小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

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―――少し前の時間



「そぉ――――ら!」


「ほいっ!」


「はぁああっ!」


百代と燕、揚羽の一撃の拳を一誠はフワリと羽のように避ける


「おっと、はは。危ない、危ない」


「くそっ!私達の攻撃が当らないぞ!」


「んー・・・・・なんだろ」


「どうした」


「目の前にいるのは一誠さんだけど、何か一誠さんじゃないような・・・・・」


「どう言う事だ?」


「なんて言えば私も解らないよん。それにさっきから避けてばかりだし天使に成らないし・・・・・」


「・・・・・言われてみれば」


「それにまゆっち達とかなり離れてしまっているな」


「一誠さんの家族が井上君達のところにもいるし・・・・・大丈夫かな」


「大丈夫だと言いたいところだが、心配だ。未だ、誰もリタイアにされて―――」


『川神・F・ドラゴンズの「僧侶」、1名リタイアです』


「っ!やられた!?」


「ウメ先生!?それとも葵君!?」


「―――心配するのは解るけど俺の事も忘れるなよ?」


ドッ!


「ぐあっ!」


3人の頭上から足を突き出して落下したスピードを乗せて揚羽の腹部に直撃してそのまま背後に漂っていた

岩にぶつかった


「「揚羽さん!」」


2人の間に立った一誠は直ぐさま両手を2人の顔面に手のひらを突き出して魔力を零距離から放った。


ドオオオオンッ!ドゴォオオンッ!


魔力の波動に吹き飛ばされて2人は岩に背後からぶつかった


「で、お前達の神器はその程度の訳じゃないだろう?」


「つぅ・・・・・」


「っ・・・・・」


「女の腹を蹴るとは・・・・・子供ができなくなったらどうするつもりだ!」


「・・・・・そこまで計画を立てているのかよ」


「当然だ!我は未来の事も考えているのだからな!」


「そうかよ。だが、俺を倒さないとその未来は無くなるけどなぁ!」


「っ!」


ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアッ!


揚羽が間一髪ずれると一誠が飛びこんで岩が粉々に吹き飛んだ。その際に濛々と煙が発生して

一誠の姿が見えなくなった。


「何処だ・・・・・?」


「ダメだ、気の気配が感じない」


「まるで雲のようだね」


互いに背中を合わせて次の攻撃に備える三人。―――だが、一向に一誠は現れない。


「・・・・・こないぞ」


「何処かに隠れているのか?」


「それだったら警戒するに越した事じゃないケド・・・・・」


「揚羽さん、それで一誠を探してくれませんか?」


「うむ。そうしよう」


九つの龍の顔を模した物体が自由に動きだして一誠を探索し始めた。しばらくすると九つの物体が

戻ってきて揚羽に一誠がいないと報告した


「いないだと・・・・・?」


「まさか、由紀江ちゃん達の所に行ったんじゃあ・・・・・!」


『―――川神・F・ドラゴンズの「戦車」1名「僧侶」1名「兵士」1名が戦闘不能により、リタイアです』


「っ!?」


「そんな!?」


「短時間であいつらを倒したというのか!」


「やばい!早く皆のところへ戻ろう!」


―――百代達が翼を羽ばたかせて仲間の許へと急いで戻る少し前の事


「はああっ!」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


「はあっ!」


梅子が鞭でリボンのように回し蒼い炎から身を守った。その隙に準とユキがセルベリアに

接近し拳と足を突き出す。


「甘い!」


自身を蒼い炎に包み上げて2人の攻撃を阻止する。その炎に触れてしまった2人の足と手が

重症の火傷を負った。


「っ〜〜〜!」


「ぐぅううううううっ!」


「榊原!急いで氷で火傷した足を包み込むんだ!井上にもそうしろ!」


その叫ぶような梅子の声音にユキは言われたとおりに火傷した足を氷で包み上げた。

手を火傷した準にも手に氷を覆う。


「っ・・・・・痛みが氷の冷たさで感覚が麻痺して鈍く成ったな。それでもこれは地味に痛いが・・・・・」


「痛い・・・・!痛いよ・・・・・!」


「お前達が一体レーティングゲームが始まるまでの間にどんな修行をしてきたのかは

解らないがそのぐらいの傷で痛がるようななら我が主の事を諦めるんだな」


「嫌だ!絶対に諦めない!」


「では、掛かって来い。この忠誠の炎の鎧を全て砕くつもりでな!」


セルベリアを包み込んでいた蒼い炎が形へと成していき蒼く揺らめく全身鎧へと変わった。


「―――禁手化『戦乙女の忠誠の蒼炎龍の鎧』」


蒼く陽炎のように炎が揺らめく龍を模した蒼い全身鎧に背中には3対6枚の蒼い炎の翼が展開していた。


「おいおい、貴女も『ムゲンの駒』を持っている人ですか?」


「ふっ、生憎ながら私は『人間』としてお前達と戦っている」


「へぇ、そう言う事か。なら、ユキ。俺達も成ろうか?」


「うん!禁手をしよう!」


「よし、じゃあ行くぞ」


「「禁手!」」


カッ!


ユキと準を中心に一瞬の閃光が発生した。光が止むとユキの姿は頭に純白の飾りとドレスを着込んで

背中にユキを囲むように複数の巨大な雪の結晶が浮かんでいた。


「『絶対零度の世界の皇女』!」


「さて、この状態で戦うのはアンタで初めてだ」


準の姿は川神学園の制服と一変して黒い帯に山吹色の胴着を着込んでいた。―――小さく胸と大きく背中の

丸い枠に『ロリ魂』とマークがデザインされていた。その姿にセルベリアはランスで突き付けて口を開いた


「お前のその姿は何だ?」


「俺は幼女が心から愛している」


「・・・・・はっ?」


唐突にそう言われてセルベリアは呆然とするが準は続ける。


「俺は心から純粋に幼い女の子が大好きなんだ。その余りにも幼女を愛でる心に反応したのか俺の想いが

この胴着に成ったのさ。―――名付けて『幼女愛の一筋の道(ロリコン・ラブ・オブ・ザ・ロード)』!」


「「「「「・・・・・」」」」」


準の神器の名前に一誠達「幽幻龍騎士団」は冷たい視線で準に送った。


「・・・・・俺はこんなイタイ神器の名前を聞いたのが生まれて初めて聞いたぞ」


「名前はともかく、能力がどうなのか知りたい」


「それじゃあ、見せてやるよ!」


両手を合わせて両手の間に気のエネルギーを集束し始めた。準の視線の先には超巨大な岩。


「―――ロリロリ波!」


ドゴオオオオオオオオオオオオオオオォォォォンッ!


気のエネルギー波が超巨大な岩に直撃した瞬間に木端微塵と化となった。

その一撃は百代の技と同等の威力だった。


「・・・・・名前はともかく、気を扱えるようになっていたようだな」


「加えて俺は『戦車』だ。攻撃力と防御力が高く成っているぜ」


「セルベリア、油断せずに戦え。見た目で判断したら負けるぞ」


「解りました。そのつもりで戦います」


「シヴァ、お前もだ」


「ああ、解ったよ」


破壊神シヴァも参戦するように一誠に指示されシヴァは傍に近づいてきた大きな岩を触れた瞬間―――。


バシュンッ!


岩が一瞬で消えた。その光景に準達の表情が険しく成りシヴァを見詰める


「私は破壊を司る神、破壊神シヴァ。全て破壊する神だ」


全身にドス黒いオーラを纏い始め残りの川神・F・ドラゴンズを視界に入れる。


「お前達、覚悟しろよ?」


―――川神・F・ドラゴンズ


「ええい!」


「食らうがいい!我が忠誠の炎を!」


ユキとセルベリアがお互い炎をぶつけ合って激しい攻防を繰り広げ


「ロリロリ波ぁ!」


「破壊する」


準が放った気のエネルギー波をシヴァは手を突き出しただけで無効化した光景をグレンデル戦で負傷した

由紀江のダメージを癒す伊予の視界に入った。


「あともう少し・・・・・!」


「伊予ちゃん・・・・・」


「待っていてね!もう少しでまゆっちも戦わせるから!」


伊予は禁手化の状態―――金色の巫女服を着込んで由紀江の体に金色の光を当てていた。


『禁手「友愛の信心」・・・・・能力は相手の傷を癒すと同時に絶対的な防御力の力を得る。

兵藤一誠の禁手とまた違う形の力だな』


『この子の心の想いが主とは別の力に昇華したのでしょう。友人への為に何か役に立ちたいという

想いがこの力に至った・・・・・』


『兵藤一誠も同じ心を持っているが「相手を倒し大切なモノを守る」方に寄っていたからどうしても

「力」の禁手に成る』


『主と逆にこの子は「守」の力・・・・・。戦闘力が無い代わりに傷ついた友を癒し

守りたいという気持ちが大きく「守」の禁手に成った』


『・・・・・人間とは様々な思いを抱いて生きているのだな』


『そうですね。主以外の人間の成長を見るのは不思議と楽しいです』


「―――ふぅ、よし!完全に治ったよ!」


伊予が一息吐くとそう言い、由紀江が立ち上がって身体の調子を調べる。


「どうかな?」


「はい、痛みも全然ないですよ。伊予ちゃん・・・・・ありがとう」


「ふふ、どういたしまして!私も頑張って役に立ちたいからね!」


「伊予ちゃんはお役に立っていますよ」


「ありがとう、まゆっち・・・・・嬉しいよ」


「伊予ちゃん・・・・・」


「―――あー、良い雰囲気のところ悪いな」


「「っ!?」」


「取り敢えず、伊予。お前は先に退場だ」


「イ、イッセー・・・・・」


トンと、伊予の額に人差し指で突いた。伊予の体に流れている気の脈を変えて伊予を眠りにつかせた。


「い、伊予ちゃん!」


「「これで終わりだ!」」


「榊原!・・・・・っ!」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


セルベリアとシヴァと相手をしていたユキと準が2人の攻撃を食らった。しかし、ユキは直前に梅子の鞭で

助けられたがその先に伊予と由紀江がいる事に気づいて―――自身が盾となり2人を庇った。


「先生!井上先輩!」


『―――川神・F・ドラゴンズの「戦車」1名「僧侶」1名「兵士」1名が戦闘不能によりリタイアです』


「準!じゅーん!」


「わ、悪い・・・・・ユキ。後は頼んだ・・・・・」


「じゅーん!」


光と化となっていく準にユキが涙ぐむ。梅子と伊予も光と化となってこの場から消えて行った。


「残りは百代、燕、ユミ、ユキ、由紀江、辰、揚羽の7人だけか・・・・・」


「それで、そっちの3人はどうだった?」


「―――先輩が2人・・・・・!?」


由紀江の視界に一誠がもう1人近づいて来て話しかけてきた。


「ああ、中々どうして面白い能力だった」


「そうか、ご苦労様」


労わる一誠に労われた一誠が一誠に近づき―――身体の中に入っていく光景を由紀江は唖然とする。

そんな由紀江に顔を向けて一誠は口を開く


「ドッペルゲンガーと言えば解るか?」


「っ!では、先輩の体に入った先輩はドッペルゲンガーだと・・・・・」


「そう言う事だ。だから気を感じなかっただろう?メリアとブラフマーがいたのに」


『ああ、お前の気が全く感じなかった。だが、お前からは気をハッキリ感じる』


「俺のドッペルゲンガーは百代達と戦ってもらった。魔力と物理の攻撃をするのに大量の魔力が

必要だったけどな」


『だが、人間のお前には魔法使いではない限り魔力など無い。代わりに大量の気を送り

魔力に変換したという訳だな?』


「流石は元相棒だな、その通りだ。ここにドッペルゲンガーがいると言う事は今頃あいつら、

ここに来るだろう」


シュンッ!と由紀江の前から消えた一誠。次に現れたのはガイアとオーフィス達の傍にいた


「さてと、ガイアとオーフィス。本番といこうか」


「最初は強敵から倒すぞ。―――ゾラードとサマエル、ブラフマーの力を借りている人間からだ」


「あいつら面倒だからそのつもりだ」


「我、イッセーに力をあげる」


「我もだ。一心同体といこうではないか」


「・・・・・でも、良いのか?サマエルの毒がお前等にも影響するぞ。人間のままの俺だったらまだ―――」


「一誠、その先の事を言うな。我等は一誠と一緒に戦いたいのだ。一緒にその苦痛を感じたいのだ」


「我、イッセーとどこまでもずっと一緒。イッセーと離れる気はない。一緒に戦う」


真紅と漆黒の二つのオーラがガイアとオーフィスの身体から迸り奔流と化となって一誠の瞳を据える。


「・・・・・2人とも」


一誠は愛しい2人のドラゴンを抱き締める。そして、一誠も身体がから気のエネルギーを出し迸らせる。

その際に一誠の服が吹き飛び身体に浮かぶ紋様が消失した。―――刹那


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!


レーティングゲームのバトルフィールドの空間が震えるほどの膨大な気が奔流と化となった。ガイアと

オーフィス、一誠の三つのエネルギーが混じり合ったその瞬間、ガイアとオーフィスと呪文を唱え始めた


「我、夢幻を司る真龍なり」


「我、無限を司る龍神なり」


「我、無限を認め」


「我、夢幻を認め」


「我等は認めし者と共に生き」


「我等は認めし者と共に歩む」


ガイアとオーフィスは一誠の瞳を据えてコクリと頷いた。一誠はそんな二人に笑みを浮かべて

頷き―――呪文を2人と一緒に唱えた。


「我は夢幻を司る真龍と無限を司る龍神に認められし者」


「夢幻の力で我は汝を誘う」


「無限の力で我は汝を葬る」


「我は愛すべき真龍と龍神と共に我等は真なる神の龍と成り―――」


「「「我等の力で全ての敵を倒す!我等の力で汝等を救済しよう」」」


「「「「「ハイスクールD×D!」」」」」


カッ!


最後にシヴァとセルベリアも一緒に呪文を唱えた時、3人は膨大な光に包まれた。


『まずいな・・・・!』


「ブラフマーさん?」


『あの呪文を唱えられたら最後、並みの力では通用しないぞ』


「じゃあ、無敵と言う訳なんですか・・・・・」


『・・・・・いや、奴等は―――兵藤一誠は真龍と龍神の力を持ったドラゴンと化となる。だから唯一、

奴に勝てる方法と言えば・・・・・』


「・・・・・」


『まだ一度も試した事ないが私の能力で封印する。または、サマエルの毒で殺すかだ』


「そ、そんなっ!?」


「まゆまゆ!」


「皆、大丈夫か!」


「いないのは・・・・・葵君と井上君、ウメ先生に伊予ちゃんか・・・・・」


衝撃を受ける由紀江の傍に百代と揚羽と燕の3人が現れた。他の川神・F・ドラゴンズのメンバーが集結した。


「っ、あれは・・・・・」


「まさか、またあの鎧を・・・・・!」


「でも、皆で一緒に勝てれば勝てるよ!」


『・・・・・うん、そうだね』


「どうした?」


『できれば一誠をガイアとオーフィスから引き離して戦って勝って欲しかったよ・・・・・』


「・・・・・?何故なんだ?」


『―――主がガイアとオーフィスと融合して夢幻と無限の力を持ったドラゴンと化となると言えば解るか?』


「・・・・・ちょっと待て」


「一誠がドラゴンに成るだと・・・・・?」


『一度、あの鎧を着た主と戦った事があるだろ?―――あれはドラゴンと化となってガイアとオーフィスの

力を鎧に具現化にしたものだ』


膨大な光が止むと一誠の姿は真紅と漆黒のドラゴンの姿を模した全身鎧で真紅と漆黒が混じった長髪が

たなびく。胸に龍の顔と思わせるものがあり、意思を持っているかのように金と黒の瞳を輝かせ一誠の瞳は

胸の龍の顔の瞳と同じ垂直のスリット状に黒と金のオッドアイに成っていた。だが、

頭部の鎧が無い状態だった。更に一誠の顔の皮膚が蛇の鱗のようなものが浮かび上がっていた


『そして、さっきの呪文は前の呪文と似て非なり兵藤一誠は生身の体までドラゴンの身体となっている』


『っ!?主!まさか、あの呪文を唱えたのですか!?』


『そんな・・・・・!「D×D」の呪文でも僕の毒で死ぬかもしれないというのにあの呪文で唱えたら

―――僕の毒で本当に死んじゃうよ!』


「なっ!ちょっと待て!ゾラードの能力で弱らせる事ができるんじゃないのか!?」


『それはガイアとオーフィスの場合だよ!一誠がガイアとオーフィスの力を鎧に具現化されたら一誠まで

僕の毒が影響しちゃうんだ!しかもあの状態の一誠は「D×D」よりも毒が一誠の身体に影響を及ぼすよ!』


『しかも、主は我の無効化の能力を持っている筈だ。唯一、勝てるとすればサマエルと隙をついて

ブラフマーの能力しか方法がない』


『その事でさっき話していたところだ。封印か殺すしか勝てないとな』


「そんな・・・・・!」


「一誠を殺すだと・・・・・!?」


「それに封印するなんて・・・・・できないよ・・・・・」


「嫌だよ・・・・・嫌だよ・・・・・」


川神・F・ドラゴンズは一誠に勝つ勝利条件を聞いて嘆く。


「殺す事も封印する事も我は認めんぞ・・・・・!それでは、一誠をこの世界に留まらせるどころか

我等の願いが叶えられないではないか!」


『では、どうする。このままお前達は兵藤一誠に倒されて今度こそ2度と会えなくなるぞ』


「くっ・・・・・!」


「私達はどっちも嫌で候・・・・・!」


『主を慕う人間に当然の反応だな』


『でも・・・・・』


「一誠君を殺すことはダメだよ!封印するのもダメよ!」


『ならば、兵藤一誠と永遠の別れを選ぶか?』


「・・・・・ううう・・・・・っ!それも嫌だよ・・・・・!」


『―――さっきから聞いていれば随分と甘い事を言っているな?汝等は・・・・・』

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真剣で私に恋しなさい!S 大判マウスパッド 川神百代
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