小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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四月二十八日(火)


今日も一日授業をサボって屋上でのんびりとしようと給水塔の上で寝転がっていた。ところが、

昼休みになると屋上に冬馬と着物を着込んだ少女、さらに俺のクラスにいる数人の男女が何やら

話をしていた。・・・・・あの二人が決闘か、どうでもいいな


「一誠さん、そこにいるのは分かっていますよ」


「・・・・・」


何で俺を呼ぶんだが・・・・・、身体を起こして給水塔から冬馬達を見下ろす


「あっ、あんなところにいたのね?」


「あそこがサボリスポットということか・・・・・」


「・・・・・で、俺を呼んだ理由は?」


「私と直江さんは決闘をします。ですから、一誠さんも見物してください」


「・・・・・今回の決闘で勝つのは冬馬だから分かり切った決闘を見ても

つまらないんだけどなぁ・・・・・」


「ちょっと!まだ決闘もしていないのにどうしてそんなことをいうの!?」


「おやおや、一誠さんが味方に成ってくれるとは嬉しい限りです」


「・・・・・何でそう思うんだ?」


「勘だ。それ以外何もない」


「あんた!同じクラスなんだから応援しなさいよ!」


「同じクラスだからと言って味方なわけ無いだろうが。友達でもなければ知人でもない。ただの赤の他人だ」


「あんた、そんなんだから友達が一人もできないんじゃないの!?」


「おや、それは誤解ですよ。私は一誠さんと幼い頃からの付き合いをしていて彼とは友達です」


「えっ・・・・・?」


「一方的な友達だけどな」


「ふふ、つれない事をいうそんな一誠さんは素敵ですよ」


「・・・・・はあ、そろそろ教室に戻ったらどうだ。授業が始まるぞ」


「分かりました。直江さん、決闘は放課後・・・・・ということでいいですね?」


「勿論だ、『正々堂々』と悔いのない闘いにしよう」


直江という男子生徒は他のクラスメート達を引き連れて屋上からいなくなった




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――放課後 屋上


冬馬と直江の決闘が屋上で始まろうとしていた。F組とS組の野次馬がゾロゾロと集まっている。冬馬の

後ろは女で固められている。対して直江は男で固められている


「こりゃまた・・・・・そっち女が多いなぁ」


「そちらは男子から人気者のようで」


「お前が負けるの見たいからだろう」


「賑やかな勝負に成りそうですね」


冬馬がワッペンをポンと地面に置く


「さぁ、決闘です」


直江もその上に自分のワッペンを置いた


「受けたぜ」


この瞬間、決闘の成立となった。直江が率いる男子達から嫉妬むき出しの応援、冬馬が率いる女子達から

花のある応援


「なんか早くも負けた気分だぜ」


「ほらほら、ナオっち頑張れー!」


「おっと、こっちにも花のある声援が・・・・・」


「トーマ君も頑張れー!」


「正直な人ね・・・・・」


・・・・・女なんてそんなもんだろう。二人の決闘の内容はグラウンドで走る陸上部の中で誰が一着に成るか

というギャンブルになった。直江はロンゲの男子、冬馬はイガグリ頭の男子を選ぶ。そして、冬馬達が選んだ

男子達が走り出す


「おっ、走り始めたぜ」


「わーっ、ロンゲ、今のところ勝ってるじゃん」


「やった!今日はついているぜ。やっぱりロンゲはやればできる子だったな。―――葵冬馬、俺の勝ちだ」


直江が勝利したと不敵の笑みを浮かべる。―――が、


「―――それは、まだ分かりませんよ」


「なん・・・・・だと?」


「おい、ロンゲの奴が急に速度が落ちたぞ」


「ちょっ・・・・・、イガクリ頭に抜かれちゃったよ!」


「っ!?」


こいつらの言う通り、イガクリ頭の男子が先にゴールに辿り着き一着となった。つまり―――


「俺が負けた・・・・・」


直江の負けとなった


「危ない危ない。ヒヤっとしましたが一誠さんの言う通り私の勝ちですね?」


冬馬は直江に顔を近づけて耳元で何かを囁いた。そして、顔を離して口を開いた


「面白い勝負でした」


「今回は見事にやられたよ」


スッ、と手を上げた直江、するとグラウンドで柔軟している二人組や、走り高跳びを続けていた男、

それをみてテニス部の男も、直江の合図に気づくとガッカリな顔をした。こいつ、

他にも仕込んでいたということか。


「ほう・・・・・短時間で陸上部以外にも仕込んでいたのですか。・・・・・ふふふ」


「何だよ」


「直江さん。私とあなたは近しい考えを持っている


「・・・・・そうだね、葵冬馬。・・・・・ははは、何時かリベンジさせてもらうぜ」


「楽しみです」


二人は笑みを浮かべるが・・・・・直江、周りを見てみろ。不穏な空気に成っているぞ


「・・・・・おいおいおい」


「あれ、何この女の子に言い過ぎて泣かせてしまった時のような場の空気は」


直江の戦いに見学に来ていたF組の奴等の視線が直江に集中した


「ゲームなら全員の印象値マイナス1だぜ?勝ったら一枚絵出たかもしれないのにな」


「言っている意味が分からん」


「結局負けとか。超カッコ悪いんですけど?」


「そんな目は止めろ。優しさを忘れないでくれ!例えその気持ちが何百回裏切られようとも・・・・・」


「ガッカリだぜ、軍師さんよ。俺は信じてたのに」


「負けた瞬間にコレだからこのクラスは怖いよね」


F組の奴等は負けた直江に非難の言葉を浴びせる。そんなF組と直江に向かって冷笑を浮かべる


「言っただろう?冬馬が勝つって。それと、直江。裏から手を回して勝負して負けるなんて馬鹿だろう。

お前にとって決闘なんてただの遊びじゃないのか?運で勝負するみたいな風に言っていたが、お前は裏から

手を回して勝負に挑んだ。―――それで負けちゃあ話しにならないなぁ?軍師さん?」


「・・・・・っ」


おーおー、敵意が満ちた瞳で俺を睨んでくるな。冬馬は苦笑の笑みを浮かべるだけだけど


「兵藤・・・・・そこまで言うなら勝負をしろ」


「・・・・・面倒くさいな。じゃあ、簡単な奴でやろう。冬馬、トランプはあるか?」


「ええ、ありますよ」


「シャッフルして準に二枚引かせろ。俺達に数字を見せないようにな」


「・・・・・これでいいか?」


「ああ、それでいい。直江、準が持っているトランプの数字とマークを言い当ててみろ。因みに俺は

ハートの7とスペードの1だ」


「・・・・・」


「言っておくが、俺と同じ答えは言うなよ?それだと、仮に当たったりでもしたら

当って長引くかも知れないからな」


「・・・・・ダイヤの5とクローバーのKだ」


「準、数字とマークを俺達に見せろ」


準に指示し、トランプの裏を見せてもらった。二つのトランプに印されていたのは


ハート 7 スペード 1


「あんた・・・・・凄いな」


「・・・・・『運』が良いからな。運だと言って裏から手を回して勝負して勝とうなんてする何処かの

誰かと違って俺は真剣に勝負をする」


「くっ・・・・・!」


「―――もし、麻雀もあるのなら麻雀にも何か小細工をして勝っているかもしれないな?例えば、

役が出来そうになったところで掏り返るとかさ」


「な、なんじゃと!?じゃあ、あの時の勝負はそのような手を使って此方に勝ったというのか!」


「・・・・・ん?なんだ、この学校に麻雀なんて有ったのか?」


「はい、B棟の四階の空き教室に私達は麻雀をしているのです。ご存じ無いでしたか?」


「興味ない」


「おのれ、直江大和!もう一度此方と勝負するのじゃ!」


「おいおい。俺がそんなことした証拠でもあるのかよ?」


「直江の鞄の中に有ったんじゃないのか?それか、制服のポケットの中とかな」


「―――っ!」


「はっ、あからさまに反応したな?気の乱れも一気に変わった。まあ、気付かない方も悪いけどな。今後、

直江が麻雀をしに来たときはボディチェックをしとけ。じゃないと身を滅ぼされることに成るからな」


給水塔の上に登って横に成る。何故かユキがこっちに来たと思えば俺の隣に寝転がってスヤスヤと寝始めた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――放課後



「・・・・・」


「「「「「・・・・・」」」」」


タンッ!


何故かまた弓道場で矢を射っている。その上、熱い視線を浴びながら・・・・・。


「一誠さん、お願いします」


しかも、俺が射る度に弓がこうして新たな矢を渡される。何がしたいんだ・・・・・?

受け取った矢を弦に番えて射るとユミに話しかける


「・・・・・帰って良いか?正直、飽きてきたぞ」


「もう少しの間だけいてよ。一誠さんの弓の射方を部員達に見せて勉強をさせたいの」


「うむ。お前にはこういう才能もあるとは驚きだが、矢場の言う通り部員達に勉強させたいのだ。弓道部で

一番上手い椎名は幽霊部員で中々顔を出さずにいる。だから椎名みたいな存在がいなくて困っていたところ

なのだ。その上、弓が上手い男子がいない。お前みたいな存在がいると

部員達にも刺激に成って上達するだろう」


「・・・・・だからって、全部の的を射させるのはどうなんだよ。もう、

中心部の的は矢で一杯になったぞ?」


「それをこなすお前は凄いな」


「椎名だっけ?そいつだってこのぐらいはできるだろう?」


「ああ、天下五弓とカウントされているぐらいだ」


「・・・・・どうでもいいな。で、帰って良いか?」


「ダメ」


「ダメだ」


「・・・・・はぁ、弓道部でもないのになぁ・・・・・」


「なら、弓道部に入るが良い。お前ほどの腕前なら大歓迎だ」


「そうだよ!一誠さんも弓道部に入ろうよ!」


「面倒、つまらない、退屈、暇だから断わる。というか、帰ってやりたい事があるから部活には

入る気はないぞ」


「えーっ!」


「・・・・・何だよ」


「一誠さんも一緒に弓道をしてくれたらもっと上達できるのになぁ・・・・・」


「顧問がいるだろう。顧問が」


「私は弓より鞭の方が上手い」


「顧問がそれを言ったらダメじゃん。それだったら俺は弓より他の方が上手いぞ」


「ほう。例えば?」


「・・・・・武器なら何でも扱う事もできる。武術では弓術、馬術、体術、剣術、槍術、柔術、居合術、

抜刀術、棒術、中国武術・・・・・まあ、他にも習得している」


「・・・・・それだけ身につけているのに何故、決闘やリンチに遭っている時にしないのだ」


「ただでさえ、天才少年や人形なんて呼ばれて有名になっているんだ。これ以上、目立ちたくないんだ」


「・・・・・まさか、川神百代を倒せれるのか?」


「・・・・・ノーコメント。あと、料理もできるぞ」


「なに、それは本当か?」


「一誠さんの弁等を食べたことあるのですが、もの凄く美味しかったです!」


「・・・・・情報を与え過ぎたな。取り敢えず、俺は弓道部に入る気はない」


「・・・・・じゃあ、私達に指導してくれるのなら諦める」


「・・・・・俺がお前達に上達するように指導しろと?」


「うん、それだったらいいでしょう?」


「・・・・・あんたは?」


「先生と呼べ!・・・・・まあ、私も賛成だ。弓道の大会の時にお前を助人として呼べばいいしな」


「・・・・・なら、毎日は来ない。それが条件だ。それでも良いのなら指導してやるぞ」


「っ!ありがとう!一誠さん!」


嬉々として抱きついてきたユミ。どうしてそんなに嬉しそうに表情を浮かべるのか

理解できないな・・・・・。ただ指導するだけなのに・・・・・




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