小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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十一月二十一日(土)



―――天使達の聖域



「「「「「「「「「お邪魔します」」」」」」」」」


「やぁ、いらっしゃい」


辰に出迎えられた川神・F・ドラゴンズのメンバーは一誠が住んでいた家に来た。

目的はレーティングゲームに向けて特訓するため。


「・・・・・此処が天使達の聖域と同時に兵藤の家か」


「はい、そうですよ。ウメ先生」


正式に燕達のメンバーとなった小島梅子が巨大な桜の木や眼前にある巨大な家を見渡しながら呟く


「なんて壮大な桜の木だ。もう春の季節じゃないのにこんなに咲き誇っているなんて・・・・・」


「ふふっ、何時でも花見ができますよ?」


「ああ、だがそれは、あいつを取り戻すまではしないさ」


「―――さて、レーティングゲームまでまだ一ヶ月も期間がある。それまで我等は

今より鍛えなければならぬ」


「そこで、一誠さんの家にあるトレーニングルームを利用するんですね」


「うむ。一誠の話ではあのルームに入ると時間が違うらしいからな」


「えっと、あの部屋で一日過ごすと外の時間が1分という都合がいい設定に成っているんだよね」


「あいつは良いものを作ってくれたもんだ。十日間過ごしても10分ということになるからな」


「一誠さんの家族は私達の行動を把握していると思っていいでしょう」


「悪あがきだと思っているだろうが、それでも諦められないものがあるんだよなぁー」


「うん、その通り!」


「では、そろそろ行くで候。両親には泊まると言って来たから明日までこの家に泊まれるで候」


「まあ、トレーニングルームで泊まる事に成るんだろうな」


百代達は家の中にあるトレーニングルームに赴く為に歩を進めた。全ては一誠を

この世界に留まらせる為に。―――次の瞬間


『ちょっと待ってええええええええええええええええええええええっ!』


「「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」」


上空から声が響いた。全員がその声に反応して首を上に上げた。同時に目を大きく見開いた。

―――三匹のドラゴンがこっちに接近しているからだ


「っ!散れ!」


揚羽の言葉に我に返りその場から慌てて離れた直後


ドッスウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンッ!


轟音を立てて天使達の聖域の大地に直撃した。煙が立ち昇る最中、ムクリと影が動き出して

煙幕と化となった土煙を吹っ飛ばした


『いたたた・・・・・、あっ、大丈夫だった?ごめんね?』


「サ、サマエル!?えっ、一誠さんの中に居る筈のなのに何で・・・・・?」


『うっ、ちょ、ちょっと訳があって僕達は一誠から出ているんだよ・・・・・』


『そう言う事です』


『サマエル、飛び出し過ぎだ』


サマエルに続いて二匹のドラゴンもゆっくりと大地に降りた


「訳・・・・・ですか?」


『すみませんが、聞かないでください。我等の過ちなので・・・・・』


「はぁ・・・・・」


「それで、どうして此処に?」


『単刀直入に言います。我等もレーティングゲームに参加を望んでいます』


『我等の願いの為に参加する必要があるのだ』


『えっと、理由は恥ずかしいから聞かないでね?でも、僕達の力を貸すから僕達も仲間に入れて!お願い!』


ドラゴン達の願いに燕達は唖然とする。あの最強と謳われている生物が自分達に力を

貸す代わりにゲームを参加したいと願われた。


「・・・・・燕先輩の言った通りでしたね。心強いものが来ましたよ」


「うん、自分も驚いているよん」


「でも、こいつらをメンバーに加えたら優勝は間違いないだろう」


「わーい!一誠を迎えに行けるー!」


『1つだけ訂正させて下さい。我等自身はゲームに参加ができません』


「えっ!?どうし―――あっ、なるほどね」


燕が驚愕の声音を発したが直ぐに理解した。『ドラゴン』、生物の中で最強と称されている

空想の生物。そんな生物がゲームに参加したらゲームではなくなってしまうからだ


『我等はドラゴンとしてではなく「神滅具」として参加させてもらいたいのです』


「『神滅具』・・・・・、たしか神を滅ぼす事が可能性を秘めた力を持つ特殊な神器だと

一誠さんが言っていたな」


『はい、その通りです。唯一、主の家族と戦い渡り合えるのは「神器」か「神滅具」、

特殊な能力を持った人間ではないと絶対に無理です』


『我等の力を貸せば確実に渡り合える。それどころか倒せる可能性が更に上がる』


『キミたち人間と僕達の目的は利害一致するはずだよ!目的は言えないけど・・・・・』


「―――サマエル、貴方は確か最強の龍殺しだと言っていましたね?」


『うん、そうだよ?』


「それでは、一誠さんの家族にいるドラゴンを倒すことが可能という訳ですか?」


『蛇や龍の属性を持つ存在にとっては究極の天敵。唯一、サマエルの血―――毒が効かないのは

我とメリアだけ』


「・・・・・なら、不動と最強のドラゴンを倒すことができるのですね?」


『僕の力であの二人と戦った事はないけど倒すことはできるよ。

仮にできなくても力を奪って弱体化にする事も出来るよ』


「・・・・・勝機が見えました」


サマエルの言葉に冬馬は勝利を確信した。まさに天の賜。


「皆さん、私は彼等を迎い入れたいのですがいいでしょうか?」


「若、良いも何もこいつらを仲間にしないと話に成らないって」


「一誠と一誠の家族と渡り合える力が向こうから来たんだ。逃す訳が無いだろう」


「うむ。その通りなのだがお前達は誰の中に入り力を貸すのだ?」


『言っておくけど、僕はドラゴンの属性を持つ人間には力を貸すことはできないよ?

貸した瞬間に死んじゃうからね』


「そうだったね、じゃあ百代ちゃんとまゆっち、イヨちゃんしか力を貸すことができないのかぁー」


『そう言う事だね』


「じゃあ―――私に力を貸してくれないか?」


百代がサマエルの前に出て主張した。だが、サマエルは首を傾げた


『うーん、いいけど・・・・・』


「なんだ?」


『力に溺れず平常心を保てる?ドラゴンは力の塊のような存在だからね。一誠は力より想いの力の方が

勝っているから保つ事ができている。人間は欲に弱い生き物だから―――』


「私を舐めるなよ?私は一誠の為に強くなろうとしているんだからな」


『・・・・・』


サマエルは百代の瞳を据える。その瞳には揺ぎ無い意志が籠もっていた


『うん、分かった。人間を信じてみるよ』


『サマエルが彼女なら私は―――貴女に力を貸しましょう』


「・・・・・えっ?」


メリアは大和田伊予を視線に向けた。


『この中で貴女は戦闘力が無いのは明白です』


「・・・・・はい、そうです」


『ですが、貴女は主の為に強くなろうとしています。そんな貴女には私の力を貸しましょう』


「私なんかでいいんですか?私の他に貴女の力を貸せば更に力が上がると思うんですけど」


『―――「信」』


「えっ?」


『貴女は自分が弱くても何かできると信じている。その信じる気持が伝わってきます。

それが重要です。貴女には「信」の言葉を授けます。その言葉がお似合いですから』


メリアの体が金色の光の奔流と化となって伊予に向かった。光を浴び身体の底から

力が湧きでるような感覚を覚える。


『一時の間ですが主として貴女に力を貸します』


彼女の前に金色の錫杖が現れて言葉を発した。その錫杖を手にして彼女は力強く頷いた


「はい!よろしくお願いします!」


『では、我はそこの×印の人間に力を貸そう』


「我か?」


『我の力とサマエルの力と合わせれば主を倒すことが可能になる』


『ゾラードは全ての力を無効にする能力があるんだ。だから神器と神滅具の能力を無効、

無力にすることもできるよ』


「なるほど、それは凄い力だな」


『我の力を使いこなし主達を倒してみろ』


『僕達も協力するから頑張ってね!』


二匹のドラゴンも光の奔流と化となって百代と揚羽に向かった。伊予と同様に

身体の底から力が溢れるような感覚を覚える


「・・・・・これがドラゴンの力・・・・・!」


「凄まじい・・・・・力が溢れてくるぞ・・・・・!」


二人は自分の手を見て笑みを浮かべた。不意に二人の手の甲に宝玉が浮かび上がって光輝いた


『さっきも言ったように力に溺れないでね』


『自我を失うからな』


「ああ・・・・・解っている」


「心に刻む」


『後、ベルゼブブと戦った人間』


「わ、私ですか?」


『うん、あいつがキミに力を貸してくれるようだから』


―――ドスッ!


上空から宇宙にいると思わせる程の常闇の中に星の輝きをする宝玉が柄から剣先まで埋め込まれてあり、

刃の部分は白銀を輝かせ至る所に不思議な文様が浮かんでいる金色の大剣が降って由紀江の前に刺さった


『・・・・・』


「この大剣は・・・・・」


『久しいな、兵藤一誠の腕を斬りおとして以来だ』


「は、はい。お久しぶりです・・・・・」


『・・・・・今回だけお前に力を貸そう。―――掴め』


「・・・・・」


真剣な表情になって大剣の柄を握った―――刹那、大剣が一瞬の輝きを放った。


『お前が扱い慣れている刀になろう』


大剣が少しずつ細く成っていき刀になっていく


『封龍刀「神滅龍一門」。ドラゴンを封印する力を持っている。ドラゴンの属性を持っている。

「不動」と「最強」のドラゴンと戦う時に成ったらドラゴンの身体に刺して「封龍」と呪文を言え、

封印する事ができる。そうすれば兵藤一誠はドラゴンの鎧を纏う事ができない』


「・・・・・解りました」


『気をつけろよ。戦い初めた瞬間には地面に倒れているかもしれんからな』


「―――大丈夫です。力を貸してくれる皆さんの無駄にはしません」


『・・・・・』


「そうだ、あの一件以来。私は修行をし続けた」


「今度は我等が勝つ番である」


「絶対に負けないよ!」


「一誠さんにまだ恩を返していないで候。それなのに元いた世界に帰るなんて困るで候!」


由紀江の言葉に百代達が次々と言葉を発し続けた。


「イッセーとずっと一緒にいるんだ!」


「そう約束をしているんでね」


「はい、ですので守らなければなりません」


「頑張って勝ちます!」


そして、決意の意を瞳に乗せて言葉を発した。


「うんうん、青春だな」


「ああ、そうだなぁー」


「「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」」


梅子の言葉に男の声が帰ってきた。百代達はその見知らぬ声に反応して声の主に振り返った。


「よっ!」


手を上げてにこやかに笑う黒髪の男性。その男性の突然の登場に百代達は面食らった。

何故なら、此処にいる全員が一度だけであった事がある男性だったから


「・・・・・貴方は一誠さんといた人ですね?」


「ああ、そうだ」


「・・・・・何時の間に」


「さっき来たばかりだ」


「全然気が付きませんでした」


「そりゃ修行不足だな。って、懐かしいなこのやりとりは」


しみじみと懐かしそうに頷く男性に怪訝な顔を浮かべる百代達。


「ガイアの言った通りに行動したようだな。お前等」


「・・・・・誰の事を言っているんですか?それにどうして貴方が此処に来たのです」


「前者の質問はゾラード達だ。理由は聞いていないのか?お前達に力を貸す理由を」


『言わないでぇー!お願いだからぁー!言わないでぇー!』


「―――くっくっく、そうか、なるほどな?まあ、敢えて言わない事にしよう。で、

後者の質問はお前達の修行をみる為だ」


「私達の修行だと?」


「ああ、これでも俺は先生をやっていたんだぜ?」


「・・・・・そうは見えませんね」


「人を見掛けだけで判断するなよ?それが命取りとなる場合もあるからな」


「貴方が此処に来て私達の修行をみてくれるという事は一誠さんの指示で?」


「いんや、俺の独断だ。俺はお前達の修行をみると同時に神器を見に来たんだ。そこの青髪の神器を」


「ん〜?」


「『ムゲンの駒』はただのドラゴンに転生するだけの駒に過ぎない。なのに、禁手なんて有り得ない現象が

生まれた。同時にこの世界では『神のシステム』なんて存在しないのに禁手になりやがった。実に興味深い」


男性は子供のようにキラキラと瞳を輝かせて辰子に視線を向けた


「えっと、一誠さんの家族さん?」


「ああ、名前を教えていなかったな。改めて名前を言おう。俺はアザゼル、元は堕天使の総督だった男だ」


バサッ!と男性の背中から漆黒の6対12枚の翼を出した。


「だ、堕天使・・・・・!?」


「おう、堕天使だ。この世界にも悪魔と魔王、神と天使、堕天使の関する書物はあるだろう?

それを調べて知ればいいさ。ハハハッ!」


「「「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」」」


「ん?イメージしていた堕天使とは違うって顔をしているな?」


「ええ、まあ・・・・・」


「俺達は人間と同じで血も流れていれば心もあって感情を出せる。本になんて書いてあるか

知らないが当っているものがあれば当たっていないものもある。全部が本当じゃないってことさ」


短く吐いて堕天使の男性、アザゼルは百代達を見渡す


「武道の世界。中々面白そうな世界じゃないか。俺達の世界と全く違うな」


「一誠さんもそう言っていました」


「ああ、だろうな。さて、あいつらは強いぞぉ?お前等が何処まで強く成ってあいつ等と

何処まで渡り合えるか楽しみだ」


「でも、良いんですか?敵である私達の修行を見てもらうなんて」


「大丈夫だ、書置きして来たから気にしないだろう」


「・・・・・はぁ」


「それじゃあ、レーティングゲームまで俺がみっちり扱いてやるからな!」



―――『幽幻龍騎士団』



『ちょっと、旅をしてくる。アザゼル』


「あ、あの男は・・・・・・!」


「大方、辰の所に行ったんだろうな。「青龍の逆鱗」を調べにさ」


「ついでにレーティングゲームの為に神器の扱い方と修行をつけに行ったのだろう」


「・・・・・誰もアザゼルを止めなかったのか?というか、見なかったのか?」


一誠の問いに誰も答えなかった。


「まっ、レーティングゲームが始まる頃にはひょっこりと顔を出すだろうさ」


「うんうん!アザゼルちゃんはそんな感じで来るよ!」


「にしてもガイア、いくら俺でもゾラード達と戦う事に成ったら苦戦するぞ。

特にサマエルの龍殺し、ゾラードの無効化に滅だ。ブラフマーだってお前等を封印する力もある」


「なに、ハンデを与えただけだ。我等が負ける訳が無い」


「我、負けない」


「・・・・・まあ、運命は神によって決められるか」


「ふふ、じゃあイッセーの勝利に決めましょう」


「メイビス、貴女じゃないでしょう決めるのは」


「もう、冗談じゃないですか」


「・・・・・さてと、俺も修行をしようかな」


「うむ。お前は大分、復調しているぞ」


「大分って事はまだまだ何だろう?一ヶ月後までには完全に復活しないといけない」


「その意気だ。流石は我等の一誠だ」


「もう、俺は一人じゃないからな。―――皆がいる。ベルゼブブ、剣の稽古をしてくれ」


「喜んでしよう」


「・・・・・何で抱きつく?」


「ふふ、やはり一誠の温もりを十分に感じてからにしよう」


「あー!ズルイ!私も抱きつく!」


「我も・・・・・」


「貴様等!我の一誠に抱きつくではない!」


「いいじゃない!」


―――そこに


「おーい、イッセー?一緒に何か・・・・・って、あっ!?ガイア達がイッセーに抱きついているよー!」


「「「「「なにっ!?」」」」」


レヴィの言葉に色んな場所から敏感に反応した一誠の家族達(主に女性)


「「「「「イッセーを渡せぇ!」」」」」


「むっ!そうはさせん!」


ガシッ!


「・・・・・えっ?」


「―――いっくんは渡さない」


「そう言う事だ」


「シヴァ?悠璃?なんか・・・・・仲良くなった?」


「「同士だから」」


「・・・・・納得した」


何時の間にか一誠はガイア達から引き離されていた。その原因は二人の少女の手によって・・・・・。


「貴様等、一誠を渡してもらおうか?」


「「―――逃げる」」


ドヒュンッ!


「―――追えええええええええええええええええええええええっ!」


「「「「「「「「「「待てぇぇぇえええええええええええええええええええええっ!」」」」」」」」」」


宇宙船の中で一誠争奪戦が始まった。あの時のように楽しく賑やかに・・・・・・。そして、その後。

時は流れ一ヶ月が経ってレーティングゲームが始まろうとしている。一誠を賭けた戦いが・・・・・。

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