小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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―――東山山頂、F軍参謀本部


「ま、まずいよ大和!黒の隊、白の隊、忠勝隊が全滅だ!それに向こうは勢いを乗って本陣に

南下してくるよ!」


「っ、圧殺部隊で何とか勢いを削ぐんだ!」


「だが、それだけでは無理だぞ!あっちには武神がいるんだ、ものの数秒で蹴散らされる!」


「―――なら、兵藤の助っ人を使う!」


「あの人達はとっくの昔にこの戦場からいなくなっているよ!それにあの猫達は

『主の命令しか従わない』って委員長から連絡がきた!」


「くそっ!結局あいつがこの大戦の中心になっているのかよ!?」


「どうする、こっちで動ける部隊は殆どいなくなったぞ」


「ワン子もクリスも京もキャップにガクトもゲンさんも皆、やられちゃった。残りは複数の部隊と

まゆっち、兵藤、松永さん。それとこっちに寝返ってくれた弓兵だけ」


「対してS軍は九鬼本隊。だが、実力がある奴等が構成されている部隊だな。俺達の軍は実力がある奴等は

今のところ三人しかいない」


「でも、あの人・・・・・兵藤は僕達の事なんてどうでも思っているんだよね。松永さんは

そうでもないけどさ」


「ちっ、あんな奴の力を頼るしかないのか?正直、あいつを頼るのが俺はゴメンだぜ」


「僕もそうかな?」


「・・・・・背に腹は代えられない。今の状況に勝つにはあいつが必要不可欠だ」


―――北西、西山


「・・・・・」


スッ


「「お手前、頂戴致します」」


現在、一誠達は不死川軍の本拠地でのんびりとしていた


「「・・・・・」」


燕、縄を解いてもらった不死川心は一誠が作った茶を優雅に飲む。


「うむ。高貴な兵藤が作った茶は格別じゃ」


「茶道にも心得があったんだね」


「色々と学んでいるからな。―――羊羹も食べるか?」


「おお、頂くのじゃ」


「頂きます!」


空間を歪ませて亜空間から四つの羊羹を乗せた皿を取り出した


「四つ?」


「ああ、辰。羊羹を食べるか?」


「たべる〜」


「そやつは兵藤の背中にベッタリとしておるのう?」


「一誠さんの背中が好きみたいなんだよね」


「まるで、猿の親子のようじゃ」


「美味しい〜」


「俺が作ったんだからな」


「あっ、やっぱり?」


「ほう、流石は『ファントム・イリュージョン』の料理長じゃ。この手の料理も作れるとは流石じゃ。

褒めてつかわすぞ」


ブーッ!ブーッ!


「何じゃ、連絡が来たのか?」


「みたいだな、大方、戦況が不味いから何とかしてくれってそんなところだろう」


今日の為に買った携帯が鳴りだした。一誠は携帯を取り出して連絡相手と話をし出した


「誰?」


『・・・・・今、何処にいる?』


「不死川軍のところで茶と和菓子を出してのんびりしている」


『おい!なんで大戦中にのんびり寛いでいるんだよ!しかも不死川軍のところで!』


「別に何処で何をしようと俺の勝手だ。・・・・・ん、羊羹が美味い」


『お前・・・・・』


「兵藤よ、さっさと要件を聞いてやるのじゃ。雅な時間が山猿の声で減ってしまうのは嫌じゃ」


「だ、そうだぜ?」


『っ・・・・・今の戦況は知っているか?』


「ああ、当然だ。英雄達は残党を集結させてそっちの本陣に向かっているようだな」


『・・・・・俺達の戦力じゃあとても姉さん達と戦っても負けるのが火を見るより明らかだ』


「それでなんだ?」


『・・・・・お前の力を貸して欲しい』


「不死川、人に頼む態度とは思えないな?」


「そうじゃのう、高貴な者に力を貸して欲しい時はそれ相応の態度と言葉をするのが当然じゃ」


「そうだな、俺は天使だぞ?もう少し態度を改めて言え」


「一誠さんが悪い笑みを浮かべているよ・・・・・」


『っ・・・・・!』


「言えないならこの大戦はS軍の勝利になるな。本陣に待機させているあいつらを退かせて俺は帰らせてもらう」


『・・・・・お願いします』


「ん?」


『お願いします・・・・・貴方の御力が必要です。どうか、私達に力をお貸しください』


「にょほほ。まあ、及第点じゃな」


「じゃあ、F軍全勢力を動かして英雄達本体に向けろ。俺達も動く」


一誠はそれだけ言うと携帯を亜空間の中に放り投げた


「もう行くのか?」


「ああ、また今度な」


「じゃあね」


「ぐぅ・・・・・、ぐぅ・・・・・」


一誠は燕と辰を抱えて不死川心から姿を消した


「・・・・・うむ。羊羹が美味しいのう」


―――中央戦線、川神百代


「・・・・・来たな」


「なに?」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


F軍本陣に向かっていた百代達の目の前に何かが落ちてきた轟音と共に煙が立ち昇った


「―――よう、百代」


「一誠・・・・・!」


「此処から先は一方通行だ。この先に進みたければ俺達を倒してみろ」


一誠の背後にF軍全勢力が集まっていた


「さあ、最終決戦といこうか」


一誠が腕を突き出して何もない空間に穴を広げた。


「こいつも仲間に入れてな」


「・・・・・っ!?」


「フハハハハ!九鬼揚羽、降臨!」


一誠が空けた穴から九鬼財閥の九鬼揚羽が出てきた


「あ、姉上!?」


「揚羽さん・・・・・!?」


「由紀江、こっちに来い」


「は、はい!」


「一誠・・・・・?」


「今日は百代の誕生日だろう?」


「あっ、ああ・・・・・」


「派手に盛大にお前の為に祝おう!だから―――辰」


「うん?」


「本気を出していいぞ」


「・・・・・」


「一誠さん?何を言って・・・・・」


「・・・・・ふぅぅぅぅ」


―――刹那、辰に変化が起きた


「え?」


「はぁぁぁぁ・・・・・」


「亜巳達三人の中で一番無害だと俺は思った。でも。実際は―――辰が一番危険なんだ」


「はぁあああああああああああああああああああああああああっ!」


「「「「「「「「「「―――っ!?」」」」」」」」」」


「亜巳から聞いたんだ。辰がキレると見境がつかなくなって暴れ出す。板垣兄弟姉妹の中で一番危険なのが

板垣辰子。―――彼女なんだ」


「なんだ・・・・・こいつは!?」


「この街にこんな化物がいただなんて・・・・・!?」


辰のその爆発的な戦闘力の飛躍にこの場にいる全員が恐怖、唖然とした。―――次の瞬間


「あああああああああああああああああああああああああああっ!」


「―――なに?」


突如、辰の全身が光輝き、眩い閃光が辺り一面に広がっていく。

その光景に一誠は「まさか・・・・・」と呟いた


「い、一誠さん・・・・・?」


「・・・・・至るのか?―――いや、そもそもこの世界に絶対に有る筈が・・・・・!」


「一誠さん・・・・・?」


「・・・・・燕、良く見ていろ。辰は今―――」


「・・・・・」


「禁手になった・・・・・」


閃光が収まり辰の姿が見えた。彼女の姿は青い龍を模した全身鎧を着込んでいた。背中にまで伸びた青い髪が

キラキラと輝き辰の緑の瞳が爛々と光を放っていた


「凄い・・・・・あれが禁手・・・・・」


「・・・・・『青龍の逆鱗』とあの鎧に名付けよう。―――辰」


「ん?」


「俺の言葉は聞こえるか?」


「んー、聞こえるよー」


「じゃあ、一緒に百代を倒そう」


「うん、分かったー」


何時もと変わらない会話のやりとりだった。一誠は心なしかホッとしていた。亜巳から聞いていた通りなら

間違いなく暴走を起こす筈だとそう思っていたからだ


「一誠と燕、揚羽さんにまゆっち、板垣辰子。四天王の内3人に強敵が2人も私の相手とは

―――私の誕生日にしては凄く豪華だ!」


子供のように瞳をキラキラと輝かせてはしゃぐ百代。5対1の勝負でも百代は構わないといった

表情を浮かべる


「四天王が3人?」


「揚羽さんとまゆまゆに一誠、お前だ」


「・・・・・ああ、そうかよ」


「フハハハ、一誠も四天王になっていたのか!我は嬉しいぞ!」


「四天王なんてポストに収まる訳が無いと思うんだけどな・・・・・」


「わわわ、私も何時の間にかもの凄い事に成っていたんですね」


『まゆっち!その名声を駆使して友達をGETするんだ!』


「松風、逆に友達に成ってもらえなくなる気がしますよ・・・・・」


「由紀江、話はそこまでだ」


一誠が大天使化に成りながら一歩前に出た


「この姿で百代と勝負するのは初めてだが―――いいな?」


「ああ、勿論だ!」


「じゃあ、最終決戦・・・・・開始だ!」


一誠の言葉と同時にF軍とS軍の戦いが再び始まった


「あの時の私だと思うなよ!一誠!」


「また敗北の味を味わわせてやる!」


「行くぞ!」


「覚悟してね!百代ちゃん!」


「行きます!」


「倒す!


その瞬間、6つの影が交錯した


「はぁぁぁぁ!」


「ほぼ同時に12個の剣閃が百代を襲う。


「見切った!」


真剣白刃取りで受け止める百代


「そんな、所見で12斬全てを!?」


「が、反撃はさせん!」


「はっ、揚羽さん。無粋な邪魔を!」


揚羽のフォローで由紀江を反撃できなかった


「はぁああっ!」


「せやぁあああああああああっ!」


「ははは!強い、強いな!お前等!」


揚羽のフォローを活かして燕と辰は百代に拳を突き出す。3つの影が超高速でぶつかる。それらは段々と

空中へ浮かんでいった


「せいやぁぁあー!」


「っ!?今の神速の斬撃は危なかったな!」


真横からの斬撃をかわす百代。


「ワクワクさせてくれるな、まゆまゆ!」


「九鬼家決戦奥義!古龍昇天破!」


「―――っ!以前より大分、腕を上げたようだな、揚羽さん!」


「鍛練自体は欠かしておらんからな!それにこの力は我だけではない!一誠の力でもある!」


「―――だが、もう覚えた!」


百代は鬼神の如き強さでそれらを瞬時に見切る


「せいっ!」


「とっ!危ないなぁ!が、捕まえた!」


「ああああああああああああっ!」


「っ!」


燕を捕まえた所に辰の超一撃必殺の拳が百代の腹部に直撃した。―――しかし


「!?」


「―――川神流、人間爆弾!」


ドッガアアアアアアアアアアアアアアンッ!


自ら肉体を大爆発させて零距離で辰と燕を巻き込んだ


「あぐっ!」


「っ〜〜〜!」


「ほう、あの技を食らってもまだ立ち上がれるのか」


「まあ・・・・・ね、一誠さんに鍛えられたからね。この夏休みの間は」


「そうか、一誠に・・・・・?」


燕の言葉に百代に疑問が生まれた。そういえば一誠がいない・・・・・と


「―――俺は此処だ」


「なっ!?」


ドゴンッ!


百代の背後に一誠がいた。後ろに振り返った百代の腹部に一誠の拳が突き刺さり、森の方まで吹っ飛ばされた


「二人共、大丈夫か?」


「う、うん。なんとか・・・・・」


「これ着ているから大丈夫だよー」


「百代があそこまで吹っ飛ばされたのは初めて見たぞ」


「イッセー先輩は本当にお強いです・・・・・」


「油断はするなよ。百代は直ぐこっちに―――」


「川神流、星殺し!」


「豪龍気砲!」


森の向こうから一誠達に向かってエネルギー砲が射出され、対して一誠は迎撃に龍と化となった

エネルギー砲を撃ち出して相殺する


「この技は・・・・・!」


「見覚えがあるようだな」


「二度も見た事ある。では、あれはお前の攻撃技だったのか!」


「そういうこと・・・・・だ!」


「はああああああああああ!」


強烈な回し蹴りが一誠に向けられ一誠も回し蹴りをして攻撃を防ぐ


「あっはっはっは!楽しいぞ、一誠!」


「俺だけじゃなくて揚羽達にも相手にしてやれ!」


その場から高く跳ぶと代わりに辰が猛攻を仕掛けてきた


「あああああああああっ!」


「まさしく逆鱗の如くの攻撃だ!だが、私の相手ではないぞ!」


辰の攻撃をかわし続けながら隙を見つけると鎧の腹部に拳をねじり込んだ


「おおおああああああああああああああっ!」


ガッ!


「なに・・・・・っ!?」


百代の両肩を掴んだ辰の両肩にキャノンが生まれた


「くらえええええええええええええ!」


光の粒子が砲口に集まりだし―――青いエネルギー砲が発射して百代を飲み込んだ。

そのまま遥か遠くにある山の方へ飛んで


チュッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


山が轟音を立てて消滅した


「おいおい、とんでもねぇ威力だな」


「や、山が消えちゃったよ!?」


「これがドラゴンの力でもあるのか・・・・・」


「モ、モモ先輩は大丈夫なんでしょうか!?」


「―――ああ、私は大丈夫だぞ」


由紀江の言葉に反応した存在がいた。声がした方向に顔を向けると


ボコッ!


「川神流、土竜遊泳!」


地面から百代が出てきた


「どっから出てきたんだよ・・・・・」


「間一髪だったぞ、瞬時で地面に潜っていなかったら死んでいた」


「―――もう一度!」


「もうその技は使わせん!」


百代が瞬時で辰に近づきキャノン砲を破壊した


「はぁぁ!九鬼雷神金剛拳!」


「禁じ手、富士砕きぃぃぃ!」


揚羽の拳をしのぐ百代の一撃。


「せいやーっ!」


刀の衝撃である程度、拳の威力を相殺させた。そうする事で揚羽と百代の拳は互角にぶつかる。


「まゆまゆ!良い感じで邪魔だ!吹っ飛べ!川神流、致死蛍!」


「嵐脚!」


一誠の鎌風が放たれた気弾を裂く。


「お前も邪魔だな、一誠!」


「そんな事をしているから当然だ!」


金色の翼を巨大化にして百代にもの凄い勢いで伸ばした


「そんな事も出来るのか!だが、遅い!」


翼をかわし翼の上に乗るとそのまま掛け走った


「―――掛かったな?」


「なに・・・・・?」


バチッ!


「雷光!」


ピッシャアアアアアアアアアアンッ!


「があああああああ!?」


翼から雷が発生して百代の全身を駆け巡った。更に複数の翼が百代を捕獲し電撃を与え続ける


「―――今の内だ!」


「うむ。では留めだ!」


「はい!」


「今度はこれでいくよー!」


揚羽、燕、辰が腰あたりに両手を下げて魔力を集め出した。そして―――。


「「「ドラゴン波っ!」」」


両手を前に突き出し魔力を解放すると龍の形に成って百代に向かった


「また・・・・・、また・・・・・、私は負けるのか・・・・・!」


「ああ、今度は同じ四天王と強敵の手によってな」


―――三つの魔力は百代に直撃して一誠を巻き込んで大爆発が発生した


「・・・・・あっ!一誠さん!?」


「い、いかん!つい全力で放ってしまった!」


「一誠くぅぅぅぅぅぅぅん!」


「わわわ、イッセー先輩とモモ先輩がぁ!」


『いやいや、もうこれって身体が木端微塵レベルの爆発じゃねえか!?』


四人は煙が晴れるのを待った。煙が晴れる頃には巨大なクレーターが生じていたが二人の姿がいなかった


「・・・・・い、一誠さん?」


「まさか・・・・・我等の攻撃で・・・・・」


「―――いや、死ぬわけない」


「「っ!?」」


唖然とした二人に何時の間にか背後にいた一誠が佇んでいた


「というか酷いぞ、お前等。いくら俺が言ったからって俺を巻き込む程の攻撃を放つなんて・・・・・」


翼に捕まっている百代を尻目に見て呆れた声音を発した


「ご、ごめんなさい・・・・・」


「すまなかった・・・・・」


「ごめんなさぁい・・・・・」


「・・・・・まあいいさ、こうして百代を皆で倒したから―――」


ヒュー・・・・・ドオンッ!


「・・・・・ん?」


「今の花火って・・・・・」


「まさかですね・・・・・」


「ん〜?」


「うむ、だろうな」


「川神大戦、終了ぉおおおおおおおおおおおおおおお!勝者、F軍!」


「英雄が負けたみたいだぜ?」


「うむ。負けた弟は帰ったら説教よな」


「にしても、冬馬達もいた筈なのにどうして負けたんだ?」


「もしかしたらアイルーとメラルーじゃないかな?」


「・・・・・そう言えば、総大将を守るように指示したんだったな」


「可愛いアイルー達に手も出せずにいた間に揚羽さんの弟君が誰かにやられたかもね」


「・・・・・有り得そうだなぁ」


冬馬達を思い浮かべると苦笑し出す


「揚羽、今日はありがとうな」


「なに、我も楽しかった」


「この後は帰るのか?」


「うむ。これでも忙しい身だからな」


「残念です、共に戦ったのに直ぐに別れる事に成るなんて」


「気にするな、いずれまた会う時が来る」


「俺の場合は拉致してでも会わされそうなんだけどな」


「フハハハ、さらばだ!」


揚羽は上空に現れたヘリに跳んで乗ると丹沢から去って行った


「―――絶対に俺は九鬼家に拉致られるぞ」


「「あははは・・・・・」」


「ぐぅ・・・・・ぐぅ・・・・・」

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