小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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七月二十八日(火)



―――2日目のKOS。参加チームは既に4分の1以下に減らされている。一誠達のチームに恐れて

戦闘しないチームに制裁も与え始めた。殆どの参加チームは一誠達と接触しないように移動し、

他の参加チームと戦う様にしているが・・・・・


「俺達から隠れる事はできないぞ!」


「その通り!」


「「「「ぎゃああああっ!!!」」」」


気を探知されてしまい、一誠達に破れていくチームが続出する


「大体この大会に参加しているチームは半分以下に成ったな」


「皆、私達を避けて戦っているもんね」


『しょうがない事だ。我とサマエルと戦いたくないのだろう』


『つまらないなー』


「上空から飛んでみるか」


燕を抱えて翼を羽ばたかせて空へ飛びだす。四人は川神に向かって飛行する。少しして川神市に辿り着いた

一誠達は多馬川沿岸に降り立った。だが、そこは死屍累々としていた。

さらにその場に川神一子、椎名京、一人の女性にロボットもいた


「ん?川神一子か」


「て、天使!じゃなくて兵藤くん!?」


「・・・・・」


「「「「・・・・・」」」」


『一誠、食べていい?』


「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!?」


「ダメだ。不味いに決まっているだろう」


『冗談だよ』


「ほっ・・・・・」


「―――それじゃあ」


一子達の周囲に金色の結界が現れた


「じゃあな」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


結界の中で大爆発が発生した。煙が晴れると地面に倒れている三人と粉々に砕けたロボットの残骸があった


「呆気な」


「一誠さんが強いんだよ」


『それが主だ』


『だねー』


「・・・・・次は向こうだ。既に誰かが戦っているようだぞ」


「ホント?じゃあ、行ってみよう!」


一誠達は次の参加チームを求めて歩を進めた。しばらくすると原っぱの大地で戦っている二つのチームが

遠くから発見した


「あっ、カラカル兄弟だ。その後ろにいる巨漢の二人は知らないケド・・・・・」


「何にせよ。戦わないと失格に成るな」


「そうだね」


そう言いながら歩を進めた。カラカル兄弟達に近づくと両チームが一誠達に気づき目を大きく見開いた


「エンジェル!それにドラゴン!」


「あらー、小島先生にクリスちゃんのいるチームだったんだ」


「兵藤・・・・・」


「久しぶりだな」


「それが本当の姿だと言うのかね?」


「違う、力を解放したまでだ。―――こんな風にな」


一誠は全身から金色の光を発光して金色のドラゴンになった


『さて、俺達も仲間に入れてもらおうか?』


「ひょ、兵藤がドラゴンに・・・・・!」


「だから、力を解放すると姿が変わるんだって」


直ぐに大天使に戻って説明をする


「勝負の邪魔をするな!」


「これはバトルロワイヤル。ルールが無いルールだろう?誰が何処でどうやって戦おうが自由だ」


「ごめんね?そう言う訳だから私達も参加させてもらうよ!」


『我とサマエルはあのチームと相手をしよう』


『捕まえたらお手玉にしよっと!』


ゾラードとサマエルはカラカル兄弟達の方へ向かった


「ゾラード達はあっちか。なら、俺達は小島達だな」


「よろしくお願いします!」


「おのれ!勝負の邪魔をしてくれたな!許さん!」


「おっと、私が相手をするよん。一度、勝負してみたかったんだよね」


「松永さん、邪魔しないでもらおう!」


「だったら私を倒してからにしてね!」


燕はクリスと勝負を始めた


「というわけだ、俺の相手はお前達になる」


「ふむ。天使と戦う事に成るとは思いもしなかった」


「兵藤・・・・・」


「勝負です!兵藤一誠!」


マルギッテが眼帯を外し一誠に突貫した。


「それじゃあ、ブラフマー。いくとするぞ」


『ああ』


『封龍剣「神滅龍一門」』を手にし、マルギッテに近づく


「Hasen!Jagd!」


「遅い」


『封龍剣「神滅龍一門」』を横に振った瞬間、マルギッテが持つトンファーが真っ二つに成った


「俺にはトンファーなんて効かないぞ」


「っ!トンファーキック!」


「ただの蹴りじゃないかよ!」


マルギッテに手のひらを向けて気を集束して撃ち出した。


「―――っ!?」


「回収する!」


「へぇ」


直撃する寸前、小島の鞭によってマルギッテは九死に一生を得た


「・・・・・感謝します」


「礼は及ばんさ。兵藤、一つ聞いていいか?」


「なんだ?」


「第二次世界大戦中に現れた天使はお前の事でいいんだな?」


「大会の開催日にもそう言ったんだけどな・・・・・。ああ、その通りだ」


「では、お前の事を知っている者は?」


「葵冬馬、井上準、榊原小雪、矢場弓子、松永燕だ」


「川神百代は?」


「昨日知ったばかりだろうな」


「そうか」


「聞きたい事はそれだけか?」


「いやまだある。お前はどうして戦争を終戦に導いたんだ?」


「―――戦争の結末を知っているからだ」


「何処で知った?」


「・・・・・聞いてどうする。既に終った事を聞いても何にも変わらないぞ。それに今は戦闘中だ、

―――聞きたければ俺に傷を負わせてみろ」


「なら、そうさせてもらう!」


小島梅子は鞭を新体操のリボンみたくクルクルと回転させる。鞭はやがて一つの塊となる


「あれか」


「犬神!!!」


鞭で作られた犬は一誠に体当たりするように動く


「お手」


一誠はあの時のように犬の躾の真似をすると鞭で作られた犬は意思を持っているのか

途中で止まり一誠の手に手を置いた


「お代わり」


反対の手を一誠の手に置いた


「伏せ」


そう指示すると犬も伏せた―――刹那


ザンッ!


大剣で鞭を細かく切り刻んだ


「・・・・・またあの時と同じようになりましたね」


「ああ、何故なんだろうかサッパリわからんぞ」


『主、そっちはどうだ?』


『こっちはお手玉100回目だよー』


不意にゾラードとサマエルが近づいてきた。サマエルの両手にはカラカル兄弟と巨漢の二人が

お手玉のようにされていた


「一誠さん!こっちも終わりましたよ!」


「ぐわ!」


「クリス!」


「お嬢さま!」


クリスは燕の足で腹部に直撃してマルギッテ達の方へ吹っ飛ばされていた。

ところどころ殴られた傷ができていた


「おのれ!良くも我が愛しいクリスに怪我を負わしたな!?」


「あ、あれ?なんかあの人が怒っているよ」


「娘を溺愛している父親だ」


「親だったの!?」


「愛しいクリスを傷つけた罪は死刑に値する!よって君達は―――」


上空にヘリが何基も飛んできた。


「我が必殺技、アポカリュプセで滅ぼしてやる!」


「おいおい、あの軍事ヘリ達。まさか・・・・・」


「撃て!撃ち尽くせ!」


「おい!気は確かか!?それにあの軍事ヘリに搭乗している奴等はこの大会に参加していないだろう!」


「ルールが無いルールだ!問題は無い!」


ヘリから次々とミサイルが一誠達に打ち込まれていく


「ちょ、なんて事を!私の生徒にミサイルを撃つなんて!」


「はっはっは!ドイツの殲滅力は世界一!」


「兵藤!松永!」


・・・・・数分後、凄まじい爆撃がやんだ。


「やったかな?オーバーキルだったか」


「―――あー、よくとまあ・・・・・やってくれたな・・・・・」


突如、煙の中から声が聞こえた。―――刹那、


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


ドス黒いビームが煙を吹き飛ばしながら全ての軍事ヘリを破壊した


「な、今の攻撃は・・・・・!?」


「たくっ、娘が傷ついたぐらいで俺達はともかく燕まで殺す気だったのかよ」


「兵藤・・・・・?」


小島梅子の視界には金色の翼が一誠達の周りには金色の結界が展開していた


「中将の技を受けても無傷・・・・・!?」


「―――軍事ヘリに乗っていた人間達のように殺してやろうか?」


「「「「っ!」」」」


一誠から発する濃厚な殺気に四人は冷汗を流し始めた


「ルールが無いルールだ。殺しもしてもいいルールだしな」


手のひらからドス黒いオーラを集束し始める一誠。四人は逃げようとも何か身体に縛られたかのような感覚が

全身で感じ動けないでいた。四人は此処までかと死を覚悟した。―――その時だった


「はいはい!そこまでだヨ!ど派手にやったネ」


「体育教師?どうした、此処に現れて」


「ジャッジに来たヨ。クリスチームは失格!」


「・・・・・そう言う事か」


「何故だ、納得できんな」


「フハハハ!我、降臨!この我から説明しよう!大会に参加していない連中を大会に参加させ、

攻撃しているのはルール違反だ!」


「ルールが無いのがルールと言ったろう!」


「大会である以上、部外者の参入は許されぬ。既に軍事ヘリと共に軍人達は死んでしまったようだが、先程の

連中が参加者達であるなら反則ではない・・・・・が、部外者だろう?」


「・・・・・私達が実戦向き過ぎたんですね」


「・・・・・大会運営者がそうまで言うなら仕方あるまい。結果、失格か・すまなかったな、クリス」


「いえ、楽しかったです。父様」


「はあ、兵藤達が無事で良かったんだが・・・・・」


「間違いなく優勝を狙える戦力だった」


「爆撃跡は我が九鬼財閥が責任を持って補修しよう」


「俺達はこのまま待つとしよう。さっきの戦闘の騒ぎで気になって此処に来るかもしれないからな」


「あっ、なるほど。良い考え」


「・・・・・兵藤」


「ん?」


「お前に人を殺してしまった。・・・・・すまない」


「別に気にするな。俺は既に殺した事あるから何とも思わないんだよ」


「・・・・・そうか」


「・・・・・」


「一誠」


「今度は揚羽か。どうした?」


「お前が天使だとは我は驚いた」


「あー、だろうな。今頃世界は大騒ぎだろうな」


「しかもドラゴンを使役する事もだ」


「家族であり相棒だ。―――サマエル、いい加減にそいつらを解放しろ。爆撃受けている最中でも

やっていただろう」


『はーい』


「一誠」


「なん―――」


「んん・・・・・っ」


「「なっ!?」」


「・・・・・っ!?」


不意打ちに揚羽にキスされた一誠。その光景に大きく目を開く燕と小島。一誠の唇から放すと揚羽は

両腕を首に回してきた。


「我はますます気に入った!一誠、この大会が終わったら―――我と正式に婚約を結んでもらう!」


「・・・・・な」


「「何だってええええええええええええええええええええ!?」」


「フハハハ!無論、婿として我と結婚をしよう!九鬼に入ればハーレムは許容されるぞ?」


「「・・・・・」」


燕と一誠は唖然とした。この大会の主催者の揚羽が大会中に堂々と告白したのだから。この後、

一誠達は気になって現れた参加チーム達をことごとく撃破していった



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――夜


揚羽は一人のメイドに状況を聞いていた


「残りは全部で何チームだ?」


「午後、総理チームが丘で自分達を狙う刺客を返り討ちにしまして・・・・・1チーム減り、

なかなか戦わなかった4チームを間引きしたので・・・・・、残り6チームですね、揚羽様」


「絞られたな・・・・・500億の栄冠、手にするのは誰か。それにしても総理チームと天チームは

全く被害が出てないな」


「はい、位置取りと先読みのいやらしさはピカ一です」


「総理だけの知恵ではないな。優秀な補佐がいる」


「そして、天チームの場合は・・・・・天使とドラゴンの存在に戦いを避けるか、

棄権したチームがいましたからね。逆に見つけられたら瞬殺ですよ」


「あれに対抗できるのは四天王や川神鉄心、我の師匠だけかもしれぬ。それ以外の者は腰抜けしかおらぬな」


「いや、揚羽様。ドラゴンと戦おうとする人はいませんよ」


「ふふ、一誠。お前はどこまで我を満足させてくれるんだ。早く我は・・・・・」


「(あの揚羽様が恋の乙女になっておられるなんて)―――っ!揚羽様、伝達が入りました。天チームが

3チームを撃破したようです。現在、生き残っているチームは総理チーム、蘇我チーム、天チームです」


「ふむ。では、明日がいよいよ決着がつくな」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



七月二十九日(水)



『世界格闘大会、KOSは総理が勝つか、蘇我氏が勝つのか、天使が勝つのか。天下三分の分け目の戦いが始まります。総理と蘇我氏の勝敗はこの勝負の結果は今後の選挙にも反映される事は確実で・・・・・』


「今日で最後の戦いに成るね」


「ああ、さっさと終らせよう。そして、松永の名を広めないとな」


「はい!」


「残りは俺と燕を含めて3チーム。今日まで終わらせないと俺達は失格になるから何処かの場所で決着を

付けようとするだろう」


「人気が無い場所とか?」


「そうだろうな」


「じゃあ、海が見えるところかな?」


「川神湾か・・・・・。そこに行ってみよう。いなかったら気で探せば良い」


一誠達はその場から姿を消した


―――川神湾、岩礁地区


この場所に3チームの参加者達が集まっていた。蘇我チーム、総理チーム、天チーム。


「「「「「「・・・・・」」」」」」


「「・・・・・」」


『『・・・・・』』


3チームはお互いを見詰め合っていた


「釈迦堂、野党の人間と知り合いとは知らなかったな」


「いやいや、お前が天使だってことは知っていたけど、ドラゴンの事は知らなかったぞ?」


「悪いな、言う必要が無いと思っていたからな」


「へへっ、そうかよ」


『あはは!ゾラード、あのロボットを壊そうよ!僕は丸っこいの!』


『我は人型か。まあいいだろう』


『むっ、ご指名されたぞ』


『ドラゴンなんて僕達の敵じゃないよ!』


「離れて遊べよ。壊したらそのまま待機だ。―――由紀江」


「はい」


「どうして直江を誘ったんだ?まあ、なんとなく予想ができるが」


「友達だからです」


「お前の事だ、そうだろうと思った。―――だが、容赦はしないぞ」


一誠から敵意と殺意、殺気が発せられた。


「っ・・・・・!?」


「おほっ、こりゃあ全力で戦わないとダメだな。殺すことを躊躇わない瞳だ、あれは」


「ああ、直江は赤の他人だ。俺にとってはどうでも良い存在。だから、殺しても何も思わないさ」


「お前、人を殺した事あるんだな・・・・・」


「―――ああ、第二次世界大戦で何千、何万の人間を殺してきた。まあ、後で甦らせたけどさ」


「どうして今まで正体を隠してきた」


「そこまで教えるほど俺は親切じゃない。というか、お前に教えても意味が無い」


「はっ、今まで俺達を嘲笑っていたって事か」


「別にお前らなんて興味ないから嘲笑っていないし」


「そうかよ」


「さて、燕。不死川の相手を頼む。接近戦には気を付けておけ、柔道が得意だから」


「了解!」


「俺は・・・・・そうだな、由紀江と釈迦堂と勝負をしよう」


「そうはいかない。お前の相手は俺だ」


「塵芥と相手にしてもつまらない」


「塵芥・・・・・どうかな?能ある鷹は爪を隠すからな」


「お前に興味はない」


「そう言わずに相手をしてくれよ―――化物」


「・・・・・なんか言ったか?」


「相手にしてくれって言ったんだよ。『人形』と呼ばれた『化物』」


「・・・・・」


「な、直江君!キミは何て事を・・・・・!?」


ゾワッ!


一誠から更に濃厚な殺意と殺気が溢れた。一誠の殺意と殺気にこの場にいる全員が畏怖した。


「ただのガキが・・・・・調子に乗ってくれんじゃねぇか」


「・・・・・(まゆっちは父親の仇を取らせないといけない。総理もあの人と決着を付けさせないと駄目だ。

なら、俺はあいつの足止めをしないといけない・・・・・!)」


「私達は、審判をしているが、まぁ気にせずに戦え」


「被害が街中に及びそうならば食い止める」


「それじゃ、最終決戦、はじめ!」


「こっちだ!」


「―――もう来たぞ」


「―――っ!?」


「ははは!逃げるしか能が無い奴が考えた作戦なんてお見通しだ!」


ドッゴオオオオオオオオオンッ!


思いきり大和の腹部に拳を突き刺した。その瞬間、骨が折れる感触が伝わった


「総理は野党と政治の決着、由紀江は釈迦堂に怪我を負わせた父親の仇なんだろう!」


ドオンッ!


顔面を掴み地面に叩きつけた。


「はっ!浅はかな作戦で自分の命が危うい事を気づかないお前は馬鹿だな!」


バチチチチチチチチチッ!


「ぐああああああああああああああああああああっ!?」


手のひらから膨大な質量の電撃が直江の体を駆け巡った。


「龍の逆鱗に触れたなぁ!?」


大和を壁に向けて放り投げた。もの凄い速さで壁に激突して地面に倒れた一誠はそれでも腕を突き出して

ドス黒い気を集め出して放とうとした


「―――死ね」


「待て!」


「・・・・・なんだ」


「大和はもう戦えない!戦闘不能だ!」


「処刑人が公私混合してもいいのか?」


「頼む!弟を殺さないでくれ!家族を殺さないでくれ!」


『家族』という言葉に一誠の眉がピクリと動いた。一拍して突き出した腕を下げた。


「二度目は無いぞ。今度、そいつが調子に乗った言葉を言いやがったら今度こそ殺す」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


が、下げていた腕を総理と蘇我に突き出してドス黒いオーラを放った。問答無用の攻撃に二人は、

なす術もなく地面に倒れた


「日本の事なんて俺はどうでもいい。俺は百代と燕、冬馬達がいればそれで良いんだからな」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



『食らえ!ハゲタカ照射!』


『・・・・・』


巨大ロボットの頭部から発射されたビームがゾラードに直撃した。だが、効果は全くなかった


『ば、馬鹿な!?』


『今度は我だ』


カッ!


口内から光の柱のような光のレーザーが出て巨大ロボットの胴体を貫いた。二つに分かれた巨大ロボットは

地面に崩れた


『な、何故だ・・・・・!こ、この私が、この私が・・・・・一瞬で負けるなど・・・・・!』


『たかが機械の攻撃に我が通用する訳無かろうが』


『おのれ、おのれぇぇぇぇぇ!』


『機械は機械らしく黙っていろ』


赤と黒が混じったモノがゾラードの口内から吐き出された。それに直撃した巨大なロボットは跡形もなく

地面ごとごっそりと消えた



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



『僕の自慢のミサイルだ!』


『当らないよ〜♪』


『馬鹿だね!僕のミサイルは追尾ミサイルなんだよ!何処に逃げても追いかけるよ!』


『わっ!本当だ!凄いね!』


『ははは!当っちゃえ!』


『ねえ、本当にどこまでも追いかけてくるの?』


『勿論だよ!』


『なるほどね、それじゃあこっちだよ!』


サマエルは追跡するミサイルを誘導しながら巨大ロボットに向かった。


『こっちに来るなよ!ガトリング砲!』


『あはは、当らないよ〜!』


巨大ロボットに近づくと長い尾でグルリと獲物を絞め殺すように巻き付けた


『僕がこうしたらミサイルがこっちに来るよね?』


『は、放せよ!僕まで巻き込まれるじゃないか!』


『嫌だねー♪ほら、もう目の前だよ?』


『う、うわあああああああああああああ!?』


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


サマエルを追跡していたミサイルが巨大ロボットに直撃した。―――だが、大破までは至らなかった


『あれ?壊れてないの?』


『もう!自分の攻撃を当るなんて馬鹿じゃないか!』


『馬鹿じゃん』


『うるさい!』


『ところでさぁ、知っている?』


『何をだよ?』


『蛇って獲物を食べる時はまず絞め殺してからゆっくりと食べる生物なんだよねー』


『だから何だっていうんだよ!』


『―――キミの身体に巻きついているモノは何かな?』


『何って、そりゃあキミの・・・・・。―――はっ!?し、しまった!』


『あはは!こうやって、ゆっくりと力を込めながら締め上げると獲物の骨が折れて柔らかく成るんだよね』


バキッ!ボキッ!バキバキッ!


『や、止めろ!僕は死にたくない!』


『ん〜、どうしようかなぁ?』


バチッ!バチチッ!バキッ!バギャッ!


『お、お願いだよ!』


『しょうがないなぁ、分かったよ』


締め付ける力を弱めたサマエルに安堵の声音を吐いた巨大なロボットだが―――


『なんて、僕がキミの言う事を聞く訳無いじゃん』


『なっ!?』


『壊れちゃえ♪』


グシャアッ!


巨大なロボットの頭部に拳が深く突き刺さった。


『それそれ♪』


サマエルは何度も何度も拳を突き刺した。もはや、巨大ロボットの原型が留まっていなかった。―――刹那


『うん?』


ボオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


『うわっ!?』


巨大ロボットが大爆発を起こした。爆発した際に機械の破片が辺りに飛び散った。その中に1つの破片が燕達の方へ飛んでいった



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「ほいっ!」


「にょわっ!?」


燕のスピードに不死川心は己の得意とする攻撃ができず苦戦していた


「お、おのれ!此方の華麗なる技の間合いじゃというのに!」


「んふふ、接近戦が得意な人は警戒しながら攻撃するのが一番だよん」


「ぐぬぬ・・・・・!」


「せやっ!」


「にょああっ!?」


燕の飛び蹴りが不死川心の腹部に直撃した。―――その瞬間


ガシッ!


「へっ?」


「と、捕らえたのじゃ!」


不死川心が燕の脚を掴んだ。体勢を瞬時に変えて不死川心は関節技に入って燕の脚を極め始めた


「いたたた!?」


「にょほほほ!良くも此方を痛めつけてくれたのじゃ!お返しに此方の華麗なる技を披露してやるのじゃ!」


「ちょ、勘弁して!マジで痛い!―――って、放して!」


「何を言うのじゃ!絶対に放さないのじゃ!」


「上を見て!上を!」


「・・・・・上じゃと?一体、上に何が―――」


燕のあまりの必死さに疑問を浮かべて言われたとおりに顔を上にあげた。上空には巨大ロボットが爆発した

際に吹っ飛んだ大きな破片が落ちてきていた


「な、なんじゃとおおおおおおおおおおおお!?」


「だから、早く放してってば!」


「う、うむ!此方もまだ死にとう無いのじゃ!」


不死川心の拘束が解かれて燕は直ぐに立ち上がる。―――だが


「あたっ!?」


「お、おい!何をしておるのじゃ!」


「あ、足が・・・・・!」


「此方の技で足を痛めてしまったのか!」


「あはは、そうみたい」


「うぬぬっ、しょうがないのじゃ!」


燕の腕を自分の肩に回し、不死川の腕を燕の脇に腕を回して立ち上がらせた


「ちょっ、私の事は良いから!」


「此方の前でみすみす死なせては気分が悪いのじゃ!」


「でも、キミも私の蹴りでお腹が痛そうだケド?」


「ええい!黙るのじゃ!早く、此処から離れ―――」


言い合う二人に大きな破片が直ぐ後ろに近づいてきた。二人は尻目でその光景を確認した瞬間


「―――悪い、遅くなった」


ガッ!


大きな破片が一誠の手によって受け止められた。一誠の翼には釈迦堂と由紀江が包まれていて破片を地面に

置くと二人に訪ねた


「二人共、大丈夫か?」


「は、はい。大丈夫です」


「う、うむ」


「ん、安心した」


そう言って金色の翼を瞬時で不死川心を包み込んだ。直ぐに翼を解くと不死川心は寝ていた


「一誠さんの翼ってある意味最強ですね。問答無用に寝かせるんですから」


「はは、まあな」


苦笑を浮かべる一誠。それに釣られて燕も苦笑いした。―――そして


「これにして、生き残りは1組となった。KOS勝者!天チーム!」


長かった戦いが、ようやく幕を閉じた。―――と思いきや


「最後に我から重大発表を言わしてもらう」


「・・・・・まさか」


「このタイミングで・・・・・?」


「我、九鬼揚羽はこの瞬間に天使である兵藤一誠と婚約を結ぶ!フハハハハハ!」


「「ちょっとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」


全世界に兵藤一誠と婚約すると発表した揚羽に一誠と燕は驚きの声音を揃えて発した。しかし、

それだけではなかった


「待ってください!揚羽さん!」


「どうしたのだ、百代」


「揚羽さんに一誠を渡すことはできません!」


「百代ちゃん?何を言って・・・・・」


「何故、と聞いてもよいか?」


「―――イッセーは私の物だからだ!」


「「・・・・・へ?」」


「最初に目を付けたのは私だ!だから揚羽さんと一誠の婚約は無効だ!」


「―――百代よ。それはお前も一誠に好意を抱いていると解釈しても良いのだな?」


「・・・・・一誠!」


「な、なんだ・・・・・?」


「んふっ!」


「―――っ!?」


「「なっ!?」」


「―――私はお前が好きだ!だからお前は私の物だ!絶対に誰であろうとも渡しはしないからな!」


一誠にキスした百代が顔を真っ赤にして所有物=好きと言った。


「フハハハ、百代。面白い冗談を言うのだな?」


「百代ちゃん、私も一誠さんが好きなんだよねぇ?」


燕と揚羽が百代に近づく。対する百代はその二人に接近した


「既に世界は我と一誠の婚約が結ばれたと知られている。よって一誠は九鬼の人間なのだ」


「あはは、揚羽さんも面白い事を言うな。格闘王のミスマの言葉を覚えていますか?『最強の男は最強の女が

相応しい』と、まさに私と一誠の事じゃないですか」


「一誠さんは渡さないよ?例え、武神でも九鬼財閥でも絶対にね」


バチィッ!


3人の間に火花が散った。


「(・・・・・これから先、波乱の人生に成りそうだ)」


今後の事を考えた一誠は諦観した表情を浮かべた。

-38-
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