小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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七月二十五日(土)


卒業式も終わり夏休みを前にしてF軍は川神大戦に向けてスカウトした生徒達と体育館の中に集結していた。

なお、時を同じくしてグラウンドにはS軍が集結している


「・・・・・なんて、俺が集まりに参加する訳無いだろうが」


「とか何とか言っているけど体育館の屋根にいるんだね。何時もは屋上なのに」


「・・・・・聞くだけ聞くだけさ」


「でも、此処は丁度いいね。ユキちゃん達の軍も見る事が出来るし」


「・・・・・直江達は俺の力を切札として使うだろうな」


「百代ちゃんを勝った一誠さんだもの。当然だよね」


「・・・・・しかし、あのチビが総大将って不安だぞ」


「ま、まあ・・・・・あの子も頑張るよ」


「・・・・・いよいよ夏で夏休みか」


「そうだねー」


「・・・・・燕」


「なんですか?」


「・・・・・なんでもない」


「あー、何なんですか?気に成りますよー」


「・・・・・気にしないでくれ」


「今直ぐに話してくださいー!」


『兵藤一誠!どこだ!どこにいる!出てこーい!』


「・・・・・一誠さん。呼んでいますよ?」


「・・・・・無視だ」


「もう、行きましょうよ」


「・・・・・面倒だ」


「もう、だったらこうしちゃいますよ?」


燕は一誠を覆い被さった


「・・・・・何のマネだ?」


「・・・・・前に言いましたよね。一誠さんの事は異性として気にしていると。

私―――貴方の事が大好きなんです」


「・・・・・知っていた。お前だけじゃない。ユミやユキも俺に好意を抱いていた事を」


「あー、酷い人。乙女の心を知っていながら黙っていたなんて・・・・・」


「・・・・・行ったはずだ。俺は独りになりたかったんだ。誰かと一緒にいたり誰かを愛したりすると最後は

俺を残して消えてしまう辛さが嫌いだから孤独になろうとしていたんだ」


「はい。何度も聞きました。ですが、それは一誠さんが逃げているだけです」


「・・・・・自覚しているし理解している。だけど、それでも嫌だったんだ。大切なものを失う痛みや

苦しみ、辛さが・・・・・もう・・・・・」


「一誠さん・・・・・」


「・・・・・もう、嫌なんだ。俺を残して死んでしまう光景なんてもう見たくも・・・・・」


「んふっ・・・・・」


「―――っ!?」


突然、燕が一誠にキスをした。頭を絶対に放さないと強く抱えて深く唇を押しつけた


「「・・・・・」」


数秒、十数秒、数十秒、どれくらいか経ったのか分からないが燕は唇を一誠から離した。


「一誠さん、私、一誠さんの事を心から愛しています」


「・・・・・」


「心も体も一誠さんに捧げる気でもありますよ?勿論―――命だって」


「・・・・・っ!?」


「きっとユミちゃんやユキちゃんも同じ気持ちの筈です。二人の気持ちも知っているのなら二人にも

ちゃんと返事をしてください」


「・・・・・俺は」


「今は言わなくても良いです。夏休みの間でも終わってからでも返事をしてくれれば良いです。

・・・・・私の事も」


「・・・・・」


「ね♪」


「・・・・・ああ」


『兵藤いっせぇぇぇぇぇぇぇい!』


「・・・・・うるさい奴だな」


「ふふ、このまま何処かに行っちゃいましょう!」


「・・・・・矛盾していないか?」


「ふふ、何の事でしょうか?」


「・・・・・そうだな。冬馬達に知らせて何処かに行くとするか」


「はい!」


一誠は燕を抱えて体育館の屋根から姿を消した


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