小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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六月九日(火)



「全く、大丈夫か?」


「ニャー、ニャー」


「・・・・・足を滑らして川に落ちたのかよ」


「ニャー」


「お礼?いらない。命を救えたからな」


川に溺れている猫を見つけ助ける為に水の上に掛け走り、猫を助けて岸に辿り着いた。地面に降ろして猫に

手のひらを向けて金色のオーラを猫に浴びせる。


「・・・・・これで大丈夫だろう。もう、川に溺れるような事をするなよ」


「ニャー!」


「ああ、また何時か会おうな・・・・・」


完全回復した猫は俺から離れるが何度も俺に振り返りながら何処かに向かった。


「・・・・・」


「イッセー♪」


「・・・・・」


橋の上から声が聞こえた。橋に視線を向けると冬馬、準、ユキが橋の上から俺を見ていた。瞬間移動して

ユキ達の前に移動した


「おおっ、速い。それと、おはようさん」


「おはよー!」


「おはようございます。一誠さん」


「おはよう」


「「「・・・・・?」」」


「・・・・・なんだ」


「いえ、何か・・・・・」


「何時もと違うような・・・・・」


「一誠が少しだけだけど明るく挨拶をしてくれたー♪」


「・・・・・もう、何もかも諦めた」


「何にですか?」


「・・・・・何でも思い通りにいくとは思っていなかった。昨日の決闘がそれだ。どうせ、俺が強い事と

俺の秘密を隠しても何時か気づくかバレるだろうから開き直る事にした」


「では・・・・・」


「・・・・・はあ、少しずつだが、昔のようにお前達と接しようと思う」


「「「・・・・・っ!」」」


「・・・・・行くぞ」


俺は冬馬達にそう言って歩を進める


「・・・・・ようやく、ようやくですね・・・・・」


「ああ、あともう少しで一誠さんは昔のように俺達と接してくれる」


「わーい!僕、嬉しいよ!」


「・・・・・ですが、まだまだですね」


「一誠さんから秘密を教えてもらった時こそが俺達を認めてくれているということになるからな」


「僕は絶対に諦めないよー!」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



2−F


ガラッ・・・・・。


「「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」」


「・・・・・」


一誠が教室に入った途端に静かになった。誰も一誠に目を向けようともせず、

ただ視線を下に向けて一誠の姿を視界に入れないようにした。


「・・・・・」


ガタンッ!


「「「「「「「「「「・・・・・っ!」」」」」」」」」」


一誠が思いっきり机に足を置くと2−F組の殆どのクラスメート達は全身を強張らせた。一部以外では一誠に

バレないように観察していた


ガラッ・・・・・


「・・・・・何だ、この重い空気は・・・・・まあいい、朝のHRを始める」


「起立!礼!」


皆が少し元気無い挨拶をした。一誠は座ったまま空を眺めている


「・・・・・おはよう、着席して良し。出欠を確認する。各自速やかに返事をするように」


出欠の確認はテンポよく名前が呼びあげられ・・・・・


「兵藤一誠」


「ああ」


「・・・・・では、これで出欠確認を終了する。・・・・・兵藤」


「・・・・・?」


「話がある」


「・・・・・」


「「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――屋上



「・・・・・で、こんなところに呼びだした理由は何だ」


「あの教室に漂う重い空気はお前の存在でなっているようだな」


「・・・・・俺が入った途端に全員、無言に成ったほどだからな。前だったら俺が入っても気にしないか

無視して騒がしかったのにな」


「一部の者以外は皆、お前を恐れている」


「・・・・・だからなんだ?俺がいると怖がって勉学の妨げになるからしばらく来ないで欲しいのか?」


「違う!あの力を二度と使うなと言いたいんだ!」


「・・・・・虫の良い事を。元々島津とクリスティアーネが望んだ事なんだぞ、といっても俺の力はあれだけ

じゃないんだけどな」


「・・・・・何だと」


「―――禁手」


ドンッ!


一誠はドス黒いオーラに包まれた。オーラは段々と形を作っていき漆黒の全身鎧となって

背中には炎の翼が展開した


「・・・・・っ!?」


「・・・・・あの力を使っていけないのなら今度はこの力を使うぞ」


「お前・・・・・一体なんなのだ・・・・・!?」


「・・・・・」


一誠は2−F担当の小島梅子に近づく。小島は一誠から放たれるプレッシャーに圧倒されて一誠が

近づくごとに後ろに下がった


「―――はは」


「・・・・・?」


「・・・・・お前、俺に怖がっているじゃないか」


「―――っ!?」


「・・・・・そう、それでいいんだ。俺に恐怖を抱いてくれれば俺は嬉しい、孤独になるからな」


「何という邪悪な気を放っておるんじゃ」


「・・・・・鉄心」


「小島先生に何かしようとしたかのう?」


「・・・・・ただ、話していただけだ。『昨日の力を使うな』と言われて俺はこの力で振るうぞと

近づいたらさ―――そいつ、俺に恐怖を抱いて下がったんだぜ?」


鎧を解きながら鉄心と会話を続ける


「・・・・・まっ、恐怖を抱く事は悪くない。恐怖を乗り越えた先にさらなる強さを手に入れられるからな」


「お主の言葉には理解はする。じゃが、ワシも小島先生と同じようにあの力を使う事を禁ずるぞい」


「・・・・・何なんだよ。俺に本当の力を出せって言ったのはお前達だろうが」


「そこまで邪悪な力を持っているとは思わなかったのじゃよ」


「・・・・・残念だけど俺はこの力を使い続ける。俺はこの力で困っている人間を救済するのが生甲斐でも

あるからな」


「それが例え、非難されてもか?」


「・・・・・ああ、誰がなんと言おうが俺は救済する。俺は俺の道を貫く」


「「・・・・・」」


「・・・・・おい」


「なんだ・・・・・」


「・・・・・弓道部にはしばらく顔を出さない。昨日の力を見ている弓道部の部員もいる筈だ。見ていなくても噂や学校の裏サイトの掲示板とかで俺の事を知っているとなると俺に怖がって

部活どころじゃなくなるからな」


「そ、そんなことは―――」


「無いと言い切れるか?実際に2−Fの奴等は俺に怖がっていたじゃないか。それが何よりの証拠だ」


「・・・・・っ」


「・・・・・願わくば、俺に近づかないで欲しいもんだよ」


一誠は給水塔の上に飛び乗って寝転がるとそのまま青空を眺め始めた



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――昼休み


「・・・・・あいつが全治五ヶ月の怪我を負って学校にいない?」


「ああ、モモ先輩にシメられたってもっぱら噂だぜ」


「・・・・・で、そのあいつと闘って全治五ヶ月の怪我を負わせた張本人の感想は?」


「うん、楽しめたぞ。だが・・・・・」


「・・・・・だが?」


「やっぱりお前と闘った方が楽しいなー!」


「・・・・・そうかよ」


「ん?一誠さん、モモ先輩と闘った事があるのか?」


「同時に私は一誠に負けたのさ」


「げっ!マジですか!?」


「・・・・・おい」


「あはは、このハゲなら大丈夫さ。なー?」


「・・・・・一誠さんがモモ先輩に勝ったって全校の皆に教えたら面倒なことに成りそうだな。

秘密にしておくとしよう」


「・・・・・理解が早くて助かる」


「一誠さんの事なら小さい頃からの付き合いである私達なら何でも分かりますよ」


「いま、なーんか、ジェラシーを感じたな」


「私もで候」


「じゃー質問!イッセーの好きな食べ物はなーんだ?」


「「・・・・・」」」


「「何でも食べるから嫌いな物はない」」


「第2問!イッセーの好きな事はなーんだ?」


「「・・・・・」」


「「昼寝、料理、読書、運動」」


「第3問!イッセーの好きな人はだーれだ?」


「「「「・・・・・」」」」


「正解は僕でしたー♪」


「「なっ!?」」


「・・・・・嘘つくな、そこは不正解だ。他は正解だけどな」


「うー・・・・・じゃあ、イッセーは好きな人っているのー?」



「・・・・・ノーコメントだ」


「では、私という事にしましょうか」


「おいおい、何言っているのかな?」


「そうで候」


「いくらトーマでも一誠を渡さないんだよー!」


「・・・・・って、モモ先輩。ちらほら反応するけど実際、一誠さんの事をどう思っているんだ?

一緒に昼食を食べるし、たまに一緒に帰る事もありますけど」


「えっ?・・・・・んー、イッセーが私を倒した時、それ以来何か気に成るんだよなー。私より強いし、

大金持ちだし、前髪を上げると意外と可愛い+カッコいいし、それに―――」


「あー、ごちそうさま。モモ先輩もそう言う訳ですね」


「ん?どういうことだ?」


「・・・・・自覚が無いようで」


「・・・・・?」


「・・・・・(まだ自分の気持ちに気づいていないようだけど百代も一誠さんの事が・・・・・。百代も

一誠さんに好意を抱いていると気付いたら積極的になるだろうなぁー。・・・・・・気づく前に私が先に

積極的になってこっちに振り向いてもらわないと・・・・・!)」


「むー、絶対に負けないから!」


「何を言っているんだ・・・・・?」


「・・・・・百代」


「ん?」


「・・・・・川神院に行く。あいつを治しにな」


「ああ、分かった。お前の力は凄いからな。あっという間に治るだろう。放課後、門のところで

待っているぞ」


「一誠さんって怪我を治すことができるのですか?」


「・・・・・不治の病を治す事もできるし失った部位でも元に戻すこともできるぞ」


「・・・・・医者殺しですね」


「おいおい、一誠さんの病院があったら葵紋病院の存在危機に陥るな」


「おー、凄いじゃないか」


「・・・・・別に」


「ふふ、可愛い奴め」


百代が一誠の頭を撫でて愛おしそうに言った



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――川神院


「ただいまー」


「・・・・・邪魔する」


「お前が家に来るのはこれで二度目か」


「・・・・・そうなるな」


「あの時、急に気が練れなかったから驚いたぞ。一体なにをしたんだ?」


「・・・・・百代の気を一時的に断って使えなくした」


「おいおい、それを食らって私は大変だったぞ。目が覚めてもしばらくは気が使えなくて焦ったんだ」


「・・・・・一時的なもんだから問題ないだろう。お前のその強さの要は主に気だ。それを対処すれば

お前の力の半分以下になり、容易に倒せる」


「なら、もう一度やってみるか?私は二度も同じ技は通用しないぞ」


「・・・・・お前の対処方法なんていくらでもある」


「―――はは、楽しみだなぁ。私は二度も負ける気はないぞ」


「・・・・・今日はあいつを治しに来ただけだ。百代と闘うのはまた今度」


「分かっているさ。それにしても世界のレベルに絶望していたところにお前が現れて私は嬉しいぞ。

やはり、世界は限りなく広いようだ・・・・・!」


「・・・・・(力を持て余しているようだな)」


「さてと、此処にマルギッテがいる。おーい、入るぞ」


ガラッ!


「・・・・・相手の返事を待ってから開けろよ」


百代の行動に嘆息する一誠だが百代に続いてとある一室に入った。


「・・・・・」


「「・・・・・」」


部屋にいるマルギッテは上半身が裸で濡れたタオルで身体を拭いていた。一誠と百代の存在が部屋に

入った事に気付いて顔が一気に真っ赤に染まった


「っ〜〜〜!?」


「んー、良い身体をしているなぁ・・・・・」


「・・・・・お前は変態親父か」


「そういう一誠はマルギッテの裸を逸らさずに見ているじゃないか。このむっつりスケベ」


「・・・・・気にしていないんだよ。それにこいつが上半身裸で丁度良かった。治りも早くなるからな」


「な、なにを・・・・・!?」


「・・・・・少し黙れ」


「・・・・・っ!?」


「・・・・・」


一誠はマルギッテに近づくと跪き抱きしめた。背中に回した両手から金色の光が発光してマルギッテの身体は

金色のオーラに包まれてダメージを回復していく


「・・・・・温かい・・・・・」


「・・・・・」


一誠とマルギッテの抱擁に百代は不機嫌で面白くないといった表情を浮かばせた。


「・・・・・これで良いだろう」


「・・・・・あ」


「・・・・・なんだ?」


「い、いえ、何でもありません」


「・・・・・百代、俺は帰る」


「・・・・・ああ、また明日な」


用は済んだとばかりに川神院から去る。残るは百代とマルギッテのみ


「・・・・・おい」


「・・・・・何です」


「身体の調子はどうだ」


「ええ、完全に回復したようです。その上、力が溢れて来ます」


「そうか、それは良かったな。あいつに治してもらって」


「・・・・・川神百代、あの男は一体なに者ですか。中将殿からの任務であの男を調べるようにも

下されている」


「さあな。私もあいつとの付き合いがまだ浅いからあまり知らないんだ。ジジイに興味本位で聞いたら

住所と生まれ、家族構成が全く分からないんだってさ」


「では、あの男は一体・・・・・」


「んー、知りたいのならお前のクラスにいるハゲにでも聞いたらどうだ?小さい頃からの付き合いらしいぞ」


「・・・・・そうしましょう。情報提供に感謝します」


「というか、急にあいつの事を聞いてくるなんてどうしたんだ?」


「任務を果たすことが私の目的だと知りなさい」


「ふぅん、・・・・・それと」


「・・・・・?」


「いい加減に服を着たらどうだ?」


「・・・・・っ!?」


「そういえば一誠に完全に見られていたな?異性に見られたのは・・・・・始めたか?」


「―――っ!!!」


「あはは、かわいーなー!(同時に胸がモヤモヤとして来るんだがこれは何だ・・・・・?)」


百代はマルギッテをからかいながらも今の自分の気持ちに疑問を浮かべていた

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真剣で私に恋しなさい! Original Sound Track ~真剣演舞~
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