことを言うな」


「一誠さん・・・・・まさか・・・・・」


「・・・・・何でお前は絶望して泣きそうな顔をするんだ。お前の考えている事は

大体分かるが一切していないぞ」


変な事を言う川神百代にデコピンを食らわす。俺のデコピンが相当痛いのか額を押さえて悶えていた


「こいつの家に行った事は事実だ。だが、鉄心と将棋をしていただけのことだ」


「そ、そうで候か・・・・・(良かった、百代ちゃんとそういう関係になっていると思ってショック

だったよ。・・・・・あれ?どうして私、こんな事を思っているんだろう?)」


「お、お前・・・・・なんてデコピンをするんだ」


「・・・・・で、何でお前がいるんだよ」


「・・・・・何処で昼飯を食べようが私の自由だ」


「・・・・・」


「それに私はお前の事を知りたい。私に勝ったお前を・・・・・」


「百代に勝った・・・・・?」


「・・・・・お前、その事は誰にも言うなと鉄心から聞いていなかったか?」


「ああ、聞いたさ。だけど、ユミなら良いだろう?」


「・・・・・ふん」


「一誠さん、百代に勝ったというのは本当で候か・・・・・?」


「・・・・・誰にも言うなよ。目立つのは嫌いだからな」


「・・・・・」


「なぁー、お前の事を一誠かイッセーって呼んでいいか?私の事はモモ先輩、もしくはお姉様と―――」


「百代でいい」


「そっち!?しかも呼び捨て!?」


「・・・・・俺はこう見えてもお前より年上だ」


「・・・・・真剣と書いてマジで?」


「・・・・・真剣と書いてマジだ。だからユミは俺を呼ぶ時は『さん』付けて呼んでいるんだよ」


「そうで候」


ユミも肯定した。その事実に百代は目をパチクリとして唖然となった


「・・・・・さてと」


「寝るで候?」


「・・・・・帰る」


「ちょっ、一誠―――」


百代が何か言おうと口を開いていたが無視して俺は二人から姿を消した



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――親不孝通り



「ここら辺か。昨日耳にした『ヤバいもん』がよく売られてるってのは・・・・・。そんな話、

今まで一切聞かなかったが」


一誠と同じクラスの男子生徒、島津岳人。彼は情報を頼りに親不孝通りに来ていた


「島津。何故テメェがこんな所うろついていやがる」


そんな彼に話しかけるのは一誠とガクトと同じクラスの源忠勝


「ゲンか。そういやぁバイトこの近くだっけか。何か耳にしてねぇか?街で起こってる異変とか」


「質問の意味が分からねぇな。帰ーれ、お前は」


「ここらへんでヤバイ薬まかれてるって話しを聞いた」


「・・・・・それはテメェが首ツッコム事じゃねえ」


「どれくらいの治安なのか調べに来たんだよ。露骨にヤバかったらモロ達にはここ近づくなと強く言っておく

必要があるからな」


「その台詞、俺がボケのテメェに言ってやるぜ。・・・・・確かに最近おかしいっちゃおかしんだ。

まわってる薬も、今までとは違うみたいでよ」


「やっぱ、キナ臭そうな話だな、オイ」


「場違いだ。消えておけ。それがテメェのためだ」


「そう思ってるうちにとっとと立ち去りな。喧嘩になっても手は・・・・・」


「・・・・・ゲン?」


「・・・・・」


「ん?・・・・・兵藤の奴じゃねえか」


二人の視界に一誠の後姿が入った。二人の心の中で思っている事は違うが共通している部分があった。『

何であいつが此処にいるんだ』と・・・・・。


「あいつ弱いくせにどうして此処にいるんだ?」


「ちっ、面倒くせぇな」


「ゲン?」


「勘違いするな。あんな弱い奴がこんな所にいたら俺の仕事の邪魔になるから忠告して

此処から遠ざけるんだよ」


「なら俺様も行くぜ。強引でもこの場所から連れて帰らせらせるからよ」


二人は利害一致して一誠の跡を追う。すると集団で歩いていた一人の不良の肩とぶつかった。一誠は気にせず

そのまま歩を進めようとしたが


「おいおい、俺様の身体にぶつかって詫びの一つも言わないったぁ・・・・・いい度胸じゃないか?」


「・・・・・悪いな。それじゃあ」


「って、そう簡単に謝って許すと思っているのか!ああ!?ちょっとこっちにこいやぁ!」


「あらら、連れて行かれたなぁ・・・・・」


「面倒事を増やしやがって・・・・・」


不良達に連れて行かれる一誠を見て嘆息するガクトとゲン。あいつはカツアゲでもされるだろうと思いながら

一誠を助ける為に不良達が入った路地裏に向かった。―――刹那


「「「「「「「「「「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!」」」」」」」」」」


「「っ!?」」


突如、悲鳴が聞こえた。直ぐに悲鳴が収まったと思ったら一人の不良が何かから逃げるように二人の前に

出てきた。二人は一体何事だ?と緊張と不安を抱き不良に声を掛けようと口を開いた瞬間だった。

―――二人の視界に巨大な大蛇が路地裏から這い出てきて逃げる不良を捕食した


「「―――っ!?」」


あまりの光景を見て身体を硬直してしまう。大蛇は足をバタバタともがく不良を飲み込みながら鋭い眼光を

二人に向けた。


「ゲ、ゲン・・・・・。この街にこんな大きな大蛇を買うモノ好きな奴が・・・・・い、いるんだな」


「アホか・・・・・!こりゃあ、とんでもねぇサイズの上にこんな蛇を買う奴がいるならとっくの昔に

世間に知られている筈だぞ・・・・・!」


「ど、どうする・・・・・?この先には兵藤の奴がいるんだろうけど恐らく・・・・・」


「・・・・・俺達だけじゃあ勝てるわけがねぇ。此処は一旦―――」


とゲンがガクトと話している最中、不良を完全に飲み込んだ大蛇はグルリと身体を曲げて移動し始めた


「に、逃げるのか?」


「いや、今の不良で満腹になって住みかに戻って寝に行ったかもしれない。―――今のうちに一子達を

呼んでおけ。あの大蛇を退治しないとこの街はあいつのエサ場となるぞ」


「お、おう」


「俺はあの大蛇を追う。お前は此処で待っていろ」


「ちょっ、ゲン!いくらなんでも危険だ・・・・・って、おい!」


ガクトの制止を耳に入れずゲンは大蛇の跡を追った。―――だが、大蛇が戻ったと思われる路地裏には少し

広い空間でできた場所しかなく大蛇はいなかった


「・・・・・あの巨大な体で何処に・・・・・」


ゲンの背後に何かの気配を感じたと同時に自分に殺気を向けられている事も気づいた。


「お前・・・・・」


「好奇心は猫を殺す。人は何か気に成る事があると直ぐに知りたがって行動を起こす。まあ、それが人間の

良さの一つであり悪いところでもあるな」


「・・・・・あの大蛇は何処に行った?」


「聞いてどうする?お前の実力じゃあ食われるのがオチだな」


「お前があの大蛇を・・・・・」


「俺は優しい人間だから悪成る者は全て消す」


「・・・・・っ!」


「―――この街にまわっている麻薬の存在・・・・・知っているな?」


「っ!?どこでそれを・・・・・!」


「この件は大規模な事件となると俺は踏んでいる」


「なんだと?」


「一つだけ情報提供をしよう。板垣三姉妹の他に板垣竜兵というもう一人の姉弟がいる。その兄弟姉妹は

今回の麻薬と繋がっている」


「・・・・・随分と詳しいじゃねぇか」


「ギブアンドテイク。俺が情報提供。お前は俺と大蛇の件はお前の胸の内に留めておけ」


「・・・・・もし嫌だと言えば?」


「強制はしない。話すのも話さないのもお前自身が決めていいさ」


「・・・・・」


「俺はこれからもこの街でまわっている薬と黒幕を探す。ついでに治安の為に不良も消す」


「そんなことをしたら警察に捕まるぜ?」


「捕まりはしないさ。逆にいえば警察も俺を捕まえようなんて事をしない」


「・・・・・どういうことだ」


ゲンが問いながら後ろに振り向くと既にいなくなっていた。


「・・・・・あの野郎、力を隠していやがったのか・・・・・」


自分の手の平を見るとプルプルと震えている


「はっ、俺はあいつに恐怖を感じていたようだな」


自分に嘲笑し、未だに震えている手を


「・・・・・できるだけ一子達をあいつに近づけないようにしよう。あいつは

―――バケモノだ。人形という器に隠れた恐ろしいバケモノ・・・・・」


ギュッ!と力強く握った

-9-
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