小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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―――2−F


「嘘、ワン子が負けた・・・・・?しかも同じ武器を使った人に・・・・・」


「・・・・・」


「モロ、ワン子とガクトの傍にいてやってくれ」


「大和は?」


「俺はこのまま試合を見る」


「・・・・・うん、分かったよ」


「あの女の人、兵藤と同じで不気味だわ・・・・・」


「ホント、気味が悪い系。近づきたくない感じだし」


「魂を傷つけるってどうやったらそんな事ができるのよ?バッカじゃないの?」


「ギャハハハ!本当だよなぁー、できるもんならやってみろって感じ系」


「それとさぁ、兵藤は人形だとするとあいつは幽霊みたいだわ。兵藤の家族は皆、

『化物』しかいないのかしら?」


「兵藤は人形、兵藤悠璃って奴は幽霊系?うわー、お似合いだわー」


「本当にねー、人形と幽霊なんてお似合いよ!」


「チカちゃん!人の悪口は言ってはいけませんよ!」


「だって、マヨ―――」


ズバンッ!


「「・・・・・えっ?」」


何か斬れたような音が聞こえた。身体を見ても斬られたような傷も無かった。じゃあ、一体なにが斬られた?


「―――『人外』、今度はお前達のその魂を切り裂いてあげるよ」


二人の目の前に『兵藤悠璃』が鎌を振った後の仕草のまま佇んでいた。さらに二人の背後にある学校の校舎が

―――半分だけ斬られて吹っ飛んでいた。一拍して


「「いぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああっ!」」


二人が突然に地面に倒れて悶え始めた


「よくもいっくんの悪口を言ってくれたね?『人形』?『化物』?人外の癖に何を言っているの?」


ズバンッ!


「「ぎゃあああああああああああああああああああっ!痛い!痛い!痛いぃぃぃぃいいいいいいいいい!」」


「―――当り前だよ。直接お前達の魂を斬っているんだからね。ほら、もっと斬ってあげるよ。

『できるもんならやってみろ』って言っていたしね」


ザシュッ!ザンッ!ドスッ!ババババッ!


「「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」」


「あはははははははっ!死んじゃえ!死んじゃえ!いっくんを馬鹿にする奴は、いっくんを悪く言う奴は皆、

死んじゃえ!きゃはははははっ!あはははははっ!」


悠璃の暴走が始まった。2−Fのクラスメートは悠璃が現れて恐怖を抱き、二人を処刑している様を見て

「悪魔」「化物」「死神」と畏怖を抱く、そんな2−Fに悠璃はギンッ!と睨みつけた


「「「「「「「「「「ヒィッ!?」」」」」」」」」」


「ふふ、そんな事を言われたのは久しぶり。でも、そんな私をいっくんは受け入れて愛してくれるの。

―――だから、私はいっくんを守るの!いっくんの言う事は絶対に聞くの!いっくんの為なら何だってする!

いっくんの悪口を言う奴は魂を細切れにして殺すの!こいつらみたいに!」


ズバババンッ!


「「ぐぎゃあああああああああああああああああああああああああっ!」」


「あはははは!」


「そこまでにするのじゃ!」


「うん?」


騒ぎを駆けつけてきた鉄心とルー。


「それ以上、その生徒達に傷を付けてみるのじゃ!ワシが貴様を徹底的に叩きのめしてやるぞ!」


「・・・・・人外、お前の魂は美味しそうだね。食べちゃっていい?」


「・・・・・人の魂を喰らう者がいるとはのう。恐ろしい存在じゃ」


「うん、私は生まれつき人外の魂を食べて育って来たの。人外のお前の魂を食べたら丁度

―――1万人目になるね」


「「「「「「「「「「い、1万!?」」」」」」」」」」


「・・・・・何という人間じゃ。貴様から発するオーラはこの世とは思えないほどの

常闇よりさらに深い闇を感じる」


「そんな私をいっくんは愛してくれるの。私は人類の頂点に立つ兵藤家に生まれた

長男の兵藤一誠を支える者、兵藤家の敵は全て排除する。人外を全て―――」


鉄心が反応する前に悠璃は鉄心の背後に回り


「殺すの」


大鎌を振り下ろした!


ガッ!


「―――えっ?」


「悠璃、もうそこまでだ」


悠璃の大鎌を持つ腕を掴み、鉄心に振り下ろした大鎌を止めた。刃と鉄心の距離は1cmだった


「でも、でもいっくんの悪口を言った奴が」


「ああ、聞こえていたさ。悠璃はそんな奴を許せなくて罰を与えてくれたんだな?」


「うん、そうだよ。だから―――」


「だけど、もう十分だ。ありがとう」


一誠は悠璃の頭を撫でて褒める


「・・・・・食べちゃダメ?」


「ダメだ」


「・・・・・解ったよ」


残念そうに呟いた。一誠は鉄心に話しかけた


「命拾いしたな」


「兵藤・・・・・お主は」


「二重の意味で命拾いしたぞ」


「・・・・・どう言う事じゃ」


「俺の家族を見てみろよ。―――かなり怒っているぞ」


「「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」」


無言で2−Fと鉄心を睨みつけている『幽幻龍騎士団』どれもこれもその視線はそれだけで人を殺せると

思わせるほどのものだった


「あいつらの声はこっちまで筒抜けだったぞ。あの学校を切り裂いたのも俺の家族がやったものだ」


「なんと・・・・・」


「それに、悠璃がやらなかったら他の奴等があの二人を制裁していた。悠璃はあいつらの怒りだと思え。

俺とあいつらは人を殺すことを一切躊躇わない、情けも掛けない、許しもしない。俺が止めない限りだ」


「・・・・・」


「いっくん、人外と話さないで帰ろうよ」


「分かった、分かった、行こう」


「うん!」


一誠と悠璃は手を繋いでガイア達の方へ戻っていった


「・・・・・ふう、死ぬところじゃったわい」


「総代・・・・・」


「うむ。全然ダメじゃった。毘沙門天を出す暇の無かったわい」


「お恥ずかしながら、ワタシも気づきもしませんでしタ」


「兵藤が止めに入らなかったら今頃あの世逝き確定じゃったよ」


「九死に一生を得タ、という事ですネ?」


「その通りじゃ」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「次は私が行きましょう。『幽玄龍騎士団』セルベリア・ブレス。元大佐だ」


「『幽玄龍騎士団』烈火の将、剣の騎士シグナム。参る」


「元軍人・・・・・では、私が出ましょう。2−Sマルギッテ・エーベルバッハ」


「マルさんも出るなら自分も出るぞ!2−Fクリスティアーネ・フリードリヒ!」


「では、第三試合・・・・・開始じゃ!」


「いざ、尋常に勝負!」


「お手柔らかにお願いします」


「別世界の軍人の力、見せてみなさい!」


「―――私はさらに別世界から来た人間であり軍人、―――ヴァルキュリア人の末裔だ」


「ヴァルキュリア・・・・・戦乙女の末裔と言う訳ですか」


「ああ、そうだ」


セルベリアはランスを構える


「そのランスで私を倒そうと言うのですか?」


「ただのランスではない。イッセーさま自ら造り、私に与えてくれたランスだ」


「・・・・・それでもその大きな槍で私を倒すことは不可能!私のトンファーでのガードは

古の城塞に匹敵する!」


マルギッテはセルベリアに猛進した


「Hasen!Jagd!」


「『野ウサギ』・・・・・なら、貴女は井の中の蛙」


「はぁっ!」


「・・・・・」


ガキンッ!


難なく盾でトンファーの攻撃を防ぐ。身の丈を超える槍を横に思いきり振るがマルギッテは後方に飛んで

回避し再びセルベリアにトンファーを自らの手のように自在に操り、突貫する。セルベリア自身も

マルギッテに向かって駈け走る


「シッ!」


「・・・・・」


ガッ!―――バキッ!


「なっ―――!?」


「当然だろう。そのトンファーはただの木製だ。私の武器はその木製の耐久を凌駕する」


マルギッテのトンファーがセルベリアの盾に直撃した瞬間、破砕の音と共に壊れてしまった


「古の城塞・・・・・脆い城塞だな」


ドッ!


「うぐっ!」


思いきり盾でマルギッテを殴りつけた。その威力は以上でマルギッテの体を吹っ飛ばすものだった


「―――食らうがいい」


セルベリアの瞳が赤く煌めき、全身から陽炎のように青い炎が出てきた。ランスをマルギッテに狙いを定めた


「あっ、不味い!」


『幽幻龍騎士団』の一人がセルベリアの攻撃を察知し観客達を危険から守るように瞬時で魔方陣の結界を

覆い始めた


「忠誠の炎を!」


「―――っ!?」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


槍から奔流と化となった青い炎が放たれてマルギッテを飲み込んだ。炎の勢いは止まらず結界の方ま

で直撃した


「セルベリアさん!生身の人間にそれはダメですよ!」


「・・・・・すまない。だが、威力は最小限にしてある。全身火傷ぐらいで済むだろう」


「いや、それでも重症ですから・・・・・」


「マルギッテ戦闘不能!勝者、セルベリア・ブレス!」


「ただ長官の命令に従い、付き添うだけが軍人ではない。私は知った。人を愛し、愛した者の為に

戦えばさらに強く成ると」


・・・・・一方、


「はあああああああああああああっ!」


ヒュンヒュンヒュンヒュンッ!


「・・・・・」


クリスのレイピアの猛攻の突きがシグナムに襲う。対してシグナムは―――目を閉じたままレイピアの突きを

かわし続けていた


「くっ・・・・・!」


「・・・・・終わりか?」


「おのれ!なぜ攻撃をしない!」


「実力の差がはっきりしているからだ、私自身が戦わずとも既に勝敗が決まっている」


「勝負を愚弄するか!」


「愚弄などしてはいない。―――事実だからだ」


「それが愚弄だと言っているんだ!」


鬼のレイピア連突がはじまった。それでも目を閉じたままシグナムは回避し続けた


「シグナム。そろそろ遊びは終わりにしないか?」


「遊び―――!?」


「・・・・・遊んでいる訳ではないが仕方ない」


腰に帯剣していた刀を抜き放った


「直ぐに終わらせよう」


ギュアッ!


シグナムが刀を横に振り払った―――刹那。刀身が鞭のように伸びた。いや、『刃が備えた鞭』になった


「なっ!なんだ、その剣は!」


「知る必要が無い」


クリスの周りに刃が備えた鞭が囲んだ


「終わりだ」


クリスを囲んだ鞭が一気に迫り、刃がクリスの体を切り刻む


ザッシュッ!


「―――っ!?」



「我が主ならこの攻撃などいともたやすく避ける他、迎撃するのだがな」


「イッセーさまと比べるな。可哀想だ」


「むっ、それもそうだな」


「勝者!シグナム!クリスも直ぐに治療するのじゃ!」


「クリスゥゥゥゥゥゥゥ!」


「・・・・・父親か」


「私たちには関係ない事だ」


「戻ろう。主の許へ」


兵藤悠璃に抱きつかれている光景を二人は視界に入れながら進む。


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