小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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十二月二十四日(木)


―――レーティングゲーム、開催日。―――七浜公園


レーティングゲームを参加するチームは七浜公園集合になっていた。大勢の人間が公園を埋め尽くす勢いだ。

なにせ、世界各地から参加者がチームを組み来たのだ。強者達の気で公園内は満ちていた。賞金と賞品の

効果は絶大なものだった


「まさか、また此処でゲームをするんじゃあ・・・・・?」


「いや、ゲームの出場選手の集合場所となっているからそれはないでしょうよ」


「しっかし、人数が多いなぁー。KOS大会よりいるぞ」


「世界から集まった人達ですからね。しかもKOS大会の時は4人で1チーム。今回のゲームは16人で

1チーム。人数が多いのは当然ですよ」


「此処って温かいよねー。全然寒くないよー?」


「この公園に集まっている選手達が密集しているからではないでしょうか?」


「それはある意味嫌で候・・・・・・」


「色んな人がいますね、テレビと生の違いがもの凄く違いますよ」


「ふふ、野球みたいな感じでしょ?」


「はい、まさしくその通りです!」


「むぅ。まさか、ヒューム達まで参加してくるとはな・・・・・」


「ヒューム?」


「ああ、我の九鬼家従者部隊序列0位の執事だ。我の師匠でもあるのだ」


「そんな人が何でこのゲームに?」


「うむ。ヒュームは一誠に二度も負けた事があるのだ。加えて負けず嫌いの性格でな?多分、

一誠達が開催したこのゲームに参加し、一誠と戦う権利を得ようとしているのだろう」


「じゃあ、私達が警戒しないといけないチームは・・・・・」


「ヒューム達がいるチーム。川神鉄心がいるチームであろうな。因みにヒュームと川神鉄心は

ライバル関係であったぞ」


「うわっ、できれば避けたいチーム」


「まあ、真っ先に狙わる事はないだろう」


「・・・・・そうですね」


「この大人数の中でどんな方法で16チームまで絞るのか・・・・・ハハッ、ワクワクして来たぁ・・・・・!」


百代達のチームを含めたチームの数は約100を超えていた。参加者の瞳はギラギラと

怪しい光を乗せている。


「・・・・・そろそろだね」


燕がそう声を漏らした―――刹那、上空一面に立体映像が現れた。参加者達はその立体映像に視線を向けた。

映像には銀髪のメイドが映っていた


『初めまして、私は「幽幻龍騎士団」の「王」である兵藤一誠様に仕えるメイド、リーラ・シャルンホルスト

でございます。本日は私達の王がお考えに成られたレーティングゲームを開催します』


公園から歓声と怒号が響き渡る


『本選に勝ち進む事ができるチームは予選で勝利した16チームのみでございます。

皆様、その事をお忘れなきようお願いします。・・・・・では、予選の前にしてもらいたい事があります』


画面の映像に映るリーラが徐に指を鳴らした。その瞬間


「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」


レーティングゲームの参加者達の全身が一瞬の閃光を放った。光が収まると自分の体を見た途端


「「「「「「「「「「な、なんじゃこりゃああああああああああああああっ!?」」」」」」」」」」


今まで着ていた服とは違い、赤と白の帽子に黒い長靴の姿となっていたことに驚愕の声音を発した。

(しかも白いヒゲ付き)


『それは―――サンタクロースとなり世界中の子供達にプレゼントを配る事です』


「おいっ!?俺達はゲームをしにきたんだぞ!戦いじゃないのか!?」


「俺たちには関係ない事だろう!?」


「そうだ!そうだ!」


『初のレーティングゲームの余興として子供達にも楽しんでもらいたく予選の前にこの計画を私達は

考えました。全ての参加者が配り終えたら予選を始めます』


「いま予選を始めろぉー!」


「こっちは戦いたくてうずうずしているんだぁー!」


『―――ゲームとは何も全てが戦いだけではないという事です。我が主は命を尊重するお方、

予選で貴方達が惨い死に方をして生涯を終えたいのなら構いませんが?』


「「「「「「「「「「っ・・・・・」」」」」」」」」」


リーラの鋭い眼光で睨まれ参加者達は揃って口を閉ざした


『ご理解いただけたようで感謝します。移動方法とプレゼントは全てこちらで用意をさせていただきました』


その言葉と同時に全ての参加者達の前に魔方陣が浮かび上がり何かが出てきた


「・・・・・トナカイとソリですか・・・・・定番ですね」


「わぁー、かわいー」


『そのトナカイ達はプレゼントをする場所へと向かって行きます。では、ソリに乗り世界中の子供達に

プレゼントをお渡しください。なお、途中でプレゼントを開いたりした参加者達には自分が冬の空に咲く

花火と化となると思って下さい。―――脅しではないですからね?』


「「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」」


リーラの言葉に参加者達の心は「絶対にそんな事をしない」と一致した瞬間だった


『では、ソリにお乗りになってプレゼントをお渡しください』


画面に映るリーラが深々とお辞儀をして一拍、立体映像が参加者達の視界から消えた


「おっしゃー!風間ファミリー!いざ、世界中の子供達にプレゼントを渡しにいっくぜぇー!」


子供のような嬉々とした声音が何処からか聞こえた。すると一匹のトナカイがソリに

乗ったゲームの参加者達を引いて空を走って行った


「いやっほぅー!」


「・・・・・キャップの奴、楽しんでいるなぁー」


「子供のようだね」


「あいつはガキのままで成長したようなもんだ」


「あはは、そうなんだ」


「まあ、この計画を考えた一誠の奴も子供っぽくて可愛いな」


「ふっ、そうだな」


「それでは、私達もサンタさんとしてソリに乗りましょう」


「ウェーイ!僕がサンタだー!」


川神・F・ドラゴンズもソリに乗ると同時にトナカイが足を蹴って空を走り出す。その光景と下を覗きこむと

七浜公園が小さく成っていた。


「おおー、凄いな」


「私達がサンタとなって子供達に配るとは思わなかったで候」


「それで、プレゼントとはこの大きな袋に入っている物か?見てみたいな・・・・・」


「モモ先輩!頼むから開けないでくださいよ!?俺等が花火の火種になっちまうから!」


「誰が開けるか!」


「と、もう目の前に目的地とやらが見えてきたぞ?」


揚羽の言葉に全員は前に視線を向けた。


―――アメリカ


トナカイがアメリカの上空を駈けしばらくしてとある施設の建物に降りた


「・・・・・ここ、学校?」


「ですね・・・・・」


「で、サンタである私達はどうやってプレゼントをすればいいんだ?煙突から入るか?」


「学校に煙突なんてありませんよ・・・・・」


「普通に渡すんじゃないかなー?」


「でも、冬休みですよ?誰も―――」


「サンターッ!」


「「「「「「「「「「「・・・・・?」」」」」」」」」」」


何処からか幼い子供の声が聞こえた。声がした方向に百代達は振り向くと


「「「「「「「「「「サンターッ!」」」」」」」」」」


大勢の子供達が百代達に向かって駈けて来ていた。


「おお・・・・・!幼い子供・・・・・幼女・・・・・!」


「あっ、袋が光っているよ!」


「うん、開けても大丈夫そうだな。皆、子供達にプレゼントをするんだ」



―――イラク


「ほーら!サンタさんからのプレゼントだぞー!」


「皆の分があるから順番に待っててー!」


「ふぉふぉふぉ、ほれ、プレゼントじゃ」


「アリガトウ!」


「ハイ、キミにもあげるヨ」


「ワーイ!」


「うん、子供の笑顔は良いものだ」


「そうですね、クリスお嬢様」


「彼の行いは時に良い事もするものだな」


「他の参加者達も此処に来ていたな。本当に世界中の子供達にプレゼントを渡さなきゃいけないのかよ?」


「これ島津、ぼやくではない。ほいほい、プレゼントじゃよ」


「戦争で心に傷を負っている子供にプレゼントとは・・・・・兵藤一誠、貴方は・・・・・」


「マルさん?」


「いえ、何でもありません。気にしなくてもよろしいですよ」


「ん?そうか?」


―――カナダ


「フハハ!受け取るがいい!我からのプレゼントだ!」


「フハハハー!受け取れ、プレゼントであるぞ!」


「まったく、メイドであるアタイがどうしてサンタになってプレゼントしないといけないんだ?」


「しょうがないだろう?主催者がやれっていうんだ、やらないと参加できないってぇの。ほら、

サンタオジサンからのプレゼントだ」


「アリガトーウ!」


「・・・・・良いもんだな」


「これ、ヒューム。表情を強張らせてはならぬぞ?笑顔、笑顔なのだ」


「・・・・・はっ」


「フフッ、ヒューム。大して変わっておりませんよ?」


「クラウディオ、後で覚えていろよ」


「はて、何の事でしょうか?」


「弁慶!子供達にプレゼントを渡すのは良い気分だな!」


「ふぅ、川神水が美味しい・・・・・。はい、プレゼント」


「弁慶ちゃん、川神水を飲みながら渡すのはどうかと思うよ?」


「弁慶・・・・・」


「ああ・・・・・、義経のその表情がいい・・・・・!」


「けっ、何で俺がこんな事をしなきゃいけねぇんだ?何処に俺を狙う組織がいるか解らないって言うのによ」


「オニイチャン!プレゼント!」


「・・・・・ちっ、ほらよ」


「アリガトォ!」


「ふふ、何だかんだ言ってもちゃんと渡す与一君は偉いね」


「アンタはノリノリのようだな」


「うん、楽しいからね。でも、早くあの人に会いたいなぁ・・・・・」


「義経もだ!」


「だったら予選を通過しないといけないね」


「フハハハ!優勝した暁に一誠殿とその家族を九鬼家に働かせようではないか!」


「兄上の言う通りです!一誠、待っておれよ!我等が優勝するからなぁ!」


「あの赤子と戦い今度は俺が負かしてやる」


「もう彼は赤子とは言えませんよ」


「貴方を二度も負かした彼は素晴らしい人材です。是非とも九鬼家従者部隊に入れたいものですね」


―――『幽幻龍騎士団』


「一誠様、順調に子供達へのプレゼントが進んでいますね」


「余興としては大成功といっても良いだろう」


「―――では、次の計画を?」


「ああ、終わり次第はじめよう。だが、その前に―――」


「はい、かしこまりました」


―――七浜公園


「やっ、やっと配り終えたぁ・・・・・」


「数って馬鹿に出来ないな・・・・・」


「へろへろ〜・・・・・」


「フハハ!だが、気分がいいな!」


「良い事した後は心が晴れやかになりますね」


世界中の子供達にプレゼントを渡し切ったゲームの参加者達。一部の者以外は疲労困憊の状態だった。


『―――皆様、大変ご苦労様でした』


不意に上空で立体映像が現れリーラが深々とお辞儀をした


『我が主も皆様の御働きに大変喜んでいます。本来ならば直ぐに予選を始めたいところですが、皆様の

状態では満足に力を発揮する事は叶わないでしょう。ですので、我が主が「ファントム・イリュージョン」の

料理長「F」として、世界中の子供達にプレゼントを配り回った皆様の苦労を報いる為に料理を

振る舞ってくれました。予選は延期して明日にし、今日は皆様の疲労を回復する為に

「幽幻龍騎士団」が用意した宿泊施設に一泊してもらいたいと思っています』


何もない空間に一瞬の閃光が放った。閃光が収まると巨大な門が開いた状態で佇んでいた


『なお、宿泊する際は相手チームへの攻撃、暴力は厳禁です。一泊の間は身分も関係なく一人の人間として

過ごしていただいてもらいます。―――どうぞ、お入りください。既に準備は整っておりますので

楽しんで下さい』


そう告げると立体映像が消失した。参加者からどよめきが起きる中、百代達は歩を進み巨大な門へと向かう


「どんな所なんだろうねー!」


「宿泊施設に何かあると思っても良いでしょうね」


「用心しないとな」


「あの時の料理がまた食べられると思うと楽しみで仕方が無いですよ」


「ふぁ〜、楽しみだねぇ〜」


光輝く門に潜る川神・F・ドラゴンズ。その光景を見て他の参加者達も続々と門に潜っていく



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――宿泊施設


「「「「「「「「「「おおっ・・・・・!」」」」」」」」」」


レーティングゲームの参加者達の視界に豪華な料理の数々がテーブルに置かれていた。―――更には


「「「「「いらっしゃいニャ!ご主人様達!もうお食事の準備が整っていますニャ!」」」」」


「「「「「「「「「「かっ、可愛いいいいいいいいいいいいいいい!」」」」」」」」」」


参加者達が声を揃えてアイルーとメラルーを見てメロメロになる


「お風呂と寝室の場所はボク達に聞いて欲しいニャ!ささっ、自由に座って仲良く食べて!

皆で食べるご飯は最高ニャ!」


「「「「「「「「「「はい!解りました!」」」」」」」」」」


「「「「「「「「「「そうですね!」」」」」」」」」」


既にアイルー達しか目に入っていない参加者達。プレゼントを配り回った疲労が無いほどの元気の良さで

返事をして自由な場所に座って用意された料理を食べ始めた。初めて『ファントム・イリュージョン』の

料理を食べた参加者は目を大きく見開いたり、驚いたりする事をすれば、大食いの選手が余りの美味しさに

夢中と成って食べ続ける者もいれば、味や感触を味わいながら静かにゆっくりと食す選手もいた。


ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドドン!ドン!ドンッ!


ドンチャラン〜ドンチャラン〜ドンチャラン〜


不意に太鼓を叩く音と曲が流れた。同時にステージの幕が左右に開いて向こう側を覗かせる―――。


「そーれ!」


「「「「「「「「「「わっしょい!わっしょい!わっしょい!」」」」」」」」」」


―――向こう側は夏祭りのような風景で数十匹のもアイルーとメラルーが半被を着込み鉢巻きを巻いて

御神輿を担ぎ、踊り、木で組まれた複数の矢倉の上に叩く太鼓と笛の音のリズムに合わせて矢倉の周りに踊る

アイルーとメラルー達。更に何時の間にか参加者達がいる部屋が変わって夜空の星が見えていた。

まるで最初から外で食事をしていたかのように


「OH!素晴らしい!あれは日本の祭りですねぇ!私も踊りますよぉー!」


「フハハ!楽しそうではないか!我は矢倉の上で太鼓を叩くぞ!」


「はぁ・・・・・!猫が御神輿を担いでいる姿がとても・・・・・!」


「うむ、微笑ましいではないか。クリス、一緒に踊ろうか」


「はい!お父様!マルさんも一緒に!」


「いえ、クリスお嬢さまは中将と楽しんでください。折角の親子で祭りなのですから」


「よっしゃー!俺も太鼓を叩くぜぇー!」


「姉上!一緒に踊りましょうぞ!」


「ああ、一緒に踊ろうではないか」


「ギャー!九鬼クンが褌にぃー!」


「なにぃ!?だったら俺様も太鼓を叩きに服を脱ぐぜ!」


「なに意味不明な事をするのさ!?」


「ははは!一誠の奴、本当に楽しませてくれるなぁー!」


「わぁー、可愛いなぁー!」


「・・・・・世界が一つに成った瞬間だな」


「てか、総理と大統領達も混じって踊っているぜ」


「あら、本当だ」


「一誠さん、本当に貴方のやる事は何時もスケールが大きい・・・・・」


「トーマ、準。僕達もおどろー!」


「だってさ、若」


「ええ、踊りに行きましょう」


と、レーティングゲームの参加者達は一泊だけだが心に残る思い出を楽しんだ。

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