小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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六月二十七日(土)



―――水上体育祭当日、川神湾砂浜。



「・・・・・(面倒くせぇ)」


「まあまあ、そう言わずにさ」


「・・・・・」


「な、何?」


「・・・・・燕の水着姿は見るのは初めてだな」


「あっ、ははは・・・・・、ちょっと恥ずかしいな」


「・・・・・スクール水着は似合っているけど、俺としたら燕の水着姿が見たかったな」


「―――っ!」


「・・・・・」


「い、一誠さん。夏休みに入ったら一緒に・・・・・海でも行きませんか?」


「・・・・・ああ、そうしよう。―――ただ、勘だけど二人きりじゃないかもしれない」


「あちゃー、一誠さんの勘って凄く当るからその通りになっちゃいますね・・・・・」


「・・・・・俺もそろそろ変わらないとダメかもしれないな」


「え?」


「・・・・・何でもない」


「さて、この水上体育祭はクラス対抗形式だ。優勝したクラスは『水』に関する豪華景品が出る」


「そこまでは情報で知ってるけど今年は何が・・・・・」


「温泉旅行招待券、水着やサーフボードの割引券。ジム、サウナ、スパ、プール施設などのタダ券。

ペットショップ、ガーデニングなどの商品券。水着写真集、アイドル水着フィギュアなどの進呈」


「・・・・・ペットショップの商品券か。いいな、それは」


「やりましょう!先生!」


「燃えてきたぜ!やるからには勝つ!」


「お前達はホント物欲に正直だな」


「・・・・・全部いらないな」


「一誠さんはお金持ちだからね」


「・・・・・それを言ったら燕も似たようなもんだろう」


「一誠さんのお陰でね♪」



―――第1ステージ 男子 浮橋渡り



最初の競技は浮橋渡りか・・・・・


「海上に浮かべられた50メートルの不安定な足場を掛けて渡ってもらうネ!海に落ちたら失格」


「面白いじゃねえか!第1走者、行くぜ!」


「それじゃ私も行きますか」


「(・・・・・お前が最初とはな)」


「(私達のクラスはヤル気が無いのでしてね。少し皆さんに楽しませようと・・・・・)」


「(だなぁ、景品なんて眼中なしの上にこの体育祭に勝っても記録に残らない。負けても痛くも

痒くもない)」


「(景品はいらないー)」


「(Sはお金持ちだからで候。それは当然・・・・・)」


「(・・・・・やる気が無いのなら来なければいいのにな)」


「(ふふ、そうですね・・・・・。では、行ってきます)」


「(・・・・・エンターテイメントに走って頑張れよ)」


冬馬を含めた各クラスの第1走者が揃い、競技が始まった。風間がもの凄い速さで足場が悪く成る前に掛け

走り堂々の一位。一方、冬馬は―――


「やぁ、海に落ちて濡れてしまいました。これが本当の水も滴る良い男・・・・・なんてね」


エンターテイメントに走っていた。冬馬のファンの女子達から拍手喝采される


「葵君って人気あるねー」


「・・・・・どうでもいいけどな。・・・・・さてと」


「走るの?」


「・・・・・そのまま、食材を調達してくる」


「まさか・・・・・海に潜るの?」


「・・・・・寿司のネタは海の幸が殆どだ。都合良く此処は魚が豊富そうだ。マグロもいるかも

しれないからな」


「一誠さんってワイルドだね」


「・・・・・サバイバルは常に現地調達だ」


第2走者として浮橋渡りに参加する。―――すると


「兵藤せんぱーい!頑張ってくださーい!」


「応援しますので頑張ってください!」


「せんぱーい!」


「イッセー先輩!ファイトです!」


「あああ、あの!頑張ってください!」


一年の女子達から応援された。しかも弓道部の部員と伊予に黛からもだ。な、何でだ・・・・・?と

困惑している一誠に第2走者として走る英雄が声を掛けてきた


「フハハハ!これは一誠殿!貴殿が我の相手か!相手にとって不足ではない!」


「・・・・・英雄、一つ聞いていいか?」


「何でしょう」


「・・・・・揚羽はどうしている?」


「・・・・・姉上か、なにやら一誠殿の育成プランをお考えに成られている」


「・・・・・お、俺の育成プラン・・・・・?」


「一誠殿、我は一誠殿と姉上の結婚には賛成である。しかし、

姉上のお考えに成られている一誠殿育成プランは我も計り知れない。・・・・・用心になされよ」


「・・・・・」


「よーい、スタート!」


俺は開始と同時に駆け抜けた。結果、圧倒的な速さでゴールに辿りつきそのまま―――海の上を掛け走った


「「「「「「「「「「・・・・・えっ?」」」」」」」」」」


「(・・・・・寿司の材料を捕ってくる)」


「(はっ!?ちょ、一誠!?)」


「(・・・・・まさか、現地で調達するとは思いもしなかったですよ)」


「(・・・・・直ぐに戻ってくる)」


そう言って俺は途中で止まり魔方陣を展開した。魔方陣から海のモンスターが一体だけ現れた。


「さあて、大量に獲物を取るぞ―――ラギア」


ガアアアアアアアアアアアアアアッ!


青白い鱗と甲殻を持ったモンスターと共に海の中を潜り、獲物を探す。おー、いるいる。


『ラギア、最大放電だ』


海中で全身にバチバチと音を立たせる俺とラギア充電された電気は―――


ゴアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!


バチチチチチチチチチィッ!


海中に膨大な質量の電気が迸った。電気に触れた魚はマヒか気絶していく


『大漁、大漁・・・・・』


海中に漂う魚達をラギアと一緒に次々と捕獲して穴の中に入れる。マグロもGETだ。海底にいる魚や蟹、

海老、タコもGET


『ありがとう。戻るぞ』


ラギアの身体に乗り移り、砂浜に向かう様に指示し海面に出る。・・・・・ん?


「・・・・・この気は、・・・・・何であいつ等がいるんだ?」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



一誠さんが海の彼方に走って十数分が経った。競技の方は着々と進んでもう少しで昼休みに成ろうとしていた


「(一誠さん、遅いですね)」


「(しかし、水の上を走るなんてあの人は忍者か?)」


「(流石に私もできるかどうか怪しいぞ)」


「(空も跳べて、海の上を走れるとは一誠さんは凄いで候)」


「(移動手段がいっぱいあるねー)」


「(今更なんだが、念話ってホント便利だな。クラス別でもこうやって話せる事も出来る)」


「(私達だけですよ。こうして皆さんとお話をしているのは)」


「(皆、一誠の気が近づいてくるぞ)」


「(そうなんだ、それじゃあ―――)」


「(あと、得体の知れない何かと一緒にな)」


「(得体の知れない何か・・・・・?)」


百代ちゃんの言葉に私は怪訝な顔に成って海を眺める。不意に一部だけ海面が盛り上がって何か・・・・・

突起―――角みたいなものが出てきた。鮫ではないみたいだけど一体・・・・・


ザッパアアアアアアアアアアアアアアンッ!


「・・・・・え?」


波となって私がいる砂浜にまで海水が流れ込んできた。それと同時に有り得ないものが私の視界に入った。

―――青白い鱗と甲殻、胸とお腹部分は白く。頭部には幾つものの突起物が生えていて、鋭い牙や爪があり

顔はまるでドラゴンのような形をした生き物が私の目の前に現れた。驚く私の目の前にその生き物の背中から

一誠さんが乗っていた。


「・・・・・ん、待たせたな」


「・・・・・い、一誠さん?」


「・・・・・なんだ?」


「あ、あの・・・・・この生き物って・・・・・」


「・・・・・ああ、ラギアと言って海に住む生き物だ。それと、どの位過ぎているんだ?」


「え・・・・・・、あっ、丁度前半の競技が終わりです」


「・・・・・本当に丁度良かった。昼飯の準備ができる。待っていろ。ラギア、お前も此処で待っていろ」


グルルル・・・・・


ラギアという生き物は一誠さんの指示に従って待つ仕草をした


「・・・・・」


一誠さんは指をパチンと鳴らすと金色の丸い輪が砂浜の上に現れてそこからテーブルや椅子、調理器具、

色んな物が出てきた。更には巨大な赤い塊も一緒に出てきた


「・・・・・燕」


「は、はい」


「・・・・・悪いけどラギアにエサを与えてくれ。ラギアに向かってエサを放り投げて」


「こ、これですか・・・・・?」


「・・・・・ああ、俺はこれから寿司を作らないといけないからな」


「わ、分かりました・・・・・」


一誠さんの言う通りに赤い塊、良く見たら肉だった。肉の塊から大きな肉を両手で持つとラギアが犬のように

尻尾を左右に振って『早くくれ』と言わんばかりの視線を私に向けた。ちょっと・・・・・可愛い


「いくよ!」


グルルル・・・・・


ラギアにエサを放り投げたら空中でエサを口でキャッチして咀嚼し始めた。飲み込むとまた私に視線を

向けてきた


「・・・・・面白いかも」


もう一度、エサを放り投げるまた口でキャッチして食べた。それを何回かしていくと


「僕もやるー!」


ユキちゃんがこっちに掛け走ってきて一緒にラギアの肉を与え始めた。―――更に


「おいおい、こんな生き物は見た事も聞いた事もないぞ」


「離れたところから見ていましたが近くで見ると大きいですね・・・・・」


「なんか、ワニみたいな顔をしている生物だな?」


「こんな生き物がいるとは・・・・・」


百代ちゃん達も集まってきた


「なんか、面白そうだな。私もやっていいか?」


「良いけど、ラギアが食べ終わってからね?」


「うん、分かった。・・・・・それ!」


「・・・・・おお、ナイスキャッチ」


「意外と人懐っこそうですね」


「どれ、俺も一つ・・・・・そら!」


井上君もエサを与え始めた。ラギアは与えられたエサを嬉しそうに食べる


「・・・・・犬にエサを与える気分だな」


「うん、私もそう思ったよん」


「・・・・・お前等、出来上がったぞ」


「待っていました!」


「・・・・・海で取れた魚をふんだんに作った。一杯作ったからたくさん食え」


一誠さんの言葉に私達は背後に振り返ると超絶特上寿司に負けないほどの豪華な寿司が入れ物の中に

入っていた。どれもこれも美味しそう・・・・・


「・・・・・席に座って食べてくれ。ラギア、後は自分で食べていいぞ」


グルルル・・・・・


「歩き方も迫力あるな」


「そうですね」


まあ、それよりは一誠さんが握ったお寿司を食べようっと


「「「「「「いただきます!」」」」」」


「・・・・・美味しい!」


「大トロも脂が乗って良いですね」


「現地調達は馬鹿に出来ないな。とれたてで新鮮なままで味わえる事が出来る」


「イッセー。はい、大トロー♪」


「・・・・・美味いな」


「一誠さん、私もで候」


「・・・・・ん」


「一誠さん、私も一つ」


「・・・・・しょうがない」


皆が次々と一誠さんにあーんしている。私も・・・・・


「あ、あーん・・・・・」


「・・・・・」


「ふふ、一誠が雛鳥みたいだ」


「ふぉふぉふぉ、面白そうじゃのう」


「げっ、ジジイ」


「これモモ!学園長と呼べとあれほど・・・・・。まあ、よいわい。ワシも食べてもいいかのう?」


「おじさんも入れて欲しいな」


「あそこにいる生き物が気に成るが兵藤の握った寿司を気に成る」


先生達が来たね。


「・・・・・」


「おおー、ありがとう。おじさん、嬉しいぜ」


「兵藤は料理ができると聞いていたが・・・・・水上体育祭を放っておいて現地調達して寿司を作るなんて

本来は制裁するべきなのだが・・・・・見逃すとしよう」


「では、食べるとしようかのう。海で寿司を食べるとは思わなかったのう」


そう言って三人は一誠さんが作った寿司を口の中に入れた


「「「美味い!」」」


「・・・・・口に合って何よりだ」


「お前達、何時もこんな感じの物を食べているのか?」


「いえ、そうではありませんね」


「一誠さんはユキと矢場先輩、燕先輩が交代で弁当を作って食べさせているから一誠さんが作った料理は

あんまり食べれないぜ」


「そうか・・・・・(積極的になっているようだな、矢場・・・・・頑張れ)」


「フハハハ!我、降臨!」


「おや、英雄も来ましたか」


「うむ。あの生物を見に来たのだ」


「一誠さんが言うには海に住んでいる生き物だそうだぞ」


「これほどの生き物が海に住んでいるとは・・・・・奥深いな。海というのは」


「しかし、一体どうやってこの生き物を見つけ、従わせているんでしょうか?」


「・・・・・ノーコメント」


あはは、一誠さんがする事は何でも凄いね。一誠さんといると面白く、凄いことばかりだよん



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



昼休みは終わり第5ステージに入る。次の競技は一斉玉入れ。全クラスが同時にそれぞれの籠に向かって

海中から球を投げ込む。他クラスへの妨害も自由。



「・・・・・邪魔ありなら」


「一誠さん。まさかだと思うけど・・・・・」


「・・・・・ふん!」


一誠が手を海中から思いきり出すと大きな波が発生して他のクラスを呑み込み、籠ごと砂浜へ打ち上げた


「「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」」


「・・・・・見ていないでさっさと入れろ」


その後、一誠の妨害のお陰で2−Fが一位に躍り出てセミファイナルステージ、二年限定益荒男決定戦が

始まった


「今回から初めて行われる種目じゃのー」


「益荒男決定戦って名前からして・・・・・微妙ですなぁ」


「何かまた嫌な予感がしてきたネ」


「これぞワシが50年掛かって考え出した決闘法益荒男に必要なものは不動の精神力!それを競うのじゃ!

ルールを説明するぞい。」


二年生たちは学長の鉄心の言葉に耳を傾ける


「まず、各クラスから男一人を選出する。男は張り付けされた状態で他クラスの女子の前に連行される。

他クラスの女子はその男を誘惑する!誘惑はどんな手を使っても良し。男は堪える。股間が反応したら

負けじゃ!反応するまでの時間が遅ければ遅いほど高得点、いかなる誘惑にも屈さない不動の精神力が

益荒男には必要なんじゃああああ!!」


・・・・・・・・


「・・・・・あのヒゲを燃やして殺していいか?」


「だ、ダメですよ!気持ちは分かるけどダメ!」


ドス黒いオーラを全身から迸らせて鉄心に向けて手のひらから業火の炎を放とうとする一誠に燕が慌てて

止めに入る


「(こ、怖いのう・・・・・)因みに男の体には判定装置を取り付け、血液の流れで女子に誘惑されたと

判断されれば男の体に電流が流れる仕組みになっておる。さぁ、各クラス代表の益荒男を1名選出しろ」


「・・・・・くだらねぇ。燕、一緒に来い」


「え?一誠さん?」


「・・・・・お前が他の男子を誘惑する姿なんて見たくない」


「えっ・・・・・」


「・・・・・(ユキ、俺と一緒に遊ばないか?)」


「(遊ぶー!イッセーの所にいくねー!)」


燕の手を掴み、引いてFクラスから引き離し、Sクラスにいるユキを誘って少し離れたところで三人は砂の

お城を作り始めた。


「(一誠さんが私に意識をしている・・・・・?ううん、自意識過激だね。でも、・・・・・嬉しいな)」


少しして大きな砂のお城が完成した


「・・・・・壮大な城の完成」


「かんせーい」


「大きな城だね。記念に写真を撮りたいよ」


「・・・・・ラギアもありがとうな」


グルルル・・・・・


「高い所はこの子の身体に乗ってやらないと出来なかったしね」


「ありがとうねー!」


ラギアは顔を一誠に近づけて擦り付けると海に向かって歩き出した。すると、青白い魔方陣が現れてラギアは

その魔方陣を潜って砂浜から姿を消した。


「あっ、競技の方も終わったみたいだよ」


「・・・・・戻るか」


「うん!じゃーねー」



―――ファイナルステージ 怪物退治



「それぞれクラスごとで一匹ずつ、怪物の気ぐるみを討伐してもらう。怪物に『参った』と言わせたら、

勝ちじゃ。ただし中には川神院の修業僧が入っているので一人では打倒は難しい。が、クラスの力を

合わせればきっと打倒できるだろう。モモ対策として3−Fの気ぐるみはワシが入る」


「・・・・・燕」


「なんですか?」


「・・・・・俺の家に泊まりに来た時にいた奴がいただろう」


「あっ、あの人達ね?」


「・・・・・あいつら、修業僧と入れ替わって俺達と闘うかもしれない」


「えっ!ど、どうしてですか!?」


「・・・・・大方、実戦でもさせようと思っているんだろうな。でだ」


「はい?」


「・・・・・少し、懲らしめよう。『二人』で」


「っ!は、はい!」


しばらくして動物の着ぐるみが2−Fに歩いてきた。―――禍々しい気を放ちながら


「・・・・・オオアリクイ?」


「うわー、確かにあの人達と同じ気だね」


「・・・・・2−Fの奴らじゃあ苦戦するな」


「ファイナルステージ、開・幕!」


「・・・・・行くぞ」


「はい!」


二人は猛然とオオアリクイの着ぐるみに掛け出す。オオアリクイは二人を見て絶句した


「っ!お、お前達は・・・・・!?」


「・・・・・お前等の目的は分かっている」


「私達と勝負しましょう!」


「くっ・・・・・!師匠も人が悪いね!一人はともかく一人は最悪だよ!」


「ほいっ!」


燕が勢いよく飛び蹴りをした


「くっ!お、重いね・・・・・!」


「・・・・・意識を分散すると周りが疎かになると、あれほど言ったはずだが?」


「・・・・・っ!?」


「・・・・・軽めでいくぞ」


ドゴンッ!


「がはっ・・・・・!?」


オオアリクイの腹部に拳が突き刺さった。


「燕!」


「はい!」


一誠は後ろに跳んだ代わりに燕がオオアリクイに接近。オオアリクイは腹部の痛みを耐えながら燕と拳の

攻防を始める


ドガ!ドッ!ドドドドッ!ガッ!


「はぁああっ!」


「つ、強い!」


「そこっ!」


足を払ってオオアリクイの体勢を崩す


「これで最後!」


燕がオオアリクイの真上に跳んで腹部に足を突き刺そうと伸ばすが―――


「あまいっ!」


直ぐさま体勢を立て直したオオアリクイに足を掴まれて砂浜に叩きつけられた


「ぐっ!」


「シッ!」


オオアリクイの拳が燕の顔面に向かった。―――が」


「俺を忘れていないか?」


「―――っ!?」


「今日は此処までだ。―――川神流、無双正拳突き!」


ドゴンッ!


川神百代の必殺技がオオアリクイに直撃した。オオアリクイは一誠の攻撃に遠くまで吹っ飛ばされて

この場からいなくなった


「あたた・・・・・」


「・・・・・大丈夫か?」


「は、はい・・・・・」


「・・・・・そうか、良かったよ」


「・・・・・あ」


「・・・・・?」


「一誠さんが微笑んだ・・・・・」


「―――っ!」


何時も無表情の一誠が大きく目を見開いた


「一誠さん、ありがとう・・・・・」


「・・・・・どういたしまして」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「おいおい、お前大丈夫か?」


「だ、大丈夫じゃないですよ・・・・・」


「アミ姉の所に一誠がいるなんて災難だったな」


「最後に師匠と同じ技の川神流、無双正拳突きを出すなんて・・・・・」


「「あいつ、鬼だな・・・・・」」


「・・・・・失礼な奴らだな」


「「げっ!?」」


「・・・・・お前等がいる事は気付いていた。亜巳と天使が修業僧と入れ替わって闘った理由もだ」


「うへぇ、バレバレだったか。で、どうして此処にいるんだ?」


「亜巳のダメージを癒す為だ。いくら威力を弱めたとしても相当の威力だ」


手のひらは金色の光を発光して亜巳の腹部に当てた。


「ふぅ・・・・・、痛みが和らいでくるよ」


「・・・・・まだまだ強く成る。家に帰ったら俺が直々に修行を付けてやる」


「・・・・・お手柔らかに頼むよ」


「・・・・・ふふ、どうしようかな」

-26-
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