小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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六月十五日(月)



―――2−F



「突然だが、このクラスに転入生が入る事になった」


「「「「「「「「「「転入生!?」」」」」」」」」」


「静かにしろ!話はまだ終わっていないぞ!」


「・・・・・(転入生ね)」


「質問する時は挙手するように」


「先生!質問!」


「島津か、なんだ」


「転入生は女ですか!?寧ろ俺様は女が良いです!」


「先生!私も質問です!転入生は男ですか!お金持ちですか!?」


「はぁ・・・・・転入生は・・・・・女だ」


「「「「「「「「「「ヨッシャー!!!」」」」」」」」」」


「制裁ッ!」


「「「「「「「「「「ギャアアアアアアアアアアアアッ!?」」」」」」」」」」


「・・・・・馬鹿ばっか」


「それと熊飼!HR中にスルメイカを食べるな!


「す、すいません。お腹が空いて・・・・・」


「全く・・・・・。まあいい、転入生を呼ぶとしよう。―――入って来い」


ガラッ・・・・・


教室の扉が開け放たれた。転入生が教室に入出して小島梅子が黒板にチョークで転入生の名前を書き出す


「・・・・・はっ?」


「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおっ!?」」」」」」」」」」


「初めましてー!」


一誠は転入生を見て呆然、このクラスの男子から大歓声が上がった


「彼女の名前は松永燕だ。皆より一つ年上だが、仲良くするように」


「超!好みなんですけどおおおおおおおおお!」


「マジで可愛い!可憐じゃないか!」


「・・・・・な、何で・・・・・此処に・・・・・」


「先生!質問しても良いですか!?」


「許可する」


「松永さん!どうして年上なのに2年生なんですかぁ!?」


「んー、ある人と一緒に成る為にだよん♪」


「そ、それは一体何処の誰ですか!?」


「ふふ、そこにいる一誠さん♪」


「「「「「「「「「「・・・・・はいっ!?」」」」」」」」」」


「・・・・・」


「本人の希望でこのクラスに入る事に成ったのだ。彼女は兵藤と親しい仲だと聞き、学長と一緒に兵藤の事も

考えるとストッパーとしてなるかもしれないからこのクラスに編入したのだ」


「一誠さん!お久しぶりです!」


「・・・・・ああ、久しぶり」


「それと兵藤」


「・・・・・なんだ」


「お前宛てに三つの封筒が届けられている」


「・・・・・俺宛てに?」


「田尻という執事からだ」


「・・・・・ああ、もうできたのか。早いな・・・・・・」


「知り合いなのか?」


「・・・・・昨日ちょっとな」


一誠は小島梅子から三つの封筒を受け取った。一つは自分用、もう一つはユミ用、

最後は九鬼揚羽用の物だった。


「松永の席は兵藤の隣だ」


「はい、分かりました」


「では、これでHRは終わりにする。次の授業に備えるように」


「・・・・・燕、俺は英雄に届けてくる」


「うん、了解したよん」


一誠は席から立ち上がり隣の2−Sの教室へと赴いた


「・・・・・失礼する」


「おや、これは珍しい。一誠さん自らこのクラスに入ってくるなんて」


「わーい!イッセーだー!」


「一誠さん、何か用ですか?」


「・・・・・ああ、英雄。お前に渡す物がある」


「むっ?我に供物を捧げるとは何事ですかな?」


「・・・・・正確にいうとお前じゃなくて揚羽に渡して欲しい物だ」


「姉上に・・・・・?」


「久遠寺森羅って知っているだろう」


「久遠寺・・・・・・七浜フィルハーモニー交響楽団の指揮者の久遠寺森羅さんの事ですか?」


「・・・・・その通りだ。昨日、七浜に出会って揚羽の友達だと聞いた。何故かあいつは揚羽にまで

用意したから揚羽の弟である英雄、お前から渡して欲しいんだ」


「なるほど、そういうことなら責任持って必ずお渡ししましょう」


「・・・・・よろしく頼む。―――冬馬、ユキ、準」


「はい?」


「なーに?」


「なんだ?」


「・・・・・松永燕が俺のクラスに転入してきたぞ」


「マジで!?」


「おー、燕ちゃん。この学校に来たんだー?」


「松永さんが此処に来たとは驚きですね・・・・・」


「・・・・・何でも、俺に会いに来たようだ」


「そういう事ですか」


「あー、そういう事だったのか。納得した」


「ねー」


「・・・・・それじゃあ、俺は―――」


「一誠さん!次の授業が始まるよー!あっ、ユキちゃん!それに葵君と井上君!皆、久しぶり!」


「はい、お久しぶりですね。ゴールデンウィーク以来です」


「お久しぶりです」


「久しぶりー!」


「・・・・・燕、俺は授業に出る気ないぞ」


「じゃあ、私も授業には出ない!」


「・・・・・何だと?」


「一誠さんが出ないのなら私も出ないケド?」


「・・・・・」


「ふふ♪」


「・・・・・転入初日からサボる気か」


「私は一誠さんのストッパーみたいなもんだよん。一誠さんとずっと傍にいるって決めたんだから」


「・・・・・」


一誠は顔を手で覆い嘆息した。


「・・・・・ちっ、分かったよ。お前の評判を下げるような事をしたくは無い」


「うん♪それじゃあ戻ろっか!」


「・・・・・はぁ」


「んもー、溜め息吐くと幸せが逃げちゃうよん?」


「・・・・・既に逃げたさ。お前というストッパーが現れてな」


一誠と燕は自分のクラスへと戻り、授業の準備を始めた



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――昼休み


「まさか、燕がこの学校に来るとは思わなかったで候」


「ユキちゃんやユミちゃんより一誠さんと接していないからね。おとんに頼んでこっちに

引っ越してきたんだよ」


「なるほどね、あんたの行動力に恐れ入るよ」


「それで一誠さん。・・・・・はい!」


「・・・・・これは?」


「一誠さんのお弁当!」


「むっ、燕も弁当を作ってきたのかで候」


「もしかして・・・・・ユミちゃんも?」


「その通りで候」


ユミも一誠の分の弁等を出した


「・・・・・ありがとう。それとユミ、写真が届いたから渡す」


「そうで候か」


「写真?」


「・・・・・昨日、ユミと七浜に言って遊園地に行く時に七浜フィルハーモニー交響楽団の指揮者の

久遠寺森羅と会った。その時の写真だ」


「「―――っ!?」」


「・・・・・うむ、確かにあの時の写真で候」


封筒から一枚の写真を取り出した。その写真には一誠を挟んで撮ったユミと森羅の写真が映っていた


「すげぇ、マジで会ったんだな」


「羨ましい限りです」


「・・・・・どうでもいいけどな」


「一誠さん、何時の間にユミちゃんとデートしたんですか・・・・・」


「ズルイー!僕もイッセーと何処か遊びに行きたいー!」


「・・・・・なんだ、俺が悪いみたいなこの状況は・・・・・」


「一誠さん、女性の嫉妬は怖いですよ。そういう時は宥めなくてはいけません」


「・・・・・俺が悪いのかよ・・・・・しょーもない」


一誠は立ち上がって二人に近づいて頭を撫でた。


「温かーい・・・・・」


「一誠さんに撫でられるのは久しぶりだね・・・・・」


「・・・・・そういえばそうだな」


「(若、一誠さんが慈愛の瞳をしているぜ)」


「(一誠さん、その瞳で私にも向けて欲しいです)」


「・・・・・ああ、そうだ」


一誠は何か思ったのか燕とユキの額にトンと突いた。更に冬馬と準にも同じ様に額に指で突いた


「イッセー?」


「・・・・・念話できるようにした。口に出さず、心で話かけてみろ」


「(ハゲー、ハゲー)」


「ん?頭の中でユキの声が聞こえたぞ」


「ユキ、私にも話しかけてくれませんか?」


「(トーマ!トーマ!)」


「・・・・・私にも頭の中でユキの声が聞こえました」


「私も話しかけられていないのにユキちゃんの声が聞こえたよん・・・・・」


「私もで候」


「(・・・・・一応、その・・・・・友達の印として皆が心の中で話せるようにした)」


「「「「「・・・・・」」」」」


「・・・・・なんだ」


「(若ぁ!一誠さんが自分から友達って言ったぜ!)」


「(ええ、嬉しいですよ。ようやく一誠さんの口から『友達』の言葉が聞けました)」


「(ウェーイ♪)」


「(一誠さん、前に進み始めたという訳ですね・・・・・)」


「(昨日のお弁当のお陰で候か・・・・・?もしそうなら―――)」


「・・・・・お前等、筒抜けだぞ」


「え?分かるんですか?」


「・・・・・今のお前等の心は共有している。念話を区別して喋らないと自分の心の内が相手にまで

伝わって聞かれたくない秘密まで聞かれてしまうぞ」


「奥深いですね」


「・・・・・読まれたくなければ相手に読まれないように努力するんだな。・・・・・ごちそうさま」


「何時の間に!?」


「・・・・・美味しかったぞ」


「それは良かったで候」


「良かったー、美味しく食べてもらって嬉しいよん♪」


「うー、僕もイッセーにお弁当を作りたいなぁー」


「じゃあ、交代で一誠さんにお弁当を作ってあげようか」


「異論はないで候(でも、毎日作ってあげたかったなぁー、一誠さんにそういう風に昨日、

言ったし・・・・・)」


「ユミちゃん、心の内が聞こえているケド?」


「っ!?」


「へぇ、矢場先輩って本当はそんな感じなんだな」


「私から聞いた訳でもないのに勝手に頭の中で声が聞こえますね」


「・・・・・言っただろう相手まで心の内が聞こえるって」


「ど、どうすれば良いで候・・・・・」


「・・・・・しょーもない。念話の仕方を細かく教えるとしよう。その後は自分の力で慣れるしかない。

それはお前等も同じだ」


どこからともかく出したホワイトボードに黒マジックで五人に分かりやすく説明をし始める一誠。


「・・・・・念話は所謂、携帯と似たような物だ。今のお前等は電源が入ったままの状態で、

通話を切らないと通話したままに成る」


「料金は掛かりますか?」


「・・・・・無料だ。で、誰も話したくない時は心から拒絶しないと駄目だ」


「話しかけたい時は?」


「・・・・・そいつが電源入ったまま・・・・・つまりは、自分をオープンしているのなら簡単に

話しかける事が出来る」


「・・・・・一誠さんに心から話かけているんですけど聞こえませんね」


「・・・・・拒絶しているからだ。壁を作って相手と話せないようにな。殻に籠もっていると思えば良い」


「質問!他の人達にも念話をできるようになるにはどうすればいいんですか?」


「・・・・・俺が相手の額に突けばいいだけだ。する気はないがな」


「ネットワークみたいな感じで候」


「・・・・・範囲は無限、遠くに離れていようが地球の反対側にいようが関係無い」


「便利だねー」


「・・・・・作戦や内緒話にはこれが一番だ」


「確かに、流石に心から話されてしまうと相手は聞きとる事は不可能ですね」


「・・・・・以上、念話についての講座は終わりだ」


「最後に質問です。私達と一誠さん以外に念話ができる人はいますか?」


「・・・・・俺とお前達だけだが?」


「そうですか。ありがとうございます」


「・・・・・俺は寝る」


給水塔の上に飛び乗って寝転がった一誠だが冬馬達は話し続けた。


「それでは私達は念話の勉強をしましょうか」


「そうだな。こんな能力をくれた一誠さんには感謝だ」


「何時でもどこでもトーマや準、一誠と喋れるねー!」


「拒絶されたらお手上げで候」


「でも、一誠さんは少しずつ前に進んでいる事は確か。私達も努力し続ければ一誠さんは・・・・・」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――九鬼家極東本部


「姉上、よろしいでしょうか」


「どうしたのだ?」


「実は一誠殿から姉上に渡して欲しいと頼まれた物があります」


「一誠・・・・・懐かしい名前がでたな。彼は元気か?」


「未だに何か、とても辛い過去を引きずっているようです・・・・・」


「歯痒いな・・・・・。我等、姉弟の恩人でもあるのに何もできないとは・・・・・」


「姉上、取り敢えずこれを・・・・・」


「うむ。しかし、一誠から送り物とは一体・・・・・」


「姉上、正確に言うと一誠殿からではなく久遠寺森羅からの贈り物です」


「・・・・・此処にきてまた懐かしい名前が出たな。そうか、あいつからか・・・・・、だが、

何で一誠に渡し―――」


「・・・・・姉上?」


「フ、フフフ・・・・・・」


「あ、姉上・・・・・?」


英雄の姉、九鬼揚羽の手には一誠と森羅のツーショットの写真。さらに封筒の中には手紙らしきものも

入っていた。揚羽はその手紙を見て


「フハハハハハハッ!あいつめ、面白い物を見せてくれるな!」


大きな声で愉快そうに笑い始めた。


「ふふ、この写真は我の部屋に飾っておこう。懐かしい友の姿も写っているからな。

英雄、お前は下がってもよい」


「・・・・・分かりました」


「―――はは、本当に面白いな」


『揚羽、久しぶりだな。私は元気に過ごしているがお前は仕事に追われて元気が無いんじゃないのか?

たまには休息を取って私の家に遊びに来い。最高のもてなしをしてやるぞ。それはそうと、お互いそろそろ

良い歳だ。跡継ぎの為にも男と結婚せねばなるまい。揚羽、お前は見つけたか?私は見つけたぞ、

兵藤一誠という男に。今、お前の手に有るだろう写真に写っている男を見た瞬間に私の結婚相手はこの男に

しようと決めた。理由なんて関係ない。欲しい物は何が何でも手に入れる。―――ふふ、私の勝ちだな?』


「―――森羅、お前の勝ちだと?面白い事を言ってくれるではないか」


グシャリと手紙を握りつぶしたと同時に炎が発生して手紙を燃やし尽くした


「出会った瞬間に落ちるお前に我は負ける訳がない。我は愛しい弟と共に助けられた身。しかし、

我はその時から彼の事を想い続けているのだ!」


獅子が咆哮を上げた


「森羅よ!まだ勝負はついていない!我はお前より先に彼を手に入れる!・・・・・それにはまず、

彼を母上や父上に認められるほどの男に育て上げないといけないな」


だが、揚羽は気付かなかった。森羅は揚羽をからかう為に書いた手紙だという事を・・・・・

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