小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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六月三十日(火)



―――昼休み 1−C


「・・・・・伊予、由紀江」


「あっ、一誠先輩!」


「ど、どどうしました!?」


「・・・・・テンパるな。屋上で昼飯を食べるが一緒に食べないか?百代達も既にいる」


「あっ、こないだの時に言っていましたね。まゆっち、行こうよ」


「あっ、はい!モモ先輩がご一緒なら安心です」


「・・・・・俺と他の奴等だけじゃあ不安だったのか。それはショックだな」


「す、すいません!決してそんな意味で言った訳じゃないんですー!」


『オウオウ、一坊。まゆっちを許してくれよ。お願いだー!』


「・・・・・冗談だ」


「『冗談かよ!?』」


「まゆっち、声が逆になっているよ・・・・・」


「『はっ!?』」


「・・・・・行くぞ」


一誠は一年の二人を誘い屋上へと赴いた



―――屋上



ガチャッ


「・・・・・連れてきた」


「「・・・・・」」


一誠達が屋上に到着した。屋上は膨大な水でドーム状に覆われて数多の数の魚達が優雅に泳いでいた


「お待ちしておりました」


「一誠、遅いぞー」


「ん?依頼の時に会った一年生だな」


「あっ、あの時はどうも・・・・・。というか、これは・・・・・」


「イッセーの力でできた空間だよー」


「先輩の力・・・・・?」


「ふふ、幻想的でしょう?この空間は私達だけしか知らないのよん」


「まあ、英雄とメイドも知ったがな」


「・・・・・松風、凄いですよ。お魚さん達が水族館のように泳いでいますよ」


『オラ、魚は嫌いだからなー。草が生えた場所が良かったぜー』


「・・・・・その要望に応えてやる」


パチンと指を鳴らしたその瞬間、足場が草原と一変した


「何でもありですね、一誠さんの手に掛かれば」


「もう、一誠さんがやる事は殆ど凄いことばかりですもん」


「他にも色々と驚かされたで候」


「僕達を小さくしたりしてねー」


「・・・・・さて、食べようか」


「ウェーイ♪今日は僕が作ってきたんだー」


「・・・・・ありがとうな、ユキ」


「えへへ♪」


「「・・・・・」」


「「「「「「いただきます」」」」」」


「・・・・・いただきます」


「「い、いただきます」」


大和田伊予、黛由紀江の二名を含め一誠達は食べ始めた


「・・・・・五目御飯が美味しいな」


「教えてもらいながら作ったんだー」


「・・・・・そうか、その調子で他の料理も作れるように頑張れよ」


「はーい」


「そろそろ期末考査の時期に成りますね」


「あー、あの空気は嫌だぜ。みーんな、ピリピリしてよ」


「・・・・・つまらない時期が来たか」


「一誠さんは学年で一番の上に全国模試でも一位ですからね」


「す、凄いです・・・・・。Sクラスになれるじゃないですか」


「・・・・・容易にサボれるFクラスの方が良い」


「あっ、もしかしてその目的でワザとFに入ったんだ?」


「・・・・・仮に俺がSクラスに入ったらFクラスは卒業するまでSに逆らえない状況に成るぞ」


「あー、そうなったらSとFの関係も最悪になるな。一誠さんがFで助かったかもしれねぇ」


「まあ、一誠さんとFクラスとの仲が最悪ですが・・・・・、一誠さんにとってはそれが好ましい

状況なのですね?」


「・・・・・その通りだ。孤独に成る為にそれも条件でもあった」


「でも、イッセーはずっと僕たちと一緒にいるんだよねー♪」


「・・・・・お前等が常に俺と一緒にいるからな」


「えっ、先輩は友達がいなかったんですか?」


「・・・・・いなかったんじゃない。いらなかったんだ。理由は教えないけどな」


「僕達は既に知っているけど」


「モモ先輩は知らないんだよなー」


「お前等が教えてくれないだろうが!」


「ふふ、こればかりは百代ちゃんでも教える事はできないよん♪」


「私達は深く一誠さんと関わっていますからね」


「更に言えば私達は共通している事があるで候」


「共通・・・・・?」


「一誠さんに助けられた、または救われた事ですよ」


「・・・・・」


「私の場合はおとん―――父親の借金を肩代わりしてもらった」


「僕は小さい頃、イッセーに助けられたんだ。その後、トーマと準と出会わせて友達にしてくれた事!」


「俺と若は親の事で助けてもらったな」


「私は人身売買にされそうになった事や複数の男子達に襲われそうになった事と複数の男に何処かへ連れて

行かれそうになったで候」


「ユミ、そんな目に遭っていたのか!?」


「・・・・・未然に防いだがな」


「そんな一誠さんに私達は恩を感じているのですよ。だから私達はどんな時でも、どんなことをしても一誠さんの味方です」


「イッセー、ずっと一緒だよー!」


「・・・・・こんな感じで俺は孤独になれなくなったがな」


「先輩達は過去にイッセー先輩に助けてもらった事が有ったんですね・・・・・」


「モモ先輩は無いんですか?」


「・・・・・金絡みしかないな。あの時の件にこいつは感謝の言葉も言わなかったな、そういえば」


「・・・・・ごめんなさい。ありがとうございました」


「武神でも弱点はあるんだね。私生活が主に」


「う、うるさいなぁ・・・・・」


「・・・・・ついでに頭もよくないみたいだ。―――勉強会でも開くか?試験範囲のコツも大体分かるし」


「お願いします!憐れな私に教えてください!」


「おー、それはいいかも。一誠さんが指導してもらえば上位になりそうだよん」


「一誠さんといる時間も増えますね」


「僕も仲間に入れてー!」


「一誠さん、ついでに俺も教えてくれ」


「私もお願いするで候」


「あ、あの。どうして先輩達はイッセー先輩の事を『一誠さん』と呼ぶんですか?」


「「「「「「歳上だから」」」」」」


「「えええええええ!?」」


「私も百代ちゃんとユミちゃんと歳は同じくらいケド、それでも一誠さんの方が年上だよん」


「ぜ、全然見えないんですが!?」


「・・・・・そういう体質だ」


「因みにいますと私と準、ユキと出会った時と姿形が変わっていませんよ」


「私も同じく」


「・・・・・それは知らなかったな。一誠、お前って―――おじさんか?」


ドゴンッ!


「いったああああああああああああああああああ!?」


「・・・・・口は災いの元だと言わなかったか?」


百代の言葉に百代の額にデコピンをした一誠


「み、見えなかったです・・・・・・」


「え?え?どうして川神先輩が額を押さえて痛がっているんですか・・・・・!?」


「・・・・・デコピンした。ただそれだけだ」


「デコピンだけであんなに痛がるもんですか!?」


「・・・・・」


ドンッ!


今度は屋上にデコピンした。その際に普通はデコピンできない筈のクレーターができた


「・・・・・」


「・・・・・これぐらいの威力だ。分かったかだろう?」


「「は、はい!十分に分かりました!」」


「ぅぅぅ・・・・・。い、痛いぞ・・・・・」


「・・・・・自業自得だ」


そう言いながらも額に手を添えて金色の光を発光させて痛みを癒す


「あー、温かいなぁー」


「モモ先輩、二度とあんな事を言わない方が良いですよ」


「ハゲのくせに私に説教するな!」


ゲシッ!


「あだっ!?」


「・・・・・百代?」


「うっ、ごめんなさい・・・・」


「・・・・・ん、よろしい」


「んー♪」


「イッセー、僕も撫でてー」


「・・・・・ん」


「気持ち良いー」


「ユキは一誠さんに頭を撫でられるのが好きですね」


「トーマも撫でてくれるのは好きだけどイッセーに撫でられるのも大好きー」


「微笑ましいで候」


「そうだな」


「楽しそうですね。松風」


『そうだなー、此処は大和坊達といる時と同じような感じだぜ』


「マスコットと喋っているのか?」


「いえいえ、これは松風といって九十九神が宿っているんですよ」


『オラ、松風って言うんだ。これでも由緒正しい血統のサラブレット中のサラブレットだぜ!』


「まゆまゆは何時もあんな感じだ。受け入れろ」


「・・・・・由紀江」


「はい?」


「・・・・・此処にいる間、松風と喋るのは禁止だ」


「ええええええええええ!?」


『コラァ!そしたらまゆっちと喋れないじゃないかよぉ!』


「その刀を持って松風と喋っているから友達が出来なかったんじゃないのか?」


「うっ!?」


「・・・・・此処にいる間だけだ。それ以外の場所なら話しても良い。いいな」


「ぅぅぅ・・・・・。松風、しばらくのお別れですね・・・・・」


『ま、まゆっち〜!』


「トーマ、何か一人で泣いちゃっているよ?」


「気にしなくても良いんですよ。というより、これはある意味彼女の試練かもしれません。試練を乗り

越える事が出来たのなら彼女は成長するかと・・・・・」


「・・・・・由紀江、自己紹介だ」


「ふぇえええええええ!?いきなりどうしてですかぁ!?」


「友達なら当然の事だろう?というか、此処に来た時点でお前はこいつらと知り合い、友達に成った」


「この屋上はある意味、一誠さんの領域で聖域だからな。無条件でそうなっちまう。まっ、俺は2−Sの

井上準。よろしく」


「僕は榊原小雪!よろしくねー!」


「2−Sの葵冬馬です」


「一誠さんと同じ2−Fの松永燕!よろしくね!」


「百代と同じく3−F、矢場弓子で候」


「え、えと、この流れ的に私もですか・・・・・?」


「「「「「「当然」」」」」」


「・・・・・わ、私は1−Cの大和田伊予です。よろしくお願いします!」


「わ、わわわ私も1−Cの黛由紀江です!か、刀を使います!よっ、よろしくお願いします!」


「・・・・・顔が強張っているぞ」


「はうううっ!?」


「可愛いなー、まゆまゆは・・・・・」


「面白そうな子だねー」


「彼女は色々な意味で面白いですね」


「また、賑やかになるな。それが一誠さんのプラスに成る事を祈るとしよう」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


七月三日(木)



「でだ、お前は将来何をしたいんだ?」


「・・・・・何で今頃そんな事を聞くんだよ」


小島と何故か空き教室で進路指導されていた俺


「羽黒の奴は白紙で提出されたがお前は提出するどころか捨てたと言うじゃないか」


「・・・・・此処に来てそれが仇となったか」


「残りはお前となった。何でも良い、将来はどんな職業になりたい?したいのだ?」


「・・・・・無い」


「なに?」


「・・・・・将来とか未来とかどうでも良い。それが俺にとっては苦にしかならない」


「お前・・・・・」


「・・・・・更に言えばこの国は腐敗している。技術大国とかいうが実際は借金大国じゃないか。経済も

どんどん悪化し治安も悪く成って民の心も離れていっている。―――これじゃあ、第二次世界大戦の時、世界

を守った天使とアメリカ人達の苦労が無意味じゃないか」


「その発言を総理大臣には言うなよ。彼らだって日々努力し続けているのだからな」


「・・・・・壊そうかな」


「兵藤・・・・・?」


「・・・・・この国を全て壊そうかな・・・・・」


「兵・・・・・藤・・・・・!?」


「・・・・・冗談だ」


「・・・・・っ」


「・・・・・」


まあ、あくまで候補に入れておこう。これ以上悪化するのなら俺が直々に―――


「・・・・・もういいぞ。話は終わりだ」


「・・・・・」


席から立ち上がり、空き教室から出る


「おや、意外と早かったですね」


「・・・・・待っていたのか?」


「いえいえ、たまたまですよ」


「何を話していたんだ?」


「・・・・・進路指導を受けていた」


「・・・・・そりゃあまあ、ご苦労様だな」


「一誠さんには不要な話し合いですね(天使ですし、ファントム・イリュージョンの料理長ですから)」


「・・・・・まあな」


「やる事が無いのなら私達と一緒に医学の道に進みませんか?」


「・・・・・医者殺しに成るぞ。医学の知識は既に覚えるだけ覚えたが俺にはそれを覆す力があるからな」


「あー、病院じゃなくて一誠さんに治療してもらいに来そうだな」


「ふふ、それはそれで面白そうな事に成りますね」


「・・・・・まあ、のんびりと暮らすさ。暇つぶしに島でも作ると思うけど」


「一誠さんのやる事はスケールが違い過ぎて驚き満載だぜ」


「美しい女性しかいない島というのも有りですね」


「そういえばそんなゲームもあったな。俺だったら小さい幼女しかいない国がいいなー」


「・・・・・揃いも揃って有りえない事を言うな、お前等は」


「「一誠さんなら可能でしょう」」


「・・・・・ノーコメント。準の場合は幼稚園児の教師にでもなればいいだけのこと」


「俺も考えたぜ?だけど、若とユキと離れたくないから涙流しながら諦めたけどな」


「・・・・・愛されているな」


「ふふ、それは一誠さんも同じ事ですよ。私達も一誠さんとは離れる気はないですから」


「若とユキと共にどこまでもついていくぜ、一誠さん」

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