小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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一誠が『ファントム・イリュージョン』を開いて数時間後、世界は慌てだした。「あの十二星の店が十数年

振りに営業を始めた」とニュースでどのチャンネルも報道されていた。そのことに世界は知れ渡り、

一誠の店に訪れたことある者は超重要な仕事や要件を放り出してまで一誠の店に行こうとする者も

続出していた。



―――日本



「そうかい。あの店がねぇ・・・・・」


「世界は大騒ぎになっております」


「こりゃあ、しばらくは大変なことになるだろうよぅ」


「ええ、既にあの『ファントム・イリュージョン』の事は世界中に知れ渡っております。尚、

先程情報がありましてアメリカの大統領がこの日本に来日するようです」


「そりゃあそうだろうが、あの店の料理を味わったら二度と忘れる事はできねぇもんさ。

・・・・・ところで」


「はい?」


「お前さん、ソワソワしてどうしたんだい?」


「えっ、そ、それは・・・・・」


「・・・・・仕方ねぇ、―――思う存分にあの店の料理を食べるぞ」


「あ、ありがとうございます!」


「他の奴等も今頃は大事な仕事を放り出して行っているだろうさ。まっ、

俺も言えた義理はないけどよ・・・・・」



―――アメリカ



「何!あの店が営業しているだと!?」


「はい!世界中はこの事に大騒ぎです!為替相場も急変しております!」


「大統領!世界各地の首相達が日本に向かっている情報が届きました!」


「更に有名なスポーツ選手、歌手、芸術家、作家と様々な名の知れた者達までも

日本に向かおうとしております!既にカラカル兄弟達が飛行機に向かっているとの情報が!」


「―――直ぐに大統領専用機を準備するのだ!我々もあの店に行くぞ!」


「しかし、この後のスケジュールが・・・・・!」


「全てキャンセル!それに、あの店が営業をしていると世界中に広まっているのであれば向こうも

キャンセルをしてくる!―――いや、世界中の人間達は仕事を放り出してまでもあの店に向かう筈だ!

妻と娘を呼べ!お前達も来い!」


「はっ、はい!」



―――ドイツ



「ほう、久しぶりにあの店が営業をしたのか」


「はい、その通りです」


「やはりそうだったか・・・・・。あの独特の爆音はあの店が営業を始めたという意味でもあるからな」


「いかがいたしますか?」


「・・・・・我等も日本に行こう。そしてクリスと一緒にあの店に行く。―――マルギッテ、キミも一緒に

行こうではないか」


「寛大な心に感謝します・・・・・」


「他の部隊も連絡を。あの店が営業を始めると人はあの店を求める。―――我々のようにな」



――――『ファントム・イリュージョン』



「いらっしゃいませー!」


「店内での携帯とカメラでの撮影は厳禁ですニャ。携帯とカメラはロッカーの中に入れてから

入ってくださいニャ!」


「可愛いー!」


「猫さんが喋っている!」


「ボディチェックと荷物チェックをさせてもらうニャ!」


「お客さん、携帯をロッカーに入れてもらわないと困りますよ。マナーを守ってもらわないと壊しても

いい事に成っているニャ」


「キチンと並んで待ってくださいニャー!」


「猫ちゃん!握手してー!」


「ニャ?了解ニャ!」


「はわー!肉球が柔らかーい!」


玄関ホールでは既に大勢の人達が集まっていた。外にも長蛇の列ができておりその光景を撮りに来た大勢の

カメラマンと報道者達がいた


「私が今いるのはここ、幻の十二星の『ファントム・イリュージョン』です!ご覧ください!この長蛇の

列を!既に千はくだらないであろう人の数!ご丁寧に椅子も用意してあってお客さん達を疲れさせないように

用意されております!ファントム・イリュージョンは十数年前に営業されておりましたが、このお店の

料理長、『F』の気まぐれに営業はしておりませんでした!しかし、今日は『F』の気まぐれで十数年振りに

営業をしております!その上、今はゴールデンウィーク!ファントム・イリュージョンが出す料理を食べた事

もある人やそうでもない人達が詰め寄っています!実は私も過去一度だけですがこのお店の料理を

食べたことがあります!」


「このお店は携帯とカメラの撮影を厳禁しているお店でもあります!ですので、我々は店内に入り、

実況する事は不可能です!料理長『F』。謎に包まれた男性で素顔を見た者は誰もございません。彼は一体

どんな人なのでしょうか」


「これから私はお店から出た人に聞いてみます。すみません!料理を食べた感想を言ってくれますか?」


「凄く美味しかったです!最初、これは本当に料理なのか?と思ったのですけど一口食べると味わった事も

ない感触と味が口の中に広がって不思議でした!値段も安くて店員さんも超可愛かったです!猫が立って

喋って働いているんですよ!中には男女の店員さんもおりましたけど猫の店員の方が可愛かったです!

記念に写真が撮れないのは残念でしたけど、また明日も来ようと思います!」


「ありがとうございました。次にお店に入ろうと待っている人達にも声を掛けてみたいと

思います!・・・・・あっ、あそこにいるのは何と川神鉄心さんと武神川神百代さんです!

お二人に声を掛けてみます!川神鉄心さん、川神百代さん!こんにちは!」


「ふぉふぉふぉ、こんにちは」


「こんにちは」


「お二人もやはり料理を食べに参ったのですか?」


「そうじゃよ。実に十数年振りじゃ。早くあの料理を食べたくて、食べたくて仕方なくてのぅ」


「私も今日は妹と仲間を連れて食べにきました」


「いぇーい!」


「俺様の肉体を撮ってください!」


「ガクト、それは止そうよ・・・・・」


「あわわ、松風。テレビに映っていますよ」


『頑張るんだー!まゆっち!カメラに向けて笑顔だぜぃ!』


「はっ、はい!」


「まゆっち、顔引き攣っているわよ!?」


「むぅ、人が多いなぁ・・・・・。早く食べたいぞ」


「我慢しろ」


「愉快な友達ですね・・・・・」


「ええ、ずっと一緒にいても飽きない友達ですよ」


「そうですか。では次に―――



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



ファントム・イリュージョンの店内では賑やかだった。店員のアイルーとメラルー達の働く姿とつぶらな瞳を

見て客達は心を癒されていた。同時に注文した料理を食べて感触と味を楽しんでいる。一方冬馬達は


「いらっしゃいませ」


「何名様で候?」


「ご注文は?」


「お冷でーす♪」


「またのお越しをお待ちしておりまーす!」


頑張って接客をしていた。少しぎこちないが皆は奮闘して一誠の為に頑張っていた。しばらくして五人は

休憩室に入って椅子に座りだす


「ふう、意外と接客というのは大変ですね」


「だな。だけど、それより一誠さんが大変そうだぜ」


「調理するアイルーとメラルーもいるけどそれでも間に合わないぐらいに客が来ているもんね」


「流石は十二星のお店で候。客の中に有名人やスポーツ選手も来ていた候」


「うんうん、ビックリしたよ。名の知れた格闘家や武闘家が来ているもん」


「人気あるねー」


「というか、たまに料理を運ぶんだけど見た事もないものばかりだぜ」


「複数のアイルー達が何かの頭を乗せた料理も見たけど・・・・・あれ、美味しいのかな?」


「マグロの頭みたいでしたね」


「それと、注文が変わっているで候」


肉コーナ『肉×肉 肉×野菜 肉×魚介 肉×殻物 肉×果実 肉×乳製品 肉×酒』


野菜コーナ『野菜×野菜 野菜×魚介 野菜×殻物 野菜×果実 野菜×乳製品 野菜×酒』


魚コーナ『魚介×魚介 魚介×殻物 魚介×果実 魚介×乳製品 魚介×酒』


殻物コーナ『殻物×殻物 殻物×果実 殻物×乳製品 殻物×酒 殻物×酒 』


果実コーナ『果実×果実 果実×乳製品 果実×酒』 


乳製品コーナ『乳製品×乳製品 乳製品×酒』


酒コーナ 『酒×酒』


肉の食材『くず肉 堅肉 鳥肉 ゴムジャーキー サイコロミート ワイルドベーコン ガブリローズ 

     ミートワゴン 七味ソーセージ モスポーク プリンセスオーク キングターキー ポポノタン 

     マトングレート ギカントミート リュウノテール 龍頭 龍足 ガビアルカルビ』


野菜の食材『棍棒ネギ まだらネギ ジャンゴ―ネギ ドテカボチャ ふたごキノコ オニオニオン 

      砲丸レタス ポッケポテト ヤングポテト キングトリュフ シモフリトマト レアガーリック 
      マイルドハーブ スライスサボテン 西国パセリ 五香セロリ 四つ足ニンジン』


魚の食材『ホタテチップ 大巻貝 オンブウオ ワカメクラゲ くの字エビ 女王エビ 女帝エビ 骨タコ 

    大王イカ スパイフグ 兜ガニ 千年蟹 スネークサーモン ブリカブト 紅蓮鯛 たてがみマグロ 
     ピンクキャビア』


殻物の食材『粒麦 ウォーミル麦 フラヒヤ麦 ジャリライス ビンビーンズ ミックスビーンズ 

     ソウルビーンズ ミミパン 頑固パン ウマイ米 ココット米 大雪米 黄金米 ココットライス 
     古代豆 ジャンボパン クック豆 松永納豆 ヘブンブレッド マスターベーグル』


果実の食材『フルーツジャム オイルレーズン 北風みかん 氷樹リンゴ 炎熱マンゴー 長寿ジャム 

      エメラルドリアン』


乳製品の食材『ネンチャクリーム クヨクヨヨーグルト 苔チーズ 粉吹きチーズ 熟成チーズ チリチーズ

       レッドチーズ ロイヤルチーズ 幻獣チーズ 頑固ミルク 塩ミルク 長寿ミルク 

       猛牛バター 幻獣バター』


酒の食材『泥芋酒 ホピ酒 達人ビール フラヒヤビール モガビール バニーズ酒 狩人ビール 

     達人ビール 達人ビール 鬼芋酒 バニーズ酒 黄金芋酒 ブレスワイン 龍殺し』 


「食材から選んで注文とか・・・・・。ホント、変わっている・・・・・」


「敢えて料理の名前を出さずに何が出るのか好奇心と不安が出てきますね。

―――好奇心の方が勝っていますが」


「まあ、肉が好きな奴にとっては肉の料理を頼めば良いんじゃないか?」


「そうだねー」


「と、そう言っている間にもう十二時だ。何か一誠さんに作ってもらうか」


「忙しい時に申し訳ないですがね」


「俺が言ってくる。注文は?」


「私は・・・・・無難に肉と野菜で食材はキングターキーとキングトリュフにしましょう」


「僕は乳製品と果実で氷樹リンゴとクヨクヨヨーグルト!」


「私は・・・・・野菜×殻物でキングトリュフとナットウコマチ!」


「私は・・・・・魚×魚で千年蟹と紅蓮鯛とお願いでする候」


「はいはい・・・・・と、そんじゃあ行ってくる」


「いってらっしゃーい」


―――数分後


「ただいま」


「お帰りなさい・・・・・おや、これは先輩じゃないですか。どうして準と一緒に?」


準が休憩室に戻ると背後に―――川神百代もいた


「ああ、ハゲがいたからついてきたんだ」


「此処に戻る際に捕まったんだよ。で、此処に連れてきたわけさ」


「そう言う訳―――って超、超美少女がいるじゃないかああああああああああああああ!」


「え、えっと・・・・・?」


「私は川神百代だ。よかったら名前を教えてくれるかな?」


「あ、はは・・・・・。私は松永燕だよ。そっか、貴女が武神、川神百代なんだ。西でも武神の話は良く

聞くよ」


「西・・・・・それに松永・・・・・。・・・・・あの松永か?」


「うん。一応、武士娘として決闘もしているよ」


「どうして西にいる筈のお前が此処にいるんだ?」


「一誠さんに誘われたの。此処のメニューに私の家で作っている松永納豆を作った料理を出すから

一緒にバイトしてみないかって」


「・・・・・あっ、確かに松永納豆ってあったな・・・・・って、一誠さん?一誠と知り合いなのか?」


「私のお師匠様なの。今じゃあ、たまに松永納豆を買いに来る時に稽古をしてもらうぐらいだけどね?」


「なっ!?それは本当なのか!」


「うん、そうだよん」


「それは知らなかったで候」


「以外ですね・・・・・」


「まあ、ユキも一誠さんに強くしてもらったよな」


「うん!一誠やトーマ、準の為に頑張って強くなった!」


「それでモモ先輩、一誠さんは此処の料理長だってことは話していませんよね?」


「当り前だ。ユミにも言われたんだからな。というか、ユミのその服装は可愛いなー」


「一誠さんが作った物で着心地は良いで候」


「・・・・・あいつ、色々と凄いな」


「はい、私もそう思います」


「なー、あいつは何処にいるんだ?あの猫、超欲しいんだけど!なに、あの可愛い猫!久しぶりに見ても

超可愛いぞ!欲しい!絶対に欲しい!」


「それについては俺も同感だが・・・・・無理だろ。一誠さんが許すわけがねぇよ・・・・・」


「ですね。私も一匹ぐらいは家で飼いたいですよ」


「・・・・・こっそりと連れて行くかな」


「―――人の店員を勝手に連れて行こうとするな」


ドゴンッ!


「〜〜〜っ!?」


百代の頭に拳が振った。かなり痛いようでその場に蹲って頭を押さえた。百代を叩いた人物はこの店の

料理長の一誠。背後には冬馬達が頼んだ料理の数々を持っているアイルー達が待機していた


「昼飯を持って来たぞ」


「おっ、待っていました」


「クヨクヨヨーグルトと氷樹リンゴで作った料理ですニャ」


「わーい!」


「わお、美味しそうだね」


「百代は大丈夫で候?」


「気にするな。瞬間回復って便利な技があるから気にするだけ無駄だ」


「それでも痛いんだぞ!?お前の拳は!」


「・・・・・どうやら大丈夫で候な」


「武神だから平気だよね」


「・・・・・もう少し心配してくれてもいいじゃないか」


「武神が何言っているんだが・・・・・。で、客として来ているのか?」


「・・・・・ああ、そうだよ。今更手伝える訳無いしジジイと仲間達と一緒に食べに来たんだよ」


「そうか、此処は有名人が来る店だからな。当然といえば当然だ。今日か明日には他の国の大統領も客として

来るだろうさ」


「・・・・・マジですか?」


「十数年前にも来ていたぞ?今回はゴールデンウィークが終わるまで営業をするつもりだから来る可能性は

大いにある。まっ、俺は会わないけどな。調理で忙しいし厨房にも来させる気もない」


「なー、イッセー。あの猫が欲しいー、飼いたいー、飼わせてくれよー」


「ダメだ」


「即答かよ!?」


「諦めろ。あいつら一匹だけでも誰かの手に飼っていたら欲しくて犯罪の火種にも成りかねないんだから」


「私が力で黙らす!」


「・・・・・この人ならできそうで怖いよなぁ・・・・・」


「・・・・・兎に角ダメなものはダメだ。ほら、此処は本来店員かバイト以外の者は立ち入り禁止なんだ。

お客はお客らしく客席に戻って料理を食べてくれ」


「良いじゃないか。此処でも食べてさー」


「料理はどうするんだよ、お前の料理はこっちに持ってこさせる気はないぞ」


「ハゲの料理で食べる」


「俺のかよ!?」


「・・・・・百代」


「なんだ?」


「百連発のデコピンと直ぐに鉄心達の許へ戻る選択を上げようか。どれがいい?因みにデコピンはさっきの

威力だと思っても―――」


「直ぐに戻ります!」


百代は瞬時で休憩室からいなくなった


「・・・・・たく、今までの客より百代の方がタチ悪い」


「さっきの威力で百連発は誰も食らいたくないでしょうに・・・・・」


「まあ、どうでもいいけど、それを食べたら仕事に戻ってくれ」


「一誠さんは食べないのですか?」


「そんな暇はない。今でも忙しいんだ」


そう言って一誠は厨房へと戻った


「・・・・・私達もできるだけ早く食べて仕事をしよう。一誠さんの負担を減らす為にも」


「ええ、そうですね」


「俺達がのんびりしている間にもあの猫達が必死に頑張っているもんだよなぁ・・・・・」


「頑張るー!」


「では、昼食を食べて手伝うで候。―――いただきます」


「「「「いただきます」」」」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「またのお越しをお待ちしておりまーす!」


燕が最後の客を送り迎えした。同時に独特の爆音が外から鳴り響き店の扉が自動的に閉まりだして中に

入る事が出来なくなった。店内の中は疲れ切ったアイルーとメラルー達だが仕事をやり遂げた事に嬉しそうな

表情だった


「はぁ・・・・・疲れたー!」


「学生の俺達が此処まで疲れる思いをするとは思わなかったぜ・・・・・」


「時間もかなり遅いで候・・・・・」


「本当にこの店は凄い人気ですね・・・・・」


「うへー、疲れたよー」


「お前等、お疲れ様」


「一誠さんもお疲れ様です。長時間も調理し続けて大変ですよね」


「俺だけじゃないけどな。さてと、アイルーとメラルー達、今日はお疲れ様!家に帰ってゆっくりと

休んでくれ、また明日もよろしく」


一誠が壁の下にある全ての蓋を開けるとアイルー達は一誠達に「また明日ニャ」「明日も頑張ろうニャ」

「またニャ」「じゃあねー!」と別れの言葉を告げながら穴の中に潜った。全員が穴の中に潜った事を確認し

蓋を閉じた


「それじゃあ俺達も帰るとしよう。既に外は真っ暗だけどな」


「一誠さん、私はおとんに一誠さんの家に泊まる事に成っているんですけど・・・・・」


「・・・・・初めて聞いたんだけど?」


「言うタイミングが無くて・・・・・すみません」


「・・・・・今回だけだぞ。俺の家に泊まらせるのは」


「っ!ありがとうございます!」


「・・・・・冬馬達は直接家に送る。いいな?」


「はい、ありがとうございます」


「だけど、一体どうやって俺達を?既に時間的にかなり遅いほうだし」


「その方が都合良い。夜に紛れて動くからな」


「どういうことー?」


「百聞は一見にしかず。こっちだ」


怪訝な表情を浮かべる冬馬達は一誠の跡に続いていくとエレベータに向かっていく事に気づく。一誠が乗ると

冬馬達も乗りだすと一誠は―――10階のボタンの上に指を付けてスライドすると隠されていた『11』の

ボタンを押した


「11階?10階までしか無かったのでは?」


「11階は屋上の事だ」


「そういうことですか。でも、何故わざわざ隠すような事を?」


「隠している物があるんだ」


「一誠さんが隠しているもの・・・・・興味がありますね」


「この扉が開いたらすぐに分かるさ」


11階に昇ったエレベータが停止した瞬間に扉が横に開いていく。一誠達がエレベータから出るとそこは

何かの倉庫で幾つかの巨大な機械と小さい機械があった


「す、凄い・・・・・」


「戦闘機もある。って、あそこにあるのはゼロ戦じゃないか!?」


「あれは某ロボット兵器に酷似しておりますね・・・・・」


「これは・・・・・ドラゴン?」


「ああ、因みにそれらは俺が作った」


「嘘!?これ全部!?」


「暇つぶしにな。まあ、一か月で作れて飽きたけど」


「・・・・・じゃあ、一番長かった物は?」


「そこにあるロボットとドラゴンの機械だな。二ヶ月ぐらいかかった。更に言えばこれ全部

―――破壊兵器だからな」


「・・・・・一誠さんってホント、凄いですね。おとんでもこれは流石に作れないですよ」


「これ、一つでも戦場に出したら勝つんじゃあ・・・・・」


「一誠さんの才能には驚くで候・・・・・」


「あははー!乗ってみたーい!」


「お前達が乗るのはこのバイクだ」


「おっ、これは普通のバイクだな。両方にサイドカーとその後ろにも二つ付いているのは

珍しいけど・・・・・」


「俺が運転するから好きな場所に乗れ」


一誠が先にバイクを乗りエンジンを掛けると燕は一誠の後ろに乗りだし、ユキは右、ユミは左、冬馬と準は

ユキとユミの後ろのカーに乗った。


「・・・・・一誠さん」


「なんだ?」


「今気づいたんですけど、これはどうやって外に出るんですかね?」


「―――はは、決まっているじゃないか」


一誠は思いきりアクセルを踏んだ。バイクは猛スピードで前進して


「ここを突破するんだよ」


「「「―――ええええええええええええええええええええ!?」」」


「あははー!」


「このまま進んだら壁に直撃しますね」


「若はなにのんびりと言っているんだよ!?」


「一誠さん!壁!前に壁がありますよ!?」


「大丈夫、通り抜けるから」


「それは壁をぶち抜いて通るって意味ですよね!?」


「半分正解で半分不正解だ。まあ、前を見てろ」


「・・・・・えっ」


一誠達の目の前に大きな穴が開いていた。「さっきはあんな穴は無かった筈」と燕は呟いた。一誠達を乗せた

バイクは穴の中に潜り―――外へと出た。そしてバイクはそのまま夜空を飛んだ


「・・・・・バイクが飛んでいる?」


「それより今、どうやって外に出たのですかね・・・・・」


「穴に潜ったと思えば直ぐに外に出たで候・・・・・」


「おいおい、夢でも見ているのか・・・・・?」


「ユキ、準を殴ってやれ」


「てい!」


「いたっ!?・・・・・夢じゃねぇんだな・・・・・」


「凄い・・・・・バイクで空を飛べるなんて」


「俺が作っているものは大抵、飛行能力を持っている。車だって作れば飛行能力を付けられるぞ」


「それでは、救急車でも?」


「そうだな。救急ヘリでもより高性能に作れる」


「・・・・・一誠さん。今度、それらも作ってはくれませんか?」


「一か月ぐらいかかるけどいいな?」


「はい、救急ヘリ以外の飛行能力を持つ人を救出する物があれば人を助けられる事がより

可能になりますからね」


「車道で走るより飛行して行った方が何倍も速いからな」


夜空を飛ぶ一誠達。一時間後には葵紋病院に着き冬馬、準、ユキの三人を降ろし別れを告げて、

次にユミの家に向かった。そしてユミの家に辿り着きユミを降ろした


「また明日な、おやすみ」


「おやすみなさい、また明日」


「じゃあね、ユミちゃん!」


アクセルを踏んで再び夜空を駈けだす。


「そう言えば一誠さんの家って何処ですか?」


「・・・・・空だ」


「え?」


「空に浮かんでいる大地だ」


「・・・・・それって・・・・・」


「『天使達の聖域』俺はそこに住んでいる」


「・・・・・」


「・・・・・」


「一誠さんは・・・・・『天使』なのですか?」


「・・・・・ああ」


一誠は肯定したその瞬間、背中に金色の翼が生えた。燕の顔に翼が当り燕は顔を翼に押し付ける


「・・・・・温かい」


「・・・・・そうか」


「・・・・・一誠さんが天使だって事を誰か知っているんですか?」


「・・・・・ユミしか知らない」


「そっか・・・・・」


「・・・・・着いたぞ」


大海原の上空に一誠が住む空に浮く巨大な大地、『天使達の聖域』が満月の光に照らされながら

二人の視界に入った。


-12-
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