小説『真剣でD×Dに恋しなさい!『完結』』
作者:ダーク・シリウス()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>






「―――やるしかないのか」


「やるしかないんだ」


「私達がここで負けたら今度こそ会えなくなる」


「私達が勝たないと他の皆さんに顔を向けれないです」


「・・・・・サマエル、私に力を貸してくれ」


『・・・・・解った』


「ゾラード」


『我の力を存分に使うがいい』


「ブラフマーさん」


『封印は何も死の意味ではない。封印を解けばあいつは復活する』


「―――なら、目の前の相手を倒す。殺すんじゃなくて封印をする」


「これが最終対決だ。―――行くぞ、川神・F・ドラゴンズ!」


「負けてしまった仲間の為にも一誠さんを倒す!私達4人の力を合わして!」


「全力で参ります!」


一誠を愛する4人も猛進と一誠に向かう。その行動に一誠は深く笑み、哄笑する。


『フハハハッ!そうだ!それでいい!それでこそ我が望んだ戦い!それこそ我の愛しい女達!

そうではなくては、そうではなくてはなああああああああああああああああああっ!』


「一誠ぃいいいいいいいいいいいいいいいっ!」


ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


サマエルの力を纏った拳で攻撃するのを渋っていた百代が迷いもなく超一撃のストレートパンチを一誠の拳に

直撃した。その際に一誠の表情が少し苦痛で歪んだ。その表情を見て百代は、はっと気付く。

やはりサマエルの毒は一誠に害を及ぼすモノだと・・・・・


「一誠・・・・・!」


『あああああああああああああああああああああっ!』


雄叫びを上げて拳を握りしめて百代の腹部に突き刺した。


「が・・・・・はっ・・・・・!?」


『食らえッ!』


「そうはさせん!」


揚羽がもの凄い速さで一誠に近づき手首を掴んだ。ゾラードの能力で鎧が解除されて

生身の体がさらけ出した。


「九頭龍一閃!」


「っ―――!」


九つの龍の顔を模した物体の口内から銃口を覗かせて魔力のビームを放って一誠の体に直撃した。


『ハハハッ!これが揚羽の禁手の威力か!』


「私の神器の威力も感じて!」


燕が8本の蜘蛛の足のような機械から粘着性の白い液体が飛びだして一誠の体に付着して動きを封じこんだ。

直ぐさま右肩を覆うような龍の顔を模した巨大な手甲から銃身が生えて、左手で右腕を押さえて銃口に

黒いエネルギーを集束しだし―――


「いっけぇぇぇえええええええええええええ!」


放った。


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


バトルフィールド全体が震え、崩壊しそうになるが震えが直ぐに収まった。


『―――ハハハ』


「マジ・・・・・?」


『燕、少し効いたぞ』


煙の向こうにユラリと動くシルエットが見えた。煙が晴れる頃には服が全て破けていて蛇の鱗のようなものが

身体中に浮かんでいるのを百代達の視界に入った。


『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』


再び鎧を纏い百代達に襲いかかる。


「イッセー先輩!」


『由紀江か!なら―――』


何もない空間に穴を開けそこに手を突っ込み金色に輝く剣を取り出した


『ブラフマー!汝と我の親友、式森和樹が鍛え上げたこのエクスカリバーとどちらが強いか勝負だ!』


『いいだろう!受けて立つ!黛由紀江、あの聖剣を斬れ!』


「はい!」


ガキィンッ!


『擬態の聖剣と透明の聖剣と神速の聖剣の相乗効果を食らえ!』


不可視の剣となった剣が意思を持ったようにうねり始め、神速の速さで宙を無軌道に激しく動きながら

途中で剣の先端を枝分かれ由紀江に襲いかかった。


「はぁあああっ!」


ガギッ!ガガガガガッ!


由紀江は完全に見切って枝分かれした剣をずらし、防ぎ、避けて行った。一誠はその光景を見て刀身を

元に戻すとエクスカリバーの刀身に魔力を流し込んで―――


『―――エクス・カリバァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!』


膨大な光の斬撃を放った。


「イッセー先輩・・・・・私は貴方を超えます!」


オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


封龍刀がより一層に金色の光を放った。由紀江自身も金色の光に包まれて刀を上段に構え


「光轟双龍波斬!」


由紀江も龍の姿を模した膨大な光の斬撃を放って一誠の一撃の斬撃と直撃した。二つの斬撃が拮抗して

最後は相殺に成った途端、2人は飛び出して激しい剣戟を始めた。


ガガガガガッ!ガキッ!ギキインッ!ガ!ガガガッ!


「4人で同時にかかれ!容赦をするな!」


揚羽の言葉に百代と燕も由紀江の援護に向かった。


『この実力者で複数人と相手をするのは何時以来だ!』


背中から金色の6対12枚の翼を展開してバチバチと雷を迸らせる


『雷散槍!』


ビガッ!ガガガガガガガガガッ!


「「「くっ!」」」


『はあああああああああああああっ!』


ギィンッ!ガッ!ギンッ!ギャンッ!ガギンッ!


槍のような雷を降り注ぎ由紀江と刀を交わし続ける。


「強い・・・・・!」


『剣はベルゼブブが鍛えた。こいつはベルゼブブだと思った方がいい』


『まだまだ、剣で勝ち越していないがな!』


「行けっ!」


九つの龍の顔を模した物体は雷が降り注ぐ最中に雷を避けながら一誠に射撃する。直撃して体勢を

崩されてしまい由紀江が好機だと封龍刀を突き刺そうとする―――が、


『舐めるなぁ!』


金色の翼で封龍刀を掴みギリギリ阻止して体勢を立て直し百代達に猛攻を仕掛ける。


「(百代ちゃん!私が何とか動きを封じるからその隙に!)」


「(解った!)」


手甲を構えて燕は念話で指示した。揚羽も燕の念話を聞いていたのか一誠の注意を自分に逸らせようと

押されながらも戦い始めた。


「ドラグーン!」


九つの龍の顔を模した物体が揚羽と一誠の周りを動き回る。


『またその攻撃か!我には―――いや、こいつは・・・・・!』


周囲に浮かぶ九つの龍の顔を模した物体が変形していく光景に一誠の視界に入る中、次第に大きく成り

龍を模した全身鎧を纏った騎士になった。


「―――『九頭龍騎士』―――捕まえろ!」


ガシッ!


翼、肩、腕、身体、脚と九人の龍騎士達が一誠に抱き付いた。


『邪魔だっ!』


膨大な質量の炎と雷を発生させて龍騎士達を振りほどこうとする一誠にエネルギーを充電していた

燕が動きだす。


「もう一度だよ!」


ドウッ!


エネルギー波が撃ち出され一誠に向かう。炎と雷を纏って龍騎士達を振り払った一誠は接近する

エネルギー波に腕を突き出した次の瞬間・・・・・


グワンッ!


一誠の前に突如、穴が開き燕の一撃を吸い込んだ


「えっ・・・・・!?」


『返すぞ』


不意に四人の背後に大きな穴が開いた。四人は異様な気配を感じ背後に振り返ったその瞬間。


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


その穴から燕が放ったエネルギー波が出て来て四人を飲み込んだ。


『まあ、簡単にはいかないか』


一誠の呟きに応えるかのようにガラスが割れたような音が聞こえたと同時にエネルギー波が消失した。

揚羽が腕を突き出していた体勢を一誠の視界に入った。


「あ、危なかった〜」


「移動だけじゃなくカウンターとしても使えるのか、あの穴は・・・・・」


「砲撃系や遠距離系の攻撃は無闇にできなくなりましたね・・・・・」


「ならば、己の体で戦うしかあるまい」


『―――その方がいい』


―――そう言うと一誠の身体に変化が起きた。両腕に肩まで伸びる刃が生まれ、籠手に鋭い爪と膝から鋭利な

突起が生え、背中の翼が1対から6対に変わり、腰に生えている尾の棘が更に鋭利に伸び全身の鎧が

更に分厚くなった。


「その姿は・・・・・!?」


『「戦車」、「騎士」、「僧侶」の駒を三対一に纏め上げた姿。―――名は「真なる三叉」』


籠手に生えた鋭い爪を横薙ぎに払うと鎌風が呼び起こされて四人を襲った。


「嵐脚・・・・・!?足を振ってもいないのに・・・・・!」


『嵐爪―――刺突』


連続でストレートパンチを繰り出す。その際に嵐脚が槍の形状で飛び出した。


「無効化!」


バリアを張り百代達と共に一誠の技から逃れる。


「無事か?」


「いや、一発だけ貰った・・・・・瞬間回復」


百代の肩に血が流れていたが直ぐに傷が塞いだ


「その技って反則だよん」


「自分だけ回復できるとか不公平で候」


「おいおい、この技を習得したのに苦労したんだぞ。それにこの技があるから私は強くなれたんだ」


ガチャッ!


「ん?いま、変な音が・・・・・」


燕が耳に変な音を拾って、辺りを見渡すと―――瞳に銃口が映った


「・・・・・え?」


『―――そのバリアは外敵の攻撃を無効化にする事も閉じ込めて力を使わなくする事も出来る。

今のそのバリアは敵の攻撃を無効化にする。つまり、バリアの中ならば能力が使えると言う訳だ』


未だ、次々とストレートパンチを繰り出し、鎌風を呼び起こしている一誠の背中の6対12枚の翼が無く

代わりに燕達がいるバリアの中に12の穴から翼が銃身となって覗かせた


『使い方を誤ったな。この技は囮に過ぎない』


「―――揚羽さん!バリアを―――!」


『終わりだ』


―――刹那


ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォンッ!


バリアの中で大爆発が起きた。バリアが内側から砕け散り、宇宙空間のバトルフィールドを激しく揺らいだ。

すると―――


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ・・・・・!


『・・・・なんだ、・・・・・?』


バトルフィールドが地震のように揺れ始めた事に気づくとアナウンスが慌てた声音で流れた


『一誠!今の一撃でバトルフィールドが保てなくなった!脱出して!』


『おいおい、ここの異空間は頑丈に作られているんじゃないのかよ?』


『一誠がその状態で戦うからだよ!このバカ!早く4人を連れて来てよね!』


『・・・・・わ、解った』


アナウンスの声の勢いに負けて一誠はただ頷くことしか出来なかった。まだ意識がある4人に近づき

この状況を説明して5人はバトルフィールドから離れた



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『―――えー、両チームの戦いでバトルフィールドが保てなくなり続きはこのステージで

行う事に成りました。実況をする私には正直、死地に立たされているとしか思えない状況です』


「はぁ・・・・・はぁ・・・・・」


「回復をしてもらったのは良いが・・・・・」


「怪我が治っても疲労がまだ残っているで候」


「そうか?」


「「「今の言葉に殺意が湧いたのは何故だろうか・・・・・!」」」


ケロリとそう言う百代に恨めしそうに睨んで拳を力強く握り締める残りの3人だった。


『それでは引き続き試合を始めて下さい!』


『会場の観客達に被害が遭わないように僕達が守るから存分に暴れていいよ!』


と、会場の観客達を覆う様に魔方陣が何重にも現れた。


『ふっ・・・・・そう言う事なら問題ないな』


一誠の背に生えている6対12枚の翼が分離して銃身と成り銃口を出した。


『行くぞ』


ドウッ!


魔力弾を発射した。対して揚羽達は避け一誠に近づく


「川神流、星殺しぃっ!」


『効かない』


ステージに穴が出現して百代の攻撃を飲み込んだ。穴が消え一誠の姿もいなくなっていた


「っ、いない・・・・・」


「どこだ・・・・・」


4人は互いに背を合わせて一誠を探し出す。―――目の前に穴が開いた。


「っ!回―――」


ゴッ!


揚羽の横からもの凄い衝撃が襲った。横に吹っ飛ばされながらも体勢を立て直し、原因を探すが視界に

入らなかった。―――さらに揚羽の背後から衝撃が襲って吹っ飛ばされる


「くっ・・・・・!?」


『主は姿を消しているぞ!今の主は世界の自然と同じ存在と化となっている!』


「自然と一体に・・・・・」


「流石にその状態の一誠さんを探すのは大変だね」


「何か方法がある筈です」


「その方法が解らないけどな」


「・・・・・あっ」


ポンと燕が何かにひらめいたのか、燕の背に付いている蜘蛛の脚のような8本の機械が分離させて

ステージに散らばせてステージの隅に立つシヴァに顔を向けて口を開いた


「シヴァさん!」


「何だ?」


「小さい頃の一誠さんの話を聞かせて下さい!」


「むっ、どうしてだ?」


「だって、小さい頃の一誠さんは可愛かったですからその頃から知っているシヴァさんなら

知っていますよね?」


「ふむ、確かにあの頃の一誠は昔、誠と一香に冥界へ連れてもらった時にはそこで魔物に追いかけられて

可愛く泣きながら―――」


『それ以上言うんじゃねぇええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!』


と、シヴァが一誠の過去を話そうと口を開いた瞬間に一誠が姿を現わしてシヴァの口を防いだ。

―――幽幻龍騎士団が興味津々に聞いていたのは気付かない一誠だった。誠と一香は懐かしそうにしていた。


「見つけた!」


「ほう、その手があったな」


『我の過去を話すなって言っただろう!?汝は我を殺す気か!』


「ただ訊かれた事を話しただけだろう?それとガイア達に自慢をしたい!」


『それが余計だああああああああああああああああああああああっ!』


「シヴァさん!続きをお願いします!」


「うむ。泣き付いてきた一誠がな?可愛く―――」


ヒュンッ!


突然にシヴァの姿が消えた。足下を見ると穴が空いていてシヴァはそこに落ちてしまいその原因を

作ったのが顔を赤くして荒い息を吐く一誠だった。


『くっ!恐ろしい事をしてくれるな!?』


「うふふ、敵の敵は味方って言うケド、一誠さんの過去を知るシヴァさんに一誠さんにとっては天敵ですね」


『・・・・・っ』


恨めしそうに燕を睨む一誠。怒りのオーラを纏い近づく・・・・・・。


ビシッ!バキッ!ビキッ!


一歩、一歩。歩を進める度に地面に亀裂が生じた。その光景に4人は頬に冷汗を流し出す。


「・・・・・なんか、怒らしちゃったかも・・・・・」


「みたいだな。始めて一誠が怒ったところを見るぞ」


「こ、怖いです・・・・・!」


「肌に突き刺さるこの感じに怒る一誠を恐ろしく感じるぞ・・・・・」


「―――でも、作戦は成功したよん」


ビュッ!


ステージに散らばっていた蜘蛛の足の機械から蜘蛛の糸のようなものを吐きだして

一誠の全身に付着させる。その糸を籠手から伸びた爪や肩まで伸びている刃で切り裂いていく


『こんなもので我が通用するかぁ!』


「うん、だから―――」


バババババッ!


燕が腕を素早く動かすと蜘蛛の脚のような8本の機械が動きだして糸を吐きだしながら八角形に形成して

―――蜘蛛の巣が一誠の背後に出来上がった。


「はあっ!」


『っ!?』


瞬時で燕が一誠に体当たりして蜘蛛の巣にぶつけた。さらに燕の左の籠手から蜘蛛の糸が吐き出して

一誠の全身を巻いていく


『くっ・・・・・!こんなものは直ぐに燃やし―――』


「できないよ。私の糸は魔力を吸って縛りを強く成るからねん。加えて、色々と耐性がある糸だから

燃やすことや凍らせたりするのは難しいよん?」


まるで蜘蛛が蜘蛛の巣に引っ掛かった獲物にゆっくりと燕が近づいて口を開く。


「今の一誠さんは無限の力―――魔力を持っている。糸も無限の魔力を吸い続けてどんどん

強く成っていくよ」


『つ、燕・・・・・』


「うん?」


『汝、性格が変わっていないか?目が怖いぞ・・・・・』


「―――うふふ、やっと捕まえた。もう放さないよん」


何時の間にか背に8本の蜘蛛の足の機械が存在し、一誠を自分の胸の中に抱え込んだ。


「でも、残念。一誠さんを倒さないとずっと抱きしめられないね」


『・・・・・』


「だから」


燕は一誠を蜘蛛の巣から引き剥がし―――


「百代ちゃん!」


身動きが取れない一誠を百代に向けて投げた。


『くそっ!この糸を―――』


「一誠、今までの分をこの拳に乗せるぞ・・・・・!」


百代の拳がドス黒いオーラを纏っていた。そのオーラを見て一誠は顔を引き攣った。


『・・・・・流石にあれは死んだかな・・・・・?』


「―――我流、三十六連龍殺し拳っ!」


拳がぶつかる瞬間、穴が現れたがそこに揚羽が拳でその穴を砕き百代の拳が何も邪魔される事もなく


ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


一誠の腹部に超強烈な一撃のストレートパンチが突き刺さった。一誠は口から赤い血反吐を

撒き散らしながら再び巨大な蜘蛛の巣へ吹っ飛ばされながら三十六回の衝撃が身体に襲われて行った。


「―――死なないでくれ一誠・・・・・」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


そして最後の三十六回目の衝撃が一誠の身体に襲った。


『がはぁあああああああああああああああああああっ!』


その衝撃に蜘蛛の巣に張り付けられたまま大量の血を口から吐き続けた。

身体をビクンビクンと震わせて・・・・・。


「っ・・・・・!」


「苦しそうだな・・・・・っ」


「くっ・・・・・、こんな勝ち方、私は嫌だ・・・・・!」


「一誠さん・・・・・!」


悲痛な表情で一誠を見詰める4人の乙女達。


『イッセーくん!しっかりして!イッセーくん!』


『セラフォルー、まだ試合は終わってねぇぞ・・・・・』


『でも、でも!イッセーくんが!あのままだと死んじゃう!』


『これは彼が望んだ試合だ。私達はそれを見守る義務がある・・・・・』


『うっ、ううう・・・・・!』


『グレイフィア、審判役として彼はまだ戦えるかね?』


『・・・・・』


グレイフィアは未だに血反吐を吐き続ける一誠を見る。吐き出された血は地面に

溜まり池のように広がっていた。


『・・・・・難しいです』


『そう・・・・・か・・・・・では、審判役として最後の務めを・・・・・』


コクリとグレイフィアは頷き腕を天へと突き出す


『幽幻龍騎士団「王」兵藤一誠はこれ以上の戦闘が不可能と見なし、勝者は―――』


『・・・・・待て』


『っ!?』


『我は・・・・・我は・・・・・まだ、戦える・・・・・!』


顔をゆっくりと上げて一誠はハッキリとそう言った。


『しかし・・・・・貴方は・・・・・』


『試合は・・・・・続行だ・・・・・続けるぞ・・・・・』


『イッセーくん!もう止めて!イッセーくんの身体にはサマエルの毒が・・・・・!

それに中にいるガイアとオーフィスまで影響しちゃうんだよ!?』


『我等は・・・・・幽幻龍騎士団!無敵と称された勢力だ!その勢力のトップの我が負ける事は

許されない!』


ブチブチッ・・・・・!


『我等は勝ち進まないと今まで負かしてきた強敵や友に顔を向ける事ができないのだ!

我は・・・・・!俺は・・・・・!』


ブチブチッ・・・・・!


『俺は救済を求めているもの達を救おうとその為に小さい頃からここまで強く成ってきたんだ!』


ブチブチッ・・・・・!


縛っていた強靭な糸を強引に引き千切りながら一誠は血を吐きだしながら叫ぶ


『それなのに俺がここで負けたら―――俺の夢がここで潰えてしまう!』


蜘蛛の巣から強引に離れ一誠の血でできた血の池に倒れた。しかし、一誠は地面に手をついて・・・・・

膝をついて四つ這いになりながら血をまた吐く


『だから・・・・・例え、俺が死んでも俺は負けない・・・・・!』


『主・・・・・!』


『イッセー!もう立たないで!もう動かないで!これ以上キミが戦ったら今度こそ本当に・・・・・!』


サマエルの制止の言葉に耳を傾けず跪く体勢になった一誠は―――


『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!』


一気に立ち上がって叫んだ。場は一瞬で静まり返り、一誠を見守る会場の観客達。


『行くぞ!川神・F・ドラゴンズ!「四天王」達!』


地面にクレーターを作るほどの脚力で百代達に接近する。


「「一誠・・・・・!」」


「イッセー先輩・・・・・!」


「一誠さん・・・・・!」


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』


一誠が拳を突き出す。百代達は―――余裕でかわした。今の一誠は自分達より弱く成っている事に気付いた。

通常の人間の目だと突き出した瞬間の腕が見えないだろうが百代達のレベルの実力者からだと遅く見える。

一誠はそこまで弱体化に成っていた


「っ・・・・・そこまで勝利に執着心を持っているなんて・・・・・!」


一誠の回し蹴りをかわしながら燕は涙を流しながら震える声で呟いた


「我等はとんでもない男を好きになったのだな・・・・・」


6対12枚のドラゴンの翼から発する斬撃を打ち消しながら涙ぐむ揚羽


「私達は幸せ者だ・・・・・!」


ドス黒いオーラを一誠に向けて放った。そのオーラに直撃して地面に倒れるが再び起き上がった。


「ここまで熱く成る殿方を私は好きになって嬉しいです・・・・・!」


ズバンッ!


一誠の両腕と12枚の翼を両断した。しかし、一誠の背中から数多の腕が生え―――。


『食らえ!』


数多の膨大な魔力弾が百代達を襲う。揚羽の無効化のバリアで百代達は回避する


「―――まゆまゆ、次で決めるんだ」


「―――はい」


「もう、一誠さんを楽にしよう」


「そして、落ち着いたらあの時のように遊ぼうではないか」


揚羽の言葉に三人は頷いた。


「―――行くぞ!」


無効化のバリアがステージを包む程に大きく成り一誠の攻撃が止んだ。


『はああああああああああああああああああああああああああっ!』


再び一誠はもの凄い速さで接近する。対して百代達も一誠に向かって飛び出す。


『これで最後だぁあああああああああああああああああああああああああっ!』


数多の拳が押し潰さんとばかりに百代達に向かっていく


「「全部まとめて吹っ飛べ!」」


百代と燕がエネルギー波を撃ち出して数多の拳を消滅していく


『っ!?』


「はあっ!」


揚羽が懐に入り拳を一誠の顎下から打ち上げた。一誠の背後に回り跳び上がって身体を捻り回して

強烈な蹴りをした。


『ぐっ!』


「「「最後だ!」」」


吹っ飛んだ先には封龍刀を持った由紀江が闘気を纏っていた。一誠も由紀江の行動に察知し

腕を変化させて大剣にした。


「イッセー先輩・・・・・!」


『由紀江・・・・・!』


由紀江が一気に飛びだす―――そして


『「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」』


互いに刀と大剣を突き出し二つの影が―――重なった。


ズンッ!


『「・・・・・」』


刀と大剣が由紀江と一誠の体を貫いた。―――いや


「どうして・・・・・」


『・・・・・』


「どうして直前に大剣を逸らしたんですか・・・・・」


一誠の大剣が由紀江の身体を貫いておらず由紀江の封龍刀が一誠の胸を貫いていた


『・・・・・毒で目が見えなくなっていた・・・・・と、言っておこうか』


「では、もう最初から・・・・・!」


『ははっ、泣くなよ・・・・・可愛い顔が台無しだぞ』


「な、泣いてなどないです・・・・・!」


『ふっ、そうか・・・・・由紀江・・・・・』


「はい・・・・・」


『強くなったな・・・・・楽しかったぞ』


「・・・・・っ」


『また、戦おう・・・・・な』


「・・・・・はい」


『・・・・・やれ、お前の手でこの試合を終了するんだ』


「・・・・・イッセー先輩」


『・・・・・なんだ』


「これからはイッセーさんと呼んでも良いでしょうか」


『ああ、いいぞ』


由紀江は小さく「ありがとうございます」と呟いた。


「―――封龍―――」


カッ!


一誠を貫いていた封龍刀が神々しい輝きを発し始めた


『・・・・・ブラフマー』


『なんだ』


『ゾラード達と一緒に戻って来い』


『・・・・・』


『ガイア達には既に話をつけている。堂々と俺達の家に戻れ、いいな?』


『・・・・・一誠』


『ん・・・・・?』


『ありがとう・・・・・』


意識が薄れて行く最中、最後にブラフマーの声音が温かく、優しいものだった。

一誠はその声音を聞くと微笑んで


『どういたしまして』


と、最後に呟くと同時に光は一誠を包み込んだ。そして、光が晴れる頃には―――地面に倒れている一誠の

体の傍に赤と黒、金の宝玉が転がっていた。


『―――幽幻龍騎士団の「王」兵藤一誠が戦闘不能により勝者、川神・F・ドラゴンズです』


「「「「「「「「「「わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」」」」」」」」」」


こうして、川神・F・ドラゴンズの勝利でレーティングゲームは幕を下ろした

-85-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




真剣で私に恋しなさい!! 大判マウスパッド
新品 \2000
中古 \
(参考価格:\500)