小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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十二月二十六日(土)


レーティングゲーム本選の地、


予選から一日経った。予選を突破した16のチームが本選に進み優勝を争う場である本選の地に

スタジアムの観客は既に超満員になっていた。


『皆様、大変長らくお待たせしました!レーティングゲーム、本選開始でございます!』


「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」」」」」」」」


観客の歓声でスタジアムが震える―――。世界各地でも、大会の行方は注目されていた。


『私、七浜で執事をしています、田尻耕と申します。このレーティングゲームの主催者様から直々に

実況して欲しいと招待されまして実況をさせていただく事に、あいなりました。最後までお付き合いのほど、

よろしくお願いします』


田尻は息を吐き一拍すると再び口を開く


『実況の私の他に解説、審判役の方を皆様に紹介させてもらいます。まずはレーティングゲームを

取り仕切る審判役には今回のレーティングゲームをお考え開催した主催者側です!』


田尻の横に魔方陣が走った。魔方陣が完成し光が弾いた瞬間にそこには銀髪のメイドが現れた


『初めまして、私は「幽幻龍騎士団」兼ルシファー眷属の「女王」、グレイフィア・ルキフグスと申します。

審判役としてきちんと務めさせていただきます。よろしくお願いします』


『彼女はなんと悪魔なのです。ご覧ください、この美しい美貌を!とても悪魔だとは思えない美貌です!』


「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」」」」」」」」


観客、主に男性から歓声の声が湧いた。グレイフィアと呼ばれたメイドは事前に言われたのだろう証拠に

蝙蝠の翼を出して自分は悪魔だと証明した


『続きましてはゲームの解説達を紹介しましょう!』


そう実況する田尻の前に再び魔方陣がステージの上に現れた。数は三つ、そして魔方陣から三人の

男女が出てきた


『初めまして、私はサーゼクス・グレモリー。因みに私も悪魔です』


『俺はアザゼル、元は堕天使を総括する堕天使の総督をしていた男だ。今日はよろしく頼むぜ』


『私はセラフォルー・シトリー!サーゼクスちゃんと同じで悪魔なの☆皆、よろしく☆』


と、三人も蝙蝠のような翼と常闇のような薄暗い6対12枚の翼を出して自己紹介を述べた。

その中で一人だけ魔法少女のような格好でセラフォルーは出てきたため


「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!

 魔法時少女キタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」」」」」」」」」」


男性観客が歓喜して踊り上がる


『はっはっは!この世界の人間達は元気がいいな?俺達の姿を見てもビビりもしねぇ!』


『私達の世界は私達のような存在だけでゲームを執り行っていたからね』


『うん☆私達の世界も人間達が観客として見られたらいいのにね☆』


『もの凄い豪華メンバーです!私、思わず恐縮してしまうほどの者達です!』


『気にするな、フレンドリーにいこうぜ?』


『うむ、私達自身も仲良く接していくつもりだ』


『だから田尻ちゃんも緊張しないでね☆』


『た、田尻ちゃん・・・・・。ご、ごほん・・・・・!では、続きまして予選で勝ち抜いて16のチームの

紹介をしましょう!順位はまず下からチームを紹介します!予選で勝ち抜いたチームを知りたいかーっ!?』


「「「「「「「「「「わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」」」」」」」」」」


『それは私も同じ事でございます!さあ、皆様お待ちかねレーティングゲームを

戦う選ばれし16チームの入場です!』


プシューッ!


東にある入口に煙が発生した。その煙の中から1つのチームが出てこようとする


『第16位!銃の腕自慢が集いしチーム。ガンマンスター!参加人数は16人!』


バンッ!バンッ!バンッ!


「俺達の銃に気を付けな!」


「いやっほーう!ハチの巣にしてやるぜ!」


『第15位!予選でその鋼の肉体で勝ち進んだからこそ凄い!力が最強!キングマッスルパワー!

 参加人数は16人!』


「むん!むん!優勝して無敵のパワーを頂くぜ!」


「この!肉体が永遠に誇れるように!」


『第14位!キングマッスルパワーと対照的にスピード重視のチーム!その名も、高速の騎士団!

 参加人数は16人!』


「予選で私達の力が発揮できなかったが今回はそうはいかない!」


「私達の最速で優勝を目指す!」


『第13位!日本が誇る各武道家達が集結したチーム!日の丸チーム!参加人数は16人!』


「再び日本の栄光を取り戻す!」


「同時に私達の力を世界に轟かせる!」


『第12位!どうやって予選を勝ち抜いたのか知らないが実際にこの本選に勝ち抜き生き残った!ゲーム、

 漫画、アニメが大好きなチーム!その名も、2次元チーム!参加人数はこれもまた16人だ!』


「2次元の力を舐めんなよー!」


「2次元こそが至高!」


『第11位!その巨躯で数々の魔物を突き飛ばし、圧縮してきたチーム!ドスコイスプラッシュ!

参加人数は16人!』


「ウッスッ!本選も頑張るっス!」


「オイラ達の力で押し潰すっス!」


『第10位!闇の組織から派遣された深い闇の集団!その名も、ダークネス!参加人数は16人!』


「賞金は我等が頂く」


「どんな手を使ってでもな」


『第9位!これは驚きだ!日本の大統領とプーチン大統領、アメリカの大統領が参戦だ!その名も、

 キングチーム!参加人数は16人!大丈夫かぁー!?』


「よくとまあ、俺達は予選を突破ができたもんだぜ」


「このまま優勝をするまでですよ」


『第8位!西の川神学園と呼ばれた天神館の生徒と学長が参加だ!その名は、天神軍!参加人数は11人!』


「ふっ、出世街道を行く俺のチームは優勝が相応しい」


「四国の素晴らしさ!教えてやる!」


『第7位!あの1件以来、自分はあの人達に会う為に生まれ変わった!オカマ集団のネオカマー!

 参加人数は16人!』


「貂蝉様ぁ!卑弥呼様ぁ!」


「私達の美しい戦い振りを見て下さーい!」


『第6位!子供の頃から仲良しグループが参加だ!今までのチームより少ないが予選に生き残った実力は

 本物だ!参加人数は11人!チーム名は風間ファミリー!なんと、川神鉄心も参加だ!』


「あー、あそこで罠が作動しなきゃなぁ・・・・・」


「キャップ、しょうがないわよ」


「命あってなによりじゃよ」


『次はいよいよベスト5!上位に予選を突破したチームの名を紹介しましょう!』


『ふふっ、どんな人達なんだろうね☆』


『まっ、どんな奴等が出てくるのかこれから登場だ』


『田尻殿、進行を』


『第5位!湘南の町では誰一人でも知っている暴走族とヤンキーと不良集団!この日の為に集結した

チーム名は、湘南三大天連合軍!不良だと思っていたら痛い目に会うぞぉー!参加人数はやはり16人!』


「ふっ、やってやろうじゃない」


「予選も楽しかったが本選も楽しい戦いに成りそうだ」


「アタシ達に喧嘩を売るなら喜んで喧嘩を買う」


『第4位!中国から来た武芸者達!梁山泊!参加人数は16人!一筋縄ではいかないぞぅー!』


「よろしくー!」


「まずまずの順位だ」


「コピーし放題とパンツが取り放題だ!」


『続いてはベスト3に入ります!第3位!世界最大の企業である九鬼財閥が参加だ!彼等の狙いは勿論、

優勝!その名もエンペラーズ!参加人数は16人!どれもこれも凄腕を率いたチームだ!』


「フハハハ!一誠殿!待っておるがいい!」


「必ず優勝してお前を我が九鬼財閥に迎い入れるのだ!」


「兵藤一誠、覚悟しろ」


『そして第2位のチームを紹介したいのですが・・・・・これは凄い!2チームも同時に予選を突破している

そうです!では、1位の2チームを紹介しましょう!まずは母国アメリカの為!自分達は優勝しアメリカに

栄光という貢献をするのだ、参加人数は16人!フリーダム・アメリカン!』


「IYS!あのチームと一緒に行動したお陰で1位ですよー!」


「後で感謝をしなければならないね、兄さん」


『残りの1チームを紹介しましょう!全てはあの人の為に!あの時の決闘のリベンジの為!

参加人数は11名!チーム名は川神・F・ドラゴンズだ!元、四天王、川神百代と九鬼揚羽がいる

チームです!そしてドラゴンに転生した人間達もいる!このチームこそがどのチームよりも優勝候補だと私は

そう思っても仕方が無いです!』


「イッセー!必ず優勝するからねー!」


「待っていろ!私達が優勝する時までにな!」


「フハハハ!その暁には私と結婚してもらうぞ!」


「ちょ、そんなお願いはダメだよ!?」


『以上、予選を突破した16チームの紹介を終えました。―――それでは!選ばれた16チームの

対戦となる新たなチームを紹介しましょう!』


田尻の言葉に西にある入口が煙に包まれた。


『「幽幻龍騎士団」所属する者達!そのチーム名は英雄派!参加人数は12人!』


「はっはー!久しぶりに暴れるぜぇ!」


「手加減をしろよ?」


「・・・・・恋、頑張る」


『彼等は全員、様々な英雄の子孫、末裔、魂を引き継いでいる者のみ構成されたチームです!これは凄いぞ!

失礼ですが、自己紹介をしてもらえますかな?』


「―――俺は曹操の子孫、名前は曹操。元は英雄派を仕切っていた男だ」


「北欧神話に登場するシグルドの末裔、ジークフリート」


「ドイツの魔術師、ゲオルク・ファウストの子孫、ゲオルク」


「私はジャンヌ・ダルクの魂を受け継いでいるジャンヌよ」


「俺はギリシア神話に出るヘラクレスの魂を受け継いでいるヘラクレスだ!」


「レオナルド、よろしく」


「・・・・・名は呂、字は奉先。恋は呂布の子孫、名前は呂布」


「俺は織田信長の子孫、織田信長だ」


「同じく織田信長の子孫、織田信奈よ」


「うっふーん!貂蝉の子孫、貂蝉ちゃんよ〜ん!」


「ガッハッハ!卑弥呼の子孫の卑弥呼であるぞ!」


「俺は華佗!神医、華佗の子孫だ!」


『なっ、なんと!超有名な英雄ばかりの子孫と末裔、魂を受け継いだ者達が此処に参上していたぁー!』


「・・・・・英雄のクローンとして生まれた義経達とは違う生まれ方をした英雄・・・・・」


「・・・・・」


「ほう、面白そうではないか」


「ええ、彼を九鬼家に迎え入れた際には彼等も迎え入れましょう」


「フハハハ!一誠殿の家族は素晴らしいではないか!」


「うむ!是非とも九鬼家に入れるぞ!」


『まだまだ紹介するぞー!チーム名はナンバーズ!参加人数は12人!』


「よろしくっス!」


「久々に暴れるぞ!」


『彼女達12人は全員、純粋培養、クローン培養で生まれた者達です!ナンバーズ、別名戦闘機人。

彼女達の体内は機械兵器があり解りやすく言えば人造人間と言う事です!』


『―――そして、私が彼女の生みの親であるジェイル・スカリエッティだ』


ステージの真上に巨大な立体映像が現れた。紫の髪に金の瞳、白衣を着込んだ科学者だった


『私の人造生命体研究と機械兵器技術を融合させて純粋培養とクローン培養で生み出した可愛い娘達だ。

娘達よ、その力をこの世界の全ての人間達に知らしめてやるのだ』


「「「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」」」


『では、さらばだ』


それだけ言うと立体映像が消えた。


「何という男だ。人間の体に兵器を組みこませた上で培養するなど我でも考え付かなかったぞ」


「まっ、私等は戦わせる為に生んだ事に恨んでもいないっスよ。寧ろ、

イッセーと出会えた喜びの方が大きいッス!」


「このゲームは負ける気ないからな」


『えー、続きましてはこのチームの登場です!』


入口から4人の女性達が出てきた


『参加人数は4人!チーム名は四大魔王!彼女達は悪魔であり魔王です!』


「元、魔王だけどね?初めまして、私はルシファー。元四大魔王の一人よ」


「同じく元四大魔王の一人ベルゼブブ」


「元四大魔王の一人!レヴィアタンだよ!」


「アスデモウス、元は四大魔王の一人だった悪魔よ」


四人は蝙蝠のような翼を出して悪魔と言う事を証明した


「「「「「「「「「「嘘だっ!綺麗な貴女達が魔王であるはずがない!」」」」」」」」」」


「いやっ、本当だけど・・・・・」


予選を突破した複数のチームに否定されて苦笑を浮かべるルシファー


「因みに私も元は魔王だったのだよ」


「はい!私もー!」


便乗してサーゼクスとセラフォルーも挙手して正体を明かした


『これは驚きの展開!もう私は何度驚けばいいのか解りません!では次のチームを紹介しましょう!』


煙が立ち昇る中、十数人の男女が出てきた


『あー、あいつ等の説明は俺がしよう。あいつ等は全員悪魔だ。しかもセラフォルーの妹の眷属と此処には

居ないサーゼクスの妹と数人の悪魔を混合したチーム。名前はデビルーズ。中には悪魔に転生した元人間が

いれば妖怪がいる他にも何人か悪魔に転生した種族もいる。「幽幻龍騎士団」の中で一番多い種族だな』


「真羅椿姫・・・・・っ!」


「また、貴女ですか・・・・・」


「当然よ!貴女ともう一度勝負して今度はワタシが勝つわ!」


「・・・・・」


『続いては悪魔と魔王を対照的なチームの入場だ!』


田尻がそう告げると入場口から神々しい輝きを放つ集団が現れた、中には翼を出して出てくる者達もいた。

一人だけ一誠と同じ金色の翼を展開していた。


『チーム名は天神!シスター、天使、大天使、神が構成されたチームだ!同じく天使の兵藤一誠と

同じ翼を持っているぞぉー!』


「ふふっ、初めまして私は神のメイビスです。元が付きますがどうかよろしくお願いします」


「私は紫藤イリナ!よろしくね!」


「ガブリエルです。皆様、よろしくお願いします」


「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」」」」」」」」」」


会場の男性観客達が咆哮を上げた。


『何と美しい微笑みをするんだ天神チーム!思わず見惚れてしまいました!ですが、

仕事を忘れずに進行を続けます!次のチームの登場です!』


今度は複数の男女が現れた。中には魔法使いのような格好を着ている人もいた


『チーム名はウィザード!このチームはその名の通り主に魔法を使って攻撃をしてくる魔法少女のチーム!

一体、私達にどんな魔法を見せてくれるのでしょうか!』


「シグナム・・・・・!」


「お前か、また出会ったな」


「今度こそ最初から真剣に勝負しろ!」


「・・・・・私達と対戦ができたらな」


『天使といったらやはりこの存在!天使から堕ちた天使、元神父もいる堕天使チーム!参加人数は5人!

圧倒的に少ないが少数精鋭である事は間違いない!』


「ふふっ、堕天使の力を見せてあげるわよ」


「「「全ては一誠様の為に」」」


「やってやりますぜ、やりますとも!全員ぶち殺しだ!


「レイナーレ、ミッテルト、カラワーナ、ドーナシーク、フリード、手加減はしろよ?」


そんな4人に苦笑を浮かべて一応、アザゼルは釘をさす。


『続いてはこのチームの登場だ!その名もヴァーリチーム!』


「よろしく」


「ヒャッハー!ようやく呼ばれたぜ!」


「まあ、相手はすぐに倒れる戦いでしょうが」


「にゃん♪」


「頑張ります!」


『このチームは悪魔と人間のハーフ、妖怪、英雄のアーサー・ペンドラゴンの末裔がいます!

特徴が一致していないが実力は申し分ないぞ!』


「ヴァーリと美猴か・・・・・」


「九鬼揚羽だったか・・・・・、以前より力が上がっているな。

 ―――その上、その身体にゾラードを宿しているとはな」


「ああ、お前達を倒すことが目標だからな。力を貸してもらっている」


「ふふっ、戦う時が楽しみだ」


『続いては英雄派と同じ人間のみで構成されたチーム!その名もヒューマンチーム!参加人数は3人!』


「・・・・・いっくんの為に」


「悠璃さんが燃えていますよ」


「まあ、一誠だからね」


『参加人数は二人!圧倒的に少ないが参加者が見事にデカい!妖怪、九尾の親子の九尾チーム』


「母上!頑張りましょうぞ!」


「傷をしない程度に頑張るとしようぞ」


「「「「「「「「「「確かにデカい!特に胸が!」」」」」」」」」」


『いよいよ最後のチームを紹介しましょう!今まで呼ばれた「幽幻龍騎士団」に所属しているチームを

一つに纏め上げた男が率いるチームを!―――その名も「幽幻龍騎士団」!』


田尻の実況にステージに4つの魔方陣が現れた。その魔方陣から数人の男女が登場する


「「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」」


「―――こうして直接会うのは久しぶりだな」


「一誠さん・・・・・」


『「幽幻龍騎士団」は優勝した1チームと戦う事になっておりますのでこの4人の

出番は最後となるでしょう』


「ああ、それ以前にもそう伝えてあるからな」


『予選で勝ち抜いた16チームに対して「幽幻龍騎士団」からは10チーム!彼等と当りたくなければ僅か

6チームという「幽幻龍騎士団」から戦いから逃れる安全権を手に入れる他はない!しかし、

それでもその6チームは他のチームと戦う事になるぞー!』


「そこでその安全権を手に入れる方法はこれで決めてもらう」


ステージの中央に穴が開きその穴から16本の棒の入った箱が置かれた設置台が出てきた。さらにそれを

見易くする為なのかステージの上空に巨大な立体映像が浮かび上がった。

一誠は田尻からマイクを貰って口を開いた


『ルールは単純だ、当りの赤を塗った6本を抜き取ったチームが安全権を得る事ができる。

何か質問はあるか?』


一誠は16チームを見渡し問う。・・・・・が、誰も口を開く事はなかった


『質問が無いようだから各16チームの「王」。前に出て棒を選べ』


そう促されて各チームの「王」は棒が入った箱がある設置台に近づきそれぞれ棒を選び握った


『因みに外れの棒には数字が書かれてある。その数字を引いたチームは事前にお前達を相手する

10チームが先に選ばせた数字と一緒だった場合はそのチームの対戦となる。―――引け』


バッ!


各16チームの「王」が一斉に棒を抜き取った。赤い棒を抜き取った6チームは・・・・・。田尻が実況する


『赤い棒を抜き取ったチームを発表します!ダークネスチーム、風間ファミリーチーム、天神軍、梁山泊、

湘南三大天連合軍、ドスコイスプラッシュ。以上6チームでした!』


『で、残りは1〜10の棒を引いた奴等は後でトーナメント表に出すからな。勿論、安全権を手に入れた

6チームもそうだ』


『おいおい、死地に行ったのも当然だな。気の毒に・・・・・』


『それと、お前達と対戦する10チームが勝ってもその場で終了だ、俺の家族が強過ぎるからトーナメントに

進んで結果、決勝戦で家族同士が戦って優勝して、俺達と戦っても何の意味もないからだ』


『仮に16チームがそれぞれ挑む相手のチームに勝利した場合はそのまま試合に進む事ができますので

これは勝たないといけない試合です!』


『さらにレーティングゲームは色々なルールもある。短期戦もあれば長期戦もあって相手の旗の取り合いも

存在すれば特殊なルールもある。場合によってはお前等が勝つ可能性もあるぞ?まあ、レーティングゲームの

ルールはサーゼクスとグレイフィア、アザゼルとセラフォルーに決めさせた。ルールはあいつらしか

知らないから俺やお前達と相手をする10チームはどんなルールがあるゲームなのかは

知りもしない。・・・・・これでもしも可笑しなルールのゲームだった場合は―――貂蝉と卑弥呼の歌を

一時間も聞かせてやる。ついでにそこにいるネオカマーチームと一緒にな』


「「「・・・・・っ!?」」」


ルールを考えた四人の内の三人が冷汗をダラダラと流し始めた。一誠は目を細くして三人を一瞥すると

口を開いた


『それじゃあ、各16チームの皆はそれぞれの選手控室に戻ってくれ、30分後になったら再びこの

ステージに戻って来い。そしたら正式なトーナメントの組み合わせが完成する。まっ、安全権の6チームの

組み合わせの事だがな。残りの10チームは既に決まっている様なものだし』


「ああ、後はどの場所にするかの組み合わせだ。対して変わらないだろうがな」


『では、その間、皆様をお待たせしている間に余興として、「幽幻龍騎士団」の様々な披露にご覧ください』


『それじゃあ、お前等。よろしく頼む』



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――川神・F・ドラゴンズ控室


「凄かったね、一誠さんの家族は」


「英雄派なんて凄過ぎだろ、曹操に織田信長、呂布の子孫だぜ?三国志と戦国時代でじゃあ超有名な

武将じゃんか」


「うむ!素晴らしいではないか!是非とも勧誘したい人材ばかりである!」


「揚羽さん、公私混合になっていませんかね?」


「すまない、九鬼家は人材不足で悩んでいるのだ。どうしても優秀な人材がいるとなると

紋白のようになってしまう」


「そう言えばエンペラーズに揚羽さんと九鬼君みたいな小さい×印がある女の子がいましたね?」


「ああ、九鬼紋白と我と英雄の妹だ」


「へぇ、揚羽さんに妹がいたんだな。知らなかった」


「それとこれは九鬼家しか知らない事だが、我等九鬼家は英雄のクローンの誕生を成功させたのだ。

その英雄のクローン達がこのゲームに参加をしている」


「英雄のクローン・・・・・ですか?」


「お前達だけ教えよう。武蔵坊弁慶、源義経、那須与一、葉桜清楚である」


「うわっ、本当に英雄ですね・・・・・でも、葉桜清楚?聞いた事が無いですけど、

そんな名前の英雄なんていないよね?」


「ええ、私も知りませんが・・・・・揚羽さんは知っておられるのですか?」


「実を言うとだな、我も知らんのだ。葉桜清楚の元となった英雄の名前がな」


「そうなんですか?それは不思議ですね」


「一誠は既に気づいているそうだが教えてはくれなかったな」


「・・・・・その物言いは既に英雄のクローン達と会っているんだな?」


「その通りだ、皆、兄のように接している」


「そうですか・・・・・」


「―――昔の話だったがな、兄のように接していたのは」


「ですよね〜・・・・・」


コンコンッ


「はっ、はい!どうぞ!」


由紀江がそう言うと控室の扉が開け放たれた。控室に入ってきた人物は・・・・・


「本選出場おめでとう、お前等」


―――兵藤一誠だった。一誠が入ってきた瞬間に・・・・・


「イッセエエエエエッ!」


ユキが瞬時で抱きついた。その時間、約0.5秒。


「速いっ!?」


「まあ、ユキですから」


「イッセー!イッセー!イッセー!」


「よしよし、よく本選まで進んだな」


「当り前だ!この野郎!」


「と、いきなり殴り掛かるな!」


「かわすな!避けるな!一発ぐらい殴らせろ!お前がいなくなった一ヶ月間はどれだけ寂しくて

つまらない学校生活を送って来たと思っているんだ!」


「・・・・・それについては本当に悪いと思っている」


「だったら―――」


「百代、そこまでにするのだ。何時まで経っても話ができないではないか」


「ぐっ・・・・・」


「揚羽、久しぶりだな」


「うむ。お前も元気そうで何よりだ」


「・・・・・あいつらと会っていなかった分かなり吸い取られたがな」


「おや、それはどういう意味ですかな?」


「冬馬、絶対に解って聞いているだろう?」


「ええ、そうですとも」


「・・・・・お前等、かなり強く成っているじゃないか」


「ふふっ、一誠さんの為に強く成ったんですよ?」


「ああ、贔屓はしたくはないけどゾラード達の力を借りている今のお前等の強さは確実に

俺の家族の実力を超えているぞ。全員って訳じゃないけどな」


『・・・・・あの、主・・・・・』


不意に揚羽と百代、伊予の手甲に宝玉が浮かび上がった。一誠はその宝玉を見詰める


「・・・・・」


『・・・・・申し訳ございませんでした』


『ごめんなさい!』


『主、すまなかった』


「―――許さない」


『『『・・・・・』』』


「絶対に許しはしない」


『『『・・・・・っ』』』


「一誠さん・・・・・」


「あの時、お前等は試練を突破できなかった俺から離れた時は悲しみに暮れた。愛しい女達ができても、

心から許せる友達ができてもずっと一緒に居てくれたお前達が俺から去って本当にショックだった。

助けてくれた時もあれば励ましてくれた時、一緒に戦ってくれた愛しい相棒が去った瞬間は

とても辛かったぞ。戦争で共に戦って死んでしまった親友と同じようにな・・・・・」


「・・・・・試練?」


「・・・・・どうやらお前等は知らないようだな。いや、教えていないと言うべきか?

まあ、過ぎた事を言うつもりはない」


『『『・・・・・』』』


「でも、ガイア達がこの世界に辿りつき俺を迎えに来た。もう、あんな思いはしなくて済む。

それが嬉しくてしょうがない。ようやく、本当の俺を知る愛しい家族達と再び暮らせるからな」


『・・・・・主、我等は』


「―――決勝戦まで進まない限りは許さないぞ、はぐれドラゴン供と駄神」


『だ、駄神・・・・・』


『は、はぐれドラゴン・・・・・』


「あっ、ショックを受けましたね?」


「たくっ、あの時の俺も悪かったがお前等は俺から去った後の俺の事も考えろよ。ブラフマー、

シヴァがかなり怒っていたぞ。『三神一体の一人であるお前がどうしてそんな事を言った!だからお前は

私達より人気が無かったんだ!』とな」


『・・・・・』


「三神一体?シヴァ?」


「三神一体とは創造を司る神ブラフマー、破壊を司る神シヴァ、繁栄を司る神ヴィシュヌ。その三人の

神の事を三神一体と三人の神を称する名前だ。俺はガイア、オーフィス、そして破壊神シヴァと

優勝するチームを待つ」


「・・・・・まさか、一誠さんと出てきたあの女性が?」


「―――ああ、それが私だ」


第三者の声音が控室に響く。その発信源は一誠の後ろから抱きつくようにして現れた足まで伸びた常闇に

思わせる黒い髪に深紅の瞳の女性、・・・・・その女性を見た瞬間に百代達は恐怖感を抱いた。

ブラフマーとは明らかに違うオーラを漂わせる彼女に・・・・・


「初めましてだな、私は破壊神シヴァ。そこの駄神ブラフマーとは三神一体と同じ神だ」


『誰が駄神だ!シヴァ!』


「私の弟を見捨てた駄目な神の事だが?もう少しの間でも一緒にいてくれたらいいものの、

私達がこの世界に到着して駄神とはぐれドラゴン供と一緒に迎えてやったのにな」


「えっとぉ、弟って?」


「シヴァは俺が子供の頃からずっと俺の心の中にいたんだ。一緒に生きていたようなものだからシヴァは

俺を弟とそう呼んでいるんだ」


「ふふっ、一誠の過去を知る者は私以外いないぞ?一誠が生まれた瞬間からずっと心の中から観ていた

私だけの特権だ、例えば一誠が小さい時に―――んっ」


「ん・・・・・」


「「「「「「「「「「「―――っ!?」」」」」」」」」」」


シヴァが一誠の過去を話そうと口を開いた瞬間にシヴァの唇が一誠の唇に塞がれてしまって言葉を発する事が

できなくなった。その光景に川神・F・ドラゴンズは目を見開かせる


「・・・・・言わない約束だろ」


「言わせない為に私とキスをする約束だろ?」


「キスをしたぞ」


「ああ、ふふっ、嬉しいな。最愛の一誠からキスをしてくれるなんて・・・・・」


「俺、こんなキスは嫌だ・・・・・」


「―――それでな?一誠が母親の―――」


「頼むからそれ以上言わないでくれ!覚えている分、こっちが恥ずかしいんだからよ!」


珍しく顔を真っ赤に染めあげてシヴァに深いキスをする。シヴァは嬉々として一誠を抱きしめて思う存分に

キスを堪能し始めた。その後、床に座り込んでいじける一誠。


「・・・・・ううう、もう俺はもう婿に行けないよぉ・・・・・」


「何を言っている。既に私と結婚しているではないか?それに婿ではなく嫁だ!」


「お前だけじゃなくて皆とだけどな!?それと、俺は女か!あの銃で女になれるけど―――あっ!また、

嫌な事を思い出したぞ!?こんちくしょう!俺の黒歴史がぁぁぁぁぁああああああああああああああ」


「ああ、その表情がイイ・・・・・!」


「・・・・・あんな一誠さんを見るのは初めてで候・・・・・」


「此処にいる誰もがあんな一誠さんを見るのが初めてですよ」


「一誠の家族だからこそあのような表情を浮かべさせる事ができるのか・・・・・」


「むぅ。それはそれで優越感が感じさせられて悔しいな」


「ふふっ、唯一ガイアに勝てる武器だ。あのガイアすら知らない一誠を知っているのは私だけだ。

 でな?一誠が―――」


「・・・・・シヴァ〜・・・・・」


三度目の正直、二度あれば三度ある。という言葉が発動した。シヴァは一誠をチラッと見ると

目を大きく見開かせて衝撃を受けた。―――何故なら


「・・・・・ぐすっ」


一誠が涙ぐんでいたからだった。―――幼児バージョンで。そんな一誠を見てシヴァは両手を

前に突き出してフラフラとしながら捕まえようと一誠に―――


「いっ、一誠・・・・・!」


「うわぁぁぁああああああああああああああんっ!」


「・・・・・えっ」


が、泣きながらシヴァから離れて梅子に泣き付いた。その様子を見てキョトンとするシヴァ。


「シヴァがいじめるよー!きっと僕の事なんか嫌いだからいじめるんだー!」


「・・・・・はい?」


「僕をいじめるシヴァなんて嫌いだー!」


「―――っ!?」


シヴァの背後で雷が落ちたような幻覚が見えたのを燕達は確かに見た。よほどショックだったのか

フラフラと何も言わず控室から出ていった


「・・・・・で、一誠さん?それは演技ですよね」


「・・・・・半分は本当だぞ」


泣いていた筈の一誠が一変して泣き止み、普通に燕と話す


「シヴァさん・・・・・かなりショックのようでしたが?」


「あいつが悪い。止めろと言っているのに止めなかったんだからな」


「ですが・・・・・」


「大丈夫だ、ああ見えてシヴァは単純だぞ?」


「それはどう言う事ですか?」


「まあ、百聞は一見に如かずだ。―――シヴァお姉ちゃん!大好きだよぉー!さっきのは嘘だからぁー!」


―――ドドドドドドドドドドドッ!!!!!


「私も大好きだぁ!一誠ぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」


地鳴りを鳴らしながら再び一誠達がいる控室に戻って幼児バージョンの一誠を抱きあげたシヴァ


「さっきはごめんなぁ!?私が意地悪し過ぎた!もうあんな事を言わないから私を嫌いにならないでくれ!」


「うん!もう言わないよ!シヴァお姉ちゃん!」


「ああ・・・・・っ!私の一誠・・・・・!」


愛おしそうに一誠の頬をスリスリと自分の頬を擦り寄せるシヴァの光景を見ていた燕達の感想は・・・・・


「・・・・・あれが破壊神?神なの?」


「・・・・・一誠さんの言った通りに単純な神でしたね」


「ああ、一誠さん至高主義者と呼んでも良いぐらいの単純さだ」


「うん、単純だねー。もの凄く単純だねー」


「色々と個性的な神だな」


「うむ。であるな」


「しかし、本当に一誠の事を好きなのだな」


「それを見せつけられている私達も気持ちは解るで候」


「もの凄い愛情表現です・・・・・」


「うん、本当に弟想いでイッセー先輩と結婚しているんだなって解るぐらいの愛情だよ」


「リュウちゃんもあのぐらいだったらいいのになー」


十人十色染みた発言を言った。シヴァは幼児バージョンの一誠を控室から連れ去った


「・・・・・あの神に対抗する手段が解りやすくて良かったです。あの神を抑える事ができますよ。

もしかしたら一誠さんの家族をも・・・・・」


冬馬は携帯を取り出して誰かと連絡を取り始める


「もしもし、私です。急なお願いなのですが、ある物を―――」

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