小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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七月二十七日(月)



―――KOS大会、開催日。七浜では、華やかなパレードが行われていた。昼から花火が上がり、

まさに祭り、大賑わいだ


『開港150周年のイベントとして相応しい―――』


オープニングセレモニーを総理がやっている。出場選手達は、七浜公園集合になっていた。大勢の人間が

公園を埋め尽くす勢いだ。なにせ、世界各地から参加者が来たのだ。強者達の気で公園内は満ちていた。

報酬金の効果は、絶大なものだった。因みに一誠は『ファントム・イリュージョン』の料理長の

恰好で登場している


「あれは『ファントム・イリュージョン』の料理長、『F』・・・・・」


「彼もまた武闘家という訳か・・・・・面白い!」


「『F』もこの大会に出ているとは・・・・・。どの位の実力を持っているのか楽しみだ」


「隣にいる少女は誰だ?それに二人しかいないが何処かで残りの二人が隠れているのか?」


「うわー、凄い人達の上に殺気が充満しているよ」


「・・・・・」


「一誠さん、この中で強そうな人達は誰だと思いますか?」


「・・・・・」


「一誠さん・・・・・?」


「・・・・・ああ、悪い。いざ正体を明かそうと思うと緊張して・・・・・」


「大丈夫です。私が傍にいますから」


「・・・・・ありがとう」


『フハハハハハ!』


公園に九鬼揚羽の声が響き渡った


『全世界の戦士諸君!良く集まった!これより武の祭典、KOSの開催を宣言する!』


公園から歓声と怒号が響き渡る。


「それでは・・・・・戦いの説明をしよう!戦いは、何でもありだ・・・・・機転を利かせろよ。武器を

使おうが、どこを狙おうが自由!参加者は軌約書に同意しているゆえ負傷しても責任は成らん。

思いきりいけい!またリングはここ七浜と隣町の川神の大地とする」


「わお、大地がリングなんて完璧に野外戦だね」


「・・・・・戦争に成るな。確実に」


『そうして、戦いの期間は三日間とする!優勝条件は、最後まで生き残った組みだ!最後に立っている者が

優勝者と言えるからな。これから選手達は七浜と川神の街を移動し・・・・・敵の選手と出会ったら戦闘に

入る!例え食事してようが、寝ていようが常に戦闘だ。一寸たりとも気が抜けない三日間という訳だ』


「流石に寝ている間に襲われたらキツいね」


「・・・・・俺が見張りをする。安心して寝ていろ」


『敵だらけの街でバトルロワイヤル・・・・・燃えるな?闘わないでいるチキンが発生した場合の対処だが、

これには処刑人を用意した。処刑人は我と』


『川神鉄心じゃ、よろしくのう・・・・・見た顔多ッ!』


『頑張ってるかね?ルーだヨ』


『川神百代だ!』


『以上、四名が処刑人に成る。もし一定以上、戦わないでいるチームがあったら我等がそのチームを消去しに

向かう。夜の間もこのルールは適用される!忘れるな、チームの動向はそれぞれのサポーターが持っている

腕輪からデータを通し本部で監視する。これにより、隠れて勝ち残る事は不可能だ』


「・・・・・燕、勝つぞ」


「了解」


一誠は燕とお互いの顔を見て頷いた。この大会に勝つと


『最後に禁止事項をあげておこう。七浜氏と川神市から出たチームは即座に失格。一般人を攻撃し、

負傷させれば失格。この事、ゆめゆめ忘れるな!それでは、はじめ!』


揚羽の開始の言葉と同時に巨大な二つの魔方陣が現れた。参加選手達と処刑人である揚羽達は突然の

異常現象に何事だと思いそちらに向いた。


「・・・・・俺は『ファントム・イリュージョン』の料理長、『F』」


一誠は自分の服を掴み、バッ!と瞬時で全身黒服から一変してドラゴンの紋章がある赤と黒の服に変わった


「だが、その正体は―――兵藤一誠だ」


「「「「「「「「「「な―――っ!?」」」」」」」」」」


一誠が料理長『F』だと知っている者以外の者は全員、度肝を抜いた。外見だけでまだ高校に通う年齢の

子供だからだ


「―――しかし、それだけじゃない。俺は―――」


―――刹那、一誠の身体に変化が起きた。髪が金色に成り頭上に金色の輪が現れ、瞳は蒼くなり背中から

六対十二枚の金色の翼が生えた


「第二次世界大戦をアメリカ人達と終戦に導いた天使だ」


大天使化した一誠。その瞬間、巨大な魔方陣から一瞬の閃光が放った。光が収まると―――


『幻想を司る龍『幻想喰龍』ゾラード』


『「龍喰者」サマエル!今日はいっぱい遊ぶぞー!』


「さあ、再び天使が降臨した」


七浜公園にいる選手達は一誠に視線を向けた


「お前達の記憶に俺達の姿を焼き付けろ!第二次世界大戦を終戦の道に導いた俺達の姿を!」


『ガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』


ゾラードが咆哮を上げた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「なんという事だ・・・・・」


「まさか、彼が天使だったとハ・・・・・」


「天使、数十年間姿を見せないから既に死んでいるのでは?と聞いていたが・・・・・『ファントム・

イリュージョン』料理長、『F』が一誠なのが驚きだったがその上、

一誠が天使だったなんて・・・・・!?」


『あはは!遊ぼうよー!』


『死んでも恨むなよ?まあ、主が甦らせるがな!』


ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


ゾラードが口内から灼熱の業火を吐いた。それにサマエルの拳で攻撃していくと七浜公園は壊れていく


「おいおい、どれだけの力なんだよ。公園が滅茶苦茶になったぞ」


ドオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


「また公園に穴が開いたのう。これでは本当に戦争じゃ」


「総理も気の毒だな。あんなのを相手にしないといけなくなるんだ、負けが火を見るより明らかだぞ」


「生きた伝説が直ぐそこにいたとハ・・・・・」


「見ろ、一誠の戦いを」


四人の視線の先は高速で光を残しながら次々と選手達を殴り、蹴り、剣と大剣で斬っていく姿。更には翼から

バチバチと電気を迸らせて周囲に雷を落としていった


「燕も負けてはいないな」


燕もスピードを活かして選手達を倒していっている


「今まで公園で戦っていた者も兵藤達の猛攻に耐えきれずに離れていくの」


「それ以前に龍が現れた途端に逃げた奴もいたぞ」


「それは当然だネ。空想上の生物が現れて攻撃しているんダ。逃げるのが正解だヨ」


「私も戦ってみたいな!天使の一誠とドラゴンと!」


「フハハハ、我も血が騒いでくる。―――流石、我の婚約者だ」


「・・・・・はっ?」


「むっ?ああ、まだ知らんようだな。我は兵藤一誠と婚約者なのだ」


「な、なんだと・・・・・?」


「我はあの日、一誠に助けられて以来からずっと好意を抱いていた。そして、我はあるキッカケで一誠を

婚約者にしようと決めた。いざ、能力を確かめるとどうだ。政治、商業、軍事に関しては我等兄弟姉妹を

納得させるどころか、実力ではヒュームを超える存在ではないか!」


「なに、ヒュームを倒したじゃと・・・・・!?」


「フハハ、あの能力と実力を持った男を我は逃す訳が無い。故に、我は心から決めた。あの男を婿として

九鬼家に迎い入れる!既に我の弟や妹、母上も賛成している。後は父上だけだが、一誠が『F』であり

天使ならば直ぐに首を縦に振ってくれるはず」


「・・・・・」


「(総代、百代の様子ガ・・・・・)」


「(うむ。思いきり不機嫌になっとるの)」


「(もしやと思いますが百代ハ・・・・・)」


「(気付かない内に惹かれておったんじゃろうな)」


「(戦いの他に何か見つけて欲しいと思っている矢先にコレですカ・・・・・)」


「(争いは絶えんのう・・・・・)」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「さて、大体は片付いたな」


『もういなくなっちゃったよ、つまらないな〜』


『我等と相手をしたくないのだろう』


「あはは、龍と相手にするなんて無謀だよん。あっ、天使も同じか」


「ゾラード、サマエル、小さく成れ。移動ができないぞ」


『はーい』


『分かった』


二匹のドラゴンの身体がどんどん小さく成っていく。身長は二メートルぐらいだ


「・・・・・龍って小さくなるんだね」


「さて、―――混沌の漆黒龍」


「・・・・・その装甲は・・・・・」


「IS、正式名称はインフィニット・ストラトス。兵器の中で最強の機動兵器だ」


装甲を装着した一誠は燕を抱えて空へ飛んだ。ゾラードとサマエルも一緒に飛び出す。


「うわっ、飛べるんですね!」


「言っただろう。俺が作る兵器は飛行能力がついているって」


一誠は腕を突き出してスナイパーライフルを呼びだした。スコープでとある場所を覗くと


ドンッ!


「へっ?」


「なに、俺達を狙撃しようとしている奴がいたからな。―――今度は」


両肩に巨大な箱が装着した。蓋が開くと


「燕、耳を塞いでいろ」


「は、はい」


ババババババババババババッ!


数多のミサイルが飛びだして様々な場所に飛んでいった、―――刹那、爆発音が鳴り響いた


「もういいぞ」


「すんごい。そんな物まであるんですね」


「兵器だからな・・・・・おっ、準達がいるな」


そう言って一誠は遠くにいる準達の方へ向かった。丁度、一人のカラテカと相手をしていた


「ゾラード」


「了解した」


ゾラードが先に先行してカラテカへもの凄い速さで飛んで―――体当たりした


「「「「―――っ!?」」」」


「よう、準」


「い、一誠さん!?」


「早速で何だが、倒れてくれ」


ISを解いて大天使化になった。


「て、天使だと!?」


「うお!マジかよ!?」


「というか、さっきの人を体当たりしたのって何!?」


「ああ、ドラゴンだ」


「一応、僕もねー」


「背中に翼が生えて下半身が蛇!?なんだそりゃあ!なんの生物だよ!」


「サマエルだよ。よろしく!」


「ゾラードだ」


「ていうか、喋っているし!どうなっているんだよ!?」


「一誠さん・・・・・貴方は・・・・・」


「ああ、正体を明かすって言っただろう。今の俺は天使として大会に参加している」


ドンッ!


金色の翼を準のメンバーである師岡の腹部に突き刺した


「はっ?」


「まあ、悪いが容赦しないがな」


手を突き出して金色のオーラを準達に放った。膨大なレーザー化となったオーラは準達を飲み込んだ


「・・・・・悪いな、準」


一誠はまた燕を抱えてその場から離れた。準達は遠くに吹っ飛ばされていたが準だけは意識があった。

無意識に威力を弱めてしまったのだろう


「・・・・・はは、あの人、強過ぎだろ・・・・・」


その後、一誠達は数時間に一度は敵と戦いはじめると―――夜に成った


「早っ!?」


「いきなりどうしたんだ?」


「い、いえ、何かそう言わないといけない気がして・・・・・」


「そうか、さてと、家に帰るか」


「あ、あの。一誠さんの家って七浜より更に遠くにありますよね?出ちゃあ失格に成りますよ?」


「俺達が出なければいいんだろう?」


「はい」


「なら、『向こう』から来れば良いだけの話だ」


「え?・・・・・!?」


一誠と燕の視線の先には―――こっちに向かってくる『天使達の聖域』が見えた。そして、七浜公園の

上空に来ると停止した


「嘘・・・・・、移動もできるなんて知らなかった・・・・・」


「移動要塞でもあるあるからな」


「要塞なんですか!?」


「当然」


「・・・・・一誠さんってたまに恐ろしい事をしますね」


「・・・・・怖いか?」


「怖くないです。寧ろ、他の皆より一誠さんの事が知れて嬉しいです」


「・・・・・そうか」


「ふふ、一誠さん。大好き!」


「・・・・・さて、家に帰る前に敵チームを倒しますか」


「あはは、ですね」


一誠達は後ろに振り向いた


「不純異性交遊はダメだぞ?」


「兵藤か」


「会いたくねぇ奴に会ってしまったもんだ」


宇佐美巨人、忍足あずみ、源忠勝、一人のメイドがいた


「・・・・・燕は待っていろ。此処は俺一人でやる」


「うん、分かったよん」


大天使化になった一誠、燕は一誠に金色の結界を張られてその場で佇む事になった


「なるほどね、お前さんが天使だったとは驚きだ。俺に言ったあの時の言葉はお前が抱いている

心情でもあるか・・・・・」


「そうだな」


「おい、こいつは避けるべきだ。あたいらより強いぞ」


「そうしたいのは山々なんだけど・・・・・周りを見てみなよ。閉じ込められているぜ」


「・・・・・何時の間に」


「獲物が自ら虎の穴に入ってきたんだ。逃がすと思うか?」


「ちっ、じゃあ、テメェを倒さないとダメって訳か!」


ガガガガガガガガガッ!


一人のメイドが銃を乱射した。対する一誠は金色の翼で全ての弾を弾いた


「おいおい、翼まで武器って事かよ。チートだろう」


「一誠、僕が倒そうか?」


「こんな相手になにも主がしなくても我等が相手をするぞ」


「・・・・・ドラゴン」


「もう一匹は下半身が蛇の尾で翼が生えている異様な生物だな」


「僕はサマエルだよ!異様な生物って言うな!」


「・・・・・サマエル?サマエルっていやぁ、エデンの園の話に出てくる蛇の名前だったな」


「そう!それが僕だよ!」


「・・・・・マジかよ。じゃあ、創造神とかいたのか?」


「ああ、いるぞ。なあ?ブラフマー」


一誠は大剣のストラップを掴むと大剣を巨大化にした


『やっと私の出番か』


「悪かったな。明日はお前の力も借りる」


「・・・・・腹話術?」


『違う!私は創造を司る神、ブラフマーだ!覚えておけ!人間共!』


「ブラフマーは肉体が滅びる前に魂をこの大剣に定着させたんだ」


「とても信じられねぇな」


「信じようが信じまいが自由だ。そんじゃあ、早く家に戻りたいから直ぐに終わらせてやるよ。―――龍化」


カッ!と一誠の体が金色の光に包まれた。眩い光に宇佐美達は顔を腕で覆い光が収まるのを待った。

―――光が収まると


『この状態に成るのも久しぶりだな』


巨大な金色の龍がいた


「な・・・・・に?」


「おい・・・・・これは何の冗談だよ」


「兵藤が龍になったっていうのか・・・・・?」


「ドラゴンが二匹・・・・・」


「僕もドラゴンだよ!」


「この姿は主の中にいるもう一匹のドラゴン。創造を司る龍『メリア』だ。我、サマエル、メリアは

エデンの園の頃からいたドラゴン」


『初めまして、ご紹介を与りましたメリアです。以後お見知りおきを』


「声が変わった、お前がメリアだというのか」


『はい、直ぐに主と変わりますがね』


『まあ、別にお前等には恨みは無いが―――此処で果てろ』


ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


巨大な火炎球を吐きだした一誠。対する四人は巨大な火炎球から避ける


「ちっ!ドラゴンと戦うなんてゲームの中でだろう!」


『言っておくが、俺だけだと思ったら死ぬぞ』


「あはは!最後に遊ぶぞー!」


「我等も相手をしてもらうぞ!」


ゾラード、サマエルも加勢にはいった


「くそっ!少しでもダメージを・・・・・!」


「3対4でこっちの数が勝っているんだけど力じゃあ月とスッポンだな」


「なに弱気な事を言っているんだよ!」


「っ!ステイシー!」


『余所見とは随分と余裕だな』


ドンッ!


一人のメイドが一誠に踏みつけられた。足をどけると満身創痍のメイドが気絶していた


『百代クラスの人間じゃないとつまらないな』


「お前、人間を舐めているのか?」


『舐めてはいない。つまらないだけだ、この世界がな』


「我等に対抗できるのは我等と同じ存在のみ」


「君達じゃあ役不足も良い所だよ♪おもちゃで攻撃しても痛くもかゆくもないんだからさ!」


長い尾で宇佐美達を薙ぎ払った


「「「ぐあっ!」」」


「はい、お終いだよ!」


ドスンッ!


今度は上から宇佐美達を叩きつけた。


『帰るか、そいつらはもう戦闘不能だ』


「それなりに楽しめたな」


「やっぱりあの時の戦争の方が面白かったなぁー」


『燕、俺の体に乗れ』


「う、うん」


燕を身体に乗せた一誠はゾラードとサマエルと共に『天使達の聖域』に向かった


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