小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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七月四日(土)



「・・・・・英雄」


「何ですかな?」


「・・・・・俺は河原で寝ていた筈だが?」


「うむ。実に幸せそうに寝ていたとあずみから聞き及んでいます」


「・・・・・これは拉致ということでいいんだな?」


「・・・・・申し訳ありませぬ」


「・・・・・俺、裁判に勝つかもしれないが?」


「フハハハ!それは無い!何故なら、我等は九鬼!九鬼は不可能を可能にする!」


「・・・・・威張れる立場か?ああ?」


「誠に申し訳ございませぬ!」


一誠の前で英雄は土下座した。


「・・・・・俺を九鬼家極東本部、お前の家に連れて来られた理由を言え」


「・・・・・姉上が計画を完成したとの事で一誠殿を連れてくるように九鬼家従者部隊を放ち一誠殿を

探したのです」


「・・・・・俺が河原で寝ていたところにあずみが発見して俺を拉致して此処に連れて来たと」


「さようで・・・・・」


「・・・・・お前は揚羽が考えた計画の内容は分かるか?」


「いえ、全く・・・・・」


「・・・・・・一体、俺に何をさせられるのか不思議に思うぞ」


「常識では考えられない事だと思うのですが・・・・・」


「・・・・・それはそれで面白そうだな」


「では、始めようではないか」


「あ、姉上・・・・・」


「・・・・・揚羽」


「久しぶりだな。我が婚約者の一誠よ」


「・・・・・正式に婚約者にもなっていないから無効だと思うが?」


「ふふ、直ぐに正式になるさ」


「・・・・・で、俺を何させる気なんだ?『兵藤一誠育成プラン』っていうのは」


「うむ。まずは知識のテストをしてもらう。商業、軍事、政治のテストだ。この三つは我、英雄、

そして我等の妹の紋白からテストを出してそれを一誠は答えていく」


「あ、姉上!我はそのような事は聞いておりませぬぞ!?」


「フハハハ、当然だ。今言ったばかりだからな」


「・・・・・それだけか?」


「―――他にも色々としてもらう事は有るが最終的には一誠の実力を計る」


「・・・・・(既に武神、川神百代を倒したんだけど)」


「姉上、一誠殿の実力はどうやって・・・・・」


「うむ。それは―――」


「・・・・・こいつで俺の実力を計るのか?」


「・・・・・良く気がついたな」


一誠が親指で背後に指すとそこに金髪の老人が佇んでいた


「あ、姉上。いくらなんでも一誠殿には・・・・・」


「英雄、何も倒せとは言っていないぞ。彼に認められればそれでいいのだ」


「・・・・・私からどう見ても赤子でしか見えませんが、揚羽様のご命令ならば相手をしましょう」


「・・・・・(また、面倒な事に成りそうだ)」


「それでは、『兵藤育成プラン』を実行しようぞ!」


九鬼揚羽の言葉により一誠は渋々とテストを受けることになった。数時間の時間を掛けて一誠の様々な能力を

計り終えると次の計画に移った



―――政治


「政治に関する事は我だ!我の名は九鬼紋白、よろしくな!」


「・・・・・よろしく(あの時に会ったな)」


「お前の政治の知識はどれほどのものか試させてもらうぞ」


「・・・・・ペーパーテスト?」


「うむ!我なりに考えた問題だ。さあ、制限時間は30分。どこまで解けるかな?始めよ!」


「・・・・・(どれもこれも中々凝った問題だな)」


「・・・・・(姉上が自ら指名した男。我自信がどんな男なのか確かめたい)


「・・・・・(面白いな。学校が出すテストより面白い)」


「・・・・・(楽しそうに答えを書く男だな。学校の問題はつまらないのだろうか?)」


「・・・・・(これは・・・・・こう書いた方が良いな。こっちは・・・・・)」


「・・・・・(おお、その問題をそう答えるのか。中々ではないか)」


―――数分後


「・・・・・終ったぞ」


「うむ。では採点をするのでしばらく待てよ」


「・・・・・ああ」


紋白は一誠が書いた答えを採点する。時々、頷いたり、驚いたり、感心した声音を発し全てのテストの

採点を終えた


「兵藤一誠といったな?」


「・・・・・そうだが」


「お前、九鬼に働いて見ないか?我が考えた問題はどれもこれも我を納得した回答ばかりで全て正解だ!

凄いぞ!」


「・・・・・中々楽しかったぞ。その問題は学園が出す問題より凝っていて面白かった」


「姉上がお前を気に入っている。我もお前の事を気に入った!今から我の事は紋様と呼ぶが良い!」


「・・・・・断る。紋白と呼ばせてもらう」


「フハハハ!胆が据わっているな!だが、許す!我もお前の事を一誠、またはイッセーと呼ばせてもらう!」


「・・・・・好きにしろ」


「では、次は兄上の商業のテストだ。イッセー、頑張れ!」



―――商業



「一誠殿、我が妹の紋白に気に入られた様子ですな」


「・・・・・答えを書いただけで気に入られたぞ」


「我も見ましたがいやはや、素晴らしい答えではないですか」


「・・・・・それで、お前はどんな方法で俺を?」


「申し訳ありませんがテストを用意する暇も無かったので我と商業について語り合ってもらいますぞ」


「・・・・・語り合うか、たまにはいいだろう」


「では、まず―――」



―――30分後



「・・・・・一誠殿に教えられる側となってしまった」


「・・・・・まだまだだったな」


「むう。悔しいですが勉強になりました。一体その知識は何処でどうやって身につけたので?」


「・・・・・ノーコメントだ」



―――軍事



「よくぞ我が弟と妹のテストを乗り越えた!」


「・・・・・一人でも不合格だったら其処で終わりだった?」


「うむ。その通りだ」


「・・・・・何故かホッとした自分がいる。まあいい、軍事はどんな事をするんだ?(というか。

育成じゃなくて試練のような物言いだったな)」


「我に軍事に関して納得させればそれでいい」


「・・・・・最後はそれかよ」


「あの飛行能力を持った車を作ったのだ。なら、軍事に関する物も作ってあると踏んでいるのだ」


「・・・・・まあ、確かにある事はあるんだけど」


「では、それを見せて欲しい」


「・・・・・軍事に関する問題なら兵器で一番、金が掛かる部品は何だと思う?」


「―――人間だ。一人前の兵士に育てる為には多額の費用と時間が掛かる上に負傷や戦傷すると

補償金が掛かる」


「・・・・・ああ、その通りだな。俺もその通りだと思う」


「それがどうしたと?」


「・・・・・」


一誠は何処からか出した黒い籠手を嵌めた


「カオス・ダークネースドラゴン(混沌の漆黒龍)」


その瞬間。一誠の体の部位に分厚い装甲が瞬時で装着し宙に浮いた


「その姿は・・・・・!?」


「・・・・・『IS』正式名称は『インフィニット・ストラトス』これはパワード・スーツとして開発した

世界最強であり究極の機動兵器だ。―――どの戦闘機より速く」


「っ!?」


全身に超重量の装甲を装着している筈の一誠は瞬時で揚羽の背後に周り銃の銃口を突き付けた。

揚羽は瞬時で一誠に向き、回し蹴りを放つ―――


「・・・・・戦車の装甲より厚く」


が、一誠の腕を覆う装甲によって止められた。


「・・・・・なにより、この装甲を身につけた人間は『絶対防御』というバリアーによって操縦者が生命の

危機にさらされる事は殆ど無い。―――まさに究極の兵器だ」


「・・・・・」


「・・・・・これは俺が作った破壊兵器の中では最強の兵器だ。まだ誰にも見せた事は無いがな・・・・・」


「『IS』、『インフィニット・ストラトス』・・・・・」


「・・・・・納得したか?」


「この兵器の性能を知りたい。―――我と共に演習場に来てもらえぬか」


「・・・・・マジですか」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――静岡県御殿場 北富士演習場



「・・・・・なあ」


『どうした?』


「・・・・・いくらISの性能を確かめたいからっといって―――この数は無いだろう!?」


一誠を取り囲む数多の戦車、上空にも戦闘機が飛んでいる。明らかに戦争と変わらない規模だった。無線で

揚羽に抗議する


『フハハ!このぐらいの事をしなければ性能を解析する事はできないのだ』


「・・・・・搭乗している人間には容赦しないぞ」


『九鬼家の人間はそう容易くは無い。思いきり戦ってもよい』


「・・・・・了解(まあ、避けて破壊するがな)」


『うむ。では、始めよ!』


ドドドドドドドドドドドンッ!


揚羽の言葉と同時に戦車の砲弾が一斉に放たれた。一誠のISのセンサーに無数の弾が接近している事にアラートが鳴りだす


「・・・・・遅いな」


空高く飛び砲弾から回避する。標的を失った砲弾は地面に着弾して大爆発を起こした。一誠はその光景を

見た後、高速で戦車に向かった。量子化して保存していた武器を呼びだして


「・・・・ふっ!」


一瞬で一台の戦車をバラバラに切り裂いた


「・・・・・密集した戦車は狙いやすくていいな!」


ズバババババババババッ!


「・・・・・半分は終わったな。もう半分は向こうか」


武器を変えて新たな武器を呼びだして両肩に装着した


「・・・・・発射」


ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!


両肩に装着されたレールガンから砲弾がもの凄い速さで数キロ離れている戦車に向かって飛んでいった。

一拍して、全ての戦車が大爆発を起こした


「・・・・・今度は狙って撃つとしよう」


空を飛んで狙撃銃を呼びだし、スコープで一機の戦闘機を覗く。


「・・・・・狙い撃つ!」


狙撃銃の引き金を引いた。―――刹那、戦闘機の翼が大きく剥がれて飛行不能となって地面に落下していった


「・・・・・」


ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!


戦闘機も反撃してミサイルや機銃など撃ってくるが、かわされたり撃ち落とされたりして効果が無く、

一誠の狙撃により戦闘機は成す術もなく墜落していく。半分ぐらいの数に成ると一誠は狙撃銃から


「・・・・・今度はコレだ」


違う狙撃銃二つを呼びだした上に六対十二枚の翼の先が分離して銃口を覗かせる。更に胸部の部分も銃口を

覗かせた


「・・・・・ビーム兵器の威力を味わえ」


ドゥンッ!


一斉に15のビームが残りの戦闘機を撃ち抜いた



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



『IS』、『インフィニット・ストラトス』・・・・・。圧倒的なその力で全ての戦車と戦闘機を

破壊した・・・・・。最後に見せたビーム兵器、あれは我等でも不可能だと思っていたが、彼はそれを

可能にして開発した・・・・・!


「一誠殿、あなたは何処まで凄いのだ・・・・・!」


「フハハ!イッセーは凄いですぞ!九鬼に相応しい存在であることは間違いないです!」


愛しい弟と妹が一誠の戦いを見て珍しく興奮している。我も密かに興奮しているな。

腕の震えが止まらない・・・・・


『・・・・・演習は終わったぞ。そっちに行く』


「・・・・・うむ。分かった」


無線から一誠の声音が聞こえた。数十秒で一誠は我等の前に姿を現わして降りてきた


「一誠殿!お見事です!」


「・・・・・戦争した気分だったぞ」


「フハハ!実に凄かったぞ!イッセー!」


「・・・・・そうか」


「・・・・・一誠、英雄や紋白と同意見だ。見事だ、その性能を見て我も納得した」


「・・・・・それは良かった。これは最高傑作でもあるんだからな」


「―――では、最後のテストと参ろう。ヒューム」


「はい」


「一誠の実力を知りたい」


「分かりました。場所はこの場でよろしいですね?」


「うむ。お前もこの場なら思いきり戦えるな。よろしく頼むぞ」


「・・・・・川神百代よりは強い方で、川神鉄心と同等ぐらいの実力者だな」


「ほう、俺の力を見極めるとはただの赤子ではないな?」


「・・・・・お前とは一度だけ会った事があるんだがな」


「なに?」


「・・・・・まあいいさ、思い出させる」


そう言って一誠は演習場へ戻った。ヒュームと呼ばれた金髪の老執事も演習場に向かった。―――そして


ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!


激しい大爆発と爆音が北富士演習場から轟いた。

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