小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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七月二十日(月)



―――放課後


「それでは、和平使節団としてS組に行ってきます。ギクシャクしてるS組との仲、とりもってきます」


「・・・・・和平使節団?」


「ああ、一誠さんは知らないんだったね。まあ、簡単に言うとお互いもう喧嘩しないでこれから仲直りを

しようと話し合いをする団体の事だよん」


「・・・・・SとFの関係は最悪だったな。冬馬達はともかくあいつらの場合、それを侮蔑するだろうよ」


「格差社会だね・・・・・、波乱が起きそうな予感がするケド」


「・・・・・おい、チビ」


「チビじゃないです!・・・・・え?」


「・・・・・俺もついていく」


「一誠さんが行くなら私もだよん」


「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」


「・・・・・和平を結ぼうとするのは構わないがお前達だけじゃあ失敗するだろうよ。

だから一緒に付いていってやるよ」


「待て」


「・・・・・ん?」


「お前は行くな。逆に低い成功確率がゼロになる」


「・・・・・元々ゼロに近い可能性だろうが、Sとの和平は。それに知っている筈だぞ?俺と燕は葵冬馬と

井上準、榊原小雪と親しい事を」


「・・・・・」


「・・・・・更に言えば九鬼英雄に認められている。俺も認めてはいるがな。不死川心も何故か知らんが俺を

気に入っているようだしこれほどもないSに対する人材はいないと思うが?一応、学年成績1番で全国模試が

1位を取っているし」


「っ・・・・・」


「―――異論は勿論、反論は認めない。というか、お前が俺に指図する権利なんてねぇんだよ」


「そう言う訳だからごめんね?」


「・・・・・まっ、俺が行っても失敗しそうな感じだが」


「それって勘?」


「・・・・・勘だ」


「・・・・・ワン子、護衛としてついていって」


「わ、私が行かなくても十分過ぎると思うけど?」


「念には念をだ」


「うー、分かったわよ・・・・・」


―――2−S


「おや一誠さん。どうしてこちらに?」


「あっ、イッセーだ!イッセー!」


「・・・・・和平使節団の話を聞いてな」


「なるほど、そう言う事ですか。大和君の指示ですか?」


「ううん、一誠さんが自ら来たんだよん」


「そうですか、確かに一誠さんもくれば成功する確率は上がるでしょう・・・・・」


「こちらへどうぞ、マドマゼル。勉強好きの多い、むさくるしい所ですが」


「ど、どうも」


「井上君はもう走っているようだね」


「準はロリコンなのだから仕方ないのだー」


「なんじゃそいつら、2−Fの連中ではないか!」


「平和の使節団だよ。お前等、手を出したら怒るぜ」


「平和ぁ?使節団〜?なんじゃ勝手に・・・・・」


「我も聞いておらぬが・・・・・」


「・・・・・まあ、話だけは聞け。英雄、不死川」


「ひょ、兵藤!」


「一誠殿!」


「お邪魔しまーす」


「一子殿がいるので許す!フハハハハ」


「・・・・・で、いいな?」


「ま、まあ、高貴な兵藤がそう言うのであれば聞いてやらんでもないが・・・・・」


「フハハハ、一誠殿と一子殿がいるのであれば発言を許そうではないか」


「では英雄。クラス代表として調印をお願いします」


「ほう、調印とな?何だ、書類を良く見せよ。・・・・・ふむ。F組とS組の恒久和平の実現か・・・・・」


「S組と恒久和平?待って欲しいな。何故、僕達とF組ごときが同各なんだ」


「2−F委員長を困らせるような事を言うなッッ!小さな女の子を困らせるような事を言うなッッ!」


「き、切れすぎだから井上君」


「これからはたがいに仲良くしようと言う事か」


「はい、意味もなくピリピリするのはやめましょう!」


「賛成です。別に喧嘩腰でいる必要もないでしょう」


「私も賛成だよ」


「・・・・・無駄な争いをして俺まで巻き込まれてはゴメンだからな。俺も賛成だ」


「トーマと一誠、燕が賛成ならサンセーイ」


「この夕涼みというのは?」


「お茶会だね。皆でご飯食べたら、きっと美味しいよ」


「・・・・・僕達はご飯美味しく思えるかなぁ、君達とでは食べるもの違うと思うけケドね」


「貴様。でしゃばるな。無礼であろう」


「いや九鬼!これはS組の意志でもあるのじゃ。仲良くするのは良い!だがそれには、

書類に一文が必要なのじゃ!」


「一文・・・・・ですか?」


「『F組は、S組より劣る事を自覚しています』と」


「ははは、そりゃあいい。力関係がハッキリする」


「「「「「「「「「「ははははははは!」」」」」」」」」」


「―――お前等、少し黙れ」


「「「「「「「「「「ひいっ!?」」」」」」」」」」


「・・・・・不死川」


「は、はい!」


「・・・・・そんな一文を必要ともしなくてもSとFの力は歴然としているから必要でもないと思うが?」


「そ、それはそうじゃが・・・・・」


「・・・・・成績も含まれているなら、俺もS組より劣っていると言いたいのか?成績はお前等、

S組を超えている俺がお前等に劣っているとでもそう書類に書かせたいのか?」


「ち、違うのじゃ・・・・・!高貴な兵藤はF組の山猿達から選ばれた選民であって・・・・・」


「―――だったら、余計に溝を深めるような事を言うな。お前の言葉で他の奴等も便乗してややこしく

成るんだぞ」


「ご、ごめんなさいなのじゃ・・・・・」


「・・・・・分かればいい」


一誠はそう言って不死川の頭を撫でる。叱った後の娘の頭を撫でるかのように


「流石、一誠さんですね・・・・・」


「見事に不死川と場を抑えたな」


「フハハ!流石は我が見込んだ男!見事成り!で、調印の方は我も調印する事に異議はない」


「え〜」


「代表である我が決めた事。いわば宇宙意志。従え」


「・・・・・分かったよ」


「とまぁ、このように纏める事も出来る。フハハ!」


「おぉ・・・・・凄いわねぇ」


「で、あろう一子殿!我は凄い!」


「ああごめん。脱線させて、続けて続けて」


「心から納得していないものが多数では、これが上辺だけの調印となるやもしれぬな」


「例え上辺でも、交流する機会が増えれば分かりあえると思います」


「・・・・・そうですね、その通りです」


「さすが委員長!立派だなぁ」


「・・・・・まあ・・・・・九鬼君の決めたことに反対はしないよ。でも良かったな、甘粕」


「(・・・・・嫌な予感がする)」


「僕達の誰かの目に留まれば玉の輿が狙えるぞ」


「(・・・・・燕、川神を抑えろ。怒りに身体を震わせている)」


「(了解)」


「お前の家、貧乏なんだろ?はは、ださいださい」


「いい加減にしなさいよ!でやぁ!!!」


「はぁーい、川神ちゃん。ストップだよん」


2−Sの生徒に攻撃しようと一子が蹴りを繰り出そうとしたが容易に燕の手で受け止められてしまった


「な、何するのよ!」


「私達は何のために此処に来たのか忘れてないかな?和平を結びに来た私達が攻撃したらダメじゃない」


「友達をバカにされて黙ってないわ!」


「だからって攻撃しちゃあダメ。―――それに」


ドガッ!バキッ!ドゴッ!


「うるぁ!てめぇ委員長を馬鹿にしやがって!」


「ぐほあっ!」


準にダウン攻撃をされている2−Sの生徒がいた


「あああ、準。落ち着いて」


「川神ちゃんの代わりにしている人がいるからね。身内の事は身内に任せた方がいいの。それと、

恒久和平の為に結びに来たこっちが手を出そうとしてしまってごめんなさい」


「全くじゃ!何が恒久和平じゃ!所詮無理な話なのじゃ!このような蛮族は、

此方等に飼育されるべきじゃ!」


「あんた等とこっとん曲がってると思うの!」


「川神ちゃんも反応しない!」


「・・・・・・はぁ、不死川」


「ひぃっ!?」


「・・・・・燕の言う通り、和平を結びに来た俺達が手を出していい訳が無い。今回はこっちにも非が有る。

だから―――今回の事は俺の顔を立てて許して欲しい」


「・・・・・あの一誠さんが」


「・・・・・土下座をした?」


一誠と常に一緒に入る冬馬達が信じられないものを見た目で一誠を見詰めた。今まで一誠が土下座をした

ところは一度も見た事が無いからだ


「・・・・・頼む」


「ひょ、兵藤・・・・・」


「顔を上げられよ!一誠殿!貴殿のような男が土下座をして良い訳が無い!」


「・・・・・これはケジメでもある」


「許す!我が許す!だから、だから顔を上げられよ!不死川心よ!お前も既に許しておるであろう!?」


「う、うむ!此方も悪かったのじゃ!高貴な兵藤が土下座をしなくともよいのじゃ!」


「・・・・・本当か」


「本当です!」


「本当なのじゃ!」


「・・・・・分かった」


一誠はようやく土下座を止めて立ち上がった


「・・・・・英雄」


「う、うむ」


「・・・・・時には王も土下座をする時もある。それは、何かを心から成し遂げたい時だ」


「・・・・・」


「・・・・・お前も何時か成し遂げたいものが来るだろう。誇りとプライドよりも

その成し遂げたいものの為にな」


「・・・・・しかと、胸に刻み込みます」


「・・・・・お前は良い王になれそうだ」


「フハハハ!それは当然ですぞ!我は何時か世界を支配する男、九鬼英雄であるからな!」


「・・・・・燕、帰るぞ」


「う、うん・・・・・」


一誠と燕は2−Sから出ていった。丁度その頃


「ふむ。あやつの心も変わってきておるようじゃのう」


「大勢の中で土下座なんてそうそうできる事じゃないでしょうに」


「ふぉふぉふぉ、それじゃあワシもあやつの頑張に応えようとしよう」


「何か提案でも?」


「ああ、あるとも。それも納得いく方法がのう・・・・・」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



七月二十二日(水)



「・・・・・さて、試験の結果発表を見に行くぞ」


「うわぁ、ドキドキして来たよ」


「・・・・・上位には確実に入っていると分かってもか?」


「だって、此処に転入して初めての期末考査だし・・・・・」


「・・・・・向こうの学校では成績は良かったんだろう?」


「うん」


「・・・・・なら、自身持て」


「はい!」


燕を連れ廊下に張り出されている試験結果を見に行った。結果は―――


1位 兵藤一誠


「あっ、やっぱり一誠さんって―――」


「・・・・・予想通りだったな」


1位 兵藤一誠 松永燕 葵冬馬 井上準 榊原小雪 6位 九鬼英雄 7位 直江大和


「・・・・・嘘」


「・・・・・これが現実だ。受け入れろ」


「わ、私・・・・・初めて学年成績で1位に成ったよ」


「イッセェェェェェェェェェッ!」


ガバァッ!


「・・・・・なんだよ。というか、走りながら抱きついて危ないぞ」


「わ、わわわ私、私が学年で1位に成ったぞ!?ユミも一緒にだ!」


「嘘!?」


「本当だって!私だって信じられないんだぞ!?」


「・・・・・百代、こっちも見てみろ」


「ん?・・・・・おおっ、ハゲ達も1位じゃないか!凄いなぁ!大和も何時もより上がったな。

流石に一誠には敵わなかったか」


「・・・・・当たり前だ、易々と抜かさせるわけがない」


「ふふ、一誠は凄いな。力も金もあってさ。―――残りは権力か?」


「・・・・・いらないな、権力は」


「それにしてもSクラスの人が多いね?」


「それはそうだろうSなんだから」


「あはは、そう言われると返す言葉が見つからないよ」


「お、おい。2−Sの連中だぜ」


「道を開けねぇと!」


不意に試験の発表を見に来ていた野次馬達が道を開けた。その道に2−Sの生徒達が通って結果を見た


「な、なんと・・・・・我が友、トーマは分かる。だが、我がハゲに負けるとは・・・・・!」


「おっ、一誠さんの言う通りにしたら英雄に勝ったぜ。いやー、気持ち良いな!」


「これも一誠さんの教えのお陰ですね」


「わーい!僕も1位だよー!」


「ロリコンが1位とは・・・・・きっとこれは何かの間違いじゃ!」


「凄いですねー☆1位の人が5人も揃うなんて初めてではありませんか?」


「・・・・ああ、確かにそうだな」


「一誠さん、いらしていたのですね」


「一誠さんの言う通りに成ったな。英雄に勝ったぜ!」


「ありがとうねー!」


「むっ。一誠殿に何かしてもらったのか?」


「ええ、一緒に勉強会をしたのですよ」


「モモ先輩、そっちはどうですか?」


「あっはっはぁ!聞いて驚け、私もユミも学年で1位に成ったぞ!」


「おおー、すごーい」


「一誠さんの勘は当りますね。それに一誠さんのお陰でようやく私も1位に成りましたよ」


「ありがとうございました!」


「・・・・・気にするな。役立って良かったぞ」


「ああ、そうそう一誠さん。今日は学園長からのお話がある日ですね」


「・・・・・そうだったな。というより、冬馬達から聞いたんだけどな。あの後の事を」


「はい、一体何でしょうね」


「・・・・・戦いの幕開けとなりそうだ」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



体育館で2−Fと2−Sの代表者が集まっていた


「良く来たのう・・・・・『大人数』で」


「・・・・・聞こうか。勝負内容ってやつを」


「うむ。なんなのか気になって仕方がない」


「お前達は、一度全力でぶつかるべきじゃ。そのために最高の舞台をワシは用意した。

―――川神大戦、開戦じゃ」


「川神大戦?」


「・・・・・戦国のように戦をしろというのか?2−Sと2−Fで」


「うむ。兵藤は良く気付いたな。そうじゃ、丹沢山中でF軍とS軍に分かれて向かい合う。

―――そして合図と同時に大将首を狙って全員で戦闘する。それだけじゃ」


「大将・・・・・とは、我らクラス委員長の事だな」


「まさしく」


「・・・・・チビが大将なんて泣けるぜ」


「それだけですか」


「それだけじゃよ。細かいルールは・・・・・そうじゃの


「1、尖った武器は禁止。当り前じゃな。または峰打ちで戦ってもらうぞい。2、拳銃と爆弾も禁止。

当り前じゃな。矢は先端に指定の処理をすれば許す。相手捕虜への尋問、拷問は御法度。3、学校内の

人間ならいくらでも助っ人可能。4、、l逆に学校外の人間の助っ人枠は50名まで―――以上。

この4つじゃ」


「という事は・・・・・このイベントは校内の人間が総出で」


「そういう事じゃの。2−Fと2−Sいがいのれんちゅうを味方に引き込むんじゃ。最終的には学校を二つに

割っての大戦争に成るぞい。この味方に引き込む政治力もまた問われる、まさに戦争の再現。8月31日に

実施するので準備を整えよ!」


「そ、そんなっ・・・・・そんな大がかりな喧嘩なんて」


「喧嘩にあらず。真剣勝負のぶつかり合いじゃ。これが終わった後、皆は分かり合う筈じゃ」


「・・・・・な・・・・・なるほど・・・・・分かり合うんですかっ!」


「(・・・・・参加したくねぇー)」


「(おいおい、一誠さんがいるんだぞ・・・・・。こんな大戦、勝敗が目に見えているぞ)」


「(ですね。これは勝てる訳がないです)」


「(うー、負けるよー)」


「(あははは・・・・・)」


冬馬達は一誠の実力を知っているので表情には出さず心の中で諦観した


「―――面白い、その勝負受けたぞ!」


「「(英雄おおおおぉぉぉぉぉぉっ!)」」


準と冬馬は歓喜の絶叫を上げたのではなく、―――絶望感が一杯の声音えを上げた


「・・・・・皆さん、いいですか?」


「いいですとも!」


全員が大きく頷いた


「では、これよりF組とS組の喧嘩を禁ずる。無論、闇討ちなどもな」


「8月31日に思う存分戦うが良かろう!」


敵は文武両道のエリート集団。対するは、ろくでなしと言われた集団。―――だが、その中にたった二人だけ

文武両断で川神百代を2度も倒した男がいた。その男は―――兵藤一誠



―――屋上



「突然ですけど、今日の笑ってええともはでゲストに格闘技の王者が登場しますよ」


「本当に突然だな。というか、若はそんな番組を見ているのか?」


「たまにですね」


「格闘技の王者ねー、どんな人だろう?」


「・・・・・見てみるか」


四方形の魔方陣を展開した一誠。画面が現れるがノイズだらけで何も見えないが少しずつノイズが収まって

映像が見れるようになった


『今日のゲスト、ドバイの格闘王ミスマさん!ミスマさんの格闘戦歴は123試合123勝123KOと

まさに不敗!財力と暴力を併せ持つ無敵のドバイ王!』


「あー、ミスマか」


「流石にモモ先輩は知っていたか」


「一応、知っているさ。・・・・・お、出てきたぞ」


『今、会場に来ているメス共に告ぐ。全員、俺のホテルについて来い。そして、上手く私を

気持ちよくさせれば一億やろう』


会場が異様な熱気に包まれた


『哀しいなぁ・・・・・金に踊らされ誇りを失う家畜ども』


「・・・・・ゲスが」


「ああ、今もの凄くムカついたな」


『そ、そんな横暴が許されると・・・・・!』


『俺は無敵・・・・・財力もある・・・・・力があれば何をしても良い。世界は、圧倒的な力に支配されて

いるのだ!俺が世界の王に成った暁には川神百代を嫁にする!最強の男は最強の女と相性が良いからな!』


「と、なにやらふざけた事を言っていますがモモ先輩の感想は?」


「こんな男の女に成るつもりはない。見た限り、私より弱そうだぞ」


『フハハハ!お前の考えには全く同感だな、偽りの格闘王よ』


「揚羽さん・・・・・?」


「・・・・・なんで、あいつがあそこにいるんだよ」


『っ!?なんだ、君は』


『九鬼財閥の九鬼揚羽!降臨である!フハハハハ!今日はこの場を占拠しに来た』


『クキの娘か。武道をかじっていると聞いているが・・・・・フ、気でも触れたか』


『格闘王を名乗るお前を公衆の面前で叩きのめしてやろうと思ってな』


『10秒だ、10秒で片づけてやろう。10秒後にお前は地を這っている。豚のように』


「何言っているんだが、あの格闘王は・・・・・」


「・・・・・その10秒後にはお前が地に這いつくばっているだろうに・・・・・」


『フハハハ・・・・・弱い者いじめは好きではないのだが致し方あるまい』


―――10秒後、一誠の言った通りに九鬼揚羽に敗れた格闘王ミスマ


『皆の者見たか?これが世界王者を名乗っている。確かに強くはあったが、我から見ればまだまだよ。武の

世界はそこまで底が浅いモノではない!故に我は、重要なメッセージを皆に発信する。今のは

デモンストレーションだ。本番は夜7時。MHKにおいて全世界同時放送を始める。夜を楽しみにしておけ。

フハハハハハハ!』


「おいおい、一体何をおっぱじめようとしてんだ?英雄の姉さんはよ」


「・・・・・九鬼の事だ。大規模な大会を開こうとしているんじゃないのか?」


「弟も弟なら姉も姉か・・・・・」


「納得ですね」


「九鬼揚羽・・・・・一誠さんのファーストキスを奪った人・・・・・」


「「・・・・・」」


「な、なんだと!?」


「あー、あれは衝撃的だったな」


「ええ、びっくりしましたよ」


「・・・・・俺は揚羽とキスする前から既にファーストキスは奪われているぞ」


「「「「えええええええええええええええええええええええええ!?」」」」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――夜7時。日本国民は、テレビの前で揚羽の言葉を待った。


『今より、全世界同時放送を行います。通訳はヨシオ・アンダーソン・・・・・』


『フハハハ!九鬼揚羽である!我が九鬼財閥は、今日ドバイの大会社であるミスマコーポレーションを併呑!

もはや世界最大の企業に名乗りを上げた!その記念として・・・・』


揚羽は目を閉じ一拍した。そして、カッ!と大きく目を開いて口を開いた


『格闘世界大会「KOS2009」を開催するっ!「KOS」・・・・・キングオブソルジャーズは野に

埋もれた戦士達の発掘が目的だ。故に参加資格は無し誰でも参加できる大会にする。そして様々な武の饗宴を

楽しんで頂く。参加形式はチーム!4人1組となりエントリー。場所は日本の開港150周年を迎えたアジア

最大の港町、横浜とそこに隣接している大都市、川神を舞台とする!』


その都市や街を住んでいる人間達は唖然、呆然、絶句の表情を浮かべた


『両方とも、政令指定都市の大都市決戦に成る。次にルールだが、ルールが無い事がルールだ。大会に

参加してない一般人に危害を与えなければ何をしてもよし、何を使ってもよし!である』


ルールが無いルール。つまり、人を殺しても構わないと同じ道理


『・・・・・1つ警告しておくが今「銃が無敵」と思った奴は大会に決して出るなよ。

その証拠を見せてやろう』


揚羽の合図で、一人のメイドが現れる。


『撃て、あずみ!』


『失礼します。揚羽様!』


揚羽の前で散弾銃が撃たれた。―――が


「フッ!」


揚羽はそれらを全て指でつまみ上げる行動を日本全国、全世界に見せた


『・・・・・強さの壁を1つ超えた者達に単純な重火器など効果は無い!それらを踏まえて参加する事だな!

―――因みに。優勝チームには・・・・・総額500億円を賞金とし与えよう!』


全世界の人間達はその額に度肝を抜かし歓喜した。


『街がいなく世界規模の大会となるぞ!勝てば富も名声も思いのままよ!参加せよ!勝ち上がれ!

―――以上、九鬼揚羽であったフハハハハー!』


優勝賞金、500億円の大決戦。このニュースに日本は激震した。


―――七浜


「見事な演説でした、揚羽様ぁ!大会の成功を確信しましたっ!」


「フハハハ。これから更に忙しく成るぞ、あずみ。・・・・・む?小十郎が来ないな、何時もは犬のように

駈け寄ってくるのだが」


「・・・・・というか、見張りや警備の人がいませんね」


「しかも、この地面に付いているのは、血・・・・・小十郎!どこかにおるのか!?」


「これは非常事態ですね・・・・・電波妨害されてますし」


「っ!何者だ・・・・・」


「っ!出て来てください・・・・・」


二人は気配を察知し身構える。―――刹那


「ははは、流石だね。気配で分かるか」


「ならば我々は姿を現そう」


何もない空間から六人の人間が現れた


「その服、中東戦争で猛威を振るう光学迷彩か」


「どこぞのテロリスターですね」


「そう、我等はインビシブルソルジャーだ」


「このスーツのさらなる完成の為に」


「資金がいる。我々の人質になってもらうぞ」


「たった五人で我を制圧できると思っているのか」


「まさか、貴女には相応しい相手がいる」


「コイツガ、オレノ、エモノカ・・・・・」


「っ!顔に桃の刺青。―――こいつ大量殺人犯タオシー!ブラックリスト特Aでございます揚羽様!」


「中国でその怪異なまでの暴力を振るう男か・・・・・。ここにいた見張りや警備の者はどうした?」


「ああ、そこら辺に纏めてどけた」


「余計な恨みは買いたくないから殺しはしてない」


「・・・・・ほっ(良かった・・・・・小十郎・・・・・)全く、あの使えぬ馬鹿め・・・・・

後で我の椅子の罰だな」


「スゴイビジンダ、タオシタアトモタノシメル」


「我を押し倒したいか?ならば来てみろ。あずみ、その5人は任せたぞ、こいつは我が」


「成敗しちゃっていいですか?


「了解!」


「デハイクゾ、マズハ、コテシラベ!」


「フハハハハ!この愚か者が!」


「馬鹿め!光学迷彩発―――」


テロリスト達は姿を闇に消そうとした。―――が


ドンッ!ドンッ!


どこからか銃の発砲音が聞こえた。―――刹那、二人のテロリストの頭が吹っ飛んだ


「・・・・・なに?」


ズバンッ!


さらに二人のテロリストの身体が真っ二つに見えない敵に裂かれて絶命した


「ナンダ?ナニガオコッテ―――」


シャアアアアアア・・・・・


「ダイジャ・・・・・!?ナゼ、コンナバショニ ダイジャガ・・・・・」


バクンッ!


タオシーは大蛇に巻きつかれて全身の骨を粉々にされると大蛇に丸呑みされ

最後まで言い切る事はできなくなった


「テロリスト達に攻撃している様子だな・・・・・」


「私達を攻撃する意思はなさそうですね」


「ど、何処だ・・・・・!何処に・・・・・!?」


「―――此処だ」


「がっ!?」


最後のテロリストの身体が浮いた。同時に何もない空間から一人の人間が現れた


「お、お前は・・・・・」


「・・・・・無事だったか?」


「―――兵藤一誠・・・・・」


ISを身に纏った一誠が二人の前に姿を現わした


「・・・・・まったく、日本も落ちぶれているようだな。容易にテロリストに入られるなんて警備の

システムが脆いんじゃないのか?」


「どうして此処に・・・・・」


「・・・・・あの放送を見て揚羽が襲われるだろうなと思って来たんだよ。案の定、

テロリストに襲われていたな」


「兵藤さん、一つ聞いても良いですか?」


「・・・・・何時もの忍足じゃないのが気持ち悪くて仕方がない。・・・・・なんだ?」


「貴方は人を殺しても何とも思わないのですか?」


「・・・・・別に何とも思わないぞ?数え切れないほどの数を俺は殺した事があるからな」


「・・・・・意外です。いえ、人は見掛けによらずですね。あの天才少年が人を殺しているとは誰も

思えませんよ☆」


「・・・・・そういうお前こそ殺したことあるだろう」


グシャッ!


テロリストの頭をトマトのように握りつぶした


「・・・・・良くお解りで」


「・・・・・お前の瞳は人を殺した経験を持った人のそれと同じ瞳をしているからな」


「―――っ!?」


「・・・・・さて、九鬼揚羽。俺は人をなんの躊躇もなく人を殺す。こんな人殺しの俺をそれでも

婚約者のままでいるつもりか?」


死んだテロリストの体を放り投げて揚羽に問う


「・・・・・」


「・・・・・大会でも俺は人を殺すぞ。ルールが無いルールだからな。良く考えて決めろ、お前の選択に

よって人生が破滅の道に繋がるんだからな」


そう言い残して一誠は夜空へと消えた


「・・・・・揚羽様」


「あずみよ・・・・・」


「はい・・・・・」


「我は、ますます一誠が欲しく成ったぞ・・・・・!人を殺しても平然とするあの男が、我等が気づく事も

なくテロリストを殺したあの男が、我の師匠を倒したあの男が欲しいぞ!フハハハハ!」


揚羽の哄笑が夜空に響いた。

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